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AIエージェントとは?生成AIやRPAとの違い・実用的な具体例をわかりやすく解説

生成AI技術の急速な発展を受け、「AIエージェント」の言葉が注目を集めるようになりました。ChatGPTのような生成AIや、RPAなどと比較されることが多いですが、AIエージェントはそれらとは異なる独自の役割を担うシステムです。

本記事では、AIエージェントの概要や仕組み、具体的な活用事例を解説。今後の可能性や課題についても考えていきます。

POINT

  • AIエージェントは、自律的に判断し、環境に適応しながらタスクを遂行する人工知能システム
  • 生成AIがコンテンツ生成に特化している一方、AIエージェントは「意思決定」と「行動」が主目的
  • 実働する活用事例には、チャットボットやAIアシスタント、レコメンデーションシステムなどがある
  • RPAとの統合による高度な業務自動化や、将来的な自動運転車の実現への活用も期待されている

 

 

AIエージェントとは

AIエージェントとは、自律的に判断し、環境に適応しながらタスクを遂行する人工知能システムのことです。一般的なルールベースのプログラムとは異なり、機械学習や強化学習を活用して状況に応じた意思決定を行う点が大きな特徴になります。

AIエージェントの活用分野は多岐にわたり、次のようなシーンでの実働が見込まれています。

  • カスタマーサポート:チャットボットが顧客対応を自動化し、FAQの回答や問い合わせ管理を担う
  • 自動運転車:リアルタイムで交通状況を分析し、適切な運転操作を推進
  • マーケティング分析:消費者の行動データをもとに、パーソナライズされた広告やプロモーションを最適化
  • サプライチェーン管理:需要予測と在庫管理を自動化し、物流の最適化を支援

AIエージェントは企業の業務効率化や高度な意思決定支援に貢献しており、ビジネスの競争力を高める重要な要素にもなっています。

 

生成AIとAIエージェントの違い

生成AIとは、わかりやすくいうと大量のデータをもとに新しいコンテンツを生成するAI技術です。代表例にChatGPTやDALL·Eなどが挙げられます。

一方、AIエージェントはただ情報を生成するだけではありません。タスクを実行し、環境と相互作用しながら意思決定を行う点において生成AIとは大きく異なります。

AIエージェント 生成AI
自律的にタスクを実行 テキストや画像を生成
環境と相互作用し、学習・適応する データセットからパターンを学習
意思決定に基づいた行動が可能 生成したデータをユーザーが活用
例:チャットボット、マーケティングAI 例:ChatGPT、DALL·E、Stable Diffusion

つまり生成AIは「コンテンツ生成」に特化しており、AIエージェントは「意思決定と行動」にフォーカスしている点が本質的な違いです。

 

RPAとAIエージェントの違い

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、ルールベースの業務を自動化する技術です。たとえば、決められた手順に従いデータ入力や帳票作成を行うシステムがRPAに該当します。一方、AIエージェントは動的な環境の中で意思決定を行い、タスクを適応的に遂行する点が異なります。

項目 RPA AIエージェント
処理方法 ルールベース 機械学習・強化学習
適用範囲 定型業務の自動化 環境に適応しながら意思決定
柔軟性 限定的(決められた手順のみ実行) 状況に応じて最適な行動を選択
データ入力の自動化、請求処理 自動運転、チャットボット

AIエージェントは固定ルールに従うのではなく、データをもとに最適な意思決定を下す領域までを担うため、RPAと比較して複雑な業務への応用も可能です。

 

AIエージェントの具体例

AIエージェントは、すでに多くの分野で実用化され、さまざまなシーンで活躍しています。ここでは、代表的な具体例や、それぞれの特徴、共通点について解説します。

【AIエージェントの具体例】

  • チャットボットなどのカスタマーサポート
  • 車の自動運転
  • レコメンデーション
  • AIアシスタント
  • 市場のマーケティング予測
  • サプライチェーン最適化

 

チャットボットなどのカスタマーサポート

AIエージェント活用の代表例が、顧客対応を自動化するチャットボットです。自然言語処理(NLP)を活用してユーザーからの問い合わせにリアルタイムで対応し、業務負担を大幅に削減しています。

【チャットボットでのAIエージェントの活用例】

  • FAQ対応:よくある質問に自動応答し、顧客の自己解決を促進
  • オペレーターの負担軽減:簡単な問い合わせをAIが処理し、複雑な案件のみ人間が対応する
  • 24時間対応:営業時間外でも顧客の問い合わせに即座に対応
  • 多言語対応:翻訳機能を搭載し、グローバル展開を支援

近年のチャットボットは、単なる定型回答にとどまらず、ユーザーの発言意図を解析し文脈に即した返答を行う、高機能なシステムが増えています。

しかし、微妙なニュアンスの理解や複雑な問題解決にはまだ限界があり、人間との協力は依然不可欠です。より高度なAI技術の導入により、精度の向上が期待されています。

 

