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現代のビジネス環境では、膨大なデータをいかに活用できるかが競争力の鍵となっています。しかし、データが各部門に分散していたり、活用方法が整備されていなかったりする企業も多く、意思決定が遅れがちになるケースが少なくありません。さらに、DX推進が急がれる中で「データ基盤を整えたいが、どこから始めればいいかわからない」「最適なツールや構築方法がわからない」と不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか?そこで本記事では、データ基盤の概要から構築手順、成功させるためのポイント、ツール選定方法までを徹底解説します。

監修:大畑 健一(おおはた けんいち)
パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。
データ基盤とは
データ基盤とは、企業や組織が保有するさまざまなデータを収集・蓄積・加工・管理し、分析や可視化を効率的に行うためのシステムやインフラストラクチャのことを指します。ビッグデータやAI技術の普及に伴い、膨大なデータを効果的に活用するためにはデータ基盤の整備が欠かせません。以下で、データ基盤の定義や役割、必要性について解説し、さらにデータ基盤の主要構成要素について詳しく説明していきます。
データ基盤の定義
データ基盤とは、 企業がさまざまなデータを集約し、一元管理しながら効果的に活用するためのインフラを指します。クラウドプラットフォームやオンプレミス環境を活用し、データの収集・蓄積・加工・管理・分析を一貫して行うことができます。 従来、データが各部門で分散管理されていたケースが多く、情報共有やデータ分析に支障が出ることがありました。しかし、データ基盤を構築することで、これらのデータを一元的に管理し、リアルタイムな分析が可能となります。
データ基盤の役割/必要性
データ基盤の役割は、企業が持つ膨大なデータを集約し、意思決定のために迅速かつ正確に活用することです。 データを一元管理することで、重複や矛盾を排除し、データ品質を向上させることができます。データ基盤の必要性が高まっている背景には、ビジネス環境の変化とデータ量の爆発的増加があります。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む現代では、リアルタイムな意思決定や高度なデータ分析が求められており、これを支える基盤として不可欠です。
データ基盤の主要構成要素
データ基盤は、大きく分けて以下の要素で構成されています。これらの要素が連携することで、データの収集から分析までをシームレスに行うことが可能です。
データ収集
データ収集は、企業内外のさまざまなデータソースからデータを取り込むプロセスです。センサー、アプリケーション、Webサイト、社内システムなど、異なる形式や場所に存在するデータを一元的に集約します。データ収集には、ストリーミングデータやバッチデータの取り込みも含まれ、リアルタイム性やデータの種類に応じた技術が求められます。
データ蓄積
データ蓄積は、収集したデータを適切なストレージに保存するフェーズです。データレイクやデータウェアハウスが代表的な蓄積先として利用されており、構造化データや非構造化データを効率的に格納できます。データ蓄積のポイントは、データの可用性やセキュリティを確保しつつ、大量データに耐えうるスケーラビリティを持たせることです。
データ加工
データ加工では、収集したデータを分析可能な形式に変換します。ETL(Extract,Transform, Load)処理を通じて、データを抽出し、変換し、指定のデータストアへ格納します。異なるフォーマットのデータを統一したり、欠損値を補完したりすることで、分析に適した状態に整えるのが特徴です。
データ管理
データ管理は、蓄積されたデータを安全に保持し、効率的に取り扱うための管理機能を提供します。 アクセス権限管理やデータガバナンスを適用し、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐ仕組みを整えます。また、データカタログやメタデータ管理を活用し、データの所在や属性を明確にすることも重要です。
データ分析・可視化
最後にデータ分析・可視化では、蓄積・加工されたデータを基にビジネスインサイトを得るための分析を行います。BIツールやダッシュボードを活用し、経営層や現場担当者がリアルタイムで状況を把握できるようにすることが求められます。AIや機械学習を導入することで、高度な分析を自動化することも可能です。
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データ基盤構築が求められる理由とそのメリット
データ基盤を構築することで、企業はさまざまなデータを一元管理し、迅速かつ正確な意思決定が可能になります。ビジネス環境が急速に変化する現代において、データを効果的に活用できる企業は競争優位を確保しやすくなります。以下で、データ基盤を構築するメリットについて解説します。システム連携のスムーズ化やデータ品質の向上、ガバナンスの強化など、データ基盤がもたらす具体的な利点を理解し、自社での導入を検討する際の参考にしてください。
一貫したシステム連携によるスムーズな分析
