価格戦争に負けないために!ものづくりで勝つための「付加価値と価格」
近年中国製品など、新興国の工業製品が年々売り上げを伸ばしており、その勢いは増すばかりです。
従来から新興国では安価に製品を製造できることが魅力ですが、最近ではその製品の品質も向上してきており、多くの製品でお客様のニーズの増加とともにシェア率が伸びてきています。
日本などの人件費が高い国では、単純な価格競争面で太刀打ちすることは難しいため、メーカーは製品に新たな価値を見出していくことが、いま求められています。
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ものを作って売るという商売の仕組み
そもそも、ものづくりとは誰もが知るように、材料から製品を作り、売る商売です。
生産した製品に需要があれば、材料価格・人件費(原価)よりも高い値段で製品を売ることができ、利益を上げられます。
逆に、原価よりも高い価値が見出せなかった場合には原価割れとなり、赤字が計上されてしまいます。
ものづくりの世界では、需要がある製品が生産され、利益が生み出されているのです。
この「利益=原価に上乗せされた製品価値」のことを、「付加価値」と呼んでいます。
つまり「ものづくりの仕事」とは、言い換えれば「材料を加工することで付加価値を生み出す仕事」であると言えるのです。
価格競争に巻き込まれないためのものづくり
需要がある製品を生産したとしても、同じ製品を作っている会社が複数存在する場合、価格競争が起こります。
自社と同じ製品が他社でより安く売られていた場合、顧客は自然と安い方へと流れていってしまうのです。
だからと言って、他社より安い値段にまで値引きして販売するとなると、値引き合戦状態となってしまい、付加価値がほとんど付けられず、いくら作っても商売にならない製品になってしまいます。
この価格競争の悪循環に巻き込まれないためには、顧客が求める品質(見た目や寸法精度など)を追及したり、ブランドイメージ化やデザインの独自性を高めたりすることで、価格以外の面で他社に負けない価値を生み出していく努力が必要です。
人件費が高い先進国では、価格競争で新興国に競り勝つことが非常に難しいため、独自機能や超高品質といった、他には真似できない高付加価値を創出することが重要なミッションとなっているのです。
「付加価値と価格」の観点から実例を考える
最近の実例を挙げると、旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の受注が好調である理由に、まさに「付加価値と価格」における日本の強みを見て取れます。
MRJは、日本企業にしか実現できない技術を集めた機体であり、機内の広さや燃費性能や機能性などは特筆すべきものがあります。
それにもかかわらず、同サイズの他社製小型機と比較して、価格は大きく変わりません。
さらに、日本製品の「高い安全性」というブランド力も相まった結果、新規参入市場であるにも関わらず、業界の予想を大きく上回るペースでの受注を実現できたのです。
ものづくりで自社商品の必要性を高めるには?
需要がある商品でも最初から販売好調な訳ではありません。
消費者意識を参考に市場ニーズを読みとり、需要側が求めている機能性やコンセプトを取り入れた商品を供給側に提供する事で、初めて勝率の高いビジネスが成り立ちます。
商品の開発は経営者を含めたすべての社員が、消費者心理を理解することが不可欠なのです。
できない場合は、勝つための商品を生み出す事が難しいかもしれません。
またマーケティング用語に「コモディティ化」という言葉があり、意味は「市場価値が低下し、一般的な商品になる」ことを指します。
自社商品の必要性を高めるには、常に市場ニーズをリサーチしこだわり消費者が求めるものを提供する事ができれば、それが付加価値となり勝てる商品となります。
まとめ
日本経済が厳しい中、企業がものづくりの世界で勝ち残る方法、それは価格競争をするのではなく製品に高付加価値を付与できるかどうかが重要となります。
付加価値とは、製品の品質、独自性、ブランド力、生産者の思いなどにより生み出されるものです。
今後も技術大国として、他国に恥じない高性能な製品が一つでも多く世に送り出されることを期待して止みません。