1. パーソルクロステクノロジーのエンジニア派遣
  2. 求人検索
  3. ITエンジニア
  4. Rust言語とは?「安全性」「並行処理」「処理速度」の観点から、できることや将来性・難易度を解説

Rust言語とは?「安全性」「並行処理」「処理速度」の観点から、できることや将来性・難易度を解説

IT/Web派遣コラム

処理速度の速さ、そして安全性の高さから注目を集めるRust言語は、MicrosoftやGoogleもその特徴に言及しているプログラミング言語です。しかし、Rustはその革新的な特徴ゆえに、「学習が難しいのでは?」と躊躇するエンジニア諸学者も少なくありません。

また「Rustは流行らない」という声も一部から聞かれます。本当にRustの難易度は高いのか? プログラミング言語としての将来性はどうなのか? この記事を通じてRustについて認識を深め、これからの履修を検討しているエンジニアの導入・入門の足掛かりとなることを期待しています。

POINT

  • RustはC言語やC++言語の代替言語として提案されているプログラミング言語
  • Rust独自の「所有権システム」が採用されたメモリの安全性や並行処理能力の高さから注目されている
  • Webアプリケーションからゲーム開発、IoT開発、APIサーバーの開発など、幅広く利用できる
  • 収入面も高水準であり、高い将来性が期待される一方で、習得の難易度はやや高めである

 

Rust言語とは

Rustは2006年から開発された比較的新しいプログラミング言語で、Microsoft(※1)も「CやC++に代わる最有力のプログラミング言語である」と発言するほど、一目置かれた新世代言語です。C++のような速度やメモリの安全性に配慮され、かつ並行処理にも適しているため、OSカーネル等のシステム作成に最適といわれています。

※1:Why Rust for safe systems programming|Microsoft Security Response Center (MSRC)

Microsoftのほか、GoogleはAndroid開発に、AmazonもAWSにRustを導入するなど、メガテック企業も採用しているRustですが、日本国内のRustエンジニアは希少であり、マイナー言語と位置づけられることもあります。

しかし、2024年9月のTIOBEランキングでは14位に名を連ねており、これはPHPに肉薄し、すでにRubyを上回る水準です。また、Stack Overflowによる2024年の調査では、「開発者が最も賞賛する言語」に選ばれており、これは9年連続です。プログラミング言語として、高い将来性が示唆されます。

新たなプログラミング言語の習得を検討するエンジニアにとって、Rustは有力な選択肢に挙がってくるでしょう。

プログラミング言語から探す!ITエンジニアの求人特集

 

Rust言語の特徴

Rustが注目され、多くの企業が導入する背景には、次の3つの大きな特徴があります。

  • 安全性(※2)が高い
  • 並行処理ができる
  • 処理速度が速い

※2 メモリに関する安全性と、それに伴うセキュリティの安全性

各項目について掘り下げていきましょう。

 

安全性が高い

C言語、C++言語に勝る大きな特徴に、Rustのメモリ管理に優位性が認められる点があります。

特にC言語はメモリアンセーフであることが問題視されることが多く、メモリの解放、メモリリーク、バッファオーバーフロー、ヌルポインター、データレースなどの不具合を意識的に回避しながら開発する必要があります。

一方、Rustはメモリの安全性を厳格に保証するために、ほかの言語にはない所有権システムを採用している点が大きな特徴です。

所有権システム

変数やオブジェクトがどのスコープ(範囲)で生存し、いつ解放されるかを自動で管理する仕組み。Rustでは、メモリを効率的に管理するために、各変数やオブジェクトに「所有者」が明示される。これにより、メモリの二重解放やアクセス違反といった問題を未然に防止できる。

これにより、開発者が極度にメモリに神経をとがらせる必要を無くす仕様を実現しています。

このメモリ管理方法は、C言語、C++のみならず、ガベージコレクション(GC)を採用するJavaやC#とも一線を画す独特な仕様です。

C言語、C++ではメモリ管理は手動で行い、例えばC++では「new」「delete」などの命令を用いて、メモリリークを防ぐ必要があります。一方、JavaやC#ではプログラマーがメモリリークを意識する必要のないガベージコレクションによってメモリの管理が自動的になされています。

