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2018年5月4日に、米国のサイバー軍が独立軍に格上げされたニュースをご存じでしょうか。
もともと米国のサイバー軍は核兵器などを扱う米戦略軍の下に置かれていました。しかし、当時に比べて高まるサイバー脅威と、サイバー作戦の重要性によって、サイバー軍の体制が「不十分」であるとの指摘が上がるようになっていました。そこで、当時大統領に就任していたドナルド・トランプ氏は2017年8月にサイバー軍の格上げを発表しました。
米国サイバー軍(USSYBERCOM)の司令官Paul M. Nakasone氏
By National Security Agency [Public domain], via Wikimedia Commons
世界最強のサイバー大国といわれる米国は、対策の規模も大きいです。では日本はどうでしょうか。日本の場合、自衛隊のサイバー部門がこれに当たります。いわゆる「サイバー防衛隊」です。
本記事では日本の防衛省・自衛隊が誇るサイバー防衛隊とはどんな組織なのかについてご紹介します。
サイバー防衛隊とは?
サイバー防衛隊とはどのような組織なのでしょうか。サイバー防衛隊とは防衛省・自衛隊が自衛隊指揮通信システム隊の隷下に共同の部隊として、情報通信ネットワークの監視及び、サイバー攻撃への対処を24時間体制で実施する組織のことです。
少しわかりにくいかもしれませんが、要するにサイバー防衛隊は防衛省と自衛隊を守っているのです。一般の企業やインフラ、政府機関を直接守っているわけではありません。
では、国民を直接守っているわけではないサイバー防衛隊は具体的に何を行っているのでしょうか。
サイバー防衛隊は何をしているのか
サイバー防衛隊は防衛省・自衛隊に対する年間100万件以上のサイバー攻撃から身を守るためにサイバー攻撃を待ち、来たら弾く専守防衛をしています。
サイバー空間では多くの場合誰がサイバー攻撃をしてきたのかを確定するのは難しく、目星をつけるのにも時間がかかります。また国外からの攻撃に対し、自衛隊は日本の領域を超えて攻撃元を捜査することもできないため、攻撃を食い止めるしかないのです。
少サイバー防衛隊の人員は?
サイバー防衛隊の現在の人員は110人です。米国のサイバー軍と比べると、かなり少ない数値になります。他にも、中国のサイバー部隊の規模は10万人ほどで、北朝鮮は6000人といわれています。
サイバー攻撃は年々、巧妙化しており、攻撃の規模が大きくなればいくら精鋭達といえど、攻撃を防ぎきれないかもしれません。現在の110人という人数はかなりの人員不足を示唆しています。
サイバー防衛隊における業務の様子
出典:平成28年度版防衛白書より
2017年にメディアで防衛省がサイバー防衛隊の人員を1000人規模にすると報じられました。人員が増えることが期待できます。
サイバー防衛隊の深刻な人材不足問題
先ほど、サイバー防衛隊の人員不足についてご説明しましたが、防衛省における人材確保は民間企業よりも困難であるといわれています。なぜなら、給与が比較的高いといわれているIT・セキュリティ領域の世界で防衛省を志望する人材が多くないのです。
日本のサイバー対策と言えば、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)と、このサイバー防衛隊が海外でも知られています。しかしこの両者はまだ十分には連携がうまくできていないといえます。既に述べた通り、サイバー防衛隊は基本的に防衛省と自衛隊を守るものであり、「日本のサイバー政策の司令塔的存在」であるNISCと協力しながら、国家への脅威に直接対峙することはありません。これも人員不足の要因ではないでしょうか。
これからは、サイバー空間で起きる紛争や攻撃に対して、もう少し踏み込んだ連携が必要なのではないでしょうか。
まとめ
に比べたら、日本は人員も対策規模もかなり小さいといえます。今後、ますます巧妙化するサイバー攻撃に対してどのように対策していくのかが重要な課題になるといえるでしょう。