日本で唯一のRPA資格・RPA技術者検定はどうすれば取得できる?
少子高齢化による労働人口減少や働き方改革の推進を目指す企業の増加などを背景に、ホワイトカラー業務を効率化・自動化するRPAに大きな注目が集まっています。
一方で、技術の習得レベルを客観的に評価する指標がなく、RPA人材の育成や採用が進まないといった課題を抱えていました。
そこで日本で唯一のRPA資格である「RPA技術者検定」が2018年からスタートすることになりました。
いったい、どんな資格・検定で、どうすれば取得できるのでしょうか?
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RPA技術者検定ができた理由
RPAはRobotic Process Automation(ロボティックプロセスオートメーション)の略称で、仮想知的労働者(Digital Labor)と呼ばれることもあります。
これまでホワイトカラーが担当していたルーティンワークをソフトウェアで代行・自動化する技術のことで、人手がかかっていた業務の人員削減や別の業務にリソースを集中させるなどといった生産性の向上が期待されています。
また、RPAは一度、作業を記録してしまえば同様の作業が発生した際に正確に再現してくれます。
人手による作業では集中力が途切れ、どうしてもミスはつきものです。
しかし、ロボットであるRPAではこうしたヒューマンエラーを防止でき、ロスや損害を回避することが可能になります。
プログラミングの知識がない人でも扱えるという特徴もあり、RPAを積極的に導入しようと考える企業が増えています。
RPA技術者検定はどんな検定試験?
昨今のRPA市場の高まりを受け、RPAのソリューションのひとつである「WinActor(ウィンアクター)」に関するユーザーの技術習得レベルを評価する「RPA技術者検定」ができました。
WinActorは、2010年にNTTアドバンステクノロジが開発したRPAツールです。
完全日本語化されている点やサポート体制が充実している点から導入する国内企業も多く、高いシェアを誇っています。
Word、Excel、OutlookといったMicrosoft Office製品や各種ブラウザー、ERPやOCRなど多くの事業所やオフィスで活用されているソフトウェアをカバーしている点が特徴でそれらの操作手順を学習することでPCでの作業を自動化させることができます。
現在では注文書の識別や転記作業、集計データの加工、ダイレクトメールの送信、請求処理業務の自動化など、さまざまな用途・シーンで活用されており、人気のRPAソリューションの1つとなっています。
RPA技術者検定では、WinActorの基本操作を習得した人を対象に、レベルに応じた「アソシエイト技術者」「エキスパート技術者」「プロフェッショナル技術者」の3種が用意されています。
「アソシエイト技術者」検定
WinActorの基本的知識を有している人が対象で、試験会場に赴き、PCを借りて、その場で操作をする形での試験になっています。
全部で50問(試験時間は60分)が出題され、原則として正答率7割以上で合格となります。
試験は全国47都道府県の会場で年末年始を除く毎日実施されており、受験資格も必要ないため、誰でも気軽に受験できます。
「エキスパート技術者」検定
アソシエイト技術者検定よりもWinActorに関して深い知識を持つ人が対象の試験で、シナリオ構築だけでなくシナリオ変更やトラブルへの対処なども求められます。
しかしながら、アソシエイト技術者検定同様に受験資格は特にないため、自信のある方はいきなりエキスパートから受験することも可能です。
年4回、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡などの主要都市で開催されており、WinActorを使って、その場でシナリオを作成することになります。
4問が出題され、試験時間は120分。
問題の難易度によって多少変動しますが、正答率6割以上で合格となります。
「プロフェッショナル技術者」検定
RPA検定の最上位に位置しており、受験するためにはエキスパート検定に合格している必要があります。
WinActorに精通し、他の人が作ったシナリオの解析や修正、ライブラリの開発ができる人を対象に年に1回実施され、実技試験に加えて面接も行われます。
こうしたRPA技術者検定が誕生したことで、客観的な技術レベルの評価基準としてはもちろん、自身のスキルのアピールや技術習得の励みのため資格の取得を目指すといった活用も考えられます。
また、企業でもRPAのスキルを持った人材を採用しやすくなり、RPAを活用した働き方改革が進むのではないかと期待されています。
RPA技術者検定ではどんな問題が出題される?
では、RPA技術者検定ではいったいどんな問題が出題されているのでしょうか?
RPA技術者検定事務局のホームページでは実際の試験問題の一部がサンプルとして公開されています。
このうち、アソシエイト検定は、ノード【待機ボックス】で変数値を表示したい場合の表示メッセージの設定方法や記録対象アプリケーションの意味を問う設問。
エキスパート検定は、「日次業務の済/未済を管理する処理済チェックシートの作成・管理に際して、指定日の処理済セルに処理済みを自動的に設定する」シナリオ作成が例題として掲載されています。
各試験の難易度を確認するのに最適ですので、受験を考えている方は一度チェックしてみましょう。
RPA技術者検定に必要な試験対策を紹介
RPAは未経験だけど、習得に興味がある人には無料でWinActorの概要を学習できる「RPA入門講座」があります。
RPA技術者検定のサイトから誰でも受講できるもので、50分の概要紹介ビデオを閲覧した後、20問の習熟度確認テストを受けます。
RPAがどんなものなのか体感できるだけではなく、自分がどのレベルにあるのか腕試しをしたい方にも最適です。
原則として、正答率8割以上で合格となります。
その他、RPAに関する研修講座として一般社団法人日本CFO協会が主催する「RPA(ロボティクス)体験&トレーニング講座」もあります。
こちらはRPAを体験してみたいという人に向けた講座で、講義中にサポートスタッフが各自の進捗に合わせて個別にサポートしてくれるため、初心者でも安心して受講ができます。
使用するRPAツールによって研修コースが分かれており、「ロボ・オペレータ」を使用するコースや「WinActor」を使用するコースなどがあります。