一方、Rustではヒープ領域に置かれたデータを管理する際にのみ所有権の取り扱いを意識すればよく、C言語のように常にメモリを考慮する必要がありません。これにより、メモリによる不具合はC言語よりも格段に減ることとなります。

また、Rustではガベージコレクションは使われていません。これは、GCのタイミングによってプログラムの処理が一時的に止まることがありますが、Rustではその影響が出ないということです。

では、上記のことがなぜ「安全」なのかということを考えてみましょう。

Googleは2020年5月にChromeの重要度の高い脆弱性のうち、約7割がメモリに関連する問題であることを公表しました。脆弱性の約70%をメモリに関する問題と定義し、さらにその半分がメモリ解放後の再使用によるバグのためであるとしています。

そしてメモリに関連する脆弱性に対し、考えうる解決策として「Using safer languages anywhere applicable(該当する場所でより安全な言語を使用する)」と示し、Rustを挙げていることは興味深い示唆です。

メモリに由来する脆弱性を未然に防ぎ、安全性を担保する点は、Rustの大きな特徴といえるでしょう。

 

並行処理ができる

Rustはマルチスレッドを利用し、複数のタスクの並行処理に強みがあります。

もっとも単純なのは「thread::spawn」というRust標準のライブラリを用いることです。前述の所有権システムというメモリ管理の概念によって、データの競合が起こらないことが保証されています。

また、「Rayon(レーヨン)」というRust用の並列処理ライブラリもGitHubに公開されており、こちらを使うこともできます。非常に軽量で、順次計算を並列計算に簡単に変換できると評価されています。

 

処理速度が速い

RustはC++に取って代わることを目指して開発されており、その処理速度もCやC++に匹敵します。下記はRustとC言語との処理速度の比較表です。

画像引用元:GitHub「Why is Rust slightly slower than C?」

この図はパケットごとのイベント数を比較した表です。

  • Cycles(サイクル数)
  • Instructions(命令数)

注目すべきはこの上部2行で、ともにC言語を上回っています。CPUが実行できる命令数の比較ではRustの方がC言語よりも速いことがわかります。

 

Rust言語にできること・広がる「使いどころ」

OSカーネルなどコアな部分の開発だけでなく、Rustは以下のような用途にも利用されています。

  • Webアプリケーションの開発
  • コマンドラインツールの開発
  • ゲーム開発
  • APIサーバーの開発
  • IoT開発

メモリリークやデータ競合といったエンジニアを悩ませる不具合をクリアしているため、大規模なシステムやアプリケーションを開発するうえでも、ほかの言語と比べて安全性の面で適していると評価されています。

 

Webアプリケーションの開発

RustにはWeb用のフレームワークが複数存在しています。

「Rust向けの強力で実用的で、非常に高速なWebフレームワーク」と謳っている『Actix Web』や、柔軟性、使いやすさ、または型の安全性を犠牲にすることなく、高速で安全なWebアプリケーションを簡単に作成できる『Rocket』、そして速度を追及した非常に簡単に構成可能なフレームワークである『warp』などが代表例です。

RustのWebフレームワークは度々発表されており、近年Githubのスター数が伸びているものには『axum』が挙げられます。その伸長力は目覚ましく、すでにwarpを抜き去り、Actix-webやRocketに迫る勢いです。

プロジェクトの要件に応じてこれらのフレームワークを使うことで、開発効率が格段に向上することが期待できます。

 

コマンドラインツールの開発

コマンドラインツールとは、コマンドプロンプトにおける命令の入力フローであるコマンドラインを効率的にひとつにまとめたプログラムを実行することで、コンピューターとのやり取りを一度に実行できるソフトウェアの総称です。

Rustは、このコマンドラインアプリケーションも開発可能で、C言語やC++言語と同等のスピード、かつ保守性の高さから人気が出始めています。公式サイトではマニュアルも閲覧できるので簡単に始めることができるでしょう。

