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コラム

2024.12.19

組み込みエンジニアはきつい?やめとけと言われる理由や将来性を解説

組み込みエンジニアは、製品の制御やシステム設計を担う重要な職種です。しかし、「きつい」「やめとけ」と言われることも少なくありません。その背景には、長時間労働や責任の重さ、高いスキル要求など、特有の課題が影響しています。

本記事では、組み込みエンジニアの現実と「きつい」と言われる理由を掘り下げつつ、それでもなお感じられるやりがいや魅力、そして負担を軽減する方法について解説します。これから組み込みエンジニアを目指す方や、キャリアに悩む方に役立つ情報をお届けします。

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監修:大畑 健一(おおはた けんいち)

パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。

組み込みエンジニアとは?

組み込みエンジニアとは、ハードウェアやソフトウェアが密接に連携するシステムの開発を担当する技術者です。主に家電、自動車、医療機器など、特定の機能を持つデバイスの制御や設計を行います。近年、IoTの普及により需要が拡大しており、技術力が求められる職種の一つです。

組み込みエンジニアが「きつい」と言われる理由3つ

組み込みエンジニアが「きつい」と言われる理由には、いくつかの特徴的な要因があります。主に以下3つの理由があります。

  • 長時間労働である
  • 責任が思い
  • 技術取得が難しい

それぞれについて詳しく解説します。

長時間労働である

組み込みエンジニアの仕事は、製品の完成が納期に直結するため、スケジュールが厳しいことが少なくありません。特に、デバッグや不具合の修正が予想外に長引く場合、深夜や休日の作業が発生することもあります。

また、トラブルシューティングのために顧客先に出向くケースもあり、これがさらなる労働時間の増加を招くことがあります。繁忙期には1日のほとんどを仕事に費やさざるを得ない状況になることもあります。

責任が重い

組み込みシステムは、製品の心臓部とも言える重要な役割を果たしています。そのため、エンジニアが開発したコードや設計に不具合があれば、製品全体の信頼性や安全性に影響を及ぼします。

たとえば、自動車の制御システムや医療機器のような命に関わる製品では、1つのミスが大事故につながる可能性もあります。
このような状況では、プレッシャーが非常に大きくなるため、精神的な負担を感じることがあります。

技術取得が難しい

組み込みエンジニアは、ソフトウェア開発とハードウェア設計の両方を理解する必要があります。たとえば、C言語やC++のようなプログラミングスキルに加え、電子回路やマイクロコントローラーの知識も求められます。また、業界は日進月歩で技術が進化しており、新しいプロトコルやツール、規格について学び続ける必要があります。

この学習負担が、時間的にも精神的にも大きな負担となることがあります。さらに、実際の開発現場では、複数の異なるシステムやツールを扱うため、効率的に学習するスキルも求められます。

組み込みエンジニアが「やめとけ」と言われる理由4つ

組み込みエンジニアは、高い専門性と責任が求められる仕事です。そのため、「やめとけ」と言われる理由もいくつか存在します。主な理由は以下4つあります。

  • 責任の重さによるプレッシャーが大きい
  • 給与がスキルに見合わない場合がある
  • キャリアの選択肢が限定される可能性
  • 成果が目に見えにくい

それぞれについて詳しく解説します。

責任の重さによるプレッシャーが大きい

組み込みエンジニアは製品の根幹を担うため、ミスが全体の不具合や重大事故につながるリスクがあり、緻密で正確な作業が求められます。この責任から失敗への恐怖や高い精度への要求がプレッシャーとなり、精神的な負担を感じやすい職種です。

給与がスキルに見合わない場合がある

組み込みエンジニアは高度な専門性が求められるにもかかわらず、企業規模や業界によっては給与が他のITエンジニア職種より低く設定されることがあります。特に中小企業では、報酬がスキルや労働時間に見合わないと感じる場合があり、不満やモチベーション低下につながることもあります。

