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コラム

2024.06.04

SREエンジニアの将来性は?キャリアパスから必要なスキルまで徹底解説

DXの進展により、クラウドサービスを利用する企業が増加しています。それとともに、クラウド運用の際に発生する問題を解決する「SREエンジニア」の需要も増加しており、気になっている方もいると思います。
一方で、

  • SREエンジニアの将来性は高い?
  • その理由は?
  • どんなキャリアパスが描けるの?
など、さまざまな疑問を持つ方も多いと思います。 この記事では、SREエンジニアの現状、将来性、必要なスキル、キャリアパスなどを詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

監修:大畑 健一(おおはた けんいち)

パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。

そもそもSREエンジニアとは

そもそもSREエンジニアとはどのような職種なのか解説します。

SREとは

SRE(サイト信頼性エンジニアリング)とは、「Site Reliability Engineering」の略で、Googleが2003年に生み出したシステム管理とサービス運用の方法論です。

SREは、システムの信頼性を高めることを目的としており、開発と運用のギャップを埋めることで、より効率的で安定したサービス提供を可能にします。 信頼性とは、一定の条件下においてシステムが正常に稼働し、サービスを安定的に提供しつづけられるかを測るための指標です。

SREエンジニアとは

SREを担うエンジニアのことを、SREエンジニアと呼びます。SREエンジニアは、システムの信頼性を高めることを目的として、システムやクラウドの開発・運用、システムの自動化、トラブル対応などを行います。

また、DXの推進においてもSREエンジニアが注目されています。DXとは、デジタル技術で社会や生活の形を変えることです。DXの成功には様々な要素が必要ですが、デジタルに置き換えることで便利になる一方、システムが故障した際に被るリスクも増大します。そのため、SREエンジニアがシステムの信頼性を向上させる役割を担うことが求められています。

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SREエンジニアとは?仕事内容や必要なスキル、キャリアパスまで徹底解説

SREエンジニアの現状

将来性について考えるために、SREエンジニアの現状や環境について詳しく解説します。

人手不足

エンジニア全体の現状として人手不足は深刻な問題です。
IT業界の市場規模が拡大しているため、企業はエンジニア等のIT人材の雇用を増加させています。しかし、供給が需要に間に合っていないため人材不足に陥っています。特にSREエンジニアは専門性の高い職種であるため、転職者や就職者が少ないというのが現状です。

給与水準の高騰

SRE(Site Reliability Engineer)の平均年収については、参照可能なデータが少ないため、dodaの求人情報から平均提示年収を計算すると約685万円でした。一般的なSREエンジニアの年収の範囲は年収600万円から900万円ですが、特に知識と経験が豊富なSREエンジニアの場合、年収800万円から1200万円とかなり高収入を目指せる職種です。

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SREエンジニアの年収は?必要なスキルや資格、キャリアパスも合わせて解説!

クラウドの普及

近年ビジネスの現場において、オンプレミスからクラウドへ移行する企業が増加しています。クラウドは、必要な時に必要なだけのリソースを提供するため、>コスト効率がよいとされています。

業界規模の拡大

IT業界の市場規模が拡大している背景としては、デジタル化の進展やテクノロジーの進歩によるIT需要の増加があります。特に、クラウドコンピューティング、DX、AIなどの技術の発展により、企業や個人のITニーズが多様化しました。
IDC Japanによると、2023年の国内ITサービス市場は前年比6.0%増えて6兆4608億円となっています。

SREエンジニアの需要・将来性

SREエンジニアの将来性を「人材としての需要」の観点から検討していきます。
結論としてSREエンジニアの需要及び、将来性は今後も高まると考えられます。その理由は、クラウド導入企業の増加とSREエンジニアの市場価値の高さにあります。

クラウド導入企業の増加

DX推進やクラウドの普及によって、信頼性の高いサービスの需要は高まっています。
サービスの開発を企業に依頼する際には、システムの安全性・信頼性が大きな基準となります。それは、継続的に安定したサービスでないと、利用者が離反する可能性が高まるためです。特にDXやIoTが進んでいる現在では、その傾向が顕著です。

令和5年版 情報通信白書によると、2022年の企業におけるクラウドサービスの利用状況は、前年より1.8%高い72.2%となっています。今後もクラウドサービスへの高い需要は継続するでしょう。
クラウドの運用では、信頼性の確保、セキュリティ対策、コスト管理などにおいて様々な問題が発生します。これらの問題を解決するために、SREエンジニアを採用する企業が増えているため将来性は高いと言えます。

