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【掛け持ちOK】個人事業主と派遣を兼業するメリットと確定申告・年末調整の取り扱い

「個人事業主の仕事を確保しつつ、派遣社員として働くことはできるのか?」こうした疑問を持つフリーランスは、エンジニア領域においても少なくないでしょう。

個人事業主の収入には波があるものです。そこで一定の安定所得を求め、派遣と掛け持ちをしているケースは実際に多く見られます。なお、この個人事業主と派遣の掛け持ちが法律違反等に該当することは原則としてありませんが、掛け持ちするうえで留意すべき点もあります。

本記事では、個人事業主と派遣の兼業を考えている方に向け、両者の働き方の違いや掛け持ちをするメリットおよび注意点、確定申告の進め方などについて解説します。

POINT

  • 個人事業主と派遣の掛け持ちは可能だが、副業規定など就業規則や契約内容の確認が必要
  • 派遣と掛け持ちすることで、収入を安定させながら個人事業の成長やエンジニアとしてのスキルアップを図れる
  • 個人事業での経費計上と給与所得控除の適用により、節税の恩恵を受けられる
  • 個人事業と派遣の掛け持ちでは確定申告が必要になるため、税務処理を適切に行う

 

 

個人事業主は派遣との掛け持ちOK

結論から言うと、個人事業主が派遣会社に登録し、掛け持ちして働くことは可能です。ただし、いくつかの注意点があるため、額面通りに「OK」と思い込むことは危険です。

個人事業主が派遣社員と掛け持ちで働くことには、収入の安定化を図れるなどのメリットがある一方で、時間調整や事務作業の煩雑化といった課題も懸念されます。また、副業規定など就業規則との兼ね合いや契約上の制約なども考えられるため、掛け持ちを検討する際には次のポイントを押さえておきましょう。

【個人事業主と派遣社員を掛け持ちする際のポイント】

  1. 副業規定:一部の派遣会社では副業を禁止しているケースもあるため、登録時の就業規則や契約内容を確認する
  2. 労働時間の調整:派遣先によってはフルタイム勤務を求められるため、個人事業とのバランスが重要になる
  3. 確定申告の必要性:個人事業主としての所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要

結論として掛け持ちは可能ですが、契約やスケジュール、税務面でしっかりと準備をしておくことが重要です。

 

個人事業主と派遣の働き方の違い

個人事業主と派遣社員では、仕事の契約形態が大きく異なります。それぞれの働き方の特徴を、報酬形態や社会保険、業務範囲の観点を含めてまとめました。

個人事業主 派遣社員
契約形態 業務委託契約(クライアントと直接契約) 労働契約(派遣会社と雇用契約)
報酬形態 成果報酬・時給・月額など自由に設定可 派遣会社を通じて給与を受け取る
社会保険 国民健康保険・国民年金 健康保険・厚生年金・雇用保険(適用条件あり)
業務範囲 自由に選択可能 派遣契約の範囲内で業務を行う

総じて個人事業主は自由度が高いが収入が不安定になりやすく、派遣は安定した収入が得られるものの業務範囲が限定されるという特徴があります。

 

個人事業主と派遣を掛け持ちするメリット

個人事業主と派遣を掛け持ちすることによって、次のようなメリットを得られます。

  • 収入を安定的に増やせる
  • 社会保険に加入できる場合がある
  • 所得控除などにより節税できる場合がある
  • 人脈を広げられる
  • スキルアップが望める

特にエンジニアにとっては、収入の安定化とスキル向上の両方を狙える点が大きな魅力です。

 

収入を安定的に増やせる

フリーランスエンジニアの最大の課題は、収入の不安定さです。高単価案件を多く獲得できれば収入は上がる反面、案件が途切れると収入はゼロになってしまいます。毎月コンスタントに一定の案件を受注できる体制が理想ですが、実際にはなかなかそうもいかず、収入が安定しない個人事業主は少なくありません。

一方、派遣社員は労働時間に対して給与が支払われるため、毎月決まった額の収入を安定的に得られます。特に次のようなエンジニアには、派遣社員との掛け持ちは大きなメリットとなるでしょう。

  • フリーランスとして独立したばかりで、収入が不安定な人
  • 案件を安定して獲得できるまでの準備期間として働きたい人

 

社会保険に加入できる場合がある

個人事業主は国民健康保険・国民年金が基本ですが、派遣会社を通じて勤務することで、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入できるケースがあります。社会保険に加入する主な条件は次のとおりです。

【社会保険の加入条件】

  • 週の勤務時間が20時間以上
  • 給与が月額88,000円以上
  • 2か月を超えて働く予定がある
  • 学生ではない

参考:社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について|厚生労働省

派遣社員も含む会社員向けの社会保険には、労災保険や雇用保険なども含まれており、掛け持ちで働くことでこれらの保険に加入できます。収入が不安定になりがちな個人事業主としては、何かあったときの保障が増える恩恵は大きいでしょう。

 

所得控除などにより節税できる場合がある

個人事業主として働くと、収入は事業所得(または雑所得)となり、必要経費を差し引くことができます。これは経費を計上して所得控除を受けられるということで、たとえば次のような経費が認められます。

