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デジタル化が進む現代社会において、企業のIT戦略を支える中核的な存在として注目されているのが「ITアーキテクト」です。高度な技術力と戦略的な視点が求められるこの職種は、DX推進やクラウド活用の加速とともに、その需要が年々高まっています。しかしながら、具体的な仕事内容や求められるスキル、キャリアパスについてはまだ十分に知られていないのが現状です。
そのため、「ITアーキテクトって実際にはどんなことをするの?」「自分に向いているのか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ITアーキテクトの定義や業務内容から、必要なスキル、将来性、キャリアの展望までを網羅的に解説します。これからITアーキテクトを目指したい方にとって、第一歩を踏み出すための記事となれば幸いです。

監修:大畑 健一(おおはた けんいち)
パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。
ITアーキテクトとは?
IT業界の中でも、特に高い専門性と戦略的視点が求められる職種のひとつが「ITアーキテクト」です。ビジネス課題を解決するために、システム全体の設計を担うこの職種は、近年のDX推進やクラウド移行の流れの中でますます注目を集めています。以下で、ITアーキテクトの定義とその役割を詳しく解説していきます。
定義と役割
ITアーキテクトとは、企業や組織の情報システム全体を設計・構築・最適化する専門職です。単なるプログラミングやインフラ構築にとどまらず、業務要件や経営戦略に基づいたシステム全体の「設計図」を描き、それを実現するための技術選定や仕様策定をリードします。
主な役割は以下のとおりです。
- システム構成の設計:全体像を見渡しながら最適なアーキテクチャを設計
- 技術的判断の主導:使用する技術スタックやクラウド環境の選定
- 関係部門との調整:経営陣・開発チーム・インフラチームなどとの連携
特に大規模システム開発やクラウド移行、新規事業開発において、ITアーキテクトはプロジェクトの方向性を決定づける極めて重要なポジションです。
ITアーキテクトの重要性
現代のビジネスにおいて、ITは単なるツールではなく、ビジネスの根幹そのものを構成する存在です。その中で、ITアーキテクトの果たす役割はますます広がっています。
さらに、複雑化するシステム環境の中ではセキュリティやパフォーマンス、可用性など、多くの要素を同時に満たす設計が求められます。これらを高次元でバランスさせることができるITアーキテクトは、まさにIT戦略の要と言えるでしょう。
ITアーキテクトが担う仕事内容
ITアーキテクトの業務は一言で言えば「システム全体の設計と最適化」ですが、実際の現場では多岐にわたる業務を担います。以下で、ITアーキテクトが実際にどのような仕事をしているのかについて解説します。
大枠の業務領域
ITアーキテクトの主な業務は、ITシステムの全体像を描き、それに基づいてプロジェクトを導くことです。以下に代表的な業務をまとめます。
- 要件定義支援:ビジネス側とのヒアリングを通じて、システムに必要な機能・性能を定義
- 技術アーキテクチャの策定:クラウド、オンプレミス、マイクロサービス等の技術選定
- 設計レビュー:開発チームの成果物に対するレビューと改善提案
- セキュリティや可用性への配慮:業務継続や情報保護を前提とした構成提案
特にシステム全体を俯瞰できる力が必要であり、アプリケーション、ミドルウェア、ネットワーク、データベースなど各領域の基礎知識が求められます。また、開発フェーズだけでなく運用や保守を見据えた設計も重要です。
労働環境とやりがい・厳しさ
ITアーキテクトの働き方は、企業やプロジェクトの規模によって異なりますが、比較的フレキシブルな働き方ができる職種です。テレワークやリモート会議が多く、自宅からでも戦略立案や設計業務を行えるケースが増えています。
やりがいとしては、「大規模システムの全体設計に関わる達成感」や「経営戦略に直接貢献できる影響力」が挙げられます。業務部門や経営層と密に連携することで、事業の成功に貢献する実感を得やすいのも魅力です。
一方で、技術トレンドの変化が激しいため、常に学び続ける姿勢が必要です。また、設計にミスがあると全体に影響を及ぼす可能性があるため、非常に高い責任が伴います。複数のステークホルダーの要望をバランスよくまとめる調整力も求められます。
