1. パーソルクロステクノロジーのエンジニア派遣
  2. 【はたラボ】派遣のニュース・仕事情報
  3. 派遣業界コラム
  4. ワークライフインテグレーションとは?ワークライフバランスとの違いや企業・個人のメリットと取組事例

ワークライフインテグレーションとは?ワークライフバランスとの違いや企業・個人のメリットと取組事例

ワークライフバランスの最適化を望んでいるものの、一向に実現しない。そのように悩む人は少なくないでしょう。多くの人にとって、仕事とプライベートのバランスは、一生のテーマともいえる課題です。

しかし、両者のバランスの舵取りに必要なのは、実は時間の配分でありません。「仕事を頑張ったご褒美として、プライベートを充実させる」といったように対立関係で捉えていると、両者は相容れないものとなってしまいます。一方は苦しい時間、もう一方は楽しい時間と、悪い意味でのメリハリしかつかないのです。

そんな生き方を刷新する、新たな概念として「ワークライフインテグレーション」が注目されています。

POINT

  • ワークライフインテグレーションとは、仕事とプライベートを一体化させ、個人のライフスタイルに柔軟に対応する働き方で人生を豊かにしていく概念
  • 従来のワークライフバランスとは異なり、仕事と生活の境界を曖昧にし、相互に調和することで、効率的かつ持続可能な働き方を実現する
  • ワークライフインテグレーションは、企業と従業員双方にメリットをもたらし、持続可能なビジネス環境を実現する

 

ワークライフインテグレーションとは

ワークライフインテグレーションとは、仕事とプライベートを切り離すのではく、一体化・相乗させるアプローチにて、人生を豊かにしていく概念です。なお、Integrationとは「統合」を意味する言葉であり、直訳すると「仕事とプライベートの統合」となります。

わかりやすくいうと、ワークライフインテグレーションは「仕事」「プライベート」を明確に線引きするのではなく、どちらも人生を構成する重要な要素と捉え、仕事を通じたプライベートの充実を目指す考え方です。

具体的には、リモートワークなどテクノロジーの活用によって、働く時間や場所に捉われないスタイルを可能とし、個人のライフスタイルや価値観に応じた働き方を実現できる点が特徴です。特にエンジニアなど、専門的なスキルを持つビジネスパーソンにおいては、モチベーションを最大限に発揮させる環境を整える鍵となる考え方でしょう。

内閣府や厚生労働省もワークライフインテグレーションの重要性を認識しており、企業と社会が協力して、従業員のライフスタイルに柔軟に対応する必要性を訴えています。

ワーク・ライフ・インテグレーションの定義は、ワークとライフを統合するという形、つまり、個人や企業のみでのワーク・ライフ・バランスの努力では成し得ない部分を、補填・支援するもっと包括的な様態を指します。

引用:カエル!ジャパン通信 Vol.222|内閣府

このように、ワークライフインテグレーションは、ワークライフバランスの発展形とも捉えられます。

【ワークライフバランスとワークライフインテグレーションの違い】
  • ワークライフバランス:仕事と生活を明確に分け、両者の配分を最適化する
  • ワークライフインテグレーション:仕事と生活が相互に補完し合い、シームレスに統合される

ワークライフバランスでは、時間やエネルギーの配分に制約が生じることがあり、バランスを取ること自体がストレスとなることもあります。

これに対し、ワークライフインテグレーションは、個々の状況や業務の特性に応じて、時間や場所に縛られない働き方が可能となる、より実践的かつ持続可能なアプローチといえるでしょう。

 

プライベートと仕事は対立関係ではない

奇麗事のように聞こえるかもしれませんが、元々仕事とプライベートは対立する関係ではありません。平日も休日も関係なく、寝食を忘れるほどにアプリケーション制作に没頭した。そんな経験があるエンジニアも多いはずです。そこにプライベートと仕事の対立関係は見出せません。

つまり、仕事のマイナスをプライベートのプラスで相殺し、残った分で充実を得るというのは、本来の正しい考え方とはいえません。足を引っ張り合う引き算の関係ではなく、掛け算的な考え方ができれば、両者は相乗効果として発展します。

 

壁を取り払い仕事と生活を調和させる

しかし実際には、従業規則など自分の意思ではどうにもできない壁があることも事実です。働く時間、あるいは場所といった物理的な制限などの影響は大きく、その結果「仕事」「プライベート」に線が引かれてしまいます。

