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そこで、本記事ではSESでキャリアアップする方法や、キャリアアップできる企業の特徴、さらには転職するためのアドバイスまでを徹底解説します。SES業界に携わる方々や、今後SES業界を目指す方々にとって、役立つ情報が満載です。SES業界でのキャリアアップが難しいと感じている方や、次のステップを踏みたい方はぜひ参考にしてください。
目次
監修:大畑 健一(おおはた けんいち)
パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。
SESとは
SES(System Engineering Service)とは、システム開発における委託契約の1種です。SESとは、ソフトウェアやシステムの開発、保守、運用など特定業務において、クライアントに対してエンジニアの技術力・労働力を提供する契約を指します。そして、SESでは提供した労働力に対して対価を得ることになるので、成果物を納品する義務はありません。SESとSIerの違い
SESとよく間違われるものに、SIerがあります。この2つはなんとなく同じようなことをやっていると思っている方も多いと思いますが、それぞれ対象としているものが異なっています。SES:技術者の労働力を提供するサービス
SIer:システムの開発や運用の受託サービスを展開する企業
SESがソフトウェアやシステムの開発等に関して労働力を提供し、代わりに行うサービスを指すのに対して、SIerはソフトウェアやシステムの開発や運用を受託し、納品するまで行う企業のことを指します。
そのため、SIerが自社の従業員だけでエンジニアのリソースをまかなえない等の場合は、SESを利用するということもあります。
SESと派遣の違い
SIerの他にも派遣についても間違いやすいです。SESと派遣は、サービス内容だけ見ると共にクライアントに対してエンジニアの技術力・労働力を提供するという点で同じに見えます。しかし、この2つに関してもきちんと違いがあります。SESと派遣の違いは、契約の違いによるクライアントの指揮命令権の有無です。SES(準委任契約):クライアントの指揮命令権なし
派遣(労働派遣契約)クライアントの指揮命令権あり
SESでの契約は準委任契約といって、SESで技術を提供する労働者とクライアントは対等な関係でなくてはいけません。そのため、クライアントが労働者に対して、直接業務に関する細かい指示や、労働時間等に関する指示を出すことはできません。一方、派遣の労働派遣契約では、クライアントが労働者に対して指揮命令ができる権利を有しています。
なぜSESでのキャリアアップは難しいのか
SESエンジニアについて情報を集めていると、「やめとけ」という声や「成長できない」というワードも多く見られます。では、なぜそのように言われてしまうのでしょうか業界の構造によるもの
そもそもITのSIer、SES分野は、企業内部のシステムを構築、運営しており、一次請け企業を頂点とするピラミッド型の多重下請け構造となっています。そのため各工程を担うそれぞれの職種が2次請け、3次請け以降に分かれて所属していることが多いです。中小企業が業界の9割以上を占めているのが特徴で、SESのようにプロジェクト単位で特定の業務に対して技術者の労働を提供する契約形態もあります。SIerでは開発から保守・運用に至る過程で必要な人数もスキルも異なるため、プロジェクトに柔軟に対応できるよう、このような仕組みによって業界全体で雇用を確保しています。しかし、3次請け以降のSES企業などでは手掛ける業務が限られているためキャリアアップの取り組みがままならない課題があるのです。
案件を選べない
SESエンジニアに任せられる案件は、同じ条件の人でも大きく違うことがあります。為になる経験を案件で積むことのできないエンジニアは、同じ年数働いていても技術をはじめとするさまざまな面において他のエンジニアと大きく差が開くことになります。運要素も強いですが、特に経験のないエンジニアは案件の良し悪しを判断できず、エンジニアとはこういうものだ、と思い込み状況を改善しようとしないため負のスパイラルに陥りがちです。労働条件が良くない
SES業界は、長時間労働や残業が多いことが一般的であり、ストレスがたまりやすい職種の一つです。また、SES業界は、フリーランスや契約社員を多く採用するため、待遇が不安定である場合があります。これらの労働条件のため、SES業界ではストレスや過労による離職率が高く、キャリアアップに必要な経験を積むことができない人も少なくありません。
SESでキャリアアップするには
SES業界は、このようにキャリアアップが困難な要因がいくつか存在しますが、決してキャリアアップが不可能であるというわけではありません。SESでキャリアアップを目指すには、以下の2つの方法があります。SESとしてキャリアップを目指す
SESの現場で、経験を積み重ねることで、徐々にキャリアアップを目指すことができます。具体的には、プロジェクトリーダーやマネージャーとしての経験を積むことで、SESのスキルだけでなく、マネジメントスキルも身につけることができます。また、SES業界に特化した技術や知識を習得することで、専門性を高め、上位ポジションへの道が開けることもあります。具体的な方法については「SESとしてキャリアアップする方法」で詳しく説明しています。
SESから転職してキャリアップを目指す
前章で述べたSES業界の現状を知って、キャリアアップが難しいと感じた場合、他の業界への転職を検討することも一つの方法でしょう。SES業界で身につけたスキルや経験を活かして、新しい業界でキャリアアップを目指すことができます。例えば、IT業界への転職であれば、SESで培った技術力を生かして、システム開発やデータ分析などのポジションを狙うことができます。具体的な転職方法に関しては、「SESから転職してキャリアアップする方法」、「SESからキャリアアップのための転職先」で詳しく説明しています。
