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コラム

2024.10.21

BIエンジニアに必要なスキルとは?資格やキャリアパスを徹底解説!

ビジネスの意思決定にデータ活用が欠かせない時代、注目されている職種の一つが「BIエンジニア」です。
企業の膨大なデータを収集・分析し、経営に役立つ洞察を提供するこの職種は、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中でますます重要になっています。

本記事では、BIエンジニアに求められるスキルや資格、キャリアパスについて詳しく解説します。これからBIエンジニアを目指す方や、今後のキャリアアップを考えている方に向けて、将来性や転職市場での展望についても掘り下げていきます。
あなたの新しいキャリアの第一歩を支えるヒントが見つかるはずです。

監修:大畑 健一(おおはた けんいち)

パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。

BIエンジニアとは?

BI(ビジネスインテリジェンス)エンジニアとは、 企業の膨大なデータを収集・分析し、意思決定を支援するエンジニア という意味になります。

主にデータの収集・統合・可視化を担当し、ビジネスに役立つ洞察を提供します。以下、詳しい仕事内容について説明していきます。

仕事内容

具体的な仕事内容は、以下の通りです。

  • BIツールのシステム実装・画面開発
  • データウェアハウス(DWH)の構築
  • ETLプロセスの設計・開発
  • 分析データの作成とメンテナンス

それぞれについて詳しく解説します。

BIツールのシステム実装・画面開発

先ほども述べたように、BIとは企業に蓄積される膨大な業務データを、収集・分析・加工し、業務や経営の意思決定に活用する手法のことです。
したがってBIツールとはそれを行うためのソフトウェアや情報システムのことになります。

BIエンジニアは、 企業が効率的にデータを活用できるように、BIツールを実装し、データの可視化に必要なダッシュボードやレポート画面を開発します。
これにより、ユーザーがデータを簡単に分析し、意思決定に活かせる環境を提供します。

主要なBIツールには、 Tableau、Power BI、Lookerなど があります。この作業は、ツールの使い方を詳しく知らない未経験者や初心者でもできる仕事なので、初心者がBIエンジニアとしての経験を積むために重要なステップになります。

データウェアハウス(DWH)の構築

BIエンジニアは、 企業内の大量のデータを統合・蓄積するために、データウェアハウス(DWH)を設計・構築します。
DWHとは分析に特化したデータベースのことで、効率的にデータの分析を行うことができます。

DWHを使うことで、異なるシステムやデータソースからのデータを集約し、一元的な分析基盤を提供します。 DWHの構築は、効率的なデータ管理と迅速な分析を支える重要な役割です。

ETLプロセスの設計・開発

ETL(抽出・変換・ロード)プロセスの設計・開発もBIエンジニアの重要な業務です。
データを異なるソースから抽出し、適切に変換・クレンジングして、データウェアハウスにロードすることで、分析に適したデータを整備します。
このプロセスを自動化することで、 効率的なデータフローを実現します。

分析データの作成とメンテナンス

BIエンジニアは、 データを定期的に更新し、分析のためにクエリを作成したり、データセットを生成・管理したりします。 分析工程の中でSQLを利用したり、PythonやR言語といったプログラミング言語を用いたりします。さらに、機械学習ツールやRPAツールを利用して分析データを作成することもあります。
分析データの作成を行うことで、 経営陣やビジネスユーザーが常に最新のデータに基づいた分析を行えるようサポートします。また、データの品質を維持するためのメンテナンスも行います。

他のデータ関連職種との違い

BIエンジニアはよくデータサイエンティストやデータアナリストなどと混同されることが多いです。これらとの違いは主に扱うデータにあります。

BIエンジニアは、 主にビジネスインテリジェンスに焦点を当て、BIツールを利用してデータの可視化や事業や経営の意思決定支援を目的としたシステムを構築します。

一方、データサイエンティストは データ分析に最も重点を置き、統計的な手法や機械学習アルゴリズムなどの高度なデータ分析スキルを用いて、ビッグデータから予測モデルや洞察を提供します。 この洞察をもとに将来のトレンドや顧客の行動を予測し、ビジネス価値を生み出すための提案を行い、企業の成長や戦略策定に貢献します。

また、データアナリストは 具体的なビジネス課題に基づいたデータ分析をし、クライアントの課題解決を行っていきます。 データサイエンティストやBIエンジニアと違い、ただ分析するに留まらず、分析結果から経営戦略などを詳細に提案します。データに対して深い知見と経験が求められるため、非常に難しい職種です。

このように、それぞれの職種はデータを活用するものの、目的やアプローチが異なります。

求められる知識・スキル

BIエンジニアの仕事内容をふまえると、求められるスキルは以下のようなものが挙げられます。

  • データベースの知識
  • データラングリングの技術
  • BIツールの操作スキル
  • 統計・データ分析の基礎知識
  • プログラミングスキル(SQL, Pythonなど)

