派遣就業ガイド

フィードバックをもらって成長 派遣エンジニアのキャリア形成の方法と方向性

派遣エンジニアとして働く上で、スキルアップの重要性はわかっていても、何を頑張ったらいいのかわからない、どの方向へ努力したらいいのかわからない、と悩んでしまうことはありませんか?

スキルアップを意識したアクションのなかには、自己研鑽のほか、「日常的な仕事の中で実施できる取り組み」があります。キャリアアップのモデルとなるケースとそれを実現させる方法について、キャリアアドバイザーに聞きました。

後藤 武史

後藤 武史

IT営業統括本部 IT営業本部 キャリア支援部 キャリア開発センター マネージャー
IT・情報系の派遣エンジニアのお仕事紹介やキャリア支援に従事する傍ら、未経験エンジニアの育成プロジェクトなど幅広い業務に参加している。日本キャリア開発協会(JCDA)による、キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)資格を所持。

野村 奈美

野村 奈美

IT営業統括本部 IT営業本部 営業戦略推進部 営業推進グループ マネージャー
10年間営業職として関東圏のIT職種の求人獲得と、派遣エンジニアのフォローアップを担当。その後現在の部署にてエンジニアのみなさんに向けたリスキリング研修の企画・運営や企業様に向けた営業提案支援を担う。

冨士尾 有祐

冨士尾 有祐

Staffing事業管掌 エンジニアリング営業統括本部 キャリア支援部 西日本就業支援G
無期雇用社員のキャリアサポートとして、西日本エリアの機電エンジニアへのキャリア支援を担当。心がけていることは「エンジニアの皆さんに寄り添いつつ、自らも常に学び続けること」国家資格キヤリアコンサルタント所持。

キャリア形成のモデルケースとなる「4つの方向性」

派遣エンジニアのスキルアップには、どのような方向性があるのでしょうか?

野村:情報系の領域ですと、大きく4つのモデルがあると思います。

1つ目は「深める」。自身の技術領域を突き詰め、その領域の職人として専門性を高めていく方向性です。今できることをさらに磨き上げることで、より高度な案件に携われるようになるのが将来的な目標になります。

2つ目は「広げる」。今持っている技術力をベースに隣接する領域にも手を伸ばし、担当できる領域を増やしていく形です。例えば、サーバーを担当している人が、業務の幅を広げるためセキュリティやネットワークを学ぶ、といったイメージですね。関連領域の知識が増えることで、幅広い案件を担当できるエンジニアを目指していくことになります。

3つ目は「視点を変える」。これは現場エンジニアからプロジェクトマネージャーへの役割変化など、技術を担うだけでなく、プロジェクト全体を見る立場へステップアップする形です。このモデルを歩むのであれば、技術に加え、進行管理やメンバー支援といった視点を身につけなければいけません。

4つ目は「ビジネスサイドへ行く」。これは、システムに関する知見を武器に、より事業運営に近い役割を担うパターンで、技術とビジネスの両側面から価値を生み出す方法を考えるのが主な役割です。技術の知見を生かして新規事業を立ち上げたり、ビジネスとしてスケールさせることを考えたりする仕事になるでしょう。

後藤:私の見る限りでは、3つ目の「視点を変える」道を選ぶ方が多い印象です。「プロジェクトマネージャー」というと、大勢の部署やチームを束ねるような、「いわゆる管理職」をイメージする方が多いと思うのですが……。

情報系の現場には、大規模なものから小規模なものまで、数え切れないほど多様な「プロジェクト」が存在します。プロジェクトの分だけマネージャーが必要になりますから、情報系のプロジェクトマネージャーは、常に市場から求められる存在なのです。

冨士尾:機電系の領域では、専門性を突き詰めて特定の分野のスペシャリストになる「深めるタイプ」か、または得意分野に加えて新たな技術を身につける「広げるタイプ」のいずれかが多いです。

前者の「深めるタイプ」には、例えばCADオペレーターからスタートして、そこから設計補助、設計者へとステップアップしていくようなキャリアがあります。1つの専門業務を切り口に担当できる業務の幅や難易度を上げていくパターンです。

