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エンジニアに求められるポータブルスキルとは?テクニカルスキルとの違いや鍛え方を解説

働き方の多様化および柔軟化、そして「VUCA」とも称される変化の速い時代が到来している現代のビジネス環境では、業種や職種を問わず活用できるポータブルスキルがますます重要視されるようになっています。

論理的思考力やコミュニケーション能力をはじめ、ポータブルスキルはエンジニアにとっても必須となるものです。また、転職にあたって考慮されるスキルでもあるため、複数の開発現場での業務を通じてキャリアを重ねていく派遣エンジニアにとっても重要となるでしょう。

本記事ではエンジニアに求められるポータブルスキルについて、具体例や鍛え方にも触れながら解説していきます。

POINT

  • ポータブルスキルとは、特定の職種や業界、企業などに依存せず、どのような職場や環境であっても活用できる「持ち運び可能な」スキルのこと
  • 勤務先が変わることの多い派遣エンジニアにとって、「ポータブルスキル=転職力」ともいえるほど重要なスキル
  • テクニカルスキルは、ポータブルスキルとは異なり、「Javaの開発経験5年」といった専門性の高いキャリアや具体的な技術などを指す

 

ポータブルスキルとは?

ポータブルスキルとは、特定の職種や業界、企業などに依存せず、どのような職場や環境であっても活用できる、「持ち運び可能な」スキルを指します。

なお、厚生労働省ではポータブルスキルを次のように定義しています。

「ポータブルスキル」とは、職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキルのことです。

引用:ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)|厚生労働省

わかりやすく説明すると、ポータブルスキルはビジネスの基礎力ともいえるものであり、コミュニケーション能力やマネジメント力、論理的思考力など、転職や異動などによって環境が変わっても発揮できるスキルです。

エンジニアにおいては、論理的思考力や問題解決能力がその典型例となるでしょう。これらのスキルは、システムの設計や仕様策定時、あるいは開発段階で問題に直面したときに解決策を講じていく場面など、エンジニアリングの現場のあらゆる状況で発揮されます。

また、ビジネスにおけるスキル構造は、「スタンス(マインドセット)」「ポータブルスキル」「テクニカルスキル」のピラミッド階層で成り立っています。

土台となる「スタンス」は物事に対する姿勢や意識、価値観などです。その上に仕事を通じて身につく「ポータブルスキル」があり、特定の職種や領域の専門技術である「テクニカルスキル」を下支えしています。

 

ポータブルスキルとテクニカルスキルの違い

テクニカルスキルとは、ポータブルスキルとは異なり、具体的な技術や専門知識を指します。たとえば「Javaの開発経験5年」といった専門性の高いキャリアや、「基本情報技術者」「応用情報技術者」などの所有資格が該当します。

つまり、ポータブルスキルは業種や職種が変わっても活かせる、いわば汎用的な能力であるのに対し、テクニカルスキルは担当業務に応じたスキルであり、エンジニアの場合ではプロジェクトの成功に直結する専門技術を指すものです。

また、ポータブルスキルは履歴書や職務経歴書に明確に記載することは難しいですが、テクニカルスキルは業務経験や所持資格として記載しやすいことも異なる点です。

 

ポータブルスキルとアンポータブルスキルの違い

アンポータブルスキルとは、特定の企業やプロジェクトにおいてのみ通用するスキルを指します。たとえば、社内SEが有する自社独自の基幹システムの保守・運用ノウハウは、アンポータブルスキルに該当します。

ポータブルスキルは環境を問わず活用できるのに対し、アンポータブルスキルは特定の企業を離れると価値が減少することがあることから、「アンポータブルスキル」の言葉はしばしばネガティブな意味で用いられています。

 

ポータブルスキルが注目される背景

近年、ポータブルスキルを磨き上げる重要性がますます高まっている背景には、雇用形態の変化やVUCAの時代の到来などが挙げられます。

かつての終身雇用や年功序列といった働き方は形骸化し、雇用のかたちは流動化しています。また、現在は「VUCAの時代」といわれるように、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性が高まり、ビジネス環境を取り巻く先行きも不透明化し、かつてなく変化の著しい社会となっています。

つまり、大企業の正社員であっても安泰とは言い切れず、また事業の継続が危ぶまれるような事態に陥る可能性も否定できないということです。

こうした時代背景から、企業に求められ続ける人材であるために、ポータブルスキルが重要視されるようになりました。特に勤務先が変わることの多い派遣エンジニアにとって、「ポータブルスキル=転職力」ともいえるほど重要なスキルとなります。

 

ポータブルスキルを構成する要素と具体例

厚生労働省では、ポータブルスキルを構成する要素として、「仕事のし方」「人との関わり方」の2つの観点から、以下の9つの要素に分類しています。

工程 要素 概要
仕事のし方 現状の把握 取り組むべき課題やテーマを設定するために必要となる情報収集および収集した情報の分析のやり方
課題の設定 現状を踏まえたうえで、事業やプロジェクト、商品、組織、仕事の進め方などの取り組むべき課題を設定する方法
計画の立案 担当業務や課題解決を遂行するための具体的なスケジュールの立て方
課題の遂行 策定した計画にもとづくスケジュール管理や各種調整、業務における障害の排除や精神的なプレッシャーの乗り越え方
状況への対応 予期できないできごとなどトラブルへの対応や責任の取り方
人との関わり方 社内対応 経営層や上司、関係部署に対して、納得感の高い円滑なコミュニケーションを取り、支持を得ていくためのやり方
社外対応 顧客や社外パートナーなどに対して、納得感の高い適切なコミュニケーションを取り、利害調整や合意形成を図る方法
上司対応 日常業務において、上司への適切な報告や課題の改善に関する意見の述べ方
部下マネジメント メンバーの動機付けや育成、個々の持ち味や能力を活かした業務の割り当てのやり方