データ基盤を構築すると、社内外のデータが統合され、システム間のデータ連携がスムーズに行えるようになります。これにより、データサイロ(部門ごとにデータが孤立する状況)を解消し、横断的なデータ分析が可能となります。また、複数の分析ツールが同一基盤に接続されていることで、異なる視点からのデータ活用が容易になります。
データの安全な一元管理と品質担保
データ基盤を活用することで、分散していたデータを一元管理でき、安全性と品質が担保されます。アクセス制御やデータガバナンスが強化されることで、不正アクセスや情報漏洩のリスクが大幅に低減します。また、データ品質を維持するためのデータクレンジングや重複排除も自動化でき、データの信頼性が向上します。これにより、分析結果の正確性が高まり、経営判断の根拠として活用しやすくなります。
属人化回避とガバナンス強化
データ基盤を導入することで、データ管理や分析業務が特定の担当者に依存するリスクを軽減できます。属人化が発生すると、担当者が離職した際に業務が停滞するリスクが高まりますが、データ基盤の整備により、誰でもアクセスできる体制が整います。さらに、ガバナンス強化にも寄与します。データの利用状況やアクセス権限を管理し、データの利用ポリシーを組織全体に浸透させることで、不正利用を未然に防ぎます。
収集→加工→分析の一気通貫実行
データ基盤を整備することで、データ収集から加工、分析までのプロセスを一気通貫で実施できる環境が整います。これにより、手作業によるデータ処理や変換が不要となり、業務効率が大幅に向上します。
特にETL(Extract, Transform, Load)パイプラインを自動化することで、リアルタイムデータをそのまま分析に活用することが可能です。ビジネス上の意思決定が迅速化し、市場変化に柔軟に対応できる点が大きなメリットです。
迅速な意思決定の実現
データ基盤が整備されていることで、経営層や各部門が必要な情報に迅速にアクセスでき、意思決定が加速します。ダッシュボードやBIツールを活用すれば、リアルタイムにKPIや業績指標を確認でき、迅速かつ適切なアクションを起こせるようになります。
これにより、競争環境が激化する市場においても、タイムリーな戦略変更が可能となり、ビジネスチャンスを逃さず活用できるようになります。
データ基盤構築の5ステップ
データ基盤の構築には、計画から運用まで一貫したプロセスが求められます。特に大規模データを扱う企業では、段階的なアプローチが不可欠です。 以下で、データ基盤構築を成功させるための5つのステップを解説します。目的の明確化から始まり、スケジュール策定、設計、開発、運用・改善まで、各ステップでのポイントや注意点を具体的に紹介します。
Step 1:目的の明確化・ユースケース洗い出し
データ基盤構築の第一歩は、目的を明確にすることです。なぜデータ基盤が必要なのか、その導入目的や解決したい課題を具体的に洗い出すことが重要です。また、ユースケースを整理することで、基盤を活用したい業務や分析内容を具体化します。営業データのリアルタイム分析やカスタマーサポートの効率化など、業務ごとに期待される効果を明確にすることで、基盤設計の方向性が定まります。
Step 2:スケジュール策定
データ基盤構築には、多くのステークホルダーが関わります。プロジェクトが長期化しがちなため、明確なスケジュールを策定することが成功のカギです。具体的には、以下のポイントを押さえてスケジュールを立案します。
- フェーズごとのマイルストーン設定:目的確認、要件定義、開発、テスト、導入といったフェーズごとに達成基準を設ける。
- リソース確保:技術者や管理者の配置を事前に計画し、人員不足を防ぐ。
- リスク管理:遅延やトラブル発生時の対応策をあらかじめ考慮する。
Step 3:設計(データフロー/スキーマ設計)
設計フェーズでは、データフローやスキーマを詳細に設計します。データがどのように収集され、どのストレージに蓄積され、どのように分析されるかを可視化し、システム全体の流れを把握することが大切です。特にデータスキーマの設計は、データ品質や分析効率に直結します。データの正規化や非正規化のバランスを考慮し、データモデルを確立しましょう。これにより、複雑なクエリのパフォーマンス向上が期待できます。
Step 4:開発(パイプライン構築)
データ基盤構築の中心となるのが開発フェーズです。データパイプラインの構築を行い、データ収集、蓄積、加工、分析が自動化される環境を整えます。特にETLパイプラインは、データ形式の変換や統合を効率的に行うために重要です。リアルタイム処理を意識したストリーミングパイプラインと、バッチ処理を組み合わせることで、柔軟なデータ処理が可能になります。また、APIやデータ連携ツールを活用し、外部システムからのデータ取り込みも自動化することが推奨されます。
Step 5:運用・改善
データ基盤が稼働し始めた後も、運用と継続的な改善が求められます。データ量の増加やビジネス要件の変化に対応するため、定期的にシステムの見直しを行うことが重要です。運用フェーズでは、データ品質の維持やセキュリティ対策が欠かせません。障害発生時の復旧手順を整備し、バックアップ体制を確保しておくことも不可欠です。さらに、運用ログを活用して課題を抽出し、システムの最適化を図りましょう。
データ基盤構築を成功させるためのポイント
データ基盤構築を成功させるためには、単にシステムを整えるだけでなく、組織全体での活用を前提とした計画が重要です。構築後の運用や改善も視野に入れた取り組みが不可欠です。以下で、データ基盤構築を成功に導くためのポイントについて解説します。全社的な推進体制やデータ品質向上の継続的な取り組み、適切なツール選定など、効果的な導入を実現するための具体策を確認しましょう。
