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コラム

2025.02.06

ゼロトラスト製品徹底比較!現状の分析と選定のポイントを完全解説

ゼロトラスト製品に関する現状を見ると、急速なデジタル化やリモートワークの普及に伴い、従来のセキュリティ対策では対応が難しい状況が続いています。一方で、どの製品が自社に最適なのかといった疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、ゼロトラスト製品の現状と課題を整理し、主要な製品の特徴や選び方のポイントを分かりやすく解説します。これにより、皆様が最適なセキュリティ対策を構築できるよう、具体的な情報と実践的な知見を提供いたします。

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監修:大畑 健一(おおはた けんいち)

パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。

ゼロトラストとは?

ゼロトラストは 「何も信頼しない」という前提に基づいたセキュリティモデルです。以下で、基本概念や背景、従来のモデルとの違い、そして主要な原則を簡潔に解説します。

ゼロトラストが注目される背景

企業のデジタル化の進展に伴い、クラウドサービスの利用やリモートワークが一般化しました。従来の境界型セキュリティは、固定されたネットワーク内だけを守る設計でしたが、これらの変化により対応が難しくなっています。新たな脅威に対応するため、すべてのアクセスを検証するゼロトラストが注目されています。

クラウド利用の増加と境界型セキュリティの限界

クラウドの普及により、企業のシステムは場所に依存しない環境となりました。これにより、従来のネットワーク境界で守る手法では不十分となり、より柔軟なセキュリティ対策が求められています。

リモートワークの普及

リモートワークにより、オフィス外からのアクセスが増え、従来の拠点防御型ではリスク管理が難しくなっています。ゼロトラストは場所を問わず一貫した認証と監視を実現します。

レガシーVPNの脆弱性

古いVPNシステムは、一度接続が許可されると内部全体へのアクセスが可能となり、リスクが拡大するため、ゼロトラストの導入が求められています。

ゼロトラストと従来のセキュリティの違い

”セキュリティの比較”
従来のセキュリティは内部と外部の明確な境界を前提としていましたが、ゼロトラストはすべてのアクセスを疑い、厳密に検証します。これにより、内部からのリスクも最小限に抑え、より堅牢なセキュリティを実現します。 一方でコストや時間が増加するという短所もあります。

【関連記事】
■ゼロトラストについてはこちらの記事をご覧ください。
ゼロトラストセキュリティの世界(第1回) ゼロトラストとは

ゼロトラストセキュリティの主要機能

ゼロトラスト環境では、従来の境界型セキュリティとは異なり、すべてのアクセスを疑い、厳密に管理 する対策が求められます。ここでは、ID管理、デバイス統制、ネットワークセキュリティ、データ保護の各分野から簡潔に解説します。

ID管理(IAM/IGA/MFA/SSO)

ユーザーの身元確認と権限管理は、ゼロトラストの根幹です。IAM(Identity and Access Management)やIGA(Identity Governance and Administration)を活用して、各ユーザーに必要最低限の権限を与えます。また、MFA(多要素認証)により、パスワード以外の認証要素を追加することでセキュリティレベルを高め、SSO(シングルサインオン)を利用して使いやすさと安全性を両立させることが可能です。

デバイス統制・保護(EPP/EDR)

エンドポイントのセキュリティ対策は、ゼロトラスト環境において極めて重要です。EPP(Endpoint Protection Platform)によりウイルスやマルウェアの侵入を防ぎ、EDR(Endpoint Detection and Response)を併用することで、端末上の異常な動作をリアルタイムで検知し、迅速な対応が可能となります。これにより、各デバイスがセキュリティリスクの侵入口とならないよう保護します。

ネットワークセキュリティ(ZTNA/NAC)

従来のVPNなどによるネットワークアクセスではなく、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)が注目されています。ZTNAは、ユーザーやデバイスごとに細かいアクセス制御を実施し、必要なリソースへのみ接続を許可します。また、NAC(Network Access Control)は、ネットワーク内のデバイスの状態を監視し、未承認のアクセスを即座に遮断することで、全体のセキュリティを高めます。

データ保護(DLP/IRM)

企業の機密情報を守るためには、データ保護対策が欠かせません。DLP(Data Loss Prevention)は、データの漏洩や不正利用を防止する仕組みを提供し、IRM(Information Rights Management)は、データへのアクセス権を厳格に管理することで、情報の不正な流出を防ぎます。