そのため、厚生労働省が推進を図るなど、個人の努力では実現できない要素を政府・社会・企業が寄り添うことで叶える取り組みとして、ワークライフインテグレーションが注目されているのです。

 

ワークライフインテグレーションが注目される理由

ワーククライフインテグレーションが注目される背景として、次の3点に着目します。

  • 働き方改革の推進と働き方の多様化
  • 価値観の多様化
  • 性差よりも個人の能力に応じた役割を重視

なかでも大きなポイントとなるのが、人々の価値観の変化と、それに伴う働き方の多様化です。新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限の影響などはわかりやすい例でしょう。開発現場の多くでもリモートワーク(テレワーク)が推進されるなど、チームとしての働き方や業務環境は大きく変わり、意識が変容するきっかけにもなりました。

 

働き方改革の推進と働き方の多様化

政府が推進する「働き方改革」とは、労働環境や労働習慣の見直しを通じて、労働者のワークライフバランスを改善し、生産性の向上を図る一連の取り組みです。

その結果、労働環境は大きな変化を遂げています。テクノロジーの進化とともに、リモートワークや副業、フレックスタイム制など、従来のオフィス中心の働き方から、より柔軟で多様な選択肢が広がりました。また、時短勤務や時差出勤なども多くの企業が取り入れており、働く時間や場所に裁量が与えられました。

少し前までは、エンジニアリング業界においても「職場に出勤して、フルタイムで働くもの」というスタイルが半ば常識でした。しかし働き方改革が進む現在、人々は個々のライフスタイルに合わせた働き方を比較的選びやすくなっているのです。

 

価値観の多様化

働き方の常識が変われば、個人の価値観も変容します。静かな退職と呼ばれる、スキルアップやキャリアアップを目指さず、ルーティンワークを淡々とこなす働き方を望む人が増えているのも、仕事に対する価値観の変化によるものです。

年功序列の時代は終わり、能力に応じたキャリアアップを目指しやすくなった一方で、「多くを望まない生き方」を志向する選択肢もあります。それによって、プライベートの時間を確保しやすくなるメリットもあります。

つまり価値観の多様化とは、画一的な正解を作らず、人それぞれの生き方を尊重することを大切にすることです。人によって異なる価値観に応じて、仕事とプライベートの選択肢が多く存在することが重要であり、プライベートと仕事の境界線をどう引くか、あるいは両者を掛け算的な関係として捉えるのか、その解は個人に委ねられます。

 

性差よりも個人の能力に応じた役割を重視

専業主夫や女性管理職の増加など、性差による役割分担は以前よりも少なくなってきています。実際、女性には家事や育児が向いており、男性の方が仕事の生産性が高いといった事実はありません。

女性の場合は、妊娠・出産といったライフステージの変化による影響が大きいため、自然と役割が決められやすくなっている側面はありますが、その固定観念も広域に温存されるべきものではありません。各々が高い生産性を発揮し、仕事とプライベートを充実させるためには、個人の能力や価値観に応じて役割を選べるべきであり、ワークライフインテグレーションの概念もその一環と位置付けられます。

 

ワークライフインテグレーションによるメリット

ワークインテグレーションは、仕事とプライベートという社会活動をより高次元に発展させ、社会全体を豊かにさせるために有用な概念です。とはいえ抽象度が高く、具体的なイメージがわかないという人も少なくないでしょう。

ワークインテグレーションの実現、取り組みによる具体的なメリットは以下のようにまとめられます。

企業のメリット 個人のメリット
  • 優秀な人材の確保
  • 従業員の生産性向上
  • 長期的な企業活動の実現
  • 働く場所や時間の制約が減る
  • ワークライフバランスの実現
  • 幸福度の向上

企業にとっては、人材不足の解消につながり、能動的な従業員が増えれば長期的な企業活動を実現しやすくなります。一方、個人にとっては、仕事とプライベートをプラス/マイナスで判断する必要がなくなり、一言でいえば「生きやすくなる」といえる概念です。

 

ワークライフインテグレーションによる企業のメリット

まずは企業のメリットから個別に見ていきます。

  • 優秀な人材の確保
  • 従業員の生産性向上
  • 長期的な企業活動の実現

 

優秀な人材の確保

優秀な人材とは、長時間労働ができる人材のことではありません。生産性が高く、自社に必要な成長マインドを有する自立した人材です。そのため、優秀な人材ほど視座が高く見識も広がるため、働き方や生き方に柔軟性を求めるケースが多くなります。