全社横断での推進体制構築
データ基盤構築を成功させるためには、全社横断的な推進体制が欠かせません。データ基盤は特定部門だけでなく、企業全体で利用されることが多いため、情報システム部門のみならず、営業、マーケティング、経営企画なども巻き込む必要があります。
データアセスメントによる現状把握
データ基盤を構築する前に、現状のデータ環境を正確に把握するためのデータアセスメントが不可欠です。既存のデータ資産やシステム構成、データフローを調査し、課題やリスクを洗い出すことで、基盤構築後のトラブルを未然に防げます。また、データアセスメントの結果を踏まえて、改善が必要な箇所を特定し、どのデータを基盤に統合すべきかを判断します。これにより、構築プロセスが効率化され、不要なデータ処理が発生しないようになります。
データフロー・スキーマの統一
データ基盤の信頼性と効率を確保するためには、データフローやスキーマを統一することが重要です。異なる部門やシステム間でフォーマットが異なっていると、データ処理が複雑化し、分析の精度が低下するリスクがあります。そのため、データ項目の定義や命名規則を統一し、スキーマの標準化を徹底します。マスターデータ管理(MDM)を導入し、データの一貫性を確保することで、基盤全体のデータ品質が向上します。
データ品質向上への継続的取り組み
データ品質は、基盤構築後も維持・向上させる必要があります。データが正確で信頼できるものでなければ、分析結果も信用できないため、継続的な品質管理が不可欠です。品質向上のためには、データクレンジングの自動化やエラーデータの検出機能を活用し、常にデータを最新かつ正確な状態に保ちます。また、データ更新の頻度や方法を明確にし、データ管理者が適切にメンテナンスできる体制を整備することも重要です。
適切なITツール/プラットフォーム導入
データ基盤構築には、専用のITツールやプラットフォームを活用することで効率が向上します。特にクラウド基盤やBIツール、データパイプライン自動化ツールなどが活用されるケースが多く、これらを適切に選定・導入することが成功の鍵となります。
データ基盤(分析基盤)ツールの選定方法
データ基盤を構築する際には、適切なツールやプラットフォームを選定することが成功のカギとなります。ツール選びを誤ると、パフォーマンス低下やコスト増加、運用負荷の増大を招く恐れがあります。以下で、データ基盤ツールを選ぶ際のポイントについて解説します。規模や用途、コスト、セキュリティ要件を考慮しつつ、拡張性や運用性も重視した選定基準を確認しましょう。
要件定義(規模/用途/コスト/セキュリティ)
データ基盤ツールを選定する際には、まず要件定義を明確にすることが重要です。特に以下の観点を重視して選定基準を設定します。
- 規模:データ量やトランザクションの規模に応じた処理性能が確保できるか。
- 用途:リアルタイム分析、バッチ処理、データマイニングなど、目的に応じた機能が備わっているか。
- コスト:初期導入費用やランニングコストが予算内で収まるか。
- セキュリティ:データ暗号化やアクセス制御が適切に実施されているか。
機能比較(収集・蓄積・ETL・BI)
データ基盤ツールにはさまざまな機能が含まれているため、収集、蓄積、ETL、BIなど各機能を比較検討する必要があります。特に、複数のツールを組み合わせて基盤を構築するケースも多いため、相互運用性も重要です。以下は、各機能における比較ポイントです。
- 収集:リアルタイムデータやバッチデータを効率よく取り込めるか。
- 蓄積:データレイクやデータウェアハウスとしての適性があるか。
- ETL:データの抽出・変換・ロードを効率的に実施できるか。
- BI:可視化やダッシュボード作成が容易であるか。
これらの機能を総合的に評価し、自社に適したツールを選択しましょう。
拡張性・運用性・サポート体制
データ基盤は一度構築すると長期間にわたって運用されるため、拡張性や運用性も重要な選定基準となります。特にビジネスが成長する中で、処理能力を柔軟にスケーリングできるかどうかを確認しましょう。また、運用面では障害対応やメンテナンス性が高いことが求められます。サポート体制についても、ベンダーが迅速に対応できるかどうかをチェックしておくと安心です。代表的なチェックポイントは以下の通りです。
- スケーラビリティ:データ量が増加してもパフォーマンスが維持できるか。
- 運用管理:障害発生時に迅速な対応が可能か。
- サポート体制:24時間対応や専門サポートが充実しているか。
導入事例・ROI評価
ツール選定の際には、導入事例やROI(投資対効果)の評価も欠かせません。実際に導入した企業の事例を確認することで、活用イメージが湧きやすくなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事では、データ基盤の概要から構築のメリット、成功させるポイント、ツール選定方法までを解説しました。データ基盤を適切に整備することで、データの一元管理や分析の効率化が実現し、競争力が向上します。本記事を通して、データ基盤構築の流れや注意点がご理解いただけたでしょうか。自社のニーズに合ったデータ基盤を構築し、効果的なデータ活用を目指してください。
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