ゼロトラストセキュリティ製品の種類

ゼロトラスト環境においては、従来の境界防御型セキュリティから脱却し、すべてのアクセスや通信を厳格に検証することが求められます。ここでは、企業がゼロトラスト戦略を実現するために導入している主要な製品群について、各分野ごとに詳細な説明を行います。求職者の皆様が、面接や実務で役立つ最新のセキュリティ技術知識を身につける一助となるよう、ID統制、デバイス統制、ネットワークセキュリティ、データ保護の各分野を個別の製品ごとに解説していきます。

ID統制(IDaaS)

ユーザー認証やアクセス権限の管理は、ゼロトラストセキュリティの基盤です。IDaaS(Identity as a Service)は、クラウドを活用して柔軟かつ高精度なID管理を実現し、シングルサインオンや多要素認証などを通じて、ユーザーの利便性とセキュリティの両立を目指します。以下に、主要なID統制製品について、それぞれの特徴を解説します。

Okta

Oktaは、世界中で広く利用されているIDaaSプラットフォームです。シングルサインオン(SSO)や多要素認証(MFA)をはじめ、ユーザー管理やアクセス制御の自動化機能により、企業のセキュリティインフラを強化します。高度な統合機能を持ち、各種クラウドサービスとの連携も容易で、迅速な導入が可能です。

Keyspider

Keyspiderは、ID管理を中心に据えたソリューションを提供し、企業のアクセス管理の効率化とセキュリティ強化を実現します。直感的な管理インターフェースと充実したレポーティング機能を備えており、中小企業から大企業まで幅広いニーズに応えられる柔軟性が特徴です。

JumpCloud

JumpCloudは、クラウドベースのディレクトリサービスとして、ユーザー認証、デバイス管理、リソースアクセス制御を一元管理できる製品です。ゼロトラストの考え方に基づき、ユーザーとデバイス双方のセキュリティを強化するため、統合的なID管理を実現します。

GMOトラスト・ログイン

GMOトラスト・ログインは、日本国内で展開されるIDaaSソリューションです。国内企業のニーズに合わせたセキュリティ要件や運用フローに対応し、シングルサインオンや多要素認証を通じて、安心して利用できるアクセス管理環境を提供します。

デバイス統制(EDR/EPP)

エンドポイントは、サイバー攻撃の侵入口として狙われやすいため、各デバイスの安全性を確保する対策が不可欠です。EDR(Endpoint Detection and Response)およびEPP(Endpoint Protection Platform)は、端末上の脅威をリアルタイムに検知し、迅速に対応することで、企業全体のセキュリティレベルを維持します。以下、主要なデバイス統制製品を紹介します。

SentinelOne

SentinelOneは、次世代型のEDR/EPP製品として、機械学習や自動化機能を活用し、未知の脅威にも対応できる点が評価されています。リアルタイムでの脅威検知と自律的な対応機能により、迅速なインシデント対応が可能です。

CrowdStrike

CrowdStrikeは、クラウドベースのEDRソリューションを提供し、世界中で多くの大企業に採用されています。脅威インテリジェンスと連携した高度な検知能力により、複雑な攻撃手法にも迅速に対応できるのが特徴です。

Cybereason

Cybereasonは、統合型のEDRプラットフォームとして、攻撃の兆候を早期に検知し、攻撃者の行動を追跡する機能を持ちます。リアルタイムなアラートと詳細な解析により、迅速な対策と問題解決を支援します。

Jamf Protect

Jamf Protectは、主にAppleデバイス向けに設計されたEDR/EPPソリューションです。macOSやiOSの特性に最適化されたセキュリティ機能を提供し、Appleエコシステム内での脅威対策を強化します。

ネットワークセキュリティ(ZTNA/NAC/IAP)

ネットワークセキュリティの分野では、従来のVPNに代わる新たなアプローチとして、ZTNA(Zero Trust Network Access)が注目されています。これに加え、NAC(Network Access Control)やIAP(Identity Aware Proxy)といった技術が、細分化されたアクセス管理を実現し、企業全体の通信の安全性を担保します。以下、主要なネットワークセキュリティ製品を詳しく見ていきます。

Zscaler Zero Trust Exchange

Zscaler Zero Trust Exchangeは、クラウドベースのゼロトラストネットワークアクセスソリューションです。ユーザーごとに最適化されたアクセス制御を実現し、リモート環境下でも安全な通信を保証します。高度なセキュリティポリシーとリアルタイムの脅威検知機能が特徴です。