ITアーキテクトが担う3つの専門分野
ITアーキテクトの仕事は幅広く、その専門分野は大きく3つに分類されます。それぞれがシステム設計の重要な構成要素であり、いずれか1つを深く極めるケースもあれば、全領域にまたがって活躍するマルチスペシャリスト型のアーキテクトも存在します。以下で、アプリケーション・アーキテクチャ、インテグレーション・アーキテクチャ、インフラストラクチャ・アーキテクチャという3つの分野に分けて、その特徴と役割を解説します。
アプリケーション・アーキテクチャ
アプリケーション・アーキテクチャは、システムの「機能的構造」を設計する分野です。ユーザーが直接操作する部分を含むアプリケーション層を、いかに効率的かつスケーラブルに構築するかが主なテーマとなります。
業務要件とユーザー体験の両立を目指しながら、堅牢で拡張性のあるアーキテクチャを実現することが求められます。
インテグレーション・アーキテクチャ
システム同士の連携をいかにスムーズに行うかを設計するのがインテグレーション・アーキテクチャの領域です。近年では複数のSaaSや外部システムと自社システムを連携させるケースが増え、ますますその重要性が高まっています。
EAI(Enterprise Application Integration)やESB(Enterprise Service Bus)、API Gateway、メッセージキューなどの技術を用いながら、異なるシステム同士が適切にデータをやり取りできるように構成を設計します。また、リアルタイム連携やバッチ処理の使い分け、データ整合性の担保など、実務的な設計判断が多く発生します。
この分野のスキルは、企業のDXや業務効率化を進めるうえで不可欠なものです。
インフラストラクチャ・アーキテクチャ
IT基盤となるサーバー、ネットワーク、ストレージなどの構成を設計する分野がインフラストラクチャ・アーキテクチャです。高可用性、スケーラビリティ、セキュリティ、コスト最適化といった観点から、最適な基盤環境を定義します。
特にクラウド(AWS、Azure、GCPなど)の利用が一般化している現在、クラウドアーキテクチャ設計のスキルは不可欠です。オンプレミスからの移行に伴うハイブリッド構成や、IaaS、PaaSの活用方針の決定もこの領域に含まれます。
また、BCP(事業継続計画)やDR(災害復旧)対策を含めた設計も求められ、ITアーキテクトの中でも特に高度な判断力が必要とされる分野です。
ITアーキテクトに必要なスキル
ITアーキテクトは単に高度な技術を持っているだけでは務まりません。全体を見渡す視点、関係者との円滑なコミュニケーション能力、そしてプロジェクトを成功に導くためのマネジメント力など、幅広いスキルセットが求められます。以下で、ITアーキテクトとして活躍するために必要なスキルを、4つのカテゴリに分けて解説します。
IT技術に関する高いスキルや知識
ITアーキテクトの基盤となるのは、やはりIT技術に関する深い知識とスキルです。アプリケーション開発、インフラ構築、クラウドサービス、セキュリティ対策、データベース設計など、幅広い分野に精通していることが望まれます。
ただし全てを専門的にこなす必要はなく、それぞれの領域で「判断できるレベル」であることが重要です。最新技術へのキャッチアップや、アーキテクチャに関するトレンドへの理解も欠かせません。
コンサルティングとしての基礎スキル
ITアーキテクトは、ただ設計を行うだけでなく、「どのようなITを使って、どんな課題を解決するのか」という視点を持つ必要があります。そのため、ビジネス上の課題を整理し、最適なITソリューションを導き出すコンサルティング的なスキルも必要です。
業務フローの理解や、経営戦略との整合性を考慮した提案力、社内外ステークホルダーとの合意形成力が重要視されます。いわば「ITとビジネスの橋渡し役」としての存在が求められます。
プロジェクトマネジメントスキル
多くのITアーキテクトは、プロジェクトの初期フェーズから参加し、設計をリードする立場にあります。そのため、設計だけでなくプロジェクトマネジメントのスキルも不可欠です。
スケジュール管理、リソース配分、リスク管理、品質管理など、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)に基づいたマネジメント能力が役立ちます。また、複数チームにまたがるプロジェクトでは、各リーダーと連携しながら進行を管理するファシリテーション力も求められます。