SESとしてキャリアアップする方法
SES業界でキャリアアップをするには以下の2点を意識することが重要です。スキルアップに励む
SESに限らず、エンジニアとしてキャリアアップするためには、自主的に努力してスキルを磨かなければなりません。自分が進みたいキャリアが決まっていても、そのキャリアに見合うだけのスキルがないと、キャリアアップは難しいからです。特にSES業界は、常に最新技術や業務の変化に対応しなければならず、常に新たなスキルの習得が必要になります。自己投資をしてでもスキルアップに励むことが、SESのキャリアアップに繋がることになるでしょう。
具体的なスキルアップ方法に関しては、「SESとしてスキルアップする方法」で詳しく説明しています。
環境の整った企業を選ぶ
自身がキャリアアップという志を持って、努力しようとしても環境が整っていなければ、達成することは極めて難しくなってしまいます。キャリアアップができないことを環境だけのせいにするのは良くないですが、やはり、環境は大きな要素になります。具体的には、研修制度が充実していたり、社員のキャリアパスを親身に考えてくれる企業とそうでない企業とでは、同じキャリアアップを達成するのにも効率や達成率が大幅に変わってきてしまうでしょう。そのためにも、その企業がキャリアアップをしていきやすい企業かどうかを見極める必要があります。
具体的な企業の特徴に関しては、「キャリアアップできる企業の特徴」で詳しく説明しています。
SESとしてスキルアップする方法
具体的にSESとしてスキルアップする方法は、以下の4つです。・研修やセミナーに参加する
・自己学習を怠らない
・資格を取得する
・プロジェクトにアサインする
それぞれについて詳しく説明していきます。
研修やセミナーに参加する
SES業界では、常に新しい技術やトレンドが生まれています。そのため、研修やセミナーへの参加は必須です。研修やセミナーに参加することで、新しい技術やトレンドを学ぶことができます。また、他社のSESエンジニアと交流することで、新しいアイデアを得ることにも繋がるでしょう。自己学習を怠らない
SES業界でのスキルアップには、自己学習が欠かせません。インターネット上には、多数の情報があります。新しい技術やプログラミング言語を学ぶためのオンラインコースや、技術書籍も豊富にあります。自己学習を通じて、自分自身のスキルを高めましょう。資格を取得する
エンジニアについて学びたいけれど、何を目標にしていいかわからないという方には資格取得をおすすめします。わかりやすいゴールがあることはモチベーションの維持にも繋がるでしょう。また、資格取得に成功した場合は自分のスキルの証明になります。おすすめの資格は、「ITパスポート」や「基本情報技術者」などが基本的なものなので初めての人でも取り組みやすいと思います。【関連記事】
■エンジニアにおすすめの資格については、下記記事で詳しく解説していますのでご参考ください。
エンジニアがスキルアップする方法!磨くべきスキルや必要な理由を解説!
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プロジェクトにアサインする
SES業界においては、自分自身がスキルアップしたいと思ったら、そのスキルが必要なプロジェクトに参加することをオススメします。プロジェクトのアサインに積極的に応募し、自分自身のスキルアップにつながるプロジェクトに参加することが重要です。自分から積極的にアプローチしましょう。
キャリアップできる企業の特徴
SES業界でキャリアアップを目指す場合、企業の環境も重要な要素となります。キャリアアップできる企業の特徴とは、以下の3つになります。・研修制度が整備されている
・案件選びの自由度が高い
・キャリアアップの支援がある
それぞれについて詳しく説明していきます。
研修制度が整備されている
環境の整ったSES企業には、社員のスキルアップを支援する研修制度が整備されていることがあります。研修制度が整備されている企業は、社員が自己啓発を行うための機会や研修内容が充実しているため、スキルアップに繋がるでしょう。また、そうした企業では、社員が最新の技術や業務知識を学ぶためのプログラムも用意されており、自己啓発やスキルアップに必要な教育を受けることができます。このような研修制度を取り入れることで、社員自身が自己啓発やスキルアップを積極的に行うことを奨励し、より良い環境を作りだします。
案件選びの自由度が高い
SES業界でキャリアアップを目指す場合、案件を選ぶことも重要なポイントの一つです。案件を選べる環境が整った企業は、自分自身が興味を持っているプロジェクトや得意とする分野の案件に参加することができ、自己成長につながります。具体的には、案件のジャンルや規模、期間、クライアント企業などを見て、自分にとって最適な案件を選ぶことができます。また、案件を選ぶことで、新しい技術やツールを学ぶ機会も増えます。
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最近では、SES業界でも多様な案件が存在し、社員が自由に案件を選べる環境が整っている企業も増えています。これからSES業界でキャリアアップを目指す人は、自分自身が働きたい企業や案件を見つけ、自己成長につながる環境を選ぶことが重要です。
キャリアアップの支援がある
キャリアアップの支援とは、社員がスキルアップするために必要な研修や勉強会、資格取得支援などの制度や、キャリアアップに向けたキャリアプランニングや評価制度、上司や先輩からのアドバイスやフィードバックなどが含まれます。具体的には、研修や勉強会の充実により、最新技術や業界動向について学ぶことができます。また、資格取得支援や語学研修などもあるため、幅広いスキルを身に付けることができます。
キャリアアップの支援がある企業に入社することで、SESエンジニアとしてのキャリアアップにとどまらず、幅広いスキルや知識を身に付け、より高いレベルで活躍することができるでしょう。また、自己実現に向けて自己成長を続けることができ、より充実したキャリアを築くことができます。
