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AIの急速な進化に伴い、さまざまな業界でAI技術の実用化が進んでいます。音声アシスタントやチャットボット、自動運転技術に至るまで、AIは私たちの日常生活にも深く浸透しつつあります。 しかし、AI技術の需要が増す一方で、現場では AIエンジニアの不足が深刻な問題となっています。企業や社会にとっても、AIに精通した人材は今や不可欠です。需要の拡大を背景に、「AIエンジニアになれば年収1000万は余裕」といった噂も一度は耳にしたことも一度はあるのではないでしょうか。 そこで本記事では、AIエンジニアの年収について国内平均やランキング、海外事例についてなど様々な角度から詳しく解説していきます。
目次
監修:大畑 健一(おおはた けんいち)
パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。
AIエンジニアが注目されている理由
ここ数年で、ChatGPTも世間に浸透し、AIという存在が身近になりつつあります。実際、AI市場は年々拡大を続けており、AIエンジニアの需要も増加しています。
そこで、AIエンジニアの年収について解説するにあたり、まずはAI市場の現状と見通しについて解説していきます。
ここ数年のAI市場の動き
生成AIは、テキスト生成、画像生成、音声合成など、さまざまな分野で利用されています。これらの技術は、自然言語処理(NLP)、コンピュータビジョン、音声認識といった分野での大きな進歩を背景としています。
それに伴い、多くの企業が生成AIを導入し、具体的なビジネス価値を創出する動きも進んでいます。特に、マーケティング、サプライチェーン管理、人事などの分野で生成AIの活用が進んでおり、効率化やコスト削減、売上増加などの効果が報告されています。たとえば、カスタマーサポートにおいては、チャットボットが迅速かつ正確に顧客対応を行い、
業務効率の向上に貢献しています。
参考:「The state of AI in early 2024: Gen AI adoption spikes and starts to generate value」QuantumBlack AI from McKinsey
日本規模での展望
国内市場に関して、年平均成長率(CAGR)は47%近い水準での
急成長が見込まれています。また、AI技術の発展は加速度的に進むことが予想されるため、推測値を上回る成長も否定することはできません。
出典:「JEITA、生成 AI 市場の世界需要額見通しを発表」JEITA報道資料
また、生成AIの技術進化に伴い、企業や研究機関の投資も増加しているため、これが市場の成長をさらに後押ししています。そのため、AIエンジニアの需要も応じて高まっていくと予想されています。
世界規模での展望
生成AI市場の今後の見通しとしては、市場規模の急速な拡大が見込まれています。年平均成長率(CAGR)にして、53.3%にも上ると言われています。
出典:「JEITA、生成 AI 市場の世界需要額見通しを発表」JEITA報道資料
特に、金融・インフラ・製造・医療業界からの期待値の高さがグラフから読み取れます。高いITスキルを持ち合わせていない場合でも、これらのバックボーンを持つAI人材であれば重宝されることは間違いありません。
AIエンジニアの業務内容
AIエンジニアは、人工知能(AI)技術を利用して問題を解決するシステムやアプリケーションを開発する専門家です。その役割は、多岐にわたるデータを分析し、それをもとに予測モデルを作成し、実装することです。主な職務には以下のようなものがあります
- データ収集と前処理
- モデルの設計と訓練
- モデルの評価と改良
- モデルのデプロイと監視
データ収集と前処理
AIモデルの訓練に必要なデータを収集し、前処理を行います。データのクリーニングや整形、特徴量エンジニアリングなどを行います。
モデルの設計と訓練
機械学習やディープラーニングのアルゴリズムを用いてモデルを設計・訓練します。これには、データセットの分割やハイパーパラメータの調整などが含まれます。
モデルの評価と改良
訓練されたモデルの性能を評価し、必要に応じて改良します。評価指標を用いてモデルの精度や再現率を確認し、過学習やバイアスの問題に対処します。
モデルのデプロイと監視
実際の環境でモデルをデプロイし、そのパフォーマンスを監視します。モデルが予期しない結果を出す場合に備えて、アラートシステムを構築することも重要です。
AIエンジニアに向いている人の特徴8選!特性や必要なスキル、言語を解説
AIエンジニアの国内平均年収
それでは、気になるAIエンジニアの平均年収は一体いくらなのでしょうか。厚生労働省が運営する「job tag」 からの情報をベースに、具体的な数字からその背景についてまで詳しく解説していきます。
AIエンジニアの国内平均年収は558.3万円
国内におけるAIエンジニアの平均年収は約558.3万円とされています。
これは国内の平均年収458万円と比較しても高めの水準に位置しており、AI技術の需要が高まっていることを反映しています。
特に、データサイエンスや機械学習に関する高度なスキルが求められるため、専門性の高さが収入に直結しています。
東京都内であれば616.7万円
東京都内では、AIエンジニアの平均年収が616.7万円に上ります。都市部では企業のAI導入が進んでおり、その結果、AIエンジニアの需要も高まっているため、年収が全国平均を上回る傾向にあります。
特に大手企業やスタートアップが多く集まる東京では、優秀なAIエンジニアに対する報酬が一層高く設定されているのが現状です。
1000万円じゃないの?
