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コラム

2025.03.26

データ基盤の構築法とは?手順やツール選定、構成要素を解説

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、企業は膨大なデータを活用してビジネス価値を最大化することが求められています。しかし、データが分散していたり、適切に管理できていなかったりすると、せっかく収集したデータが十分に活かせないという課題が生じています。 そのため、「どのようにデータ基盤を構築すればいいのか」「データ分析基盤を導入するメリットは何か」と疑問をお持ちの方や、不安を感じている方も多いのではないでしょうか? そこで本記事では、データ基盤およびデータ分析基盤の基礎から構築手順、ツール選定のポイントまでを徹底解説します。

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監修:大畑 健一(おおはた けんいち)

パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。

データ基盤の概要

データ基盤は、企業や組織が効率的にデータを活用するために必要不可欠なインフラです。以下で、データ基盤の基本的な概念とその役割、そして代表的な形態について解説します。データ基盤の理解を深めることで、ビジネスにおけるデータ活用の重要性をより明確に捉えることができるでしょう。

データ基盤とは

データ基盤とは、データの収集・蓄積・処理・分析・可視化を行うための統合的なシステムのことを指します。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中で、データ基盤の重要性はますます高まっています。適切に構築されたデータ基盤があれば、組織全体でデータを一元管理し、迅速な意思決定や業務の効率化を実現できます。データ基盤は主に以下の3つの機能を担います。

  • データの収集・蓄積:社内外のシステムやIoTデバイスなどからデータを取得し、適切に保存する
  • データの処理・加工:生データを分析しやすい形に変換し、品質を担保する
  • データの可視化・活用:BIツールなどを用いてデータを視覚化し、意思決定を支援する

データ基盤の役割

データ基盤の役割は多岐にわたりますが、主に以下の4つの観点が重要です。

  • データの一元管理:異なる部門やシステムで分散しているデータを統合し、一貫したデータ管理を実現する
  • データの品質向上:重複データやエラーを削減し、信頼性の高いデータを維持する
  • 迅速なデータ分析:リアルタイムに近い形でデータを処理し、素早い意思決定を可能にする
  • データガバナンスの強化:セキュリティやアクセス管理を徹底し、データの不正利用を防ぐ

データ基盤の構築が求められる理由

近年、企業のデジタル化が急速に進む中で、データ基盤の重要性がますます高まっています。適切なデータ基盤を構築することで、企業はデータを効率的に管理・活用し、競争力を高めることができます。以下で、なぜデータ基盤の構築が求められるのか、その主な理由について解説します。

ビジネス環境の変化に対応するため

市場環境の変化が激しく、企業は迅速な意思決定を求められるようになっています。従来のように、手作業でデータを収集・分析していては、変化のスピードに対応するのは困難です。データ基盤を構築すれば、リアルタイムでデータを活用できるようになり、迅速かつ的確な経営判断が可能になります

データの分散管理による非効率を解消するため

多くの企業では、部門ごとに異なるシステムを利用してデータを管理しているケースが少なくありません。このような状態では、データがサイロ化し、必要な情報をすぐに取得できないという問題が発生します。データ基盤を構築することで、部門を横断したデータの統合管理が可能となり、業務の効率化が実現できます。

データの安全性と品質を向上させるため

企業にとって、データの正確性やセキュリティは非常に重要な課題です。特に個人情報や機密情報を扱う企業では、データの漏洩や改ざんを防ぐための対策が求められます。データ基盤を適切に構築すれば、アクセス制御や暗号化などのセキュリティ機能を強化できるため、安全なデータ運用が可能になります
また、データ基盤を活用することで、データの品質管理も向上します。データの重複や誤りを排除し、正確な情報を維持することで、ビジネスの意思決定をより信頼性の高いものにすることができます。

AI・機械学習の活用を加速させるため

近年、AIや機械学習を活用したデータ分析が注目されていますが、高度な分析を行うためには、膨大なデータを適切に管理・処理する必要があります。データ基盤を構築することで、AI・機械学習のためのデータ準備がスムーズになり、より高度なデータ分析が可能になります。