市場価値の高さ

業務範囲が広く、幅広いスキルを習得する必要があることもSREエンジニアの需要が高い理由です。

SREエンジニアには、
・Webサービスの開発・運用スキル
・ネットワーク・データベースに関する知識
・セキュリティーに関する知識
・クラウドサーバーの構築・運用スキル
など、幅広いスキルの習得が求められます。

これらのスキルを持ったエンジニアは少なく、企業の需要に見合っていないため市場価値は非常に高いです。
実際、求人サイトdodaには、100件を超える求人があり、その数は増加傾向にあります。このことからも将来性は高いと言えます。

未経験からSREエンジニアになるには

実務経験がない未経験者の方がSREエンジニアに転職することは非常に難しいです。その理由は、SREエンジニアの業務が多岐にわたり、広範な知識と経験が必要になるからです。
まずはエンジニアとして基礎的なスキルを身につけ、システムエンジニアや通信インフラ系エンジニアとして実務経験を積み、SREエンジニアに転職することがおすすめです。未経験からの具体的なステップは以下のとおりです。

  • スキルや知識を身につける
  • 開発経験を積む
  • 資格を取得する
  • SEの求人を探す
  • 通信インフラ系エンジニアにキャリアチェンジ
必ずSEやインフラ系エンジニアになる必要はありません。しかし、SREエンジニアの業務範囲は広く、サーバーサイドよりのシステム開発経験が特に求められるため、これらの職種への就業をおすすめします。
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■SREエンジニアへのロードマップを詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
SREエンジニアへのロードマップは?求められるスキルや学習方法を解説!

求められる5つのスキル

ここでは、SREエンジニアに求められるスキルについて解説します。SREエンジニアに求められるスキルには以下の5つです。

  • クラウドサーバの構築・運用に関するスキル
  • Webサービスの開発・運用に関するスキル
  • ネットワーク・データベースに関するスキル
  • セキュリティに関するスキル
  • コミュニケーションスキル

クラウドサーバの構築・運用に関するスキル

上述のように、クラウドサービスを利用する企業が増加しており、SREエンジニアにも関連する知識やスキルが求められます。クラウドサーバーを適切に使うことによって、Webサービスの品質を向上させることができます
具体的には、

  • AWS
  • Microsoft Azure
  • GCP
などのクラウドサービスを理解する必要があります。

Webサービスの開発・運用に関するスキル

SREエンジニアには、Webサービスの開発・運用スキルが不可欠です。
SREの役割はシステムの信頼性を向上させることであり、そのためにはWebサービス開発に関する知識が求められます。
具体的には、

  • Java、PHP、Rubyなどのプログラミング言語
  • SQLなどのデータベース言語
  • WindowsやLinuxといったOSに関するスキル
安定的にサービスを提供し、信頼性を高めるためには、これらのスキルが欠かせません。

ネットワーク・データベースに関するスキル

SREエンジニアは、システムの基盤に関する業務が多く、ネットワークやデータベースなどのインフラ系の知識が求められます。
具体的には、

  • ネットワークプロトコルに関する知識
  • ミドルウェアの最適化に関する知識
  • SQLやストアドプロシージャなどの知識
など、ネットワークやミドルウェアのパフォーマンス改善に関する知識も含めて、インフラ全般に関する深い理解が求められます。

セキュリティに関するスキル

SREエンジニアの業務にはセキュリティに特化した業務は含まれていませんが、ネットワークへの接続が必須であるため、セキュリティのリスクに対しては一定の理解が求められます。
セキュリティの信頼性が高いシステム構築の方法を立案することもあり、ユーザーに安心してサービスを利用してもらうためにもセキュリティに関する正しい知識が必要です。

セキュリティに関するスキル

SREエンジニアの仕事は、チームを結成して行われることが多いため、日常的にコミュニケーションが発生します。チームでの仕事は、全員で話し合った上で方向性を決めることが重要です。
SREに関する知識があっても、コミュニケーションスキルが他かけていなければ活躍は難しいでしょう。

おすすめの資格4選

SREエンジニアを目指したり、SREエンジニアとしてのスキルを証明したりする場合におすすめな資格をご紹介します。以下の4つが代表的な資格です。

  • 基本情報技術者試験
  • 応用情報技術者試験
  • EXIN DevOps Professional 資格
  • Cisco Certified DevNet Associate認定
上2つはエンジニア未経験者の方、下2つは他職種からの転職を考えている方におすすめな資格です。

基本情報技術者試験

  • 受験料:7,500円
  • 合格率:57.9%
  • 受験形式:CBT / 選択
  • 受験可能頻度:随時(年末年始を除く)

