映画の世界観の中で、エンジニアやプログラマーが重要な役割を果たした名作映画や最近の新作をご紹介します。エンジニアの皆さんは、すでに観ているかもしれませんが、もう一度観てみることで細かなプログラミングのシーンや当時の機材などをじっくり観察することもできます。
エンジニアじゃない方にとっては、普段あまり目にすることのないエンジニア・プログラマーの仕事風景やコードを書くシーンなど、映画のスクリーンを通して見てみるとその内容がよりわかりやすくなると思います。
※なお、本記事には一部に映画のネタバレを含む記述がございます。まだご覧になられていない方は、あらかじめご了承ください。
Index
SNSという概念を瞬く間に世界中に広めた!Facebook誕生秘話を描く「ソーシャルネットワーク」
2010年アメリカ
監督:デヴィッド・フィンチャー
【あらすじ】
ハーバード大の学生だったマーク・ザッカーバーグが、大学のコンピュータをハッキングし、女子学生の写真を集め、その顔の格付けサイトがもととなっている『Facebook』。それは、開発から瞬く間に世界に広がり、若者をはじめとする世界中の人々にソーシャルでつながるという概念を定着させ、ライフスタイルを大きく革新させていきました。
初期のFacebookはPHPで作られており、驚くことに難しいテクノロジーは用いられていませんでした。PHPとは、1994年頃世に出てきた容易かつ無料で動的HTMLページを書くことができるスクリプト言語。MySQLのような人気データベースとの統合も容易であったことから、サイトの管理者にとっても手軽に必要なことはすべて行えました。その後、マーク・ザッカーバーグの登場で人気のピークを迎え、彼がまだハーバード大の学生寮にいた2004年頃、Facebookの制作にPHPが選ばれ、大きくブレイクしました。
出典:readwrite.jp
難解な核ミサイルの発射装置を止めた!少年エンジニアが世界を救う「ウォーゲーム」
1983年アメリカ
監督:ジョン・バダム
【あらすじ】
天才高校生ハッカーのデイビッドは、米軍のコンピュータに侵入し、「全面核戦争ゲーム」という名の面白そうなゲームを発見する。しかし、これはゲームではなく現実のオペレーションシステムだった。その事実を知らないデイビットは、核ミサイルの発射装置を起動。このままでは世界が現実の核戦争へ突入してしまう…、だがデイビッドは機械に◯✕クイズを仕掛けることでシステム停止のパスワードを解析。なんとか、核ミサイルの発射を止め、平和の世の中を取り戻しました。
ウォーゲームが公開された1983年は、コンピュータの黎明期。人々はコンピュータへの馴染みが薄く、現実で同じ問題が起こらないかと国防総省などに問い合わせが殺到したそうです。それほどインパクトの大きかった映画といえます。この映画を見て、「エンジニア(ハッカー)」の知名度が高まると共に、その憧れからエンジニアを志した人も増えたとのことです。
ハッキングに逆探知に、天才エンジニア2人の攻防戦がスゴい「ザ・ハッカー」
1999年アメリカ
監督:ジョー・チャペル
【あらすじ】
天才ハッカー・ミトニックは、サイバーセキュリティの第一人者・下村のコンピュータに侵入。重要なデータファイルを盗んだ上、コンピュータ・ウィルスを注入。謎の人物からの挑戦を受けた彼は、意地とプライドにかけて独自の捜査を開始する。
世界で最も有名なクラッカー「ケビン・ミトニック」と伝説の日本人ホワイトハッカー「下村努」の戦いを描いた話題作です。海外サーバーを経由することで身元の特定を防ぎ、FBIの操作から逃げ続けたケビンに対して、困り果てたFBIを救った男が下村。電波の逆探知を駆使し、ケビンにたどり着こうとする下村。そして、「ソーシャル・エンジニアリング」を用いたハッキングでは、下村の努力を弄ぶかのように逃亡を続けるケビン、といったエンジニア的な頭脳戦が繰り広げられ、二人の緊迫した攻防で魅せる痛快なストーリー展開です。
出典:comzine
どんな暗号でも解読可能!世界中のハッカーに人気の「スニーカーズ」
1992年アメリカ
監督:フィル・アルデン・ロビンソン
【あらすじ】
主人公は、警備システムの盲点を検証するプロフェッショナル集団のリーダー。そんな彼のもとに、NSA(アメリカ国家安全保障局)の職員を名乗る二人組が現れ、多額の報酬を支払うかわりに天才数学者ジャネックが開発した”黒い箱”を手に入れてほしいと要請する。難なくその箱を盗み出すが、それは世界中のどんなデータの暗号も瞬時に解いてしまう暗号解読機でした。
見どころは、セキュリティが頑丈なビルに侵入するまでに徹底的なリサーチを図るシーン。ビルに出入りする人びとを何日も観察し、ターゲットを定め、そのターゲットのすべてを調べ尽くす。この手法は現実のハッカーの手口でもあり、そのリアリティあふれる描写が、今でも全米のギークな人々から賞賛を受けています。
アノニマスに似た高度なプログラミング技術で描く新作「ピエロがお前を嘲笑う」
2015年ドイツ
監督:バラン・ボー・オダー
【あらすじ】
世界を震撼させたハッキング事件を起こし、殺人容疑の掛かった天才ハッカーのベンヤミンが警察に出頭。ハッカー集団「CLAY」に加担して盗んだ情報によって殺人を犯してしまい、次は自分が狙われていると告白。その言葉をもとにベンヤミンの身辺調査をした捜査員は、不可解な事実を次々と見つけだす。
本作では、マシン語(コンピュータに直接指示を与える2進数の羅列)という高度なプログラミング技術を使用。言語を自由にあやつるハッカーのベンヤミンが、実在するハッカー集団「アノニマス」の行動に似た、さまざまなハッキングで世間を騒がせます。その代表例がDOS攻撃。ネット上でのトラフィックを増大させ通信処理しているサーバーを独占してシステムを使用不可にし、ネットワークサービスを不能にする攻撃の一つです。
出典:AOL News
エンジニアという多様性のある生き方を、映画を通して実感
FBIから逃げ切る天才ハッカーや、世界核戦争の危機を救う少年エンジニア、そして人々のライフスタイルを革新した天才プログラマーなど。「エンジニア」「プログラマー」といったカテゴリーで映画を見ていくと、その多様性が伺い知れます。
このように、社会に影響力を与えるエンターテイメントの題材にもなってしまう「エンジニア」への憧れは、これからもますます増え続けていくことと思います。