公開まで待てない!映画「Steve Jobs」の理解を深める、天才たちの名言で振り返る“Think different”キャンペーン

映画『Steve Jobs』が、2016年2月に日本公開することが決定しました。

アップルの創業者スティーブ・ジョブズの生涯を、ウォルター・アイザックソンの伝記本『スティーブ・ジョブズ』をもとに描いた同作は、ジョブズ役を演じるのはマイケル・ファスベンダーや、マーケティング担当者ジョアンナ・ホフマン役にケイト・ウィンスレット、アップルの共同設立者スティーブ・ウォズニアック役にセス・ローゲンらキャスティングされています。

監督は『トレインスポッティング』や『スラムドッグ$ミリオネア』でおなじみのダニー・ボイル。

新作発表会でジョブズが聴衆の心を掴んだ伝説のプレゼンテーション「直前40分の舞台裏」や、1984年のMacintosh、アップル退社後に作った1988年のNeXT Cube、アップルに復帰して発表した1998年のiMacという重要なシーンを中心に、己の信念を貫き通す姿勢や、類まれなセンスなど、観た人の人生にも生かせるヒントがたくさん含まれています。

なぜ”Think different”キャンペーンなのか?


Photo By PROWilliam J Sisti

映画の公開は来年2月ですが、それまで待てない!という方のために、映画の世界観、ひいてはジョブズの仕事観や人生観が垣間見ることができる1997年の広告キャンペーン”Think different”をご紹介します。

ご存知の方も多いとは思いますが、“Think different”とは、ジョブズがアップルに復帰した1997年の広告キャンペーンのスローガン。アメリカの広告代理店TBWA CHIAT DAYのロサンゼルス・オフィスが制作を担当しました。このスローガンは、テレビコマーシャルのほか、印刷広告や個別のアップル社製品のテレビ広告などでも使用され、2002年までもの約5年間も使い続けられたキャンペーンとしては息の長いものとなっています。

当時、アップルの CEOに復帰したばかりだったスティーブ・ジョブズは、社内哲学を強化すべきと考えており、それをキャンペーンに反映させて展開することを指示。CEO復帰当時のAppleは困難な状況でもあったため、このスローガンをひとつの起爆剤にしようと考えていました。

クレイジーな人たち=天才と呼ばれる人たち

『The Crazy Ones』

クレージーな人たちがいる
はみ出し者、反逆者、厄介者と呼ばれる人達
四角い穴に 丸い杭を打ち込む様に
物事をまるで違う目で見る人達
彼らは規則を嫌う 彼らは現状を肯定しない
彼らの言葉に心を打たれる人がいる
反対する人も 賞賛する人も けなす人もいる
しかし 彼らを無視することは誰にも出来ない
何故なら、彼らは物事を変えたからだ
彼らは人間を前進させた
彼らはクレージーと言われるが 私たちは天才だと思う
自分が世界を変えられると本気で信じる人達こそが
本当に世界を変えているのだから

こちらはフィルム映像で構成された60秒Ver.です。20世紀に活躍した17人の象徴的人物を取り上げることで、アップル製品の革新性とジョブズの哲学を代弁するという手法をとっています。

17人の天才たちの名言で見えてくるジョブズの哲学

CM中のナレーションでは、まさにジョブズの思想ともいうべき「世界を変えること」へのこだわりが感じられたと思います。では、さらに映像の中で登場したクレイジーな人たち(天才たち)一人ひとりをその名言で振り返ってみましょう。

アルベルト・アインシュタイン

「人間が頭で考えることは、すべて実現可能である」

頭で想像できるということは、人間の思考の範囲内にあるということ。人はまず想像をして、次にそれの実現を目指して努力し、すべて実現してきました。そもそも頭で考えることができなければ、努力のしようがありません。想像できることは、いつかは実現できるのです。