AIエンジニアの年収が1000万円に達するケースもありますが、それはごく一部の専門性が高く経験豊富なエンジニアに限られます。
特に、AIプロジェクトのリーダーやAI戦略の立案者、研究開発に携わるエンジニアなど、高度な技術力とビジネススキルを兼ね備えた人材がこのレベルの報酬を得ることができます。また、外資系企業や特定の産業分野では1000万円を超える年収が一般的となることもありますが、国内全体としてはまだ一般的な水準ではありません。
比較的高給取りであるAIエンジニアですが、年収1000万円を超えるのはそれなりに難しいことであるとわかります。
AIエンジニアの企業別年収ランキング
一口にAIエンジニアと言っても、他のエンジニア職同様に給与は異なります。そこで、国内企業におけるAIエンジニアの年収をランキング形式でまとめました。
社員・元社員の口コミサイト「Open Work」と季刊雑誌である「就職四季報 総合版2024年版」の情報を基にしているため、推測値にはなりますが、おおよそ正確な数値であると言えるでしょう。
順位 | 企業名 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | 株式会社キーエンス | 1,424万円 |
2位 | ソニーグループ株式会社 | 1,009万円 |
3位 | 株式会社野村総合研究所 | 978万円 |
海外AIエンジニアの年収
海外のAIエンジニア市場は急速に拡大しており、その年収水準も注目を集めています。国や地域、企業規模によって大きな差があるものの、全体的に高水準であることが特徴になります。
ざっくりとにはなりますが、アメリカ、ヨーロッパ、アジアで三分割しそれぞれ解説していきます。
アメリカのAIエンジニア年収事情
アメリカはAI技術の最先端を走る国であり、AIエンジニアの需要も非常に高くなっています。シリコンバレーを中心に、多くのテクノロジー企業がAI人材の獲得に力を入れています。
アメリカのAIエンジニアの平均年収は、経験や専門性によって大きく異なりますが、一般的に10万ドルから25万ドル以上の範囲にあります。特に、FAANG(Facebook、Amazon、Apple、Netflix、Google)と呼ばれる大手テクノロジー企業では、さらに高額な報酬を提示することも珍しくありません。
経験豊富なシニアAIエンジニアやAI研究者の中には、年収50万ドルを超える事例も報告されています。ただし、このような高額年収は例外的であり、多くのエンジニアは15万ドルから20万ドル程度の年収となっています。
ヨーロッパにおけるAIエンジニアの待遇
ヨーロッパでも、AIエンジニアの需要は高まっています。特に、ロンドン、ベルリン、アムステルダムといった都市では、多くのAI関連企業や研究機関が集まっています。
ヨーロッパのAIエンジニアの年収は、アメリカほど高くはありませんが、それでも他の職種と比べて高水準にあります。例えば、イギリスでは平均して5万ポンドから10万ポンド(約700万円から1400万円)程度の年収が一般的です。
ドイツやフランスなどの大陸ヨーロッパでは、年収は4万ユーロから8万ユーロ(約500万円から1000万円)程度となっています。ただし、生活費や税金の違いを考慮すると、実質的な生活水準はアメリカとそれほど変わらない場合もあります。
アジアにおけるAIエンジニアの報酬傾向
アジアでも、AIエンジニアの需要は急速に高まっています。特に中国、シンガポール、韓国などでは、AIの研究開発に多額の投資が行われています。
中国では、大手テクノロジー企業を中心に、AIエンジニアの年収が急上昇しています。北京や上海などの大都市では、経験豊富なAIエンジニアの年収が100万元(約1700万円)を超えることもあります。
シンガポールは、アジアのAIハブとして注目を集めており、多国籍企業やスタートアップ企業が集まっています。シンガポールのAIエンジニアの年収は、経験によって大きく異なりますが、平均して8万シンガポールドルから15万シンガポールドル(約650万円から1200万円)程度となっています。
一方、インドでは、AIエンジニアの需要が高まっているものの、年収水準は他のアジア諸国と比べてまだ低い傾向にあります。ただし、急速な成長が見込まれており、今後の動向が注目されています。
未経験からAIエンジニアになるには?
