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IT技術の進歩で生活が便利になった反面、個人情報の流出や顧客情報の漏出などのニュースを耳にする機会も増えました。そこで、インターネット攻撃からシステムを守るセキュリティエンジニアの注目が高まっています。
では、セキュリティエンジニアの年収はどの様になっているのでしょうか。IT業界の他の職種との比較や年収を上げる方法まで詳しく解説します。
目次
監修:大畑 健一(おおはた けんいち)
パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。
セキュリティエンジニアの平均年収
セキュリティエンジニアの平均年収は、約545万円となっています。一般的にITエンジニアの平均年収は約445万円であるため、高い給与水準となっています。
年齢や能力、国内企業か外資企業かなどによって異なりますが、日本での平均年収は、スタート時は300〜500万円程度で、30歳前後でも年収600万円以上の報酬が見込めます。これは、他のエンジニア職と比較すると突出した額になります。
また、海外では日本の倍近い報酬を得ているケースもあり、今後の報酬向上に期待が持てる職業とも言えます。
セキュリティエンジニアの全体の年齢別平均年収
セキュリティエンジニアの年収は、年齢や能力、国内企業か外資企業かなどによって異なります。日本での平均年収は、スタート時は300〜500万円程度で、30歳前後でも年収600万円以上の報酬が見込めます。これは、他のエンジニア職と比較すると突出した額になります。また、海外では日本の倍近い報酬を得ているケースもあり、今後の報酬向上に期待が持てる職業とも言えます。
【種類別】セキュリティエンジニアの平均年収
当たり前ですがすべてのセキュリティエンジニアが同じ仕事で同じ年収というわけではありません。それでは、さらに細分化したセキュリティエンジニアの年収について解説します。
セキュリティエキスパート(オペレーション)
この職種の平均年収は534.6万円です。オペレーション分野では、日常的なセキュリティ管理やインシデント対応が主な業務となります。
セキュリティエキスパート(情報セキュリティ監査)
この職種の平均年収は579.8万円です。情報セキュリティ監査では、企業のセキュリティポリシーやプロシージャが適切に実施されているかを監査し、改善点を提案します。
セキュリティエキスパート(脆弱性診断)
この職種の平均年収は534.6万円です。脆弱性診断では、システムやネットワークの脆弱性を評価し、対策を講じることが求められます。
セキュリティエキスパート(デジタルフォレンジック)
この職種の平均年収は534.6万円です。デジタルフォレンジックでは、サイバー犯罪の証拠収集や解析を行い、法的手続きに必要なデータを提供します。
出典:)「jobtag サイバーセキュリティ」厚生労働省
なぜセキュリティエンジニアの年収が高いのか
セキュリティエンジニアの年収が高い理由は、需要が高いからです。需要が高い理由は以下の2つです。
- サイバー攻撃の複雑化
- セキュリティ市場の拡大
サイバー攻撃の複雑化
5GやAI、IoTといった先端技術の普及により、経済・社会のデジタル化が進み、サイバーセキュリティに関するリスクへの対応の重要性が高まっています。サイバー空間と実空間の一体化が進展する中では、サイバー攻撃による影響はとても大きくサイバー攻撃による影響はとても大きくなります。
また、技術の進歩に伴ってサイバー攻撃の手法も複雑化しています。これらのリスクを軽減するためにも、企業はより多くのセキュリティエンジニアを必要としています。
セキュリティ市場の拡大
大規模サイバー攻撃観測網であるNICTERにおいて観測されたサイバー攻撃数は、引き続き増加傾向にあります。また、2022年のランサムウェア被害の報告件数は、2020年下半期と比較して5倍以上に増加しています。
フィッシングメール及びフィッシングサイトの報告件数についても、3年前の2019年と比較してそれぞれ約17.4倍、約14.7倍に急増しています。
また、新たな感染手法も確認されています。
日本だけではなく、国際的にハッキングやサイバー攻撃は増えており、その攻撃から守るためにセキュリティの強化は非常に重要視されています。この流れは、将来的にも続いていくと考えられています。
【参考文献】「ICT サイバーセキュリティ総合対策 2023 」総務省
他職種との年収比較
セキュリティエンジニアと関連する職種との年収の比較を行っていきます。セキュリティエンジニアがIT業界内でどれだけの市場価値があるのかを年収を基に紐解いていきます。