  • 仕事用のパソコン・ソフトウェア費
  • インターネット通信費
  • 各種業務ツール利用料
  • コワーキングスペース利用料
  • 業務関連の書籍・講座費用 など

一方、派遣会社から受け取る給与は給与所得となり、自動的に給与所得控除が適用されます。給与所得控除とは、給与所得者の収入に応じて控除を受けられる仕組みのことで、これが適用されることで所得税の対象となる課税所得を抑えられます。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円まで 550,000円
1,625,001円から 1,800,000円まで
1,800,001円から 3,600,000円まで
3,600,001円から 6,600,000円まで
6,600,001円から 8,500,000円まで
10,000,001円以上 2,200,000円(上限)

参考:No.1410 給与所得控除|国税庁

このように、個人事業主と派遣社員の掛け持ちにより、節税効果を最大限に活用できます。たとえば個人事業のみで1か月30万円稼ぐ場合と、派遣との掛け持ちで30万円稼ぐ場合では、給与所得控除を受けられる後者の方が、節税効果が高くなる可能性があるのです。

 

人脈を広げられる

個人事業主の場合、獲得した案件の担当者以外の人と関わる機会はあまり多くありません。一方、派遣エンジニアとして派遣先企業に勤務する場合は、派遣先企業の従業員をはじめとする多くの人と知り合えます。

エンジニアにとって、人脈の広がりは案件獲得のチャンスを増やす大切な要素です。派遣先での仕事を通じて、クライアントやエンジニア仲間とつながる機会は、将来的な個人事業主としてのステップアップにも活かされます。

 

スキルアップが望める

個人事業主は収入を得ることをまずは最優先とし、ただ目の前にある作業に集中してしまいやすく、スキルアップは後回しになりがちです。また、一人で作業するうえに仕事を選べることから、特定分野の案件のみを受注し、ノウハウやスキルが偏ってしまうリスクも多分に考えられます。

こうした状況の打破においても、派遣エンジニアとの掛け持ちは有効です。これまでに経験のない業界のシステム開発やプログラミング言語に携われるなど、スキルアップの機会は豊富にあります。派遣で習得したスキルは機密事項でない限り個人事業でも活かせるため、特に実務経験が重視されるエンジニア業界では、掛け持ちは大きなメリットとなるでしょう。

 

個人事業主と派遣を掛け持ちする際の注意点と対策

個人事業主と派遣を掛け持ちする際には、いくつかの注意点やリスクもあります。

  • スケジュール調整や案件管理が複雑になる
  • 本末転倒になる可能性がある
  • 掛け持ちが違法になるケースがある

このように、適切なスケジュール管理と契約確認は必要不可欠な準備となります。

 

スケジュール調整や案件管理が複雑になる

個人事業主と派遣の掛け持ちでは、スケジュール調整は大きな課題となります。

たとえば派遣の仕事が固定されたシフト制であれば、一定時間は拘束されるため、必然的に個人事業に充てる時間は減ります。また、個人事業のみのときは働く時間を自由に決められますが、掛け持ちではそうはいきません。そのため、派遣勤務と個人事業の兼ね合いを見ながら、受注案件や納期を調整する必要があります。

特にエンジニアの場合、開発スケジュールやリリース時期が変更されることも多いため、フレキシブルに対応できる体制を作ることが大切です。

【対策】

  • 案件の締め切りを管理するツールを活用する
  • 稼働時間を事前に明確にしておく
  • 個人事業の案件を増やしすぎないよう調整する

無理なく掛け持ちを続けるには、これらの対策はマストとなるでしょう。

 

本末転倒になる可能性がある

掛け持ちの目的が「収入の安定化」や「スキルの獲得」であっても、業務負荷が過剰になれば、どちらの仕事にも支障が生じかねません。

たとえば個人事業の案件が増えてくると、派遣の仕事の時間が負担になり、結果的にパフォーマンスが下がることも考えられます。また、派遣の仕事に追われて個人事業の案件対応が遅れると、クライアントの信用を失うリスクもあります。

【対策】

  • 「何のために掛け持ちするのか」を明確にする
  • 派遣の勤務時間を調整し、過剰労働を避ける
  • ある程度の収入が確保できたら、派遣の仕事を見直す

目的を見失わないよう、定期的にキャリアを見直すことが重要です。

 

掛け持ちが違法になるケースがある

個人事業主と派遣の掛け持ちは基本的には可能ですが、就業規則や契約内容、法律によって制限されることもあります。たとえば派遣会社の就業規則で副業が禁止されている場合、個人事業との掛け持ちは契約違反となってしまいます。

【対策】

  • 派遣会社の就業規則を確認する
  • 副業OKの派遣会社を選ぶ
  • 契約書の内容を事前にチェックする

トラブルを避けるためにも、掛け持ちの際は契約内容をしっかりと把握しましょう。

 

個人事業主と派遣を掛け持ちしたら年末調整はどうなる?

