こんにちは。ヨッピーです。
平日の真っ昼間ですが、東京ビッグサイトに来ています。
コミケが開催されているわけでもないのに、なぜここに来ているのかと言うと……、
金型(かながた)加工技術の展示会「インターモールド2017」を見るためです!
(編集担当)
ヨッピーさんが「行きたい、行きたい」ってうるさいから渋々ついてきましたけど、正直全然ピンときてないんですよね。なんですか、金型加工技術って? そもそも「金型」がなんなのかよくわからない。金属の型を略して「金型」ですよね?
まあ、簡単に言うとそうだね。「たい焼き」とか「たこ焼き」をつくる機械をイメージするとわかりやすいかもしれない。金属製の型に、小麦粉やら餡やらたこやらを流し込んで焼くでしょ。あれもひとつの金型やんか。ああいう金型をひとつ作るのにもめちゃくちゃ技術が必要やったりするんやで。
なるほど。なんとなくイメージがつかめました。
まあまあ。お前みたいに青白い顔でパソコン叩くくらいしか能がない豚人間には伝わりづらいかもしれないけど、実際に見てみればわかるよ。臭い口でブヒブヒ言ってる暇があるなら黙ってついておいで。
ちょっと口が悪すぎる。
こちらが会場の中! いろんな企業が所狭しとブースを出しております!
男女比10対0かってくらい男性だらけだ。それにしても、めちゃくちゃ人が入ってますね。
でしょ。コミケとか東京ゲームショウなんかはネットで話題になるんだけど、この手のBtoBの商品【※】の展示会って、あんまり話題にならないよね。
【※】BtoB……Business to Businessの略。企業対企業の取引のこと。上記の「BtoBの商品」とはつまり、エンドユーザーの手に渡る商品ではなく、あくまで企業相手の商品のこと。
最新技術を視察しに来たって人が多いんでしょうけど、この展示会は一般の人でも入れるんですよね。
一般入場不可の展示会もあるけど、入れるのも多いよ。大きいのだと工作機械の見本市であるJIMTOFなんかが有名やね。あれも入場料払うとふつうに入れるよ。
えっ!? わざわざ入場料払う人たちがいるんですか? 会場来たのにまだ全然魅力がわからない……。
仕方ないなぁ……。じゃあいろいろ見て回るか!
例えばあれな。あれこれ工作してくれる機械や。
5軸ハイスピード……カッティング……マシニングセンタ……。なんかすごそうですね。
「軸」っていうのは、X軸とかY軸とかいうやろ。あれが5つあるってことよ。XYZ軸で横、縦、奥行でしょ。それに回転軸が2つで合計5軸やね。一般的にこの「軸」が多い方が高機能とされてるよ。マシニングセンタっていうのは、まあざっくり「コンピューター制御されてるハイテク加工マシン」くらいのイメージでいいと思う。
ほら! この精度とスピード! すごくない!?
左が加工前、右が加工後。
円柱が球体になり、さらには模様のようなミゾが! めちゃくちゃ滑らかな仕上がり!
こちらはレーザーマーカー。金属などの表面をレーザー照射で彫るようにして印刷する。
仕上がりはこんな感じ!
こちらのロボットアームは、ブラシで金属の表面を研磨する工程をデモ運転中!
あとは職人さんが実演してくれるコーナーがあったりするよ!
こちらはディスクグラインダーという機械に取り付ける、研磨用ディスクの実演。
真ん中らへんが磨いた箇所! 見事な輝き!
左がBefore、右がAfter。めちゃくちゃ滑らかになってる!
こちらはレーザーで物体の寸法などを精細に計測し、3Dデータに落とし込む機械。
ロボットの動きにみとれる僕。
いろんな機械がありますね。ちょっと楽しくなってきました。
でしょ! こういう工作機械は、「機械を産み出す機械」ってことで「マザーマシン」って言われてるんだけど、マザーマシンの市場って日本勢がめちゃめちゃ強いのよ。近頃は中国勢も強くなってきてるんだけど、精度や技術力なんかはまだまだ日本勢が優れてるっていえると思う。でも、その割にどの会社も知名度が低いんだけどね……。
日常生活でマザーマシンに触れる機会なんてないですからね。僕みたいに全然知らない人も多そう。
出た! 黄色い覇者、ファナック……!