職種 | 年収 |
---|---|
セキュリティエンジニア | 487万円 |
IT業界平均 | 445万円 |
サーバーエンジニア | 454万円 |
ネットワークエンジニア | 446万円 |
システムエンジニア | 413万円 |
データベースエンジニア | 412万円 |
上記の表を見ると、セキュリティエンジニアは他のエンジニア職と比べても高いことがわかります。その理由はやはり需要の高さと言えます。
なお、他職種との比較で同じ軸を用いるためにセキュリティエンジニアの平均年収とは出典が異なっています。
セキュリティエンジニアの仕事内容
セキュリティエンジニアの代表的な仕事内容は下記の5つに分けることができます。
- 企画
- 設計
- 実装
- テスト
- 運用
企画
セキュリティエンジニアは、セキュリティ課題を定義し、システムの強化や改善などを企画・提案します。要件の整理や対象となるシステムの調査・分析、現場の声を聞くなどして、どのようなセキュリティが必要かをクライアントに提案します。 セキュリティエンジニアはこうした業務を担うため、「セキュリティコンサルタント」とも呼ばれます。
設計
企画や提案などの方針が決まったあとは、セキュリティに配慮したシステムの設計を行います。システムの置かれている環境や関連情報、運用形態、ネットワークなどを考慮することが必要です。そのため、ネットワークやデバイス、運用体制、アプリケーションなどに関連する幅広い知識が求められることになります。
実装
設計したあとは、その内容を元にセキュリティを実装します。実装の際には、ネットワーク機器やOSの設定、アプリケーションも行うこともあり、セキュリティに配慮した実装が必要です。また近年では、クラウドの需要が高まり、クラウドの知識も求められるなど幅広い知識が必要になります。
テスト
実装したシステムの脆弱性を発見するために、ハッカーからの攻撃を想定したテストを実施します。擬似攻撃を通して、潜在的な脆弱性を見つけ出し、念入りに対策を考えます。また、実際にシステムを検証するだけでなく、入念にソースコードのチェックも行います。
運用
システムを導入した後は、想定通りの運用ができているかや障害が発生しないかどうかをモニタリングします。日々進化するサイバー攻撃に対して、継続的なシステムのアップデートや定期的なセキュリティテストを実行したりして、常にシステムを安全に運用できるようにします。また、実際に攻撃にあった際には、対処に当たります。
セキュリティエンジニアで年収1,000万円を目指す方法
セキュリティエンジニアで年収1,000万円を目指す方法をご紹介します。以下の3つが挙げられます。
- キャリアアップする
- 独立してフリーランスになる
- 外資系企業に転職する
キャリアアップする
セキュリティエンジニアで年収1,000万円以上の方は、キャリアアップして達成している場合が多いです。自分の市場価値を上げるために高難易度の資格を取得したりすることが一般的です。具体的には以下のキャリアアップが考えられます。
- セキュリティアナリスト
- セキュリティコンサルタント
- CISO(Chief Information Security Officer)
- 管理職
独立してフリーランスになる
独立してフリーランスとして活躍する方法もあります。フリーランスセキュリティエンジニアの平均年収は800万円と言われています。
しかし、金額はプロジェクトの数や規模、顧客からの受注料、自己マーケティングの能力、業界の需要供給バランスなどによって大きく異なります。
フリーランスのセキュリティエンジニアになるには?年収やメリット・デメリット、資格・スキルを解説
外資系企業に転職する
比較的年収が高い外資系企業に転職することも一つの方法です。1,000万円を超える求人も多く、有力な選択肢といえるでしょう。
外資系企業は成果主義である場合が多く、結果によって歩合給がプラスされます。そのため、高度なスキルを持つほど高収入が期待できます。
日系IT企業の中には、いまだに年功序列の体制が残っているケースもありますが、外資系企業であれば年齢に関係なく年収アップを目指せます。
年収アップに役立つ知識やスキル
セキュリティエンジニアで年収アップに役立つ知識やスキルをいくつかご紹介します。
- セキュリティスキル
- コミュニケーションスキル
- ネットワークスキル
- 法律の知識
- マネジメントスキル
セキュリティスキル
最も重要なのが、セキュリティスキルです。ネットワークセキュリティ、ウェブアプリケーションセキュリティ、暗号技術などのセキュリティに関する幅広い技術知識が必要です。
また、セキュリティツールやセキュリティプロトコルについても理解しておく必要があります。