そういった人材を無理に囲い込もうとしても、理想の生き方を実現できそうにない環境ではいずれ離職してしまいます。優秀な人材を確保するにはその仕事が、個人のプライベートを充実させるものでないといけません。ワークインテグレーションの概念に則り、個々への最適な働き方の提供が望まれます。

たとえばフルリモートワークの導入によって、遠方の人材を獲得することも可能になるでしょう。出勤を義務付けなければ、採用エリアという制約を超えて優秀な人材を募りやすくなります。

 

従業員の生産性向上

エンゲージメントが高い従業員ほど、高い生産性を発揮します。企業への愛着により返報性の原理が働き、能動的な貢献意欲が生まれるためです。また、そうした関係性があるほうが従業員自身の人生にもプラスになります。

ここで大切なのは、ただ強制されている仕事ではなく、自らの豊かな人生のためにその仕事を選んでいるというモチベーションです。会社員や派遣社員、あるいはSESでも、それは実現できるものです。

個人に最適な働き方とは、必ずしも労働時間の短縮ではありません。ときにはハードワークを自ら求める場合もあるでしょう。必要なタイミングで場所や時間といった働き方を柔軟に選べる仕組みがあれば、従業員エンゲージメントは高まっていきます。

 

長期的な企業活動の実現

優秀な人材が集まり、生産性の高い従業員が増えれば、企業活動は長期的に推移します。人手不足で事業が回らなくなったり、自社に不利益をもたらす従業員が減ったりと、利益を高めやすい組織づくりが可能になるためです。

規則で縛っていても、優秀な人材になるほど別の環境に活躍の場を求めるようになるでしょう。そのようなアプローチでは人を育てても退職され、その度に採用活動を行わなければならない負のスパイラルに悩まされます。

ワークライフインテグレーションに取り組み、個々の従業員が働きやすい環境を整えることは、結果的に長期的な企業活動に発展していきます。

 

ワークライフインテグレーションによる個人のメリット

続いて、ワークライフインテグレーションによる個人のメリットです。

  • 働く場所や時間の制約が減る
  • ワークライフバランスの実現
  • 幸福度の向上

 

働く場所や時間の制約が減る

ワークライフインテグレーションの一環として、リモートワークや時差出勤などが導入され、働く場所や時間の制約が省かれていくメリットは大きいです。通勤時間が無くなることにより、できることの選択肢が大きく変わる人も出てきます。

仕事にストレスを抱える原因は、仕事内容や人間関係だけではありません。通勤時間が苦痛であり、体力的にも精神的にも負荷がかかり、働くモチベーションが低下してしまう人も多いでしょう。また、子育て世代であれば、お迎えや急な退勤など時間や場所に縛られていては私生活が成立しないケースも多々あります。

働く場所や時間の制約が減ればワークライフバランスを取りやすくなり、生き方や心のバランスも整っていく過程を経て、ワークライフインテグレーションの実現につながっていきます。

 

ワークライフバランスの実現

繰り返しになりますが、ワークライフインテグレーションは、ワークライフバランスの発展形です。

本来、ワークライフバランスを求める人が叶えたい欲求とは、仕事とプライベートのバランスをとることではなく、仕事とプライベートの両方を充実させることです。両者の線引きを無くし、仕事とプライベートの足の引っ張り合いから脱却できれば、個々が叶えたかった生き方を実現しやすくなります。

時間単位でバランスをとろうとするのではなく、プライベートとの相乗効果を得るために仕事を選ぶという価値観が根付けば、双方を人生に必要な要素として大切にできるはずです。

 

幸福度の向上

ワークライフインテグレーションによってもたらされるのは、最終的には幸福度の向上です。何が幸せかは人によって異なるため、固定された働き方や家庭における役割を与えられては、世の中が決めた正解を自分にとっての正解にするしかなくなってしまいます。

結果、合わない仕事を続けてポテンシャルを発揮できなかったり、経済的にも安定しなかったり、最悪の場合メンタルヘルスに不調をきたしてしまったりしては、自身が望む幸福とは正反対になってしまうでしょう。

働くことも、プライベートなど私生活の時間も、すべてが人生の一部です。ワークライフインテグレーションが推進されれば、多くの人が生きやすい世の中に変わっていきます。

 

ワークライフインテグレーションの取り組み例

ワークライフインテグレーションの実現に向け、各社がさまざまな取り組みを行っています。いずれも、これまでの働き方の常識に一石を投じる新たな試みであり、日本ではまだ多くない事例も見られます。企業が率先して行う制度・仕組みからは、ワークライフインテグレーション実現のヒントが得られるでしょう。

 