配布する場合もcrates.ioなどのコミュニティがあるため、作成したコマンドラインツールをアップロードして多くの人に利用してもらうことも期待できます。

 

ゲーム開発

Rustは、ゲーム開発の分野でも採用が進んでいます。特に、リアルタイムでのグラフィック処理や物理演算が求められるゲームエンジンの開発において、Rustの高い並行処理能力と安全性は大きな強みとなっています。

ゲーム開発では、並行処理が非常に重要な要素です。ゲーム内の複数の要素を同時に処理するために、複数のスレッドを安全に管理しなければいけません。また、メモリ管理の効率化によって、リアルタイム性が要求されるゲームでもスムーズな動作を可能とする点も、Rustが採用される背景となっています。

 

APIサーバーの開発

APIサーバーとは、APIを経由して返されるデータを提供するサーバーのことですが、まずはAPIが何かということに言及します。

APIとはApplication Programming Interfaceの頭文字を取った略語です。生活に馴染みの深いところでは、TwitterのAPIや、以前旧APIが廃止されてしまったInstagram APIなどが挙げられます。

このAPIを使うことで、メインとなるサービスやプロジェクトで外部の機能を通したデータを扱うことができるようになります。わかりやすい例としては、自身の開発したアプリでTwitterのタイムラインを取得したいときにこのAPIが利用されます。

Rustは、このAPIを提供するためにも利用されることがあります。なおAPIサーバーを構築する際も、『actix-web』や『Rocket』などのWeb用のフレームワークが使われることが一般的です。

 

IoT開発

IoT分野でも、Rustは有望な言語と見なされています。IoTデバイスは、限られたリソースでのメモリやCPUの効率的な動作が求められますが、Rustにはその要求に応えられる特徴があるためです。

なかでもRustの所有権システムによるメモリ管理は、IoTのようなリソース制約の厳しい環境において、プログラムの安定性とパフォーマンスを両立させます。

たとえば、RustはIoTデバイス向けの軽量なシステムの開発に適しています。組み込みシステム開発では、リアルタイムでの応答性や安全性が重要になりますが、Rustはガベージコレクションを使わないため、メモリ使用の予測が可能です。デバイスが不安定になる原因を取り除き、長期的な安定動作を保証します。

また、Rustは並行処理にも強いため、複数のセンサーやデバイスが同時に動作するIoT環境においても効果を発揮します。IoTデバイスが増加し続ける中、Rustはますます重要な役割を担うと考えられます。

 

Rust言語の将来性と年収相場

システム開発からアプリケーション・ゲーム開発までと使いどころが広範で、IoT領域のような成長分野においても導入が進んでいるのに対し、一部のエンジニアからは「Rustは流行らない」と指摘されることがあります。その背景には、市場におけるシェアの小ささがあると考えられます。現実として、現時点でのRustの導入企業は限られています。

また、Rust独自のメモリ管理システムは学習に時間がかかります。これは、即戦力として習得できる言語と比較すると、普及が遅れがちになるということです。

しかし、それでもRustの将来性は明るいと考えられます。MozillaやGoogle、Amazonといったメガテック企業で採用されている事例が増えていることから、今後の導入は広がっていくと見込まれるためです。前述した通り、幅広い分野での適用も進んでおり、ライブラリやツールなどのエコシステムも拡大している点も、Rustの普及を後押しするでしょう。

また、Rustの将来性を担保する大きな要因として、年収相場の高さも挙げられます。

画像引用元:Top paying technologies|Stack Overflow

先述したStack Overflowの2024年度調査によると、Rustを扱うエンジニアの平均年収は約7.6万ドル、日本円で約1,140万円という調査結果が報告されています(※1ドル=150円にて換算)。

一方、C言語のエンジニアの年収平均値は約6.4万ドルとされており、何かと引き合いに出されるC言語よりも大幅に年収が高いことが推察できます。

 