略歴:20世紀最大の物理学者。特殊相対性理論と一般相対性理論で有名。1921年のノーベル物理学賞を受賞

ボブ・ディラン

「どんなレッテルを貼られてもかまわない。歌うためなら」

何か新しいことを始めたとき、きっとレッテルを貼ってあなたのことを悪く言う人たちがいることでしょう。そんな時は、自分の本当に挑戦したいことを思い出しましょう。そうすれば、他人の目を気にすることがいかに無意味なことかわかるはずです。

略歴:アメリカのロックミュージシャン。1962年のレコードデビュー以来、プロテストソングなど半世紀にわたり多大なる影響を人々に与えてきた

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア

「I Have a Dream(私には夢がある)」

いつかある日、私の子供たちが、皮膚の色によって差別を受けることなく人間としての権利を堂々と行使できる日が来るという夢がある。という一節で有名なキング牧師の演説。

略歴:プロテスタントバプテスト派の牧師。キング牧師の名で知られ、アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者として活動

リチャード・ブランソン

「冒険しなければ、利益は得られない」

事業が成功する秘訣や技術はこの世には存在しないということ。自分自身で実践し、身につけなければならない。またはリスクを心配しすぎないで、成功の可能性を見つめることの注力することが大切。

略歴:イギリスの実業家。コングロマリット、ヴァージン・グループの創設者で会長を務める

ジョン・レノン

「根本的な才能とは、自分に何かが出来ると信じることだ」

人が何かをはじめるとき、未来への希望を持たなければ続けられません。続けられる人は、自分のことを信じられる人。これが根本的な才能。いつも前向きに自分に自信をもって仕事をしていきたいものです。

略歴:ビートルズとしてもソロシンガーとしても音楽界に多大な功績を残し、死後も絶大な影響を与え続けている

バックミンスター・フラー

「人間は知りすぎるぐらい知っているが、実行することはあまりに少ない」

頭で理解することではなく、実行できていることを基準にする。人は大切だとわかっていても、つい行動にはできていない。行動しなくては何も変わらないという意味です。

略歴:アメリカのマサチューセッツ州出身の思想家、デザイナー、構造家、建築家、発明家、詩人

トーマス・エジソン

「天才は1%のひらめきと99%の努力である」

1%のひらめきがなければ99%の努力は無駄になる。さらに言えば、1%のひらめきがあれば、99%の努力は意味があるものになるということです。

略歴:アメリカの発明家、起業家。蓄音器、白熱電球、活動写真といった人々の生活を一変させるような重要な発明をいくつも行った

モハメド・アリ

「不可能とは、自らの力で世界を切り拓くことを放棄した臆病者の言葉だ」

続けて、「不可能とは現状に甘んじるための言い訳に過ぎない。不可能とは事実ですらなく単なる先入観だ。不可能とは誰かに決めつけられることではない。不可能なんてありえない(IMPOSSIBLE IS NOTHING)」こちらの言葉は、不屈の闘志の現れであり、スポーツメーカー・アディダスのスローガンとしても有名。

略歴:アメリカの元プロボクサー。1960年ローマオリンピックボクシングライトヘビー級金メダリスト。その後、世界ヘビー級チャンピオンを獲得

テッド・ターナー

「究極の失敗の原因は安住してしまうことにある」

本当の失敗は何もしないこと、とよくいわれる通り、成功し続けている人こそ一定の場所に安住せず、常に前に向かっているということを現しています。

略歴:アメリカのメディア業界人。実業家。CNN創業者。国際連合など国際機関に多額の寄付をしていることでも知られる

マリア・カラス

「歌いさえすれば、誰だって私のことを好きになってくれるわ」

マリア・カラスは、公演を勝手にキャンセルしたり、記者をひっぱたくなどの行動が、しばしばスキャンダラスに取り上げられました。彼女の歌声は世界中で愛されたが彼女の言動は愛されたとは言えなかったのです。それでもマリアは平気でした。自分の歌の才能に絶対的な自信があったからです。