車の自動運転

AIエージェントのもっとも先進的な応用分野が、自動運転技術です。車両に搭載されたカメラやセンサーが周囲の状況をリアルタイムで検知し、AIがそれを解析することで、安全かつ効率的な運転を支援します。

【自動運転でのAIエージェントの活用例】

  • 環境認識:レーダーやLiDARを用いて周囲の車両や歩行者、信号の位置を把握
  • 状況分析:取得したデータをAIが処理し、走行ルートや制動タイミングを決定
  • 車両制御:適切な加速、減速、ハンドリングを自動で実行

なお、自動運転技術は、レベル0(完全手動運転)からレベル5(完全自動運転)までの5段階に分類されています。現在はレベル3(条件付き自動運転)やレベル4(高度自動運転)の開発に、多くのメーカーが取り組んでいる段階です。

ただし、レベル4やレベル5の自動運転車の実用化はいまだ困難とされ、特に道路状況の変化に対する適応力や倫理的な判断(事故回避時の優先順位)といった点が議論されています。

これは「状況に応じた意思決定」を行うAIエージェントにとって、切っても切り離せない課題です。今後の技術進化と法整備の動向が注目されます。

 

レコメンデーション

ECサイトや動画配信サービスで活用されているレコメンデーションシステムもAIエージェントの一種です。AIがユーザーの行動履歴を分析し、個々に最適な商品やコンテンツを提案するまでを担います。

【レコメンデーションでのAIエージェントの活用例】

  • コンテンツフィルタリング:過去の視聴・購買履歴をもとに、類似する商品や作品を提案
  • 協調フィルタリング:類似するユーザーの行動データを応用し、おすすめするアイテムを提示

たとえば動画配信サービスでは、「この映画を観た人は、こちらの映画も観ています」といった形で作品をレコメンド。ECサイトでは、購入した商品に関連するアイテムを表示し、顧客の追加購入を促しています。

この技術によって、ユーザーは好みに合った商品やコンテンツを効率的に発見できる一方で、過去のデータ傾向に沿った提案に偏ってしまうことから、実用面ではフィルターバブルの問題も指摘されています。

 

AIアシスタント

AIアシスタントは、音声やテキストによるユーザーの指示に応じ、情報提供や業務支援を行います。スマートフォンやスマートスピーカー、PCなどに搭載され、個人・企業を問わず広く利用されているAIエージェントです。

【AIアシスタントでのAIエージェントの活用例】

  • スマートデバイスの音声アシスタント:天気予報の確認、予定管理、家電操作など
  • ビジネス:議事録作成、スケジュール管理、社内問い合わせ対応など
  • カスタマーサポート:FAQ対応、問い合わせのリアルタイム処理など

このように多くの場面に普及している一方で、文脈理解の難しさや複雑な指示への対応には課題も見られます。今後の技術進化が期待されるポイントです。

 

市場のマーケティング予測

AIエージェントは、膨大なデータを解析し市場の動向を予測する、マーケティング分野でも活用されています。

【マーケティング予測でのAIエージェントの活用例】

  • 消費者行動の分析:SNSや購買データなどからトレンドを予測
  • 価格戦略の最適化:競合の価格動向を分析し、最適な価格設定を提案
  • 広告配信の最適化:ターゲットごとに適切な広告を自動配信

ただしマーケティングにおいては、AIの予測精度の限界や、データの偏りといった課題も懸念されます。今後、より高度なアルゴリズムの開発が望まれます。

 

サプライチェーン最適化

AIエージェントは、物流・生産管理における効率化を担う、サプライチェーン最適化にも貢献。需要予測や配送計画をAIが支援し、コスト削減や納期短縮などに役立てられています。

【サプライチェーン最適化でのAIエージェントの活用例】

  • 需要予測の精度向上:販売データや天候情報をもとに最適な生産計画を策定
  • 在庫管理の最適化:リアルタイムで在庫状況を監視し、補充を自動調整
  • 物流ルートの最適化:交通状況を分析し、配送ルートを最適化

AIによるサプライチェーン管理は、企業の競争力向上に大いに貢献する施策です。IoT技術との連携が進み、データ収集効率が向上すれば、さらに高度な自動化も期待されます。

 

AIエージェントの種類

AIエージェントは、機能や特性に応じていくつかの種類に分類されることがあります。なかでも近年は、機械学習や強化学習を活用する「学習型エージェント」の発展が顕著です。

