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コラム

2024.08.20

SESとSIerの違いとは?特徴からメリット・デメリット、将来性を解説

情報技術の発展に伴い、SES(システムエンジニアリングサービス)とSIer(システムインテグレーター)というIT業界の重要な存在が注目を集めています。

SESは派遣会社やコンサルティングファームが提供する柔軟なエンジニア派遣サービスであり、SIerはシステム開発や導入を担う企業です。

本記事では、それぞれの特徴やメリット・デメリット、将来性について解説します。

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監修:大畑 健一(おおはた けんいち)

パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。

SESとは

まずは、SESの概要や勤務形態、年収について見ていきましょう。

企業がクライアントにエンジニア技術を提供するサービス

SESはSystem Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の略称であり、クライアント企業に対してインフラ環境の構築やソフトウェア・システム開発などのエンジニア技術を提供するサービスのことを指します。

SES(システムエンジニアリングサービス)契約

SESを利用するときの契約は、準委任契約が一般的です。これは、正社員以外の雇用形態の一つであり、仕事の完成ではなく一定の事務処理行為を行うことを約する契約です。

SES契約では、報酬が作業時間に基づいて支払われ、成果物に対する責任が発生しないという特徴を持ちます。

SES契約は成果物の完成や品質に基づく報酬は発生しないため、純粋に労働時間に対する報酬となります。つまり、エンジニアは契約期間内に成果物を提供する責任を負うことはなく、成果物の品質や納期に関しての責任は、通常はクライアント企業や契約先にあります。

SES(システムエンジニアリングサービス)の年収

SES企業で働くエンジニアの年収は、個人の実務経験やスキル、プロジェクトの規模や内容、地域などの要素によって異なります。SES契約の報酬は主に一ヶ月あたりで決まります。単価はエンジニアとしての実務経験によって変わり、50万円から100万円以上に渡ります。

SES企業で働くエンジニアの年収は以下のようになります。

・新卒:300万円
・2年目〜3年目:330万〜350万円
・4年目〜7年目:350万〜400万円
・8年目以降:400万〜480万円

【関連記事】
■SES企業について詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
SES企業とは?メリット・デメリットや優良企業の見分け方を解説

SIerとは

次に、SIerについて概要や勤務形態、年収について見ていきましょう。

システム開発や運用を行うサービス

SIerは、System Integration Engineer(システムインテグレーションエンジニアリング)の略称で、主にシステム開発や情報システムの構築、導入、保守などの業務を行う企業を指します。

SIer企業は、顧客の要求に基づいてシステムを企画・設計し、ハードウェアやソフトウェアの組み合わせ、システムの導入やテスト、運用・保守までの一連の行程を担当します。

SIerは請負契約

SIer企業の特徴は、システムの開発から運用保守まで一貫して担当することです。しかし、重要な点は企業が求めているのは単に開発や保守作業を行う人ではなく、その成果物であるシステム自体です。つまり、SIer企業に関わる人々の報酬は、開発に関与した個人ではなく、実際の成果物であるシステムそのものとなるのです。

SIer(システム インテグレーター)の種類

SIerは一般的には以下の5種類に分けられます。

・メーカー系SIer
メーカー系SIerは、ハードウェアを中心に開発を行う情報機器メーカーが、システム開発部門を独立させた業態です。サーバーやIoT(Internet of Things)機器と組み合わせたシステム開発案件に強みを持っています。

・ユーザー系SIer
ユーザー系SIerは、IT以外を本業としていた大手企業が、情報システム部門を子会社として独立させた業態です。ユーザー系SIerは、その業界に応じて金融系・通信系・商社系など、細分化される場合もあります。親会社からシステム開発や運用・保守の案件を受注するのはもちろん、そこで培った業務知識をもとに、他社からの案件も受けるのが特徴です。

・独立系SIer
独立系SIerは、親会社を持たず独立した経営がなされている企業です。大手企業から中小企業まで、さまざまなSIerが存在します。メーカーや他のSIerからの下請け業務を行うこともあり、商流の下位に存在していることもあります。

・外資系SIer
外資系SIerは、グローバルなIT企業が日本法人を設立し、システム開発事業を展開している業態です。、コンサルティング業務に携わり、パートナー企業と連携して開発業務を推進する案件が多く見られます。

・コンサル系SIer
コンサル系SIerは、コンサルティングサービスを特徴とする業態です。これらの企業は、クライアント企業に対して業務プロセスの改善やシステム導入の戦略立案、要件定義、プロジェクトマネジメントなどのコンサルティングサービスを提供します。

SIerの年収

SIerの平均年収は、400万円から650万円の範囲であり、一部では1000万円を超える高収入のケースもあります。年収を決める要素は年齢やスキル、業績などです。一般的に、経験を積むにつれて年収は上昇し、20代のSIerの平均年収は約380万円であり、50代のSIerの平均年収は約750万円です。

【関連記事】
■SIerについて詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
SIer(システム インテグレーター)とは?仕事内容や分類、将来性を解説