法規制への対応を強化するため

近年、データ保護に関する法規制が強化されており、企業は適切なデータ管理が求められています。特にグローバルに事業を展開する企業にとっては、各国のデータ保護規制に対応することが不可欠です。データ基盤の整備により、データの保管場所やアクセス権限を適切に管理し、法令遵守を徹底することができます。

データ基盤構築の流れ

データ基盤の構築には、複数のステップが存在します。適切な計画と手順に従って進めることで、スムーズな導入と運用が可能になります。以下で、データ基盤構築の主要なプロセスについて解説します。

目的の明確化とゴール設定

データ基盤の構築において最初に重要なのは、目的の明確化です。何のためにデータ基盤を導入するのか、どのような成果を期待するのかを明確にし、それに応じたゴールを設定します。 明確なゴールがなければ、プロジェクトが途中で迷走する可能性があるため、関係者と合意を取った上で具体的な目標を設定しましょう。

スケジューリング

目的が明確になったら、データ基盤構築のスケジュールを立てます。大規模なプロジェクトでは、段階的に導入を進めることが多いため、短期・中期・長期の目標を設定すると効果的です。また、プロジェクトの進行にあたり、関係者との定期的なミーティングを実施し、進捗を管理することも重要です。

設計

スケジュールを決めた後は、データ基盤の設計を行います。この段階では、どのようなデータを収集・保存・分析するのかを具体的に決めます。設計のポイントは以下の通りです。

  • データの種類(構造化データ・非構造化データ)
  • データの保存方法(オンプレミス・クラウド・ハイブリッド)
  • データの処理方式(バッチ処理・ストリーミング処理)
  • データのアクセス権限(誰がどのデータにアクセスできるか)

また、データのフォーマットやスキーマ(構造)を統一することで、後の運用をスムーズに進めることができます。

開発

設計が完了したら、データ基盤の開発に移ります。開発フェーズでは、データの収集、処理、蓄積、可視化のためのツールを実装し、各システムと連携させます。特に、クラウド環境を活用する場合は、スケーラビリティやコストを考慮しながら、最適なインフラを選定することが求められます。

運用と改善

データ基盤の構築が完了した後は、本格的な運用を開始します。しかし、データ基盤は一度構築すれば終わりではなく、継続的な運用・改善が必要です。 運用フェーズで特に重視すべきポイントは以下の3つです。

  • データの品質維持:定期的なデータクレンジングを実施
  • システムのパフォーマンス管理:処理速度やストレージ使用量を監視
  • セキュリティ対策の継続的な強化:アクセスログの確認や権限管理の見直し

また、運用を通じて新たな課題や改善点が見つかることが多いため、PDCAサイクルを回しながら、データ基盤を最適化していくことが重要です。

データ基盤構築のためのツール選定

データ基盤を構築する際には、目的に応じた適切なツールを選定することが重要です。データの収集、保存、処理、分析・可視化といった各プロセスに対応するツールを導入することで、スムーズなデータ運用が可能になります。本章では、データ基盤構築に必要な主なツールとその選定ポイントについて解説します。

データ収集ツール

データ収集ツールは、社内外のシステムやIoTデバイス、ウェブサービスなどからデータを収集するために使用します。適切なデータ収集ツールを導入することで、データの取り込みを自動化し、手作業による負担を軽減できます

代表的なデータ収集ツールには以下のようなものがあります。

  • Apache Kafka:リアルタイムデータのストリーミング処理に優れる
  • Fivetran:さまざまなSaaSアプリケーションと簡単に連携できる
  • Talend:ETL(Extract, Transform, Load)機能を備えたデータ統合ツール
  • Google Cloud Dataflow:Google Cloud上でストリーミングおよびバッチ処理を実行可能

データ保存ツール

データを効率的に保存・管理するためには、適切なストレージツールが必要です。ストレージには、大量のデータを長期保存する「データレイク」と、構造化データを高速に処理できる「データウェアハウス(DWH)」の2種類があり、目的に応じて使い分けます。代表的なデータ保存ツールには以下のようなものがあります。

