派遣就業ガイド

派遣エンジニアに求められる技術スキルとプラスアルファのスキル

派遣エンジニアが現場で信頼され、長く活躍していくためには、まず業務を遂行できる「技術力」が欠かせません。そして就業先で働く過程では、一緒に働くための姿勢やコミュニケーションといった「技術以外の力」も同じく重視されるようになります。

日頃から派遣エンジニアを支援しているキャリアアドバイザー3名に、企業が派遣エンジニアに求めるスキルと、現場で評価される人の特徴を聞きました。

後藤 武史

後藤 武史

IT営業統括本部 IT営業本部 キャリア支援部 キャリア開発センター マネージャー
IT・情報系の派遣エンジニアのお仕事紹介やキャリア支援に従事する傍ら、未経験エンジニアの育成プロジェクトなど幅広い業務に参加している。日本キャリア開発協会(JCDA)による、キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)資格を所持。

野村 奈美

野村 奈美

IT営業統括本部 IT営業本部 営業戦略推進部 営業推進グループ マネージャー
10年間営業職として関東圏のIT職種の求人獲得と、派遣エンジニアのフォローアップを担当。その後現在の部署にてエンジニアのみなさんに向けたリスキリング研修の企画・運営や企業様に向けた営業提案支援を担う。

冨士尾 有祐

冨士尾 有祐

Staffing事業管掌 エンジニアリング営業統括本部 キャリア支援部 西日本就業支援G
無期雇用社員のキャリアサポートとして、西日本エリアの機電エンジニアへのキャリア支援を担当。心がけていることは「エンジニアの皆さんに寄り添いつつ、自らも常に学び続けること」国家資格キヤリアコンサルタント所持。

技術力という土台の上でパーソナルスキルが評価される

派遣先の企業は、派遣エンジニアにどのようなスキルを求めるのでしょうか?

後藤最優先で求められるのは「技術力」です。担当業務に必要なスキルをどれだけ持っているか、どれだけの経験を積んでいるかは、企業が必ず最初にチェックするポイントですね。

技術力がある上で求められるものが、環境に合わせて周囲と円滑に働くスキル、いわゆる「パーソナルスキル」です。仕事の進め方や業務に対する姿勢、対人コミュニケーション力などを指しているスキルです。

どれだけ技術があっても、周囲の人と意思疎通ですれ違ってしまったり、上手に連携できなかったりすると、チーム業務、ひいてはプロジェクト全体の進行に影響が出てしまいますよね。

後藤:加えて、情報系エンジニアは、プロジェクトに対して主体的に動ける力、つまり「自走力」も重視されます。

与えられた業務を「指示されたからやる」のではなく、「この仕事をどう進めるのが最適か」を自分で考えて、1人で主体的に仕事にあたれるか。実際に派遣先となる企業でも「自走できるエンジニアと働きたい」とおっしゃる方は少なくありません。

忘れてはいけないのが、「技術派遣は、現場がピンチのときに頼られる存在である」ということです。だからこそ即戦力であることが求められ、必要なスキルを持っていることが大きな価値になります。プロジェクトを前に進めるため、自ら提案し、柔軟に動くことを心がけたいですね。

野村:確かに就業先の方も、「業務遂行に十分な技術スキル」を重視する方がほとんどですね。しかし就業後、現場で一緒に働くようになると、就業先からのフィードバックでは、マインドや働く姿勢などへの言及が増えていく印象があります。

「技術が重要」なのは間違いではありませんが……。現場で信頼されるためにはパーソナルスキル、つまりコミュニケーションや仕事の姿勢が非常に重要になります。

野村:また、派遣エンジニアとしていろいろな現場を知っていることが価値になることもありますよね。過去の経験を踏まえて「こうしたほうがスムーズかも」と一歩先を提案できる方は、様々な企業や環境を見てきている「派遣エンジニアならではの価値」を提供できている、と言えるのかもしれません。

そして、現場の方からの信頼を得るきっかけになるのが、こうした気づきと働きかけです。狙ってやるというより、自然にそうした価値提供ができる人は貴重ですよね。

冨士尾:機電系エンジニアでも同様に、まずは技術力が求められます。就業時には業界経験や専門知識、例えば自動車産業の知識など、業務内容に合ったテクニカルスキルが重視されます。

加えて製造業の現場で働くときは、メーカーならではのルールや暗黙知など、「当たり前のレベル」に対応できるかも問われます。メーカーはリスク管理を非常に重視しているので、それを知らずに現場に参加しても、良いパフォーマンスを発揮するのは難しいでしょう。

