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PLC(シーケンサ)制御とは?メリット・デメリットから使われるプログラミング言語までわかりやすく解説

製造業やインフラ設備の自動化を実現するうえで、PLC(Programmable Logic Controller:プログラマブル・ロジック・コントローラ)は欠かせない存在です。PLCは、工場の生産ラインやエレベーター、信号機など、さまざまな機械やシステムの制御を担い、特に高い信頼性・リアルタイム性・保守性が求められる現場で採用されています。

本記事では、PLC制御の基本から導入メリット・デメリット、さらに使用されるプログラミング言語の種類までをわかりやすく解説します。

POINT

  • PLCは機械や設備の自動化を実現するための制御装置であり、高い信頼性と柔軟性が特徴
  • PLCの導入によって高速処理や省スペース化が可能になり、保守性や拡張性も向上する
  • プログラムの変更のみで動作を修正できるため、配線変更が不要で作業効率が向上する
  • 主要なプログラミング言語にはラダー言語やST言語などがあり、用途に応じて使いわける

 

 

PLC制御とは

PLCとは、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)を使用して、機械や設備の動作をプログラムで制御するための装置です。「シーケンス制御」や「シーケンサ」とも呼ばれ、従来のリレー回路を電子的に置き換える形で進化してきました。

具体的には、PLCは次の3つの主要処理を実行し、機械や設備の動作を制御しています。

  • 入力処理:センサーやスイッチからの信号を受け取る
  • 演算処理:入力信号に基づいて動作条件を判断
  • 出力処理:モーターやアクチュエータを制御

現在、活発に進んでいるスマートファクトリー化の基盤ともいえる要素であり、さまざまな分野における活用の幅が広がっています。

分野 活用例
製造業 生産ラインの自動化、ロボット制御
交通インフラ 信号機制御、鉄道の運行管理
建築設備 エレベーター、空調システム制御
エネルギー 発電プラントの監視・制御

 

「シーケンス制御」「リレーシーケンス制御」との違い

PLC制御の基盤となる「シーケンス制御」とは、あらかじめ決められた順序で機械を動作させる制御方式です。一方、従来型ともいえる「リレーシーケンス制御」は、電磁リレーやタイマーを組み合わせて制御を行う方式でした。

制御方式 特徴
リレーシーケンス制御
  • 物理的な配線で制御を構成
  • 改造が困難で配線が複雑化しやすい
シーケンス制御(PLC)
  • プログラムで制御を管理
  • 変更・拡張が容易で柔軟性が高い

現在では、保守性や拡張性の観点からPLCによるシーケンス制御が主流となっています。

 

PLC制御の使用例

PLCは工場の生産ラインだけでなく、エレベーターやエスカレーター、自動ドア、信号機、さらには洗濯機や電子レンジといったように、私たちの身近な機器にも使われています。

たとえばエレベーターの場合、PLCは次のような制御を行います。

  1. ボタンの入力を受け取る(ユーザーが行き先階を選択)
  2. エレベーターの現在位置をセンサーで取得
  3. 目的階に到達するようモーターを制御
  4. 指定階に到着したらドアを開閉

このように、PLCは複数の動作をリアルタイムに処理し、安全かつスムーズな動作を実現しています。

 

PLC制御のメリット

PLC制御には、次のような複数のメリットがあります。

  • 動作が早く信頼性が高い
  • 最小限の機器で動作できる
  • 物理的なスペースをとらない
  • 動作を変更させる際に物理的な配線変更などが不要
  • 故障しづらく、故障しても交換しやすい

 

動作が早く信頼性が高い

PLCは、リアルタイムでの機械制御に最適化された専用ハードウェアとOSを備えています。そのため、一般的なPCベースの制御と比較して処理速度が速く、高い信頼性を確保できる点が特徴です。

動作の速さ
  • 並列処理:入出力のスキャン時間が短く、制御処理を素早く実行
  • 専用チップ:不要なプロセスがないため、制御に特化した動作が可能
  • 低遅延:数ミリ秒単位のレスポンス速度で、即時制御が可能
信頼性の高さ
  • 堅牢ハードウェア:耐ノイズ性・耐振動性に優れ、過酷な環境でも安定稼働
  • 冗長化:重要な制御系では二重化構成が可能
  • エラー検出・診断機能:異常発生時に素早く対応できる設計

特に、24時間稼働が求められる生産ラインや重要インフラ制御において、PLCの動作の速さと高い信頼性は欠かせない要素です。

 

最小限の機器で動作できる

PLCは、シンプルな構成で機械制御を実現できる点が大きなメリットであり、その背景には次のような要素があります。

  • 制御ユニットが一体化:入力・演算・出力を1つのユニットで実行
  • 外部機器が少ない:外部PCや追加ハードウェアが不要な場合が多い
  • 拡張性が高い:必要に応じてモジュールを追加するだけで機能を拡張できる

たとえばリレー回路を使用した従来の制御では、多数のリレーや配線が必要でした。一方、PLCでは1台のコントローラで複雑な制御が可能になります。

 

物理的なスペースをとらない

PLCは、コンパクトな筐体に制御機能を集約しており、設置スペースを最小限に抑えられます。その背景には次のような要素が関連しています。

  • モジュール型設計:必要な機能をユニットごとに追加できる
  • 配線がシンプル:リレー回路よりも大幅に配線量を削減可能
  • コンパクトな筐体:制御盤内のスペースを節約できる