キャリアの選択肢が限定される可能性がある

組み込みエンジニアは特定の業界や製品に特化した技術を扱うため、その経験が他分野への転職で直接活かしづらいことがあります。汎用性が低いと見なされることが多く、キャリアチェンジの際に選択肢が限定される可能性があります。そのため、将来の柔軟なキャリア構築が難しいと感じる人もいます。

成果が目に見えにくい

組み込みエンジニアの成果は製品内部に隠れることが多く、ユーザーがソフトウェアの存在を意識しないため、エンジニアの貢献が外部から評価されにくいです。その結果、他者からのフィードバックが少なく、努力が報われないと感じてモチベーションを保つのが難しくなる場合があります。

組み込みエンジニアに向いていない人

結果が出ないのはあなたが組み込みエンジニアという職業に向いていない可能性があります。 自分に合ったキャリアを選択するために、判断材料を提供します。誤ったキャリア選択をしないように、自分の強みを生かせるようなキャリアを選択しましょう。 向いていない人の特徴は以下の3つです。

  • コツコツした作業が苦手で、一気に成果を出していきたい人 
  • 理系的な思考よりも文系的な思考を好む人
  • チームよりも個人の作業を好む人
それぞれ詳しく述べていきます。

コツコツした作業が苦手で、一気に成果を出していきたい人

組み込み開発は、コツコツ進める作業の積み重ねが求められる職業です。特にパーツを作る際の基盤の段階では、細かな作業をコツコツと長時間かける必要があります。 そのため、コツコツと丁寧に作業を進めることができず、「一気に成果を出したい」といったスタイルを好む人にとっては、やりがいを感じづらい場面が多いかもしれません。

理系的な思考よりも文系的な思考を好む人

組み込みエンジニアの仕事は、論理的思考力や数学的な感覚が求められます。エンジニアとしてはもちろん、定期的に起こるエラーの修正など、数学的に解決しなければならない問題が頻繁に起こります。抽象的な概念を扱うよりも、数学的な観点から問題を分析し、具体的な原因と解決策を導く能力が重要です。物事を感覚で捉えることの多い文系的な思考を持つ人にとっては、苦戦する場面が多くなるかもしれません。

チームよりも個人の作業を好む人

組み込み開発は、プロジェクトを立ち上げる際には、様々な専門分野のメンバーと関わる機会が多々あります。問題が発生したときに情報を共有する場面や、共同での問題解決など、チームでのコミュニケーションが必須となってきます。そのため、他人と関わるよりも、自分のペースで進めたい人は、ストレスを感じる場面が多くなる可能性があります。

組み込みエンジニアに向いている人

組み込みエンジニアは高度な専門性が求められる職種であり、特定のスキルや性格的な特徴が向いている人に有利です。組み込みエンジニアに向いている人の特徴は以下4つあります。

  • 細かい作業が得意な人
  • 論理的思考力がある人
  • 新しい技術に興味がある人
  • 忍耐強く取り組める人
  • チームで働ける人

それぞれについて詳しく解説します。

細かい作業が得意な人

組み込みエンジニアの仕事では、ハードウェアやソフトウェアの動作を緻密に設計し、バグのないシステムを構築する必要があります。そのため、細かい作業やミスを見逃さない注意力が重要です。

論理的思考力がある人

ハードウェアとソフトウェアが密接に連携する組み込みシステムでは、問題が発生した際に原因を論理的に分析し、解決する能力が求められます。論理的な思考力があれば効率的に業務を進められます。

新しい技術に興味がある人

IoTやAI、自動運転技術など、組み込みエンジニアの分野では常に新しい技術が登場します。最新の技術やトレンドに興味を持ち、学び続ける意欲がある人は適性が高いです。