略歴:ギリシャ系アメリカ人のソプラノ歌手。ニューヨークで生まれパリで没し、20世紀最高のソプラノ歌手とまで言われた

マハトマ・ガンディー

「人間はその人の思考の産物にすぎない。 人は思っている通りになる」

人は話し方やしぐさ、くせなどで人となりがわかることがあります。それらはその人の思考の形であり、その時々の人自身を表しているということです。

略歴:インドのグジャラート出身の弁護士、宗教家、政治指導者。インドのイギリスからの独立を指揮したインド独立の父

アメリア・イアハート

「他の人ができることを決してしてはいけません。他の人ができないこと、しないことがあるなら、それをしなさい」

他の人と同じことをやっていては、その他大勢に埋没してしまいます。誰にもできないようなこと、誰もしようと思わないことを、あえて自ら進んでやることで、オリジナリティを獲得することができるのです。

略歴:アメリカの飛行士。女性として初めての大西洋単独横断飛行を達成。アメリカでは代表的国民ヒロインの一人とされている

アルフレッド・ヒッチコック

「ドラマとは、退屈な部分がカットされた人生である」

映画で描かれる人生はロマンチックであったり、アクシデントがあったり、思わぬ大成功があったりと、起伏に富んでいます。私たちの人生は退屈な部分んをカットすることはできませんが、面白い部分をつなぎ合わせることで、映画のような人生をおくることはできるはずです。

略歴:イギリスの映画監督、映画プロデューサー。スリラー映画で成功し、サスペンス映画の神様とも称される

マーサ・グレアム

「不平やグチは、伝染病です」

不平不満や人に対するグチを言っている暇があったら、次のステップを勉強する。そうした不満は場の空気を汚し、他人にまで蔓延してしまう、という舞踏家らしいストイックなひと言です。

略歴:アメリカ合衆国の舞踏家、振付師であり、モダンダンスの開拓者の一人

ジム・ヘンソン

「私が知っているもっとも洗練された人々は、心の中はみな子どもである」

子どものような純粋な心を持ち続けている人こそが、真のエンターテイメントをつくり、大きなビジネスを成功させるということを語っています。

略歴:近代アメリカテレビ史において最も重要な操り人形師の一人。セサミストリートの作者。映画製作者、TVプロデューサー

フランク・ロイド・ライト

「あなたが本当にそうだと信じることは常に起こります。そして信念がそれを起こさせるのです」

本人が信じ、それを強く欲すれば必ずそのとおりのことが起こる。それは自分自身がそうなるように仕向けているから起こるのである。信じて突き進むことの大切さを語っています。

略歴:ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエと共に近代建築の三大巨匠と呼ばれる建築家

パブロ・ピカソ

「画家は、労働者が働くように、勉強しなければならない」

9歳の時に仕上げた初めての作品から数えて、ピカソは1万3500点の油絵、10万点の版画、3万4000点の挿絵などがあり、ギネスブックにも掲載されるほど。とにかく実践を繰り返し、そして学ぶこと。その先に成功があるということです。

略歴:スペイン生まれ。画家、素描家、彫刻家など多作で知られるキュビスムの創始者

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こうした天才たちの言葉の力、映像の力を借りて、Think different キャンペーンはスティーブ・ジョブズの復帰とともに、同社に明るい未来を届け、その後も新製品発表の度に多くの注目を集めました。

また、1997年のキャンペーン開始からおよそ10年間で、アップルは以下のような製品を続々リリースし、文字通り「世界を変える」ことに貢献してきました。

1998年 iMac
1999年 iBook
2001年 iPod
2003年 iTunes Store
2006年 MacBook
2006年 MacBook

ジョブズの根底のあるのは、エンジニアとしての飽くなき探究心


Photo By segagman

良質なアウトプットは、良質なインプットから。まさに天才たちの真摯な言葉を頭のどこかに置きながら、ジョブズは世界を変える製品やアイディアを思い描いていたことと思います。

まさにそれは、彼が自宅のガレージでハンダ付けをしていながらPC製作に励んでいた頃から、ずっと変わらないエンジニアとしての探究心がすべての源泉になっているのかもしれません。

出典:wikipedia

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