TOUCH THE SECURITY Powered by Security Service G
自動車産業は日本において主力の産業です。自動車開発の仕事は、車両の設計から生産、そして試験・評価まで、幅広い分野での知識と技術を駆使する総合的な職種です。エンジニアやデザイナー、テストドライバーなど、さまざまな専門家が連携しています。そこで本記事では、
- 仕事内容
- 年収
- ソフトウェア開発
などについて解説しています。ぜひ本記事を参考に自動車開発について知見を深めてください。
監修:大畑 健一(おおはた けんいち)
パーソルクロステクノロジー株式会社
採用・教育統括本部 ICT採用本部 キャリア採用部 2G
メーカーや教育、キャリア系を中心にネットワークエンジニアの経験を持つ。
2020年10月にパーソルクロステクノロジー(旧パーソルテクノロジースタッフ)に入社。
2022年4月から現在の部署にて中途採用エンジニア向けの広報を担当。
自動車開発とは
自動車開発とは、その名の通り自動車を開発することをいいます。しかし一言で「自動車開発」といっても具体的な仕事内容はさまざまです。そこで、自動車開発の仕事の流れを解説します。
自動車開発の仕事の流れ
自動車開発の大まかな流れはこれらのようになっています。しかし仕事としてこの全体の流れに携わる人はほとんどいません。
STEP 01 企画
まず始めには企画があります。これは自動車開発の仕事の流れのなかで最も上流になります。具体的な仕事内容としては、市場のリサーチなどの販売戦略、モデルメイキングなどです。
職種例はこれらのものです。
- マーケティングリサーチャー
- プロダクトプランナー
- デザイナー
STEP 02 設計・評価
企画が通れば更に具体的な設計、評価に進みます。この段階でいわゆる「自動車エンジニア」が活躍します。
具体的な職業としてはこれらのものがあります。
- ボディエンジニア
- 自動車ソフトウェアエンジニア
- 車載セキュリティエンジニア
- テストドライバー
STEP 03 生産準備
具体的な商品が完成した後は、量産体制に入ります。この段階でもコストを下げつつ安全な生産ラインを作るためにさまざまな職種があります。
具体的にはこれらのものです。
- サプライチェーンマネージャー
- 生産技術エンジニア
- QAエンジニア
QAエンジニアとは?仕事内容やキャリアパス、将来性についても徹底解説!
STEP 04 生産
最後に、実際に商品となる自動車の生産があります。具体的な職種としては次のようなものがあります。
- 組立・溶接・塗装工
- QCエンジニア
- オペレーター
自動車開発「設計・評価」の仕事内容
自動車が開発されるまでの全体的な流れは上で説明したとおりですが、開発に注目したときに一般的に想像されやすい「設計・評価」についてよりくわしく解説します。
設計されるラインの種類
注意しなければならないのは、一本の流れがあるわけではないという点です。同時並行で自動車に必要な多くの設備が設計されていきます。一例としてこれらのものを挙げていますが、実際の設計手順はその企業により異なるため参考程度に留めてください。
車体設計
車体の構造やフレーム、ドア、窓、シートなど、車両の主要な構造部分を設計します。軽量化や剛性向上、安全性確保など、複数の要件を満たす設計が求められます。
パワートレイン
エンジン、トランスミッション、モーター(電気自動車の場合)など、動力系の設計を担当します。燃費、出力、環境性能を最適化するため、最新の技術や材料を駆使して開発を進めます。
シャシー
サスペンション、ブレーキ、ステアリングシステムなど、車両の走行性能に関わる部分を設計します。走行時の安定性や快適性、安全性を確保するための設計が求められます。
内装設計
シート、インストルメントパネル、コンソール、装飾パネルなど、車内のデザインと機能を設計します。快適性と使いやすさ、さらには高級感のあるデザインも重視されます。
電子制御
エンジンやブレーキ、エアバッグ、エンターテインメントシステムを制御するための電子制御ユニット(ECU)を設計します。電気的な信号を用いて車両の機能を管理する高度な知識が求められます。
ソフトウェア全般
自動運転、ADAS(先進運転支援システム)、エンターテインメントシステムなどの車載ソフトウェアを開発します。自動車のデジタル化が進む中で、車両の操作や安全性に直接関わるソフトウェア設計の重要性が高まっています。
バッテリー
電気自動車やハイブリッド車のバッテリーや充電システムを設計します。エネルギー密度や充電時間、寿命、安全性のバランスを取る設計が必要です。
自動車開発関連の職種の年収
自動車製造に関する企画、設計・開発、実験、生産ラインにおける工程の管理と生産従事者への技術的な指導・監督を行う、「自動車技術者」の年収は712万円となっています。
そのほかの職種の年収はこちらの表をご覧ください。
職種 | 年収 |
---|---|
自動車技術者 | 712万円 |
自動運転開発エンジニア | 712万円 |
生産・品質管理技術者 | 688万円 |
自動車組立 | 533万円 |
自動車板金塗装 | 487万円 |
当たり前ですが、上流に位置すればするほど年収は高くなっています。しかし、自動車業界はそもそも給与を含め、待遇が良い傾向にあるため上流でなくともそれなりの給与を期待できるでしょう。
【参考文献】「自動車技術者・生産・品質管理技術者・自動車組立・自動車板金塗装・自動運転開発エンジニア」job tag
自動車業界の構造
自動車産業の構造は完成車メーカーと直接取引する1次サプライヤー(ティア1サプライヤー:tier 1 supplier)、その下のサプライヤー(tier 2 supplier)、またその下のサプライヤー、等々とピラミッド構造です。その中で 自動車エンジニアは完成車メーカーとティア1サプライヤーで自動運転の開発を行っています。
自動車部品の開発を行うのであれば下のサプライヤーに位置します。
自動車エンジニアの区別
自動車エンジニアは大きく分別するとソフトウェアエンジニアとハードウェアエンジニアに分けることができます。「自動車エンジニア」について情報を求めていたとしてもどちらの自動車エンジニアを指すのかでかなり異なるため注意が必要です。
ソフトウェアエンジニア
ソフトウェアエンジニアは、自動車のソフトウェアの部分、電気自動車、自動運転車、ICT端末の機能を有するコネクテッドカーなどの専門領域に携わります。
具体的なエンジニアとしては次のようなものがあります。
- 自動運転開発エンジニア
- 車載セキュリティエンジニア
自動車開発エンジニアの仕事内容とは?セキュリティ関係やAI、転職にいかせる経験を解説
ハードウェアエンジニア
自動車におけるハードウェアエンジニアは、車体そのものの設計や開発を行います。
具体的なエンジニアとしては次のようなものがあります。
- ボディエンジニア
- 内装設計エンジニア
その他
ハードウェアエンジニアとソフトウェアエンジニアどちらのエンジニアの性質もあるエンジニアもいます。具体的にはHMI(ヒューマンマシンインターフェース)評価エンジニアなどです。HMIエンジニアは運転者と車両との操作性や使いやすさを評価します。インターフェースやボタン配置、メーター表示などの使い勝手をテストし、ユーザーにとって直感的な操作が可能かを検証します。
例えば運転席からの見やすさを考えるとハードウェアエンジニアに分類されますが、操作のしやすさ、システムの分かりやすさに着目するとソフトウェアエンジニアとなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では自動車開発に関係する職業について仕事内容や流れを解説しました。自動車という製品は高度な技術が多く使われているため非常に多くの職種やエンジニアが携わっており、その内容は千差万別です。ぜひ本記事を参考に自動車開発への知見を深めてください。