【AIエージェントの主な種類】

  • モデルベース型エージェント:環境の状態を内部モデルで記憶し、より適切な意思決定を行う(例:将棋AI)
  • 目標ベース型エージェント:設定された目標に従って行動を最適化する(例:ナビゲーションAI)
  • 効用ベース型エージェント:目標だけでなく、「どの選択肢が最も価値が高いか」を考慮して意思決定を行う(例:株式取引AI)
  • 学習型エージェント:強化学習などを用い、過去の経験から最適な行動を学習する(例:自動運転AI)
  • 階層型エージェント:複数のエージェントが協力し合い、より高度なタスクを遂行する(例:サプライチェーン管理AI)

複数の種類とのハイブリッドといえる、階層型エージェントの進化も顕著です。たとえば自動運転AIは「目標ベース」+「学習型」の要素を持ち、安全かつ効率的な運転の実現に向けて、周囲の状況を逐次分析しながら走ります。また、マーケティングAIは「効用ベース」+「モデルベース」のアプローチが取り入れられ、施策を自動で立案します。

 

AIエージェントの仕組み

AIエージェントがタスクを実行するまでの仕組みは、次のプロセスから構成されています。

  1. 目標・目的の設定

    自動運転AIであれば「安全かつスムーズに目的地へ移動する」などと達成すべき目標を定義。この目標に応じて、どのような情報が必要か、どのデータを活用するかが決まる

  2. データの収集

    カメラやセンサーを経由、あるいはMAPデータなどを用い、環境や状況に関するデータを収集する

  3. 状況の解析・意思決定

    収集したデータを解析し、機械学習・強化学習などのアルゴリズムを用いて最適な判断を下す

  4. タスクの実行

    意思決定に従って、物理的またはデジタルなアクションを実行する

  5. 結果の評価・学習

    実行した結果を評価し、次の判断の精度を高めるために学習する

このように、AIエージェントはデータを収集し、学習し、行動を最適化するサイクルを繰り返し進化していきます。

 

AIエージェントの可能性と今後の需要

AIエージェントは、次のような要因から、今後のデジタル社会において不可欠な存在になると考えられています。

  • DXの推進
  • AIとRPAの融合による高度な自動化
  • AI技術の進化と社会実装の加速

まずはDX推進における活用です。AIエージェントはその中核的役割が期待されています。また、業務プロセスのより高度な自動化を実現するために、RPAとの連携も注目されています。たとえば顧客との対話内容をAIが理解・分析し、その情報をRPAが基幹システムに反映するなど、人手が必要だった業務プロセスの劇的な効率化に貢献するでしょう。

さらに、ディープラーニングの発展によりAIの精度は年々向上しています。社会実験が活発化し法整備が進めば、現状では実用化は困難とされる完全自動運転(レベル5)も実現するかもしれません。そうなれば、物流業界の人手不足解消など、大きな経済効果を生み出します。

未知数な部分はありますが、今後の需要は無限に考えられます。AIエージェントは単なる補助的なツールではなく、企業や社会全体の意思決定を支援する重要な存在へと進化するかもしれません。

 

AIエージェントの課題

AIエージェントが普及へと向かう一方で、いくつかの重要な課題も指摘されています。

  • データの信頼性とプライバシーの確保
  • 誤作動と倫理的な問題
  • ユーザーの理解と信頼の確保

懸念されるのは、やはりデータの取り扱いです。AIエージェントが参照するデータの品質に問題があると、下す判断にも誤りが生じてしまいます。データの偏りによるバイアスやフェイクデータを遮断すべく、適切なデータクレンジングは欠かせないでしょう。個人情報を扱う場合は、当然ながらプライバシーの保護も慎重に取り扱うべき課題です。

AIエージェントの予期せぬ誤作動も懸念されます。特に自動運転や医療AIのような分野では、ひとつの誤った判断が重大な事故を招くこともあるため、この課題が解決されなくてはAIエージェントの本格的な活用は望めません。また、事故の際に「誰を優先して守るべきか?」という選択をAIが行うべきかどうかは、倫理的に難しい問題です。

ユーザー側の理解が追いついていないという問題もあるでしょう。たとえば「AIがすべて自動で完璧に動作する」と、過度に期待するような誤解です。しかし現実ではAIは補助的なツールに過ぎず、適切な運用は欠かせません。AIエージェントの普及には、AIの仕組みや限界を正しく理解し、適切に活用するための教育やトレーニングなどもカギを握るでしょう。

 

まとめ
  • AIエージェントは、自律的に判断し、環境に適応しながらタスクを遂行する人工知能システム
  • 生成AIがコンテンツ生成に特化している一方、AIエージェントは「意思決定」と「行動」が主目的
  • RPAは決められたルールに従う自動化ツールだが、AIエージェントは状況に応じた柔軟な判断が可能
  • 実働する活用事例には、チャットボット、AIアシスタント、レコメンデーションシステムなどがある
  • RPAとの統合による高度な業務自動化や、将来的な自動運転車の実現への活用も期待されている
  • データの信頼性・プライバシー問題、誤作動、倫理的課題なども指摘されている

 

 

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