SESで働くメリット・デメリット

ここでは、SESで働くメリットとデメリットについて解説します。

SESのメリット

SES企業で働くメリットは以下の5つです。

・周囲のネットワークを広げる機会がある
SES企業で働くと、さまざまな企業を渡り歩くことになるでしょう。毎回異なるプロジェクトや新しいクライアントと共に働くことで、多様な人々との交流が生まれます。

この経験は、多くのチームや仕事仲間とのつながりを築く機会となり、自然とネットワークを広げる機会が生まれるでしょう。

・残業時間が少ない傾向がある
SES企業では、契約に基づいて労働時間が明確に定められており、その範囲を超える仕事を求められることはありません。そのため、残業時間も少なく、ストレスの少ない労働環境となっています。また、成果物に関しては責任を負う必要がないため、かかるストレスが減ります。

・多様な企業で仕事を経験できる
SES企業ではさまざまな企業での業務を経験することができます。その中には上場企業や大手企業への派遣案件も含まれます。

上場企業や大手企業は通常、競争力の高い環境で優れた人材が集まる傾向があるため、エンジニアとしてそのような環境で働いた経験は、非常に有益な要素となるでしょう。

・正社員としての採用の可能性もある
SESエンジニアとしての実績や能力がクライアント企業に認められると、新たなプロジェクトへの参加機会が増えます。

また、時にはクライアント企業から正社員としてのオファーを受けることもあります。SESとして一定期間働いた後、クライアント企業のニーズや相性が良ければ、正社員として採用されるケースも珍しくありません。

・経験の浅い人でも採用されるチャンスがある
現在のIT業界では、エンジニアの需要が供給を上回り、人材不足の問題が顕在化しているため、未経験者でもエンジニアとして働きながらスキルを身につけることが可能です。

ただし、エンジニア業務は専門性が高く、仕事の幅も広いため、最初は学習の過程でハードルを感じることもあるかもしれません。

SESで働くデメリット

SES企業で働くデメリットは以下の5つです。

・収入水準が比較的低い
SES企業で働く場合、給与は雇用元企業から支払われますが、クライアント企業での成果やプロジェクトの成功に応じて給与が上昇するとは限りません。

一般的に、SES企業の給与水準は正社員と比較してやや低めに設定される傾向があります。

・労働環境がプロジェクトごとに変動する
SESで働く場合、勤務環境が頻繁に変わるという点がメリットがある一方で、現在の職場が快適であっても、新たな勤務先に移る必要があるというデメリットも存在します。 勤務先が変わると、開発環境が大きく変わることがあり、エンジニアにとって負担です。

雇用元との関係性が一時的である
SESでは通常、クライアント企業のオフィスで業務を行うため、雇用元企業での直接出勤が少ないという特徴があります。また、雇用形態が正社員とは異なるため、待遇や福利厚生も異なるでしょう。

これにより、モチベーションの低下や自社への帰属意識の低さといった特徴が生じることがあります

・業務内容がクライアント企業やプロジェクトによって異なる
SESエンジニアは、業務内容に対して自分の希望を反映させることが難しいことがあります。例えば、自分がプログラミングを用いた案件に関わりたいと思っていても、単純な作業を担当することがあるかもしれません。

SESエンジニアは、クライアント企業の要望やプロジェクトのニーズに応じて業務を遂行します。そのため、自分が得意とする技術や興味を持つ分野で働けるとは限りません。

・スキルアップの機会やキャリアの展望が限定的である
割り当てられた案件が下流工程の単純な作業に偏るような環境では、スキルアップは難しいでしょう。SESでスキルを向上させるためには、自己主導性が重要で、社内外での人との交流や、自己学習によるスキルの習得が必要です。

SIerで働くメリット・デメリット

次に、SIerで働くメリットとデメリットについて解説します。

SIerで働くメリット

SIer企業で働くメリットは以下の3つです。

・大規模なプロジェクトに参加できる
SIer企業では、プロジェクトの全体を統括するため、大規模なプロジェクトに参加する機会が多くあります。中には大企業や官公庁など、多種多様なクライアントからの案件を受けることができます。これらのプロジェクトは技術的な難易度が高く、経験とスキルを磨く良い機会です。

・高い給与と待遇
SIerとして働くことで、給与や待遇面でのメリットがあります。SIerはプロジェクトごとに契約が成立するため、クライアント企業からの報酬を基に給与が設定されます。大規模なプロジェクトや専門的なスキルを持つエンジニアは、高い報酬を得ることができる場合があります。

・IT以外のスキルの習得
SIerはクライアント企業の要件に応じて多岐にわたる業務に携わることができます。ITシステムの構築や開発に加えて、プロジェクト管理や要件定義、ユーザーサポートなど、ITスキル以外にもビジネス全体の視点を持った業務にも関与することがあります。そのため、コミュニケーション能力やプレゼンテーションスキル、問題解決能力など、幅広いスキルを習得できるでしょう。