後者の「広げるタイプ」は、CADオペレーターとして経験を積んだ人が、ITやデザインといった隣接領域へキャリアを広げていく、といった形ですね。

冨士尾:いずれのプランであっても、自分がどの方向でキャリアを築きたいのかを定期的に棚卸しすることが大切です。仮置きでもいいので、自分が実現したいキャリア像と自分の現在地を確認し、そのギャップを埋めるために自己研鑽を続けることが、長期的な成長につながります。

野村:実際に派遣エンジニアの方々とお話すると、進むべき道を考えあぐねて、立ち止まってしまう人が多いですよね。「どれが向いているだろう?」と、キャリアの方向性を掴むことに苦労している方もたくさんいらっしゃるようです。

そういった方にお伝えしているのが、とにかく目の前に舞い込んだ業務に全力で取り組んでみること。「こんな仕事がキャリアに繋がるの?」と感じるような仕事でも、そこで得た経験が次のキャリアを開くきっかけになり、目指す方向性のヒントになることもあるでしょう。

自分に合った方向性は、仕事に取り組む中で自然に見えてくると思います。とはいえ、もし不安や迷いを感じたら、早めに私たちキャリアアドバイザーを頼っていただけると嬉しいです。

ポイント

  • 情報系のスキルアップは大きく4種。派遣エンジニアとしてPM職を目指す道も。
  • 機電系はジェネラリストとして「広げる」とスペシャリストとして「深める」の2種。
  • 目の前の業務にしっかり取り組んだ経験が、次のキャリアやスキルアップに繋がる。

「客観的なフィードバック」がスキルアップの近道に

「就業先で働きながらスキルアップする」ために、大事な心がけを教えてください。

野村:私が大事だと思うのは、自分の働き方について、派遣先からフィードバックをもらうことです。就業先の担当者から直接受け取るでも、キャリアアドバイザーを経由するでも大丈夫なので、「自らの仕事に対する、客観的な見え方」を知るのが大事です。

実際にフィードバックを受けると、自分では適切な範囲で仕事をしているつもりでも、就業先から「こういう役割も期待していたのに」と、両者での認識の相違が明らかになることも少なくありません。

日常的にフィードバックを受けて、今の自分がどう評価されているかを把握しておきたいですね。

冨士尾:就業先によっては日常的にフィードバックをする企業もありますが、派遣エンジニアは、社員のようなキャリアフォローを日常的に受けられるケースはほとんどありません。逆に派遣エンジニアも、自ら就業先へフィードバックを求める人はそこまで多くない印象です。

ただ、企業からの評価が高く、安定して働いている派遣エンジニアは、ほとんどが就業先からのフィードバックを受けています。派遣元のサポートを受けずとも、現場からのフィードバックを受けて働き方を改善するサイクルを自然に回していますよね。

もちろん、困ったことがあれば派遣元を頼っていただきたいです。しかし、日常的な改善は自分でフィードバックを受けて、細かく方向修正をしていく。この習慣が、結果的には継続的なスキルアップにつながっていくのだと思います。

後藤:フィードバックを受けるのであれば、わざわざ派遣元に連絡して、就業先の担当者も交えて……と、改まった場を設定しなくても大丈夫だと思っています。例えば「この前の成果物はいかがでしたか?」と就業先の方に声をかけてみるなど、日々の業務の中で自然にフィードバックを受け取れる状況をつくっていくことが大事かもしれません。

フィードバックとは、言い換えると「自分の仕事を因数分解し、理解すること」です。自身の仕事がどんな要素で成り立ち、自分の強みはどこなのか。そして改善できるポイントを把握することは、スキルアップの方向性を定める上でも重要になるでしょう。

後藤:加えて、情報系エンジニアの場合は、就業先に対して「こういう仕事にも挑戦してみたい」と意向を伝えることが想像以上に大切です。プロジェクトに関わりながら、自分のスキル領域を少しずつ広げていく意識が、キャリアの幅を広げることにもつながります。

できることが増えたということは、スキルアップしたということ。さらに「フィードバックを受けて改善した」という実績も、のちにご自身をアピールする材料にもなります。その積み重ねが、より理想に近い働き方につながっていくはずです。

ポイント

  • 日常的なフィードバックが、スキルアップのきっかけになる。
  • 特別な場を設けなくても、普段からフィードバックを得られる状況を作りたい。
  • フィードバックを受けて改善した実績が、自己アピールの材料になる。

文=スギモトアイ/写真=舛元清香/編集=伊藤 駿(ノオト)