AIエンジニアへの転職や未経験からのキャリアチェンジを考えている人が増えています。AIの急速な発展に伴い、需要が高まっているこの職種に挑戦するためには、計画的な学習と実践が不可欠です。
必要なスキルと知識の習得
必要な知識は、主にプログラミング、機械・深層学習の理論、フレームワーク活用方法の三つです。それぞれ詳しく解説していきます。
プログラミング
AIエンジニアになるためには、まず基礎的なプログラミングスキルを身につける必要があります。Python、R、JavaScriptなどのプログラミング言語の習得が重要です。特に、Pythonは機械学習やデータ分析のライブラリが充実しているため、多くのAIプロジェクトで使用されています。
機械・深層学習の理論
プログラミング言語の基礎を固めたら、次に機械学習と深層学習の理論を学びます。線形代数、統計学、確率論などの数学的な基礎知識も重要です。オンライン学習プラットフォームやMOOC(Massive Open Online Course)を活用し、体系的に学習を進めることができます。
フレームワーク活用方法
また、TensorFlow、PyTorch、Kerasなどの機械学習フレームワークの使い方を習得することも大切です。これらのフレームワークを使いこなせることで、実際のAIプロジェクトに参加する準備が整います。
実践的なプロジェクト経験
理論的な知識だけでなく、実践的なスキルを身につけることがAIエンジニアとして成功するためのカギとなります。個人プロジェクトやオープンソースプロジェクトへの参加を通じて、実際のAI開発の経験を積むことが重要です。
Kaggleなどのデータサイエンスコンペティションに参加することも、スキルを磨く良い機会となります。これらのコンペティションでは、実際のデータセットを用いて機械学習モデルを構築し、その性能を競います。
また、GitHubなどのプラットフォームを活用し、自身のプロジェクトを公開することで、ポートフォリオを作成できます。このポートフォリオは、就職活動や転職の際に自身のスキルを証明する重要な資料となります。
ネットワーキングとコミュニティへの参加
AIエンジニアとしてのキャリアを築くうえで、業界内のネットワークを構築することも重要です。AI関連のカンファレンスやミートアップに参加し、同じ志を持つ人々と交流することで、最新の技術トレンドやキャリア機会について情報を得ることができます。
オンラインコミュニティやフォーラムにも積極的に参加し、質問をしたり、他の人の質問に答えたりすることで、知識を深めるとともに、自身の存在をアピールすることができます。
LinkedIn等のプロフェッショナルネットワークを活用し、AIエンジニアとしてのプロフィールを充実させることも効果的です。
AIエンジニア向け厳選資格7選!取得メリットや勉強方法についてもご紹介!
AIエンジニアとしての年収アップのコツ
では、AIエンジニアとしての収入を高めていくにはどうすれば良いのでしょうか。AI市場は新興市場でもあるため、業界の動向を常に把握し、自身の市場価値を高めていく努力が求められます。
専門性の深化と最新技術のキャッチアップ
AIの分野は急速に進化しており、常に新しい技術や手法が登場しています。年収アップを目指すAIエンジニアは、自身の専門分野を深く掘り下げるとともに、関連する新技術にも幅広く触れることが重要です。
例えば、自然言語処理(NLP)や画像認識といった特定の領域に特化し、その分野のエキスパートとなることで、高い市場価値を得ることができます。同時に、量子コンピューティングやエッジAIなど、将来有望な技術分野にも注目し、学習を進めることが大切です。
技術書や学術論文の読解、オンラインコースの受講、業界カンファレンスへの参加など、様々な方法で最新の知識を吸収し続けることが、長期的な年収アップにつながります。
プロジェクト管理とリーダーシップスキルの向上
技術的なスキルに加えて、プロジェクト管理能力やリーダーシップスキルを磨くことも、年収アップの重要な要素となります。大規模なAIプロジェクトをリードできるエンジニアは、高い報酬を得る傾向にあります。
アジャイル開発手法やスクラムなどのプロジェクト管理手法を学び、実践することで、チームの生産性を高め、プロジェクトの成功確率を上げることができます。また、コミュニケーション能力やプレゼンテーションスキルを向上させることで、技術的な成果を非技術者にも分かりやすく説明する能力が身につきます。
これらのソフトスキルは、上級職へのキャリアアップや、より責任のある立場への昇進につながり、結果として年収アップにも貢献します。
戦略的な転職とキャリアパスの設計
AIエンジニアとして年収を上げるためには、自身のキャリアパスを戦略的に設計し、適切なタイミングで転職や昇進の機会を活用することも重要です。
業界内での評価を高めるために、著名な企業や研究機関での勤務経験を積むことも効果的です。また、スタートアップ企業に参画し、ストックオプションを獲得することで、将来的な高収入の可能性を広げることもできます。
一方で、同じ企業内でキャリアを積む場合は、社内での役割や責任を拡大し、マネジメント職へのステップアップを目指すことも年収アップの手段となります。技術リーダーやCTO(最高技術責任者)といった上級職に就くことで、大幅な年収増加が期待できます。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
AIエンジニアの年収事情と、そのキャリアパスについて理解を深めていただけたと思います。AIエンジニアの需要は世界的に高まっており、それに伴い報酬も上昇傾向にあります。
また、未経験者でも適切なスキル習得と実践経験を積むことでキャリアを築けます。継続的な学習と自己研鑽、そして柔軟な姿勢が、この分野での成功と年収アップの鍵となるのです。