順番にそれぞれ解説していきます。

データベースの知識

BIエンジニアは先ほども述べたように大量のデータを扱い分析する仕事のため、ビッグデータの保存されている知識や基本的な操作スキルが必要になってきます。

さらに言えば、 データベース言語のSQLを扱えると、データの整形や集計、統合などに対応できるため、BIエンジニアとしての業務領域が広がっていくでしょう。

データラングリングの技術

データラングリングとは、生データを分析に適した形式に整えるプロセスのことです。
BIエンジニアは、不完全なデータをクリーニングし、統一する技術が求められます。

例えばデータの欠損値や異常値の処理、データ形式の変換などがあり、効果的なデータ活用の基盤となります。

BIツールの操作スキル

BIエンジニアは、データを加工・分析する際、BIツールを使用します。
そのため、BIエンジニアは、 TableauやPower BIなどのBIツールを使いこなすスキルが必要です。これらのツールを用いてデータを視覚的に表現し、複雑なデータを分かりやすく提示する能力が求められます。

ビジネスユーザーにとって使いやすいダッシュボードやレポートを作成するための操作スキルは必須です。

統計・データ分析の基礎知識

BIエンジニアは、高度な統計分析とまではいかなくとも、 基本的な統計学やデータ分析の知識を持っている必要があります。

平均、分散、回帰分析といった統計的な手法を理解し、データから意味のあるインサイトを導き出すスキルが重要です。

プログラミングスキル(SQL, Pythonなど)

データベース言語であるSQLに加え、 Pythonなどのプログラミング言語のスキルも重要です。

Pythonは、データ処理や分析に広く使われており、特に大規模なデータセットを扱う際に有効です。
ETLプロセスの自動化や高度なデータ分析にも役立ちます。

取得しておきたい資格

BIエンジニアが取得しておくと役に立つ資格には以下のようなものがあります。

  • 統計検定
  • オラクルマスター
  • データベーススペシャリスト
  • G検定

統計検定

統計検定は、統計学に関する知識やスキルを証明する全国統一試験です。データに基づいて客観的に判断し、問題解決を行う能力が問われます。

1級・準1級〜4級までの五段階に分かれており、 比較的挑戦しやすい試験だといえます。

参考:統計検定

オラクルマスター

オラクルマスターとは、データベースに関する知識やSQLの活用スキルを客観的に証明することのできる資格です。

先ほども述べたように、BIエンジニアはデータベースに関する知識やSQLを使用するため、持っておくとスキルアップにつながることは間違いないでしょう。

参考:オラクルマスター

データベーススペシャリスト

データベーススペシャリストとは、情報処理技術者試験のうちの一つで、ITパスポート、基本情報、応用情報、高度区分のうち高度区分に分類される国家試験です。

情報処理技術者試験とは、IT人材育成を目的としてIPAが主催する試験で、情報処理技術者としてどれほどのレベルであるかを認定する国家資格です。

この資格を取得すると、 データベースに関するプロフェッショナルとして、最適なシステム基盤の企画や要件定義・開発・運用・保守ができる人材であることを証明することができます。

参考:データベーススペシャリスト

G検定

G検定とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する、 AI・ディープラーニングの活⽤リテラシー習得のための検定試験です。
ディープラーニングをはじめとする、AIに関する様々な技術的な⼿法やビジネス活⽤のための基礎知識を有しているかどうかを確認できます。

参考:G検定

BIエンジニアのキャリアパス

BIエンジニアのキャリアパスには様々な選択肢があります。ここでは、レベルに応じた選び方を三つに分けてご説明します。

入門:データアナリストやデータエンジニア

BIエンジニアのスキルを活かすには、 データアナリストやデータエンジニアとして経験を積むことが一般的です。

先ほども述べたように、 データアナリストはビッグデータを分析して事業戦略や施策の提案を行います。
データを扱うスキルだけでなくビジネスプロセスやマーケティングなどの知識が必要ですが、BIエンジニアのスキルを向上させキャリアアップとして選ばれることが多い職種です。

データエンジニアはデータ活用のための基盤を作るエンジニアであり、データの整理や管理、インフラの構築を担当します。
これらの役割を通じて、データの扱い方や分析ツールの基礎を学ぶことができます。

中堅:BIエンジニアとしての専門性を高める

データベースやBIツールの操作に精通し、BIエンジニアとして専門性を高めることも有効的です。
この段階では、 データウェアハウスの構築やETLプロセスの最適化、より高度な分析レポートの作成に取り組みます。

