TOUCH THE SECURITY Powered by Security Service G
皆さんは成長曲線をご存じでしょうか。成長曲線とは、努力量に対してどれだけ成長できたかを表す曲線のことです。実は、成長曲線はエンジニアとして成長するために有用な概念なのです。そこで本記事では、これからエンジニアを目指される方、エンジニアとして自己研鑽をしようと考えている方に向けて、エンジニアの成長曲線が必要な理由、活用方法を紹介します。
監修:佐藤 淳(さとう あつし)
パーソルクロステクノロジー株式会社 セキュリティG マネージャー
メーカーやSIを中心に官公庁や民間企業を経て2008年にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2018年よりセキュリティ部門の責任者としてSOC・セキュリティアナリスト、脆弱性診断員のアライアンス提携など新規・既存顧客向けにコンサルティングサービスの提供を行う傍ら、セキュリティ事業計画の立案と推進、人材育成計画の策定を進めている。
JNSA/ISOG-J WG 活動支援担当。
成長曲線とは
成長曲線とは、努力量やかかった時間に対してどれだけの成長を達成したかを表す曲線のことです。横軸に努力量(浪費時間等)をとり、縦軸に成果・収入を取ります。
下記のグラフは成長曲線の多くの人々にとっての理想の形です。努力量に比例して成果が上がっていっています。頑張った分だけ必ず成果が出ることはまさにエンジニアのみならず全てのビジネスマンにとって理想的な状態だといえます。
しかし、実際の成長曲線はこのような理想的な形になることはありません。努力量に対して成果が追いつかないこともあれば、反対に努力量は少ないにも関わらず急激な成長を遂げることもありえるのです。
つまり、成長曲線において努力量と成果は比例関係ではなく、紆余曲折した関係となるのです。
現実の成長曲線は人によって違いはあれど上記のような形になるはずです。人によっては、努力しているにも関わらず成長が止まったり、退化してしまうこともあるでしょう。
成長曲線の4つのサイクル
成長曲線には4つのサイクルがあり、この4つのサイクルを繰り返しながら成長していきます。自分がどの段階にいるのかを考えることが成長曲線を考える上で重要なことになります。
- 成長期
- 停滞期
- 後退期
- 安定期
成長期
1つ目は成長期です。成長期では、努力量に対して成長量の方が大きいことを意味しています。具体的には、10の努力をしただけで、20の成果が出るという場合です。
停滞期
2つ目は停滞期です。停滞期は、努力量に対して成長量が変化しない時期のことをさします。具体的には、10の努力をしても、成果量が1しか伸びないという場合です。
後退期
3つ目は後退期です。後退期は、努力量に対して成長量がマイナスとなる時期のことをさします。具体的には、10の努力をした際に、成長量が-5となるような時期です。
安定期
4つ目は安定期です。安定期は、努力量に対して成長量が見合っている状態をさします。具体的には、20の努力量で、10の成果が出る場合です。
一般的には、最初の内は停滞期が続き、ある時期を境にして、成長期に突入することが多いです。最初の内は、停滞期で成果が出づらいという点でモチベーションが維持しづらいですが、継続することで成長期を迎えることができるのです。
エンジニアが成長曲線を意識すべき理由
エンジニアをこれから目指される方や現在エンジニアとして自己研鑽をしている方も、成長曲線を意識して、成長すべきです。理由は大きく2つあります。 1つ目は、現実(現在)と理想(目標)のギャップがわかるからです。2つ目は、モチベーションを保ち、挫折しないためです。それぞれについて詳しく説明します。現実(現状)と理想(目標)のギャップがわかるから
成長曲線を意識すべき理由の1つ目は現実と理想のギャップがわかるからです。これからエンジニアを目指される方も今、エンジニアとして自己研鑽している方も、自身の具体的な目標があるかと思います。しかし、日々勉強や訓練を継続していると、目標・目的に対する意識が薄くなり、手段(勉強や自己研鑽)の方ばかり重視してしまうことがよくあります。いわゆる手段の目的化です。手段の目的化は、ゴールを見失うため、努力のベクトルが誤った方向を向いてしまう可能性を孕んでおり、結果として努力量が成果に見合わないということをもたらします。