派遣社員として働く場合は、派遣会社が年末調整を行ってくれます。ただし、年の途中で派遣の仕事を辞めた場合は12月分の給与支払いがないことから、派遣会社は年末調整をしてくれません。

また、個人事業主としての収入がある場合(事業所得が年間20万円以上の場合)、年末調整だけでは不十分なため、確定申告が必要になります。次のポイントを押さえておきましょう。

  • 年末調整後に確定申告が必要か確認する
  • 派遣会社から源泉徴収票をもらう
  • 個人事業主の収入と経費をしっかり記録する

 

個人事業主と派遣を掛け持ちした場合の確定申告の進め方

個人事業主と派遣を掛け持ちしている場合は、フリーランスの所得(事業所得または雑所得)と派遣社員の給与所得を合算して確定申告します。それぞれの所得は別々に計算し、最終的に合算して所得税を計算する流れです。

個人事業主と派遣を掛け持ちした場合の確定申告の進め方は次のとおりです。

  1. 派遣会社から送られる源泉徴収票を控えておく
  2. 期間内に所定の方法で確定申告する

派遣で得た給与分の源泉徴収票を控えておく必要がある程度であり、実務上の確定申告は特段難しくはありません。

 

①派遣会社から送られる源泉徴収票を控えておく

派遣社員として働いている場合、給与から所得税が源泉徴収されています。そのため確定申告時には源泉徴収票が必要です。源泉徴収票は12月下旬から1月に発行され、派遣会社から送られてくるため、大切に保管しておきましょう。

万が一紛失してしまった場合は、派遣会社に再発行を依頼すれば取得できます。

 

②期間内に所定の方法で確定申告する

確定申告の流れは次のとおりです。

  1. 派遣会社の源泉徴収票と個人事業の収入・経費を整理
  2. 確定申告書を作成(e-Taxや税務署窓口で提出)
  3. 納税額を確認し、必要に応じて納税する

なお、確定申告に必要な書類は、白色申告か青色申告かによって異なります。

  • 白色申告:帳簿の作成がシンプル(単式簿記)な一方、税制上のメリットが少ない
  • 青色申告:複式簿記が必要な反面、最大65万円の控除が適用されるなど税制上のメリットが大きい

それぞれ、必要な書類は次のとおりです。

白色申告 青色申告
  • 確定申告書B
  • 収支内訳書
  • 所得控除の添付書類 など
  • 確定申告書B
  • 青色申告決算書
  • 所得控除の添付書類 など

申告期間は2月の中旬から3月の中旬までです。税務署等のホームページで事前に確認しておきましょう。

 

個人事業主と派遣の掛け持ちがおすすめの人

次のようなエンジニアには、個人事業主と派遣の掛け持ちを特におすすめできます。

  • 独立を目指しているが、収入が安定するまで時間が必要な人
  • 事業収入以外に安定収入を得たい人
  • フルタイムのではない派遣案件を希望する人
  • 個人事業の案件を増やしながら、固定収入も確保したい人
  • スキルアップや人脈を広げたい意欲がある人

特に個人事業主の不安定な収入に悩んでいる人には、掛け持ちを強く推奨します。また、派遣と掛け持ちして条件を満たせば社会保険への加入も可能となり、手厚い社会保障の恩恵も受けられます。

また、個人事業主としてスキル不足を感じていたり、営業方法が分からなかったりする場合も、派遣との掛け持ちで現状打破につながることも考えられます。派遣と個人事業のバランスを取りながら、スキルアップと収入の安定を両立したい人には最適な選択肢となるでしょう。

 

個人事業主と派遣の掛け持ちがおすすめできない人

一方、次のような人にとっては、掛け持ちは積極的な選択肢とはならないでしょう。

  • スケジュール管理が苦手で、業務が重なると対応しきれなくなる人
  • 自己管理ができない人
  • 個人事業の売上を早期に軌道に乗せたい人
  • すでに個人事業の案件が安定している人

先述した通り、掛け持ちは個人事業主と派遣の2つの仕事を同時進行しなければいけないため、スケジュール管理は煩雑化します。スケジュール管理が苦手な人や、自己管理能力がない人には、掛け持ちの適正に疑問符が付きます。

また、早期に個人事業を軌道に乗せたいと考えるのであれば、目先の安定収入のために掛け持ちするよりも、個人事業の案件遂行や営業、広報・集客などに注力すべきでしょう。

 

まとめ
  • 個人事業主と派遣の掛け持ちは可能だが、副業規定など就業規則や契約内容の確認が必要
  • 派遣と掛け持ちすることで、収入を安定させながら個人事業の成長やエンジニアとしてのスキルアップを図れる
  • 個人事業での経費計上と給与所得控除の適用により、節税の恩恵を受けられる
  • 派遣先の企業やエンジニア仲間と人脈を形成できれば、案件獲得のチャンスを増やせる
  • 社会保険(健康保険・厚生年金)に加入できる可能性があり、長期的なメリットもある
  • 個人事業と派遣の掛け持ちでは確定申告が必要になるため、税務処理を適切に行う
  • 掛け持ちではスケジュール調整が重要となり、案件の重なりによる業務負荷の増加に注意すべき
  • 本末転倒にならないよう、収入・キャリア・ワークライフバランスを考慮して掛け持ちを検討する

 

 

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