  • Apache Kafka:リアルタイムデータのストリーミング処理に優れる
  • Fivetran:さまざまなSaaSアプリケーションと簡単に連携できる
  • Talend:ETL(Extract, Transform, Load)機能を備えたデータ統合ツール
  • Google Cloud Dataflow:Google Cloud上でストリーミングおよびバッチ処理を実行可能

データ処理・分析ツール

収集したデータを分析しやすい形に整えるためには、データ処理・分析ツールが必要です。データのクレンジングや変換、統合処理を自動化することで、より正確なデータ分析が可能になります。

データ可視化・BIツール

データを視覚的に表現し、分析結果を分かりやすく伝えるためには、データ可視化・BIツールが必要です。BIツールを活用することで、ダッシュボードの作成やレポート作成が容易になり、データドリブンな意思決定を支援できます。

【関連記事】
■BIエンジニアについてはこちらの記事をご覧ください。
BIエンジニアとは?ビジネスインテリジェンスの意味やツールを簡単に解説!

データ分析基盤を構成する4つの要素

データ分析基盤は、企業がビジネスデータを活用し、より高度な意思決定を行うための重要なインフラです。この基盤は、データの収集、蓄積、加工、可視化という4つの主要な要素によって構成されます。以下で、それぞれの要素について詳しく解説します。

データを集める

データ分析基盤の最初のステップは、「データの収集」です。企業では、さまざまなソースからデータを取得する必要があります。具体的には以下のようなデータソースが考えられます。データ収集には、API連携、スクレイピング、ETL(Extract, Transform, Load)ツールの活用など、さまざまな方法があります。適切なデータ収集ツールを導入し、データの正確性やリアルタイム性を確保することが重要です。

データを貯める

収集したデータを適切に蓄積することも、データ分析基盤において重要な要素です。データの保存方法には以下のような選択肢があります。

  • データウェアハウス(DWH):構造化データを蓄積し、高速なクエリ処理を可能にする(例:Snowflake、BigQuery、Amazon Redshift)
  • データレイク:構造化データ・非構造化データを大量に保存し、柔軟な分析を可能にする(例:Amazon S3、Google Cloud Storage)
どの保存方法を選択するかは、分析の目的やデータの種類によります。例えば、財務データや売上データなどの構造化データはDWHに保存し、動画や音声などの非構造化データはデータレイクに保存するのが一般的です。

データを分析用に加工する

データをそのまま分析に利用するのは難しく、適切な形式に加工する必要があります。データのクリーニング(欠損値や重複データの処理)や変換(フォーマット統一)、集約(集計や結合)を行い、分析に適した形に整えます。データ加工を行うための主なツールとして、以下のようなものがあります。

  • dbt(Data Build Tool):SQLベースでデータの変換を効率的に行う
  • Apache Spark:大規模データの分散処理を実現
  • Google Dataflow:ストリーミングデータとバッチデータの両方を処理可能

データを可視化して分析する

データを視覚的に表現し、誰もが理解しやすい形で提供することも、データ分析基盤の重要な役割の一つです。データの可視化には、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールを活用し、ダッシュボードやレポートを作成します。代表的なBIツールには以下のようなものがあります。

  • Tableau:直感的な操作で高度な可視化が可能
  • Power BI:Microsoft製で、ExcelやAzureとの連携が強み
  • Looker:Google Cloud製で、大規模データの可視化に強い

まとめ

いかがでしたでしょうか?本記事では、データ基盤とデータ分析基盤の基礎知識から構築手順、ツール選定のポイントまでを解説しました。データ基盤は、ビジネスにおける迅速な意思決定やデータ活用を支える重要なインフラです。また、データ分析基盤は効率的なデータ分析を可能にし、企業の競争力を高めます。本記事を参考に、自社のデータ活用戦略を見直し、最適な基盤を構築していただければ幸いです。

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