しかし、成長曲線を意識すると、常に自身の成長と、目指すべき姿のギャップを見つめなおす機会が発生するため、自身のゴールを見失うことはなくなります。そのため、成長曲線の意識を心がけることは、エンジニアが適切に成長を遂げるために必要なことだと考えられます。
モチベーションを保ち、挫折しないため
成長曲線を意識すべき理由の2つ目は、モチベーションを保ち、挫折しないためです。成長曲線を認知していないエンジニアの方が、自己研鑽のために、プログラミングや、IT関連の資格の勉強を続けていたとすると、最初の内は先ほど説明した通り、努力量に対して成果が追いついてこない停滞期の場合が多いため、モチベーションを保つことが難しいでしょう。しかし、成長曲線を理解している人からすれば、あともうひと踏ん張りすれば、停滞期から成長期へと変化するターニングポイントが来るからもう少し努力しようと考え、モチベーションを維持できるでしょう。つまり、成長曲線を意識して自己研鑽を行うことは、モチベーションを維持することに繋ががり、途中であきらめて挫折しないための、励みとなるのです。特にエンジニアは、プログラミング言語の習得や専門的な資格の勉強が必要とされるため、多大な努力量を要求されることが多いです。そのため、エンジニアが成長するために、成長曲線の概念を意識することは非常に重要なことであると考えられます。
特に、成長曲線でいうところの最初の停滞期の段階、つまり成長期にさしかかる前の段階で挫折してしまう方は9割を超えるともいわれています。そのため、挫けず努力を継続することは成長には欠かせないのです。
エンジニアの成長曲線に基づいた自己研鑽
具体的にエンジニアの皆さんがどのようにして成長曲線を基にした自己研鑽を行うのかを説明していきます。現状を知る
まず初めに、自分はどういう人間なのかという自己分析、自分はエンジニアとしてどのようなスキルを持っているのかという現状の分析の2つを行います。 自己分析に関しては、就活と同様に過去の自分の行動を振り返り、自分の強みや弱み、自分はどういう人間なのかを見つめ直します。現状のスキルの分析では、今までどんな仕事を行ってきたのか、自分が持つエンジニアの知識はどこで役に立つのかというように今までのキャリアを見つめ直します
この2つを行うことで、今後自分が身につけなければならないスキルや課題、自分に向いている職種は何であるかを考える機会になり、今後の方針の解像度が上がっていきます。
目標を明確化する
現状の自分を把握できたら次は未来の自分がどうありたいかを決める必要があります。そうすることで、目標を達成するためには何が必要なのか、今後習得しなければいけないスキルは何であるかといったことが明確になります。エンジニアとしてのキャリアプランは多岐にわたるため、じっくりと自分にあう職種を見つめることが重要です。エンジニアがキャリアアップする方法とは?キャリアプランについて詳しく紹介
スキルを磨く
現状の自分のスキルを把握し、目標が定まったら、今度は実際に自己研鑽を行う必要があります。スキルを磨く手段は、インプットとアウトプットの2つがあります。インプット
インプットの段階では知識はほとんど定着していません。内容については、次のようなことが挙げられます。- 講義を受ける
- 読書する
- ビデオによる学習
- 実演を見る
エンジニアのための書籍やビデオ学習は始めるハードルも低いためおすすめです。
アウトプット
インプットしたあとは更に記憶の定着を図るため、アウトプットが必要です。具体的にはこれらのことが挙げられます。- 議論する
- 実践による経験
- 他者に教える
アウトプットの場はエンジニアにとって例えば、職場以外にも勉強会などがあるでしょう。
独学でエンジニアになる方法とは?必要なスキル・勉強法を解説!
成長曲線を常に意識する、目標と現状とのギャップを把握する
そして、スキルを磨く段階では、常に成長曲線を意識しましょう。前のステップで明確化した目標と現状の自身のスキルを照らし合わせることで、自分が停滞期にいるのか、成長期にいるのかを分析し、モチベーションを維持することが重要です。自己研鑽を行っている中でも、常に現状を分析し、目標とのギャップを意識することが大切になります。まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、これからエンジニアを目指される方、エンジニアとして自己研鑽をしようと考えている方に向けて、エンジニアの成長曲線が必要な理由、活用方法を紹介してきました。エンジニアとして成長するために成長曲線がいかに有効なものであるかご理解いただけたかと思います。ぜひ本記事を参考に成長曲線を活用してみてください!