忍耐強く取り組める人

組み込みシステムの開発には、長時間のデバッグやトラブルシューティングが付きものです。問題解決に粘り強く取り組める忍耐力を持つ人に向いています。

チームで働ける人

製品開発は複数のエンジニアやデザイナーと連携して進められます。チームで協力しながら成果を出せるコミュニケーション能力が求められます。

組み込みエンジニアの魅力

「きつい」と言われる一方で、組み込みエンジニアにはやりがいや魅力も多くあります。

  • 社会への貢献度が高い
  • スキルが評価される
  • チームでものづくりができる

それぞれについて詳しく解説します。

社会への貢献度が高い

組み込みエンジニアの仕事は、家電や自動車、医療機器など、日常生活に欠かせない製品の開発に携わります。自分の作ったシステムが世に出ることで、人々の生活を支えたり便利にしたりする実感を得られる点が大きなやりがいです。

スキルが評価される

ハードウェアとソフトウェアの知識を統合し、高度な技術を駆使して製品を形にします。そのため、専門スキルを活かしながらキャリアを積むことができ、達成感を感じやすい仕事です。

チームでのものづくりができる

製品開発は、複数のエンジニアや他部署と協力して進めるため、チームで一つの成果を成し遂げたときの達成感があります。役割分担をしながら協力することで、より良い製品を作り上げる楽しさを感じられます。

組み込みエンジニアの将来性

組み込みエンジニアは、社会の技術的進化に伴い、今後も需要が拡大すると期待されています。

  • IoT時代の中心的な役割を担う
  • 自動車分野で需要が高まっている
  • 医療機器や産業ロボット分野で需要が高まっている
  • エッジAIの需要が高まっている

それぞれについて詳しく解説します。

IoT時代の中心的な役割を担う

あらゆる製品がインターネットと接続されるIoT時代において、組み込みエンジニアはデバイスの制御や通信機能の実装を担う重要な存在です。IoT市場の成長に伴い、組み込みエンジニアの活躍の場も広がっています。

自動車分野で需要が高まっている

電気自動車や自動運転技術の進化により、自動車産業での組み込みシステムの重要性が増しています。安全機能や制御システムの開発を担うエンジニアとして、専門性が強く求められています。

医療機器や産業ロボット分野で需要が高まっている

医療機器や産業ロボットでは、正確で安全な制御が求められます。これらの分野で組み込みエンジニアの技術が欠かせず、社会に大きく貢献できる仕事です。

エッジAIの需要が高まっている

AI技術と組み込み技術を組み合わせたエッジAIの需要が増加しています。リアルタイムでのデータ処理や自動化が進む中、これらのスキルを持つ組み込みエンジニアは特に重宝されます。

組み込みエンジニアの働き方を改善するには?

   