Pulse Secure

Pulse Secureは、従来のVPNを刷新し、ゼロトラストの理念に基づく安全なリモートアクセスを提供します。ユーザー認証とアクセス管理を高度に統合し、企業ネットワークへの不正侵入を未然に防ぎます。

F5 BIG-IP Access Policy Manager

F5 BIG-IP Access Policy Managerは、アクセス制御のポリシー管理に特化した製品です。多層防御と高度な認証機能により、ユーザーやデバイスごとに細かいアクセスルールを適用し、企業ネットワークのセキュリティを強化します。

データ保護(DLP/IRM)

データ保護は、企業の知的財産や機密情報を守るための最重要対策です。DLP(Data Loss Prevention)とIRM(Information Rights Management)の技術は、情報の漏洩防止やアクセス権限の管理を徹底することで、内部外部の脅威からデータを守ります。ここでは、注目すべき製品を紹介します。

DataClasys

DataClasysは、DLP/IRMソリューションとして、データの分類、暗号化、アクセス制御を一元管理する機能を提供します。企業の情報資産を守るため、データの流出を未然に防ぐ高度な監視システムとポリシー管理機能が統合されており、ゼロトラスト環境においても堅牢なデータ保護を実現します。

ゼロトラストセキュリティ製品の選び方と比較ポイント

ゼロトラストセキュリティ製品は、企業の情報資産を守るために必要不可欠な要素ですが、その選定には 多岐にわたるポイント を考慮する必要があります。 以下で、導入目的に応じた選択基準コストと運用の観点、そしてクラウド対応状況など、各比較ポイントを詳しく解説します。

主要機能別の比較する

製品選定の第一のポイントは、各製品が持つ機能の充実度と専門性です。例えば、ID統制製品であれば、シングルサインオン、多要素認証、ユーザー行動の監視といった機能がどの程度統合されているかが重要となります。また、デバイス統制では、エンドポイントに対するリアルタイムの脅威検知や自動修復機能の有無、ネットワークセキュリティ製品では、アクセス管理の柔軟性やポリシー設定の細かさなど、各カテゴリーごとに求められる機能が異なります。これらの機能を比較する際には、自社のセキュリティニーズや将来的なスケーラビリティを考慮し、どの機能が最も効果的にリスクを軽減できるかを評価することがポイントです。

導入目的に応じて選択する

製品の導入目的は企業ごとに大きく異なります。たとえば、内部不正の防止、リモートワーク環境の整備、または規制遵守のためのセキュリティ強化など、目的に合わせた選定が必要です。企業が何を最優先事項とするかによって、求める機能やパフォーマンスの基準が変わるため、製品の導入前に明確な目的を設定することが大切です。選択基準としては、目的達成のための機能の充実度、導入後の運用負荷、将来的な拡張性などを総合的に評価し、自社に最適なソリューションを見極める必要があります。

コストと運用の観点

製品選定において、初期導入コストやライセンス費用、運用・保守にかかるランニングコストは非常に重要な比較ポイントです。最新のセキュリティ製品は高機能である一方、導入・運用に伴うコストが企業の予算に与える影響も大きいため、コストパフォーマンスの評価は欠かせません。また、運用面では、管理の容易さや自動化機能の充実度、他のセキュリティ製品や既存のシステムとの連携のしやすさなど、運用負荷を低減するための要素も重要です。これらを総合的に判断し、長期的な視点でコストと運用のバランスが取れた製品を選ぶことが求められます。

クラウド対応状況

近年、クラウドサービスの普及に伴い、セキュリティ製品もクラウド環境への対応が必須となっています。クラウド対応状況を評価する際には、製品がどの程度クラウド上での運用に最適化されているか、クラウド環境との連携機能や、リモートワーク時のセキュリティ確保にどれだけ貢献できるかが重要です。また、オンプレミスとのハイブリッド構成や、クラウド移行時のサポート体制など、将来のITインフラの変化にも柔軟に対応できるかどうかを確認する必要があります。クラウド対応が進んでいる製品は、最新のセキュリティ脅威に対しても迅速かつ効果的な対応が可能となるため、今後のIT戦略において大きな強みとなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?本記事では、ゼロトラストセキュリティの基本概念やその背景、従来の境界型セキュリティとの違い、主要な対策や製品選定のポイントについて解説しました。全アクセスを厳格に検証する実践方法を理解し、各自の環境に合った最適なセキュリティ対策の構築にぜひお役立てください。

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