そして、現場でパーソナルスキルが求められることも同様です。工場では対面で働く場面も多いので、野村さんが話していたように、コミュニケーションの温度感が合っていて、「こうしたほうが安全に進む」「この順序だとスムーズ」といった気づきを自然に伝えられることが、信頼につながりますね。

後藤:技術が最重要というお話をさせていただきましたが、実際の現場では、必要とされる技術スキルをすべて完全に満たして就業開始できるエンジニアは多くありません。

重要なのは、不足している技術力をどのように補っていくか。現場で学びながら不足を補うケースも少なくありません。この不足分を学ぶために、パーソナルスキルが非常に重要なのです。

こうした背景もあって、「チャレンジできる」お仕事もパーソルクロステクノロジーで多くご紹介することができます。お仕事情報に記載されている必要技術スキルだけで判断せず、まずはキャリアアドバイザーにご相談いただくことをおすすめします。

ポイント

  • 企業が最も重視するのは「業務に対する十分なスキル」を持っているか。
  • パーソナルスキルは、技術スキルがある上で求められる。
  • 派遣エンジニアならではのスキルを提供できることが、現場で評価される。

信頼される人に共通する「おせっかい力」と「柔軟性」

現場で求められるパーソナルスキルとは、具体的にはどのようなものでしょうか?

野村:あえて言葉にするなら、「技術だけでなく、任された役割をより良く遂行する方法を考え、現場に提案できる力」でしょうか。私は「おせっかい力」と呼んでいるのですが、こうした力がある人は自然と周囲から頼られるようになることが多いですね。

先ほどお話した派遣エンジニアらしい提案も、まさに「おせっかい力」の一部だと思います。いろいろな現場を経験し、さまざまな役割を任されてきた派遣エンジニアだからこそ発揮できる強みのひとつですよね。

冨士尾:「おせっかい力」と同じように、私は仕事を頼みやすいかも大切だと思っています。派遣エンジニアには事前に決められた主業務がありますが、その業務をこなしつつ、どれだけ周辺の仕事や状況をキャッチできるか。その姿勢は、本人のキャリア構築においても欠かせないものだと私は感じています。

「これは主業務と関係ないから」といった姿勢ではなく、依頼された仕事の背景を考えて「主業務にも役立つかもしれない」と柔軟かつ前向きに受け取るのを心がけたいです。「この人ならお願いしても大丈夫だな」と思ってもらえれば現場での信頼にもつながりますし、任された仕事が思わぬスキルアップのきっかけにもなることもありますから。

野村:主業務との兼ね合いを考えて、「この業務の目的はこういう理解で合っていますか?」と確認してみるのが良いかもしれませんね。せっかくの機会を失ってしまうのはもったいないので、不安な点はすり合わせつつ、できる範囲で前向きに関わっていくことで、現場で頼られる存在になっていくはずです。

後藤:とはいえ、ご本人の仕事への姿勢が問われるのも土台となる技術力があってこそです。繰り返しになりますが、業務に必要な技術があるからこそ、「現場で各所と関わりながら、仕事をする」パーソナルスキルの有無が問われる段階に進めるようになります。

野村:そうですね。派遣エンジニアと就業先との間で起きてしまうトラブルは、その原因を辿っていくと、「派遣エンジニアのスキル不足」に行き着くことがあります。

コミュニケーションの齟齬も、突き詰めると、スキル不足が背景にあることも。「分からない、できないという状態を打ち明けないまま業務を進めていたら、対応納期を過ぎてしまった」とか、「求められているものと違うアウトプットを出してしまった」とか……。

冨士尾:実際に短期間で契約終了になってしまう人も、スキル不足が要因であることが多いです。現場の即戦力として期待されるぶん、できるつもりで受けてしまった仕事が、ミスマッチの原因になります。

だからこそ、自分のスキル状況を正しく把握した上で、どこを伸ばすべきかを意識しながらスキルアップしていくことが大切です。日々の業務でできることを少しずつ増やしていく意識があると現場からの評価にもつながりますし、次の案件の選択肢も広がるはずです。

ポイント

  • 現場で頼られる派遣エンジニアは、現場に提案する「おせっかい力」がある。
  • 主業務に関わる依頼は積極的に引き受けて、担当領域を増やしていきたい。
  • 自分のスキルを正しく認識し、業務やスキルアップに取り組みたい

文=スギモトアイ/写真=舛元清香/編集=伊藤 駿(ノオト)