SIerで働くデメリット

SIer企業で働くデメリットは以下の2つです。

・実装スキルの習得が困難
SIerでは、上でも述べたようにプロジェクトの企画や要件定義、設計、テストなど、開発プロセスの上流工程に関与することが多いです。そのため、実際のプログラミングや実装に直接携わる機会が限られることがあります。

一般的にはクライアント企業や他のパートナー企業が実装を担当することが多く、SIerでの実装スキルの習得には限定された機会があり、実践的な経験を積むことが難しいことがあります。

・最新の技術を学びにくい
SIerでは大規模なプロジェクトに関与することが多く、既存のシステムを用いて業務を進めることが一般的です。またSIer企業はプロジェクトの安定性や品質を重視するので、新しい技術への導入や実験的なアプローチには慎重な姿勢を取ることがあります。そのため、最新の技術を学びたいという意欲や機会が制約されることがあるかもしれません。

SESとSIerの違い

ここまでで、SESとSIerの特徴やメリット・デメリットを把握できたと思います。
では、これらの違いについて見ていきましょう。

契約形態・勤務形態の違い

まず、SES企業とSIer企業で異なるのは、契約形態です。
SESでは準委任契約が適用されていて、報酬はエンジニアの稼働時間によって変化します。

一方で、SIerでは請負契約が適用されていて、報酬は労働時間ではなく成果物に対してのみ支払われます。

これらから、SESでは稼働時間に制限があるため長時間労働になることは少なく、残業もほとんどありません。
しかし、SIerでは成果がないと給与が発生しないため長時間の労働が多いです。SIerでは給与が高くても、それに付随する責任が大きいです。

年収や待遇の違い

SESとSIerでは給与に関しても大きく異なります。これは業界の下請け構造に大きく依存しているためです。

IT業界では発注や依頼をする業界構造を、下請け構造と呼びます。1次請け企業の多くはSLerなどの元請企業であり、2次請けは派遣会社などが並びます。

SIerでは一次請けや二次請けに位置することが多い一方で、SES企業は3次請けからとなっています。一次請け企業や二次請け企業になる程、給料や待遇もよくなるため、その点に関してはSIerが優っていると言えます。

SES企業とSIer企業に向いている人の違い

SES企業に向いているエンジニアとして一番重要な要素は、新しい環境に難なく適応できる人でしょう。

SESでの勤務期間は短くて数ヶ月間、長くて2、3年であり、勤務内容や勤務地、仕事先のメンバーなど、環境はその都度変化します。つまり、自身の環境が変わっても適応することができ、自身のスキルを難なく発揮できる人がSESには向いています。

一方で、SIerでは大規模なプロジェクトに参加することが多く、長期的な取り組みが求められます。プロジェクトにコミットし、長期的な目標に向かって取り組むことが好きな人に向いているでしょう。

また、SIer企業では、最初は開発の一部に関与し、徐々に経験を積みながら全工程に携わることができる特徴があり、様々な工程に関わることで仕事の幅を広げることができます。

SESとSIerの将来性

SIer企業やSES企業を目指している人にとっては将来性は非常に重要です。これらの将来性について、それぞれ見ていきましょう。

SESの将来性

SESの将来性は、IT業界全体の成長に連動しており、需要が増えていく可能性があります。現代のビジネス環境では、IT技術やサービスがあらゆる分野で活用されており、それに伴ってSESの需要も高まっています。

ただし、SES企業は不景気や経済の変動などの影響を受けやすいため、将来的には安定性には一定の不確定要素が存在します。また、常駐先の社員と比べて待遇面では劣ることもあるでしょう。SES企業のエンジニアは、技術の進化に追いつくためにスキルを磨き続ける必要があり、市場の変化に敏感に対応し、戦略立案や行動計画を適切に実行することが必要です。自身が働くSES企業の戦略が市場と合っていない場合は、転職を検討する覚悟も必要です。

SIerの将来性

SIer企業は、情報技術の発展に伴いますます重要性が高まると予想されます。現代のビジネス環境では、情報技術の適切な活用が競争力の維持と成長の鍵となっているため、SIer企業の需要はますます広がり、需要が高まっていくでしょう。

一方で、クラウドサービスの普及により、ゼロからのスクラッチ開発の需要が減少しているという不安もあります。クラウドを利用したサービス開発が可能であり、独自仕様のスクラッチ開発の需要が減少しています。 クラウドの発展が進むにつれて、スクラッチ開発を選択する理由が減少する可能性があります。特にプラットフォームやインフラ構築がクラウドによって提供されることが増えているため、SIer企業への影響が大きいと言えます。

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まとめ

SESはITエンジニアの派遣・委託サービスであり、SIerは要件定義や設計などの上流工程から開発・導入・保守までを担当します。

SESやSIerで活躍するためには、技術の進化に対応するスキルや情報収集能力を磨く必要があります。また、企業の戦略と市場のニーズが合致しているかを常にチェックし、必要に応じて転職を考える覚悟も必要です。

IT業界は将来性の高い分野であり、SESやSIerはその中で重要な役割を果たす存在です。ただし、常に環境の変化に敏感に対応し、成長を続けていきましょう。

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