システムエンジニアやプログラマの職に就いている人のうち、女性の割合は圧倒的に少ない。これは、多くのIT企業が抱える共通の課題です。平成27年1月に経済産業省が発表したデータによると、ソフトウェア作成者の女性割合は14.4%程度だといいます。(出展: IT人材を巡る現状について (データ編) - 経済産業省)
男性社会の色合いが強く、なかなか女性の進出が進まないこの業界。マネージャーやリーダーのポジションにある方々は一様に「どうすれば女性が働きやすい職場環境を実現できるだろう」と頭を悩ませています。
そんな中、システム開発に携わるメンバーの36%(※)が女性という職場を実現している企業があることをご存知でしょうか。それが、日本最大級の結婚式場クチコミ情報サイト「ウエディングパーク」を開発・運営する株式会社ウエディングパークです。
今回は、メディア開発本部のシステム統括である西朗さん(写真左)と、同部のシステムエンジニアである谷渕美咲さん(写真右)を取材。女性である谷渕さんから見て、同社の働きやすさの理由はどこにあるのか。そして、男性マネージャーである西さんは、いかにしてそれを実現しているのかを聞きました。
※…取材を行った2016年12月時点
採用面接が本当に楽しくて。ルンルンしながら行っていました
―今回は、ウエディングパークの「働きやすさの秘訣」がテーマということで、まずは採用の部分から話を聞かせてください。谷渕さんが同社への入社を決めたきっかけは?
谷渕:就職活動をスタートして間もない時期に、親戚の結婚式があったんです。それに参加したときに本当に感動して、ブライダル業界ってなんて素敵なんだろうと感じました。そう思っていた矢先、たまたま参加した就活イベントでウエディングパークを知ったんです。
私は大学で情報系の学科に所属していたのでプログラミングの知識を生かせますし、自分が進みたかったブライダルの要素もあったので、「この会社しかない!」と思いました。そうして、エントリーをして採用面接を受け始めたんです。
―どんな採用面接だったか、覚えていますか?
谷渕:すごく印象に残っていますよ。普通、企業の採用面接ってすごく緊張するし、ナーバスな気持ちになることも多いですよね。でも、ウエディングパークはそうではなかったんです。とにかく楽しくって、ルンルンしながら面接に行っていました(笑)。
―微笑ましいエピソードですね(笑)。楽しさの理由って、何にあったと思いますか?
谷渕:選考のときに、リラックスした雰囲気でたくさんの社員と話をさせてもらえたからです。たぶん、働いている女性エンジニアのほぼ全員と話をしていたような気がします。
―ほぼ全員ですか。それはすごい。入社前にそれほど多くの社員と話ができる企業は珍しいですよね。
谷渕:そう思います。私が採用してもらったときは、面談とは別に質問会というものを開催してもらいました。丸々1時間くらいの間、自分が不安に思っていることや疑問に感じていることを、何でも話すことができたんです。
質問会以外にも、「最終面接の前に、社員の方とお話がしたい」という私のお願いに、お茶をする機会を設けて応えてくれました。今思うと、入社前にその職場の雰囲気とか働いている人たちの考えを事前に知ることができたのはすごく大きかったと思います。安心感を持った上で、ウエディングパークで働くことができましたから。
採用+育成+“活性化”=良い組織
―谷渕さんはこうおっしゃっていますが、それはウエディングパークの採用や人材育成の方針として、意図してやっていることなんですか?
西:そうですね。ウエディングパークは、なるべくフラットな組織を実現したいと思っていて、採用の段階でもリラックスした雰囲気で話してもらえるように心掛けています。
―採用以外の部分で工夫していることはありますか?
西:若い社員や上司、役員が座っている席の位置をすごく近くしていて、日常的に会話がしやすいように工夫しているんです。それから、社内メンバー専用のSNSグループも運用しています。そこで、プロジェクトごとにどんな取り組みをしているとか、誰かの子供が生まれたとか、毎日のように情報を共有し合っていますよ。
―それならば、日常的にコミュニケーションが取りやすいでしょうね。
谷渕:そう思いますね。少し話が変わりますが、会社の評価制度もすごく社員同士のコミュニケーションを活性化できる仕組みになっています。ウエディングパークでは三か月スパンの個人目標を立てるのですが、「目標を立てるタイミング」「その後、一カ月おきのタイミング」のそれぞれで上司との面談があるんです。だから、自分自身のキャリアや仕事の進め方、悩みなどについて、定期的に相談ができています。
それから、社内の表彰がすごく多いです。私の所属している部署だと、週に一度、その週に一番頑張っていた人を「今週のMVP」のような形で表彰しています。それとは別に月に一度、全社的なMVPも表彰していて。こうして話してみると、本当に表彰をたくさんやっていますね。
―それほど表彰がたくさんある企業、珍しいですよね。それをやっているのはなぜですか?
西:職場で社員が生き生きと働ける環境を実現するには、「採用」と「育成」のみならず「活性化」が必要だと考えているからです。社内でのコミュニケーションを頻繁に取っているのも、表彰をたくさんしているのも、それが理由。
人は心を持った生き物である以上、モチベーションが上がらなければその職場にいるのが苦痛になりますよね。だからこそ、組織を統括する立場にある人間は「どうすれば社員のやる気が出るか」を常に考えておくべきだと思うんです。
みんなを幸せにしたいから、まずは自分たちを幸せに
―今回インタビューをする前までは、ウエディングパークは女性が働きやすい環境を実現するために特別な施策をしているのだと思っていました。でも実はそれだけではなく、「全ての社員が発言しやすく、働きやすい環境を作ろうとしている。それが結果的に、女性も働きやすい企業文化につながっている」というのが正しいのですね。
西:そう言ってもらえると嬉しいです。ウエディングパークの企業文化は、経営理念である「結婚を、もっと幸せにしよう。」に集約されていると思っています。
この幸せには3つの意味があって、1つ目は結婚をするカップルが幸せになること。2つ目はその周りの家族や親族、結婚式を運営する企業など、結婚に関わるすべての方が幸せになること。そして3つ目はそれを実現するために、働いている社員も幸せになることです。
私たちの仕事は、多くの人たちの幸せのお手伝いをすること。だからこそ、まずは普段身の回りにいるメンバーを幸せにできなければ、それは決して実現しないと思いますね。
―その発言を受けて、谷渕さんはどうですか?
谷渕:私は今、すごく会社が好きだし、仕事が楽しいです。それはきっと、一緒に仕事をしているメンバーのみなさんや、この会社が作り上げてきた文化のおかげだとも思っています。今後は自分自身も、社内の雰囲気づくりや活性化を担う存在になっていけたら、本当に嬉しいですね。
伝わりやすさが、働きやすさをつくる
採用や育成、活性化の各プロセスにおいて、一貫してコミュニケーションを取りやすく・モチベーションが上がりやすい環境を実現していたウエディングパーク。その根底には、「まずは身の回りの人たちを幸せにする」という理念が流れていました。
女性が働きやすい職場を実現するにはまず、今いる社員みんなが働きやすい職場を実現することが大事。その姿勢は、多くの企業にとって参考になる部分が大きそうです。
取材協力:株式会社ウエディングパーク