組み込みエンジニアが抱える負担を軽減し、働きやすい環境を作るためには、企業側とエンジニア自身の両方が取り組むべきポイントがあります。

  • 労働環境を見直す
  • スキル習得とツール活用をし、効率化を目指す
  • コミュニケーションを改善する
  • キャリア形成を支援する

それぞれについて詳しく解説します。

労働環境を見直す

適切なスケジュール管理とリソース配分を行い、無理のないプロジェクト計画を立てることが重要です。特に、過度な残業や納期圧力を避けるための取り組みが必要です。

スキル習得とツール活用をし、効率化を目指す

最新の開発ツールや自動化ツールを導入し、効率を高めることで負担を軽減できます。また、必要なスキルを定期的に学習し、業務の精度を向上させましょう。

コミュニケーションを改善する

チーム内での情報共有やタスク分担を明確にすることで、業務の進行がスムーズになり、ストレスを軽減できます。定期的なミーティングや報告体制の整備も有効です。

キャリア形成を支援する

企業側がエンジニアのキャリアアップを支援する仕組みを設けることで、長期的なモチベーションの向上につながります。研修制度や資格取得支援などの導入をしましょう。

「きつい」を軽減するためのスキルアップ方法3つ

きついを軽減するためのスキルアップ方法を3つ紹介します。

  • プログラミングスキルを向上させる
  • 最新ツールや自動化技術を習得する
  • ハードウェア知識を拡充する

それぞれについて詳しく解説します。

プログラミングスキルを向上させる

組み込みエンジニアにとって、C言語やC++のスキルは基本中の基本です。プログラミングスキルを効率的に活用できるようにするためには、以下の取り組みをしましょう。

  • コードの可読性を向上:他のエンジニアが理解しやすいコードを書くことで、チーム全体の効率を高められます。
  • デバッグスキルの強化:問題を迅速に特定し修正する能力を磨くことで、トラブル対応の時間を短縮できます。
  • 設計パターンの学習:再利用可能で拡張性のあるコードを書くために、設計パターンを学び活用します。

最新ツールや自動化技術を習得する

作業の負担を軽減するために、以下のようなツールや技術を学び導入しましょう。

  • 統合開発環境 (IDE):デバッグ機能やコード補完機能が充実したIDEを使うことで、作業効率が向上します(例:Eclipse、Visual Studioなど)。
  • 自動化ツール:テストやビルドを自動化するツールを導入することで、反復作業の負担を軽減できます。
  • バージョン管理ツール:Gitのようなバージョン管理ツールを習得することで、複数人での作業を効率化できます。

ハードウェア知識を拡充する

ハードウェアの動作を深く理解することで、効率的な設計やトラブル対応が可能になります。

  • データシートの読み解き:マイコンやセンサーなどのデータシートを正確に理解する力をつける。
  • 回路設計の基礎:電子回路の基本設計を学ぶことで、ハードウェアとソフトウェアの橋渡しがスムーズになります。

未経験から組み込みエンジニアを目指すなら?

上記の説明を読んで、「自分は組み込みエンジニアに向いているかもしれない」と感じたり、「組み込みエンジニアという仕事に大きな魅力を感じた」という方も多いのではないでしょうか。 確かに、未経験からでも組み込みエンジニアを目指すことは可能です。ただし、プログラミングの知識がまったくない状態で応募できる完全な未経験者向けの求人は、非常に限られています。 そのため、就職・転職活動を始める前に、最低限の基礎知識を身につけておくことが重要です。最後に、そのための具体的な方法は、以下の2つです。

  • 組み込みエンジニアを目指すためのスクールに通い、知識を培う。
  • ポートフォリオを作成する。
  • 組み込みエンジニアを目指すためのスクールに通い、知識を培う。 ポートフォリオを作成する。
それぞれ詳しく見ていきます。

組み込みエンジニアを目指すためのスクールに通う

先ほども述べたように、組み込みエンジニアを目指すうえで、プログラミングの知識は欠かせません。特にC言語をはじめとしたプログラミング技術は、必須となるスキルです。 しかし、こうした知識を独学で習得するのは決して簡単ではありません。どこから始めればいいのか、分からなくなる方も多くいます。 そのため、現在では日本全国にプログラミングの基礎から学べるスクールが多数存在しており、未経験の方でも安心して学習をスタートできる環境が整っています。さらに、オンライン対応のコースも豊富にあるため、仕事や学業などと両立しながら学びたい方にも非常におすすめです。

ポートフォリオを作成する

ポートフォリオを作成することもまた、実務の経験がない、未経験の方におすすめしたい方法です。初心者なら、「LEDを点灯させる」プログラムに取り組んでみるのがおすすめです!プログラミングの知識をこのような場でアウトプットし、企業にアピールしていきましょう!

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まとめ

組み込みエンジニアは「きつい」「やめとけ」と言われる側面があるものの、技術的なやりがいや社会への貢献といった大きな魅力も備えています。IoTやAI、自動車技術の進化により、今後さらに重要性が増す職種でもあります。

負担を軽減するためには、スキルアップや働き方の工夫が必要ですが、これを乗り越えれば高度な専門性を持つエンジニアとして活躍できるフィールドが広がります。

自分の適性やキャリアビジョンに合わせて、組み込みエンジニアという道を検討してみてはいかがでしょうか。

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