参考:ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)|厚生労働省

これらの要素をもとに、特にエンジニアリング業界にて重宝される具体的なポータブルスキルを考えていきます。

 

論理的思考力

論理的思考力は汎用性が高いポータブルスキルのひとつであり、物事を客観的に見て体系的に整理し、筋道を立てて考える能力を指すものです。

論理思考力はエンジニアにとっても欠かせないスキルです。たとえば、新しい技術の導入やトラブルシューティングの際に、論理的思考力は大いに活かされます。要件定義をもとに、矛盾のない仕様書や設計書を作成する際なども同様であり、論理的思考力はエンジニアとして活躍し続ける根幹ともいえる能力です。

 

コミュニケーション能力

円滑にコミュニケーションをとるスキルや、コミュニケーションによって信頼関係を構築する能力は、あらゆるビジネスシーンで重要とされるポータブルスキルです。この能力は、チーム内外での情報共有や調整の円滑化に大きく関係し、プロジェクトの成功率を高めていくうえでも欠かせません。

エンジニアの業務においても、チーム開発におけるスケジュール設定や担当タスク調整、情報共有、進捗確認など、さまざまなシーンでコミュニケーション能力が必要とされます。クライアントの潜在的な要望を引き出す要件定義のためのヒアリングの場でも重要です。リモートワークが増えるなかで、ますます欠かせない能力になっていきます。

 

課題解決能力

課題解決能力とは、さまざまな事象から課題を見つけて原因を突き止め、解決を図るための対応策を導き出すスキルです。この能力は、業務の効率化やプロジェクトの推進力にも直結します。

たとえばエンジニアリングの現場では、システムの不具合が発生した際の対応力が大きく問われます。バグの原因を迅速に特定し、修正する能力は、エンジニアにとって非常に重要であることは言うまでもありません。

 

セルフマネジメント能力

セルフマネジメント能力とは、自分自身のスケジュールや目標を管理する能力を指します。自己成長を促し、長期的にキャリアを形成していくうえでも欠かせない能力であり、リモートワーク下でも重要なスキルとして機能します。

また、タスクの優先順位を適切に決定し、効率的に業務を進めていく能力は、チーム開発においても欠かせません。プロジェクトを計画通りに遂行すべく、エンジニアそれぞれが自身の時間管理や感情をコントロールし、高いパフォーマンスを発揮するように期待されているためです。

 

ポータブルスキルの鍛え方

ポータブルスキルは経験とともに磨かれていくものではありますが、次のような点を意識して鍛えてみるとよいでしょう。

  • まずは現状を把握する
  • ロールモデルを見つけて参考にする
  • 自分で学ぶ

 

まずは現状を把握する

まずは現状把握として、「自分に備わっているスキル」と「身についていないスキル」を知りましょう。現在の業務内容や想定するキャリアプランと照らし合わせることで、鍛えるべきスキルを認識できます。

また、ポータブルスキルを診断するためのツールとして、厚生労働省では『ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)』を提供しています。これにより、ポータブルスキルの強み・弱みを客観的に把握できるとともに、入力した数値に近い職務や職位を知ることもできます。

 

ロールモデルを見つけて参考にする

社内などでロールモデルを見つけて、モデルの行動やスキルを参考にすることも有効です。同じ部門であれば、業務を一緒に進めてやり方を学んでいくことで、自分の課題に気づくきっかけを得られます。成功しているエンジニアの特徴や仕事の進め方を学び、自身のスキル向上に役立てましょう。

 

自分で学ぶ

そして何より大切なのは、自分で学ぶ姿勢です。書籍やe-ラーニングなどの講座、ビジネススクールなどを利用して、積極的に新しいスキルを身につけましょう。

e-ラーニングは鍛えたいスキルを選んで繰り返し学習を行えることが特徴です。自身が鍛えるべきと考えるスキルを選ぶとよいでしょう。また、ビジネススクールや研修の受講は実践レベルの学習を行えるほか、講師や社外の受講者との関わりによって、視野が広がるというメリットがあります。

 

まとめ
  • ポータブルスキルとは、特定の職種や業界、企業などに依存せず、どのような職場や環境であっても活用できる、「持ち運び可能な」スキルのこと
  • エンジニアにおいては、論理的思考力や問題解決能力がその典型例
  • 勤務先が変わることの多い派遣エンジニアにとって、「ポータブルスキル=転職力」ともいえるほど重要なスキル
  • テクニカルスキルは、ポータブルスキルとは異なり、「Javaの開発経験5年」といった専門性の高いキャリアや具体的な技術などを指す
  • ポータブルスキルを磨き上げる重要性がますます高まっている背景には、雇用形態の変化やVUCAの時代の到来などが挙げられる

 

 

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