コミュニケーションスキル
円滑なコミュニケーションスキルも重要です。セキュリティエンジニアは、クライアントに対して提案行ったり、他のエンジニアや部署との連携をする機会が多く、コミュニケーション力が非常に重要な仕事でもあります。特に、クライアントに対して提案を行う際には、専門的な話をいかにわかりやすく伝えるかが鍵になります。
ネットワークスキル
ネットワークスキルは、システムの脆弱性を特定し、サイバー攻撃に対処するセキュリティ対策を立案する際に不可欠です。
また、セキュリティシステムの企画や提案、設計など、プロジェクトの上流工程においてもネットワークスキルが必要です。これらの上流工程で重要な役割を果たすことで、年収の向上が期待できます。
法律の知識
個人情報保護や法令遵守などのルールを守るためには、モラルやセキュリティに関連する法への知識が必要になります。法律や制度に関する知識は、主に上流工程の企画や提案において要求されるため、高い年収を目指す上で不可欠なスキルと言えます。
セキュリティに関連する法律は多く存在し、全部を理解することは難しいですが、最低限の知識は必要になります。具体的には、下記のようなものがあります。
・特定電子メール送受信適正法
・プロバイダ責任制限法
・不正アクセス禁止法
・個人情報保護法
法律に則ったシステム運用を行うためには、正確な知識が必要になります。
マネジメントスキル
ある程度の実績を積み、キャリアアップするとマネージャーといわれる組織を管理する役職に就くことになります。その際に、チームをまとめ上げ、メンバーのマネジメントやプロジェクトの進捗管理を適切に行えるスキルが求められます。
マネージャークラスにキャリアアップする前から、チームリーダーはどのような仕事をしているのか観察し、工数の把握や計画的な仕事を心がけるといいでしょう。
年収アップに役立つ資格
セキュリティエンジニアで年収アップに役立つ資格をいくつかご紹介します。
- 情報セキュリティマネジメント
- 情報処理安全確保支援士
- シスコ技術者認定
- 公認情報セキュリティマネージャー
情報セキュリティマネジメント
情報セキュリティマネジメント試験は、情報処理推進機構(IPA)が主催する資格試験の一つです。この試験は、情報セキュリティに関する知識や技術を有する人材を育成することを目的としています。
合格者は、情報セキュリティに関するマネジメントやコンサルティング、監査などの業務を遂行する上で必要なスキルを有していることが認められます。
情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士試験も、IPA(情報処理推進機構)が主催する国家資格であり、サイバーセキュリティに関する知識や実践的なスキルを持つ人材の育成を目的としています。この試験では、セキュリティに関する指導や助言が可能なレベルの能力が求められます。
難易度はIPAが実施する試験の中でもっとも高い「スキルレベル4」に指定されており、過去の合格率はほぼ10%台です。合格率は低いですが、合格すれば情報セキュリティに関する高度なスキルと知識を証明できます。
シスコ技術者認定
シスコ技術者認定はCiscoシステムズ社が認定するネットワークスキルを問う資格です。難易度は5段階に分かれておりCCT、CCNA、CCNP、CCIE、CCArの順で難しくなっていきます。
Cisco技術者認定は世界中で圧倒的なシェアを誇っているため、どの国においてもネットワークに関する知識とスキルがあることを証明できるほどの権威のある資格です。そのため、転職やキャリアアップにも有利になりますし、企業によっては直接給料に影響する場合もあり取得する価値が高い資格であると考えられます。
しかし、Cisco技術者認定は3年で資格が失効するため、資格を取得したのち3年以内に同じ資格を取得もしくは上位の資格を取得する必要があり注意が必要です。
情報セキュリティマネージャー
CISM試験は、セキュリティ人材育成のための国家試験です。試験では、情報セキュリティの計画・設計・運用・監査・改善などに関する知識が問われます。合格することで、情報セキュリティにおけるマネジメントスキルを証明できます。
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まとめ
本記事では、セキュリティエンジニアの年収と年収を上げる方法について詳しく解説しました。
セキュリティエンジニアとして年収を上げていくためには、セキュリティに関する知識だけでなくマネジメントなどのスキルも身に着けていくことが必要です。自分のキャリアアップのためにも、セキュリティエンジニアを目指してはいかがでしょうか。