基本技術者試験とは行政法人情報処理推進機構が行っている国家試験で、ITエンジニアの登竜門と呼ばれている試験です。ITエンジニアとしてキャリアをスタートさせる人にはオススメの資格になっており、エンジニアに必要な基本的知識・技能を身につけることができます

応用情報技術者

  • 受験料:7,500円
  • 合格率:約20%
  • 受験形式:対面 / 記述式
  • 受験可能頻度:年2回
応用情報技術者試験は、情報処理推進機構(IPA)が行う、ITエンジニアとして応用的な知識・技能を持っていることを証明する国家試験です。応用情報技術試験では、「ITを活用した戦略立案」、「信頼性と生産性の高いシステムの構築」を自力で行える力があるかどうかが問われます。

応用情報技術者はSREエンジニアの業務領域に特化した資格ではありませんが、資格を取得することで幅広い知識を持った高レベルのエンジニアと判断されるでしょう。

EXIN DevOps Professional 資格

  • 受験料:176,000円
  • 難易度:高
  • 受験形式:対面 or オンライン
  • 受験可能頻度:随時
EXIN DevOps Professionalは、DevOpsの原則と実践に関する深い知識と理解を証明する資格です。DevOps とは、開発 (Dev) と運用 (Ops) の造語であり、継続的に顧客に価値を届けるために人やプロセス、テクノロジーを一つにまとめることを指します。 この資格を取得することで、DevOpsの導入と改善を推進できる人材であることをアピールできます。

Cisco Certified DevNet Associate認定

  • 受験料:44,800円
  • 難易度:高
  • 受験形式:CBT方式
  • 受験可能頻度:随時
Cisco Certified DevNet Associate認定は、Cisco Systems社が提供する開発者向けの資格で、ネットワークの自動化、プログラミング、およびCiscoのAPIやプラットフォームの使用に関する問題が出題されます。
試験の前提条件として、1年以上のPythonプログラミングを含むソフトウェア開発経験が推奨されています。この資格を取得することで、アプリ開発とインフラの両方の実力を証明できます。

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■SREエンジニアに合った学習方法を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
SREエンジニアへのロードマップは?求められるスキルや学習方法を解説!

キャリアパス

最後にSREエンジニアのキャリアパスをご紹介します。以下の4つのキャリアパスが考えられます。

  • ITコンサルタント
  • ITアーキテクト
  • 経営職(CxO)
  • フリーランス

ITコンサルタント

ITコンサルタントの仕事は、企業のIT戦略の策定からシステムの見直し、新システム導入の提案、システムの最適化や動作検証まで多岐にわたります。
SREエンジニアは、システム開発スキルに関する幅広いスキルやコミュニケーションスキルを求められる職種であるため、その経験を活かしてITコンサルタントになることは十分に可能でしょう。

ITアーキテクト

ITアーキテクトとは、経営戦略やビジネスプロセスに基づき、システム全体を設計する職種です。ITとビジネスを結びつける「橋渡し」の役割を担い、システムの基盤や構築手順などの共通化から運用・保守要件の提示までを行います。

具体的には、ITシステム化の企画・構想やグランドデザイン、それを実現するためのシステム全体の構造設計を行い、開発効率や品質を高めることも役割の一つです。SREエンジニアもシステムの全体に携わるため、経験を生かしてキャリアアップを目指せるでしょう。

経営職(CxO)

CxOとは、「Chief x Officer」の略で、企業の最高位の役員を指すビジネス用語です。CxOの役割は、企業の特定の業務領域における責任者として、専門性を活かした迅速な意思決定を行い、業務効率を向上させることです。

例えば、CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)、CTO(最高技術責任者)などがあります。SREエンジニアとして培ったスキルに加えて、マネジメントスキルを身に着けることで、このような経営職への道も開けてきます。

フリーランス

専門知識や経験に自信がある場合、フリーランスとして独立するという選択肢もあります。会社勤務ではなく、業務委託や請負契約が主流で、報酬は会社員時代よりも高くなることが多いです。
フリーランスとして働く場合、SREエンジニアとしての求人は少ないため、多くの場合はマネジメントやコンサルタントとして活動することになります。

まとめ

本記事では、SREエンジニアを目指している方、これから目指す方に向けてSREエンジニアの将来性について解説しました。本記事の結論としては、SREエンジニアは将来性が非常に高い職種であると考えます。そのため、SREエンジニアとしてのキャリアを自信を持って歩んでください!

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