トヨタ自動車の「週休3日制度」

トヨタ自動車は、希望すれば「ゼロ時間勤務日」を設定できる制度を設け、これにより週休三日を実現できるようになる仕組みを検討しています。

具体的には、平日に1日2時間の最低勤務時間というルールを撤廃することで、平日にゼロ時間勤務日を設ける結果、週休三日も可能になるというものです。休んだ日の労働時間は、別の稼働日に残業をするなど所定労働時間は変わらないため、週休三日にしたからといって給与が変動することもありません。

トヨタが掲げる「10年先の働き方をつくる」の実現に向けて、従業員一人ひとりが成長を実感できる職場づくりの具体的な取り組みとなっています。

 

サイバーエージェントの「妊活休暇制度」

サイバーエージェントでは、不妊治療などを目的とした通院の際に使用できる、「妊活休暇制度」を設けています。月1回まで取得可能な特別休暇であり、卵子凍結における通院等でも利用可能となっています。

妊活中は、急な体調不良や欠勤が起こりやすいため、上記の特別休暇は当日でも取得可能。さらに「エフ休」という女性特有の体調不良の際に使える特別休暇を理由にすれば、「妊活のために休んでいる」ことが周囲に知られないよう配慮されています。

女性のライフステージの変化に対するフォローアップは、ワークライフインテグレーションを実現するうえで欠かせない取り組みです。女性が働きやすい・生きやすい世の中になるほど、リスキリングなどの観点から見ても社会全体における労働生産性は高まるでしょう。

参考:福利厚生|サイバーエージェント

 

伊藤忠商事の「朝型勤務制度」

伊藤忠商事では、20時以降の残業を原則として禁止し、朝5時から8時の早朝勤務を推奨する「朝型フレックスタイム制度」を設けています。さらに、朝9時から15時をコアタイムとして設定できることで、早い人では15時に退勤することも可能となっています。

これは「朝に残業する」という逆転の発想の実践でもあります。ライフスタイルや家庭の事情によっては、早朝から仕事を開始して、明るいうちに退勤できた方が生活しやすい人もいるでしょう。

生産性を高めるために朝から働く従業員が損をしないよう、7時50分以前に出勤した場合は、深夜勤務と同様の割増賃金を支給するなど、「従業員、個々の生き方・働き方を選びやすい仕組み」づくりに取り組んでいます。

参考:朝型勤務|伊藤忠商事

 

まとめ
  • ワークライフインテグレーションとは、仕事とプライベートを一体化させ、個人のライフスタイルに柔軟に対応する働き方で人生を豊かにしていく概念
  • 従来のワークライフバランスとは異なり、仕事と生活の境界を曖昧にし、相互に調和することで、効率的かつ持続可能な働き方を実現する
  • 働き方改革や価値観の多様化により、ワークライフインテグレーションは注目を集めるようになった
  • ワークライフインテグレーションにより、企業は、優秀な人材の確保や従業員の生産性向上など、多くのメリットを享受できる
  • 個人にとっては、働く場所や時間の制約が減り、仕事と生活の両立がより容易になることで、幸福度が向上する
  • 結果として、ワークライフインテグレーションは、企業と従業員双方にメリットをもたらし、持続可能なビジネス環境を実現する

 

 

\ SNSでシェアしよう! /

【はたラボ】派遣のニュース・仕事情報・業界イロハ|派遣会社・人材派遣求人ならパーソルクロステクノロジー |IT・Web・機電の派遣求人ならパーソルクロステクノロジーのエンジニア派遣の 注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

【はたラボ】派遣のニュース・仕事情報・業界イロハ|派遣会社・人材派遣求人ならパーソルクロステクノロジー |IT・Web・機電の派遣求人ならパーソルクロステクノロジーのエンジニア派遣の人気記事をお届けします。

関連記事

  • エンジニアに求められるポータブルスキルとは?テクニカルスキルとの違いや鍛え方を解説

  • 【図解】SESとSIer・派遣・請負の違いとは?エンジニア目線でのメリットと「やめとけ」とされる背景

  • ジェネラリストとスペシャリストの違いと適性|今後エンジニアはどちらを目指すべきか?

  • 派遣の抵触日とは?事業所単位と個人単位の違いやリセット条件・対象外となる条件を解説

  • 派遣会社とは?働く仕組みやエンジニアにおけるメリットをわかりやすく解説

  • 50代エンジニアの需要が高まっていく理由|生涯必要とされ続けるキャリアの築き方のポイントとは

PAGE TOP