機械から制服まで全部黄色ですね。どんな会社なんですか?
えっ、まさか、ファナックを知らない?
知らない人の方が多いんじゃないですか?
えーと、じゃあざっくりファナックのホームページで2015年の決算資料を見てみると……売上高が6,234億円、経常利益が2,294億円、海外売上比率が約8割やって。この、経常利益率が36.8%って、製造業だと異常なのよ、ほんとに。
そんなに異常なんですか?
製造業だと平均はだいたい5%くらいやからね。10%で優良企業って言われるなかで、30%オーバーよ!? すごくない!? それに山梨の忍野村っていう山奥の自社工場でほとんど生産しとるからね。ファナックさんはとんでもない会社やで、ホンマ。
こちらがファナックの工作機械。黄色い。他社のブースでもこの黄色いロボットアームががんがん動いてたりすることからも、ファナックのシェアの高さがうかがえる。
スマホの筐体を削ったり自動車の組み立てをしたりと、あらゆる生産現場でファナックの機械が使われているのだ! それにしても黄色いなマジで!
この牧野フライスも強いメーカーなんよね。あと、今回は出展してないみたいやけど、ほかにもヤマザキマザックとかDMG森精機なんかも強いよ。残念ながらファナックの例にもれず、一般的な知名度はそれほどでもないけど。
ヨッピーさんが工具に詳しいことは知ってましたけど、工作機械も無駄に詳しいですね。
いや、工具も工作機械も別に詳しくないよ。この程度で詳しいヅラしてたらガチ勢から殴られると思う。会社名くらいなら株取引する人たちは知ってるだろうし、サラリーマンしてた頃に、こういう業界ごとの強い会社とかけっこう覚えたけどなぁ。
僕も株やろうかな……。
こちらはレーザーで溶接する装置。金属の補修に使われる。
火花が散ってる!
このように角が欠けた金属も職人さんの手にかかれば、
欠けた部分に金属が盛られて、
仕上げに研磨すると、見事にこのとおり。パッと見ではわからないレベルまで修復されている。
地味だけどすごい……。金型って、壊れてもこうやって修理して繰り返し使っていくものなんですか?
うん、金型ってめちゃめちゃ高いからね。1個何百万円とか、何千万円することも珍しくないくらい。だからこういう補修の技術はめちゃくちゃ重要だと思う。
何千万円……!? なんでそんなに高いんですか?
そりゃもう、金型が完成するまでにめちゃめちゃ工数がかかるからね。一点モノの金型を作るとなると、設計して図面を書いてそれを機械にインプットして加工してって、ほかにも何工程も経てやっとこさ完成するから。そもそも、そういう金型を作るような機械、つまり今日展示されてるようなマザーマシン自体が何億円もする場合があるから、初期コストがめちゃめちゃ高いんよね……。
へぇ〜。そういう世界なんですね。
でもその、何億円っていう機械を作ってるのが、実は日本のメーカーだったりするんよね。それってすばらしいことやんか……! 日本の工作機械メーカーには海外勢に負けないよう、もっともっとがんばってほしいところやで、ホンマ……。
そんなわけで、ざっと会場を見て回ること2時間!
こういう機械に興味がない人にとっては1ミリも面白くないかもしれませんが、レゴテクニックとかミニ四駆とか、動くロボットやおもちゃが好きな人は見るだけでも楽しめると思います!
工作機械の展示会はほかにもいろいろあるので、気になった人はぜひチェックしてみてくれ〜〜〜!
【展示会概要】
INTERMOLD 2017(第28回金型加工技術展)/ 金型展2017
会期:2017年4月12日(水)〜15日(土)※終了
公式サイト:http://intermold.jp/
【取材・文】
ヨッピー + ノオト
ヨッピー
フリーライター。平日毎日更新のおばかサイト「オモコロ」にて体を張った実験記事を執筆。ほかにも「ジモコロ」「トゥギャッチ」などで連載中。
Twitter:@yoppymodel
Facebook:yoppymodel