企業内でのデータ利活用を支援する役割を担い、ビジネス全体に価値を提供できるスキルを身につけます。

上級:BIコンサルタントやデータサイエンティストへのステップアップ

BIエンジニアとしての経験を積んだ後、さらに上級のキャリアとして BIコンサルタントやデータサイエンティストに進む道があります。 それぞれの職種で求められるスキルや役割を見てみましょう。

BIコンサルタント

  • 課題解決力:企業のビジネス課題に沿ったデータ戦略を提案。
  • ツール選定・導入支援:最適なBIツールの選定と実装サポート。
  • プロジェクト管理:データ活用プロジェクトを計画・管理。

技術だけでなく、ビジネス全体を見通した提案力が必要になります。

データサイエンティスト

  • PythonやRの活用:機械学習モデルの構築。
  • 統計分析:回帰分析やクラスター分析でトレンドを予測。
  • AIの応用:予測モデルやディープラーニングを活用した高度分析。

より技術的な専門性が求められ、ビッグデータ処理やAIの知識が武器になります。

ステップアップの展望

これらの経験を活かし、 最終的にはCTOやCDOといった経営層への昇進も可能です。企業のデジタル戦略を牽引する重要なポジションへの道が開かれます。

BIエンジニアに向いている人

BIエンジニアに向いている人は、 データの活用に興味があり、論理的に物事を分析できる方です。以下のような特性を持つ人が、特にこの職種に適していると言えます。

  • データに基づいて意思決定したい人:BIエンジニアは、ビジネスの意思決定に必要なデータを収集し、分析することが求められます。データから洞察を引き出し、解決策を見つけることにやりがいを感じる方に適しています。
  • 好奇心旺盛で新しい技術を学ぶ意欲がある人:BIツールやデータ分析の技術は常に進化しています。新しいツールや技術をキャッチアップし、積極的に学び続けられる人に向いています。
  • 論理的思考が得意な人:BIエンジニアは、複雑なデータを扱いながら、その背後にあるパターンや因果関係を見つける必要があります。論理的に物事を整理し、結果を導く力が重要です。
  • チームでのコミュニケーションが得意な人:BIエンジニアは、ビジネス部門や他のエンジニアと連携しながらデータ活用を進めていきます。技術的な専門知識を分かりやすく伝える能力も求められます。

このような資質を持つ方は、BIエンジニアとして活躍できる素質があり、データドリブンな世界で貢献できる可能性が高いです。

将来性について

BIエンジニアは、データ活用の重要性が高まる現代において、今後も需要が拡大すると予測されています。
ビジネスの現場では迅速な意思決定が求められており、膨大なデータを有効活用するための人材が不可欠です。企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める中で、BIエンジニアはその中心的な役割を果たすことになります。

もちろん、AIの技術進歩に伴いBIの仕事は減るのではないかという声も少なくないです。
とはいえ、AIの得意分野は高精度な予測や分析といった領域であるのに対し、BIは企業に蓄積されたデータを、必要に応じて収集・分析・加工し企業経営に役立てる仕事であるため、 BIに大きく影響が及ぶわけではありません。

求められる背景と今後の市場動向

今後、企業が保有するデータの増加と複雑化が進むにつれ、BIエンジニアの需要がさらに高まります。
特に、IoTの発展によってリアルタイムのデータ分析が求められる分野や、eコマース、金融業界でのBI導入が活発化するでしょう。

また、BIツールの進化に伴い、より扱いやすい分析環境が整いつつあると同時に、 それを最適に運用できる専門知識を持ったBIエンジニアは引き続き求められていくことになるでしょう。

キャリアの広がりと転職の可能性

BIエンジニアのキャリアは多岐にわたります。
先ほども述べたように、経験を積むことで、BIコンサルタント、データサイエンティスト、さらにはCTO(最高技術責任者)などの経営層へのステップアップも可能です。
特にBIエンジニアは、データをもとにした意思決定支援を行うため、ビジネス全体を俯瞰する力が求められる上に、 転職市場においてもBIエンジニアのスキルは高く評価されます。

大手企業からスタートアップまで、幅広い業界での需要があり、将来的にリモートワークやフリーランスとしての活動も視野に入れられるでしょう。

まとめ

いかがでしたか。
BIエンジニアは、データ活用がビジネス競争力の鍵となる現代において、非常に重要な役割を担っています。データ分析の基盤を支えるこの職種は、スキルを磨くことで、さらなるキャリアアップの可能性も広がります。

この記事が、BIエンジニアを目指す方や、スキル向上を考えている方にとって役立つ参考になれば幸いです。
ビジネス環境や技術の変化が激しい中で、継続的な学習が成功のカギです。
ぜひ自分のペースで学びながら、キャリアの道を切り開いてください。

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