SESから転職してキャリアップする方法
SES業界から転職してキャリアアップする方法としては、以下のようなものがあります。・外部の研修やセミナーに参加する
・転職先の企業の情報を調べる
・自分自身のスキルをアピールする
それぞれについて詳しく説明していきます。
外部の研修やセミナーに参加する
SES業界でキャリアアップを目指すためには、常に最新の技術や知識を習得することが必要です。外部の研修やセミナーに参加することで、自分自身のスキルアップを図ることができます。また、参加者同士のネットワークも広がり、情報交換やビジネスチャンスの発見につながるでしょう。特に、IT業界では技術の進化が早く、常に新しい知識や技術を習得することが求められます。外部の研修やセミナーに積極的に参加し、自己研鑽を続けることがキャリアアップにつながります。
転職先の企業の情報を調べる
SESから転職してキャリアアップを目指す場合、転職先の企業選びは非常に重要です。自分自身のキャリアアップを考え、自分の希望するキャリアアップにつながる企業を選ぶことが必要です。そのためには、転職先の企業について詳しく調べることが必要です。インターネットや業界誌、人材紹介会社などを利用して、企業の業績や社風、社員のキャリアアップ支援制度などを確認することが大切です。この際に転職先の企業が自分自身が求めている環境かどうか、社員のスキルアップをサポートする環境かどうかもきちんと調べましょう。自分自身のスキルをアピールする
SES業界から転職する場合、自分自身のスキルをアピールすることが重要です。転職先の企業を選び、面接の機会があった場合には、自分自身のスキルをアピールしましょう。SES業界で培った経験やスキルを積極的にアピールし、転職先の求める人材とのマッチングを図ることが必要になります。自分自身が持っているスキルや経験を転職先の企業にアピールすることで、転職先でのキャリアアップにも繋がります。転職先の企業に応募する前に、まずは自分がどのようなスキルや経験を持っているかを客観的に整理しましょう。
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■エンジニアのスキルアップについては、下記記事で詳しく解説していますのでご参考ください。
エンジニアがスキルアップする方法!磨くべきスキルや必要な理由を解説!
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SESからキャリアアップのための転職先
SESからキャリアアップする場合に考えられる転職先を紹介します。SIer企業
SIerは一次請け、二次請け企業が多く、開発から保守・運用に至る過程で必要な人数もスキルも異なるため、プロジェクトに柔軟に対応できるよう、業界全体で雇用を確保しています。そのため短期的で単純な業務が多いSES企業よりも案件が長期的、幅広くなるため次のステップに進みたい方にはおすすめの転職先です。
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■SIer(システムインテグレーター)について詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
SIer(システム インテグレーター)とは?仕事内容や分類、将来性を解説
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自社サービス企業
SES企業からの転職先として人気があるのが自社サービス企業です。自社サービス企業は企画・設計・開発・テスト・運用・保守と、企画からリリースまで一貫して社内で行うことが多く、技術的な課題だけでなく、ビジネス貢献などへのコミットが求められることもあり、経験の幅が広がりやすいのが人気の理由になります。また、近年はDXが加速しており自社のサービスを運用するエンジニアにも需要が増えています。他のSES企業
日本には多くのSES企業があります。同じSES企業といっても、大手か中小かキャリアアップサポートの有無など、大きく違いがあるのです。同じ商流の企業に転職することはハードルも低いため、転職への自信が持てない方におすすめです。フリーランス
転職ではなく独立の一種となりますが、選択肢としてはフリーランスもあります。フリーランスは一人で仕事に責任を負う必要がある、そもそも仕事を自分で見つけなければならいというデメリットもあります。自分で案件をとるためには、経験とスキルは前提として、それを売り込むことのできる営業スキルも必要です。
一方で、働き方を選べる、実力が収入に反映されやすいという大きなメリットがあります。
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■フリーランスエンジニアに関しては下記の記事でさらに詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
未経験からフリーランスエンジニアは目指せる?案件獲得までのステップを解説
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SESの将来性
SESとして働いている方の中には、このまま、SESとして働いていていいのか、将来性があるのか、キャリアアップできるのか不安に思っている方も多いかと思います。しかし、エンジニア人材市場の現状を考えるとそこまで不安に感じる必要はありません。エンジニアの需要増大に伴う、人材不足は同時にSESの需要の増加ももたらしています。経済産業省によれば、IT人材需要は2030年には164万人に増加するとされており、42万人程度のIT人材が不足するという試算が立っています。エンジニアの人材不足という現状を考えれば、SESとしてキャリアを積んでいる方は貴重な人材であるといえます。