その他求められるソフトスキル
技術力や論理性だけでなく、ITアーキテクトには「人との関わり」を円滑にするためのソフトスキルも重要です。特に以下のような能力が求められます。
- コミュニケーション力:技術者だけでなく非エンジニアとの会話も円滑に行う力
- プレゼンテーション力:設計の意図や方針をわかりやすく伝える力
- 論理的思考力:複雑な要件や課題を整理し、構造化して考える力
- リーダーシップ:チームやプロジェクトを牽引する指導力
ハードスキルとソフトスキルの両方を高いレベルで兼ね備えてこそ、信頼されるITアーキテクトとして活躍できます。
ITアーキテクトの平均年収
ITアーキテクトは高い専門性と責任を伴うポジションであることから、平均年収も日本人の平均より高いです。以下で、ITアーキテクトの平均年収やほか職種との差異について解説します。
ITアーキテクトと他職種の年収比較
ITアーキテクトの年収を似ている職種の年収と比較します。
職種 | 年収 |
---|---|
ITアーキテクト | 684.9万円 |
日本の平均年収 | 460万円 |
ソフトウェアエンジニア | 537万円 |
Webエンジニア | 550万円 |
AIエンジニア | 558.3万円 |
社内SE | 660万円 |
ITアーキテクトの年齢別年収
ITアーキテクトの年齢別年収はこのようになっています。
右肩上がりだということがわかり、35歳で年収600万円に到達するので比較的早いスピードで昇給することがわかります。
ITアーキテクトのキャリアパス
ITアーキテクトは高度な専門性を持つ職種であると同時に、その後のキャリア展開の選択肢も非常に多い点が魅力です。ここでは、ITアーキテクトとして経験を積んだ後、どのようなポジションにステップアップできるのか、代表的なキャリアパスを紹介します。将来的な展望を描く上でのヒントとしてご覧ください。
ITコンサルタントへの展開
技術的な知見と業務理解を武器に、ITコンサルタントへとキャリアを展開するケースは非常に多く見られます。ITアーキテクトとしての実務経験をベースに、より経営視点から課題解決に取り組むスタイルへシフトしていくイメージです。
特に、顧客との折衝や提案活動に強みを持つ人材は、コンサルティングファームへの転職や、社内IT部門での戦略立案担当としても重宝されます。アーキテクトとして培った「全体設計力」は、企業全体のIT戦略構築において大きな武器となります。
プロジェクトマネージャーへのステップアップ
プロジェクト全体の構想・設計から関与するITアーキテクトは、自然とプロジェクトマネジメントにも強くなっていきます。そのため、プロジェクトマネージャー(PM)としてキャリアチェンジするケースも一般的です。
特に、大規模プロジェクトに関わっていた場合や、マルチベンダー環境での調整経験がある場合、PMとしての即戦力となることが期待されます。スケジュールや予算の管理だけでなく、技術面での意思決定ができるPMは市場でも高いニーズがあります。
プロジェクトマネージャー(PM)のキャリアパス一覧!なる方法や必須スキル、勉強方法も解説
CTO/技術責任者への道
豊富な技術経験とチームマネジメントのスキルを併せ持つITアーキテクトは、企業のCTO(最高技術責任者)や技術部門の統括責任者といった、より上流のポジションを目指すことも可能です。
特にスタートアップやベンチャー企業においては、技術選定や開発体制の構築、エンジニア組織の育成など、CTOとして果たす役割は多岐にわたります。ITアーキテクト時代に積んだ経験が、そのまま企業成長の原動力となる場面も少なくありません。
また、大手企業においても、グループ全体のIT戦略をリードする「エンタープライズアーキテクト」や、グローバルIT戦略を担う責任者としてのキャリアも描けます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事では、ITアーキテクトの定義から仕事内容、必要スキル、年収、キャリアパスまでを詳しく紹介しました。ITアーキテクトは技術力だけでなく、俯瞰的な視野や対人スキルも問われる高度な職種です。本記事を参考に、今後のキャリア選択の一助としていただければ幸いです。
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