Rust言語の難易度

「将来性」の項でも少し触れましたが、Rustの学習コストは低いとは言えません。多くのエンジニアにとって、Rustの習得難易度は高いと感じられるのが正当な評価でしょう。

その理由は、やはりRust特有の「所有権システム」、あるいは「ライフタイム」といった概念は、従来の言語にはあまり見られないことです。これらの新しい概念を正確に理解し、使いこなすには、しっかりとした学習が必要です。

ライフタイム管理

Rustでは、無駄なメモリ使用を防ぎつつ、効率的にプログラムを動かすために、オブジェクトがメモリ上にどれくらいの期間存在するのか(ライフタイム)を正確に制御する必要がある。

明るい要素としては、学習の難しさを補えるよう、Rustの公式ドキュメントが非常に充実している点があります。また、有志によって翻訳されている日本語ドキュメントや、大半のRustエンジニアが利用するビルドツール『Cargo』などのリソースも上手く活用し、習得の難しさをカバーしましょう。

 

Rust言語の始め方

WindowsとMacにRustをインストールする流れを説明します。

なお、Rustのチュートリアルサイトも展開されているので、習得の際に適宜活用するとよいでしょう。

 

Windowsにインストールする方法

インストーラーの入手

インストーラーはRust公式サイトから32bit版か64bit版をご自身の環境に合わせてダウンロードします。

Visual Studio C++ Build tools の導入

「Visual Studio C++ Build tools」はこちらからダウンロードしてインストールを行ってください。

Rustup のインストール

Rustupというツールチェーンが必要になりますので、先ほどのRust公式サイトでダウンロードしたrustup-init.exeを実行し、インストールオプションを選択してインストールします。

正常にインストールされているか確認

コマンドプロンプトで「rustc --version」を実行してRustのバージョンが表示されればインストール完了です。

 

Macにインストールする方法

ターミナルでインストールするコマンドを実行

ターミナルで実行するコマンドはRust公式サイトで最新版を確認してください。Rust公式サイトにアクセスし、「Windows Subsystem for Linux」に記載されているコマンドをターミナルで打つだけです。

※2024年9月時点では「curl --proto '=https' --tlsv1.2 -sSf https://sh.rustup.rs | sh」となっています。

正常にインストールされているか確認

コマンドプロンプトで「rustc --version」を実行してRustのバージョンが表示されればインストール完了です。表示されないのであれば、いったんターミナルやマシンの再起動を行ってみてください。

 

まとめ
  • RustはC言語やC++言語の代替言語として提案されているプログラミング言語
  • Rust独自の「所有権システム」が採用されたメモリの安全性から、特に注目されている
  • 並行処理ができ、処理速度もC言語やC++言語に匹敵する
  • Webアプリケーションからゲーム開発、IoT開発、APIサーバーの開発など、幅広く利用できる
  • DropboxやAWSなどでも導入が進み、収入面も高水準であり、高い将来性が期待される
  • 一方で、習得の難易度はやや高めである
  • インストールは簡単で手軽に始めることができる

 

 

\ SNSでシェアしよう! /

【はたラボ】派遣のニュース・仕事情報・業界イロハ|派遣会社・人材派遣求人ならパーソルクロステクノロジー |IT・Web・機電の派遣求人ならパーソルクロステクノロジーのエンジニア派遣の 注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

【はたラボ】派遣のニュース・仕事情報・業界イロハ|派遣会社・人材派遣求人ならパーソルクロステクノロジー |IT・Web・機電の派遣求人ならパーソルクロステクノロジーのエンジニア派遣の人気記事をお届けします。

関連記事

  • R言語とは?主な特徴5つやできること・始め方をわかりやすく解説

  • Chromeリモートデスクトップの危険性とは?軽減する4つの方法

  • OKRとは|意味や目標管理方法を具体例からわかりやすく解説

  • Windows11はいつからアップグレード可能なのか|発売日や無償アプデの条件

  • 「Cookieとは?」わかりやすく解説|仕組みや無効化・削除する方法

  • Google Chromeの広告ブロック機能の設定方法【PC・iOS・android】

PAGE TOP