たとえば工場の制御盤では、従来のリレー制御からPLCに移行することで省スペース化が実現し、作業効率の向上にもつながっています。

 

動作を変更させる際に物理的な配線変更などが不要

PLCは、プログラムの変更だけで制御動作を柔軟に変更できる点も見逃せない特徴です。

リレー回路 PLC制御
変更方法 配線の変更 プログラムの書き換え
柔軟性 低い 高い
保守性 相対的に困難 相対的に容易

たとえば、生産ラインの製品仕様変更や動作フローの最適化が必要になった場合でも、PLCなら配線を変える必要はありません。ソフトウェアの修正のみで対応できます。

 

故障しづらく、故障しても交換しやすい

PLCは、耐久性に優れた設計となっており、長期間安定して稼働できる仕様になっています。その背景には次のような要素が関連しています。

  • 耐環境性能が高い:耐熱・耐湿・耐ノイズ性を備えている
  • シンプルな構造:可動部がないため、物理的な摩耗がない
  • 異常検出機能が充実:セルフチェック機能で予防保全が可能

さらにモジュール単位での交換も可能なため、万が一の故障時にも迅速な復旧ができる点も大きなメリットです。

 

PLC制御のデメリット

PLC制御には特段のデメリットはありませんが、強いて挙げるなら、一部のケースでは次のようなデメリットを考慮する必要があります。

  • プログラム作成に専門知識が必要
  • 一般的なPCよりも柔軟性が低い
  • 初期導入コストが比較的高い

たとえば小規模な設備であれば、PCベースの制御のほうが適している場合もあります。用途に応じた適切な選定が重要です。

 

PLCを構成する装置

PLCは以下の装置から構成されます。

構成要素 役割
入力装置 センサーやスイッチから情報を取得
出力装置 モーターやアクチュエータを動作させる
演算装置(CPU) 入力情報を基に処理を実行
記憶装置(メモリ) プログラムやデータを保存
電源装置 PLC全体に電力を供給

 

入力装置

入力装置は、センサーやスイッチから情報を取得し、PLCにデータを送る役割を担います。代表的な入力装置は次の通りです。

  • 押しボタン(スタート・ストップ制御用)
  • センサー(光電センサー、近接センサー)
  • スイッチ(リミットスイッチ、圧力スイッチ)

 

出力装置

出力装置は、PLCが制御した結果を基に、機器を動作させるためのデバイスです。代表的な出力装置は次の通りです。

  • モーター(生産設備の駆動)
  • アクチュエータ(エアシリンダーなど)
  • ランプやブザー(警告表示用)

 

演算装置(CPU)

演算装置は、入力データを処理し、出力へ反映するPLCの中核部分です。主に条件判断や論理演算、数値演算を担当します。

 

記憶装置(メモリ)

記憶装置には、PLCのプログラムやデータを保存する機能が備わっています。

  • ROM(プログラム保存用)
  • RAM(データ保存用)
  • フラッシュメモリ(設定保持用)

 

電源装置

PLCに電力を供給するためのユニットです。なお、安定した制御を実現するために、DC24Vなど直流電源を使用することが一般的です。

 

PLCを動作させるプログラム(プログラミング言語)

PLCの制御には、専用のプログラミング言語を使用します。これらの言語は、産業用オートメーションの標準規格である「IEC 61131-3」に準拠しており、PLCの動作を柔軟に制御するためにそれぞれの特性に応じて使い分けられます。

言語 特徴 適用分野
ラダー言語(LD) リレー回路に近い直感的な表記で初心者にも扱いやすい 一般的なシーケンス制御
ST(ストラクチャード・テキスト)言語 C言語のような構造化テキストで、複雑な計算処理に適している 高度な演算やデータ処理
IL(インストラクション・リスト)言語 アセンブリに近い言語で、コンパクトなコード記述が可能 メモリ制約がある環境
FBD(ファンクション・ブロック・ダイアグラム)言語 ブロック図を使用し、視覚的にフローを作成可能 プロセス制御や条件分岐の多い制御
SFC(シーケンシャル・ファンクション・チャート)言語 フローチャートに近い記述方法で段階的なシーケンス制御に適している 大規模な工程制御

たとえばシンプルなリレー回路の置き換えであればラダー言語を、複雑な演算や条件分岐が多い局面であればST言語を使用する、といった要領です。

これらの言語を適切に組み合わせることで、効率的かつ柔軟な制御システムの構築が可能になります。PLCを扱うエンジニアは、最低でもラダー言語とST言語の基本を習得しておくことが望ましいでしょう。

 

まとめ
  • PLCは機械や設備の自動化を実現するための制御装置であり、高い信頼性と柔軟性が特徴
  • 従来のリレー回路よりも保守や変更が容易
  • PLCは工場の生産ラインだけでなくエレベーターやエアコンなど身近な機器にも利用されている
  • PLCの導入によって高速処理や省スペース化が可能になり、保守性や拡張性も向上する
  • プログラムの変更のみで動作を修正できるため、配線変更が不要で作業効率が向上する
  • 主要なプログラミング言語にはラダー言語、ST言語などがあり、用途に応じて使いわける
  • 初学者はまずはラダー言語から学び、徐々に高度な言語へ習熟することで制御の幅を広げられる

 

 

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