キモカワにゃんこが、日本征服を目指して大暴れするゲーム「にゃんこ大戦争」。
▲「にゃんこ大戦争」のワンシーン。個性的なにゃんこ達が、向かい合った動物や人と激しくバトルを繰り広げる
老若男女が楽しめるシンプルな操作と個性豊かなキャラクターが特徴的で、2012年のリリースから現在まで、全世界2500万ダウンロードを記録する人気ゲームとなっています。
そんな「にゃんこ大戦争」を開発・運営するのは、京都で26年もの歴史を持つ「ポノス株式会社」。
「ななめ上を、行け」をスローガンに、誰でも超おてがる&超きもちイイ!!が楽しめる忍者カタナアクション「Mr.Ninja!!Fever」や、プレイヤーによって終わり方が異なる脱出ゲーム「クローズドルーム」など、数々のゲームを作り続けています。
これまでは京都を拠点に活動していたポノスさんでしたが、去年の10月、東京に「江戸オフィス」をオープン。
オープン当初は1名だったという江戸オフィスは、現在50名以上に増えているとのこと。
ポノス江戸オフィスは、いったいどのような場所なのか?
また、江戸オフィスではどのようなゲーム開発を進めているのか?
エンジニアとして働く、井上アキラさん、樺山博史さんのお二人に、詳しくお話を伺いました!
会社のエントランスから「ななめ上」!
10月の下旬、世間がハロウィンに湧くこの時期。
恵比寿の江戸オフィスの入り口を抜けると、待っていたのはこのデコレーション。
日本中を見渡しても、ここまでハロウィンに本気で取り組む会社は他にないのでは……!
テーマパークのアトラクションに訪れたかのような世界観に驚きを隠せません!
▲薄暗いエントランスから漏れるオフィスの光
呆気に取られて、薄暗いエントランス待つこと数分。
出迎えてくれたのは、エンジニアの井上さんと樺山さん。
▲左 井上アキラさん 右 樺山博史さん
お二人に伺うと、このデコレーションはすべて社員で作り上げたとのこと。
半端じゃない遊び心。
本気で遊びに取り組んでいる企業なのだと、訪れてすぐにポノスさんの底力をヒシヒシと感じました。
そんな「ななめ上」をガンガンと攻めていくポノスさんについて、お二人に詳しく伺いました。
「いろは」と「ダークホース」2つのスタジオで、ポノスを進化させる
これまでは京都単体で活動していたポノスさん。
新たに江戸オフィスをオープンさせた最大の理由は「にゃんこ大戦争」に次いで、会社の看板となるようなゲーム開発に取り組むため。
京都よりも多くのゲーム会社が集まる東京で、新タイトルを作るための開発環境を整えたり、他社と共同で技術開発に取り組んだり、ポノスさんの次なる挑戦のために、江戸オフィスをオープンさせたとのこと。
新しいゲームを作る、その環境を整える。
そのために作られたのが、江戸オフィスなのです。
お二人が実際に取り組んでいるのは、どのような業務なのでしょうか?
「いろはスタジオ」「ダークホーススタジオ」という別々のチームで働くお二人に、現在の業務について詳しく伺いました。
▲「いろはスタジオ」でチーフエンジニアとして働く樺山さん
まずは、樺山さんから。
樺山さんは、e-Sports関連のゲームアプリを開発している「いろはスタジオ」のチーフエンジニア。
e-Sportsとは、PCゲームで人気の高いジャンルのひとつ。
サッカーのワールドカップのように、世界中のプロゲーマーがその腕を競い合い、それを一般のユーザーがスポーツ観戦のように楽しむというもの。
日本でもこれから、e-Sportsの波が来るといわれているそう。
そんなe-Sportsをスマートフォンなどのモバイル機器でも楽しめるように、対応可能なアプリを開発するのが樺山さんの業務です。
樺山さんは、その中でサーバーサイドエンジニアとして働いています。
「エンジニアには、画面に表示される部分を担当するクライアントサイド、ユーザーの操作をサーバに反映させて、それを処理するサーバーサイド、サーバなど筐体そのものを担当するインフラサイドという3つに分けられます。私が担当しているのは、ユーザーの操作や通信を処理するサーバーサイドをメインに、クライアント、インフラも兼務しています(汗)」。
e-Sportsは、複数のプレイヤーが同時に操作するため、サーバーサイドでの処理がとても難しいとのこと。
「5対5など、複数の人間がリアルタイムに操作するe-Sportsでは、処理の遅れやズレが命取りです。しかし、プレイヤーが操作した内容をサーバに送信して、データに反映させたのちにそれをまたプレイヤーに送信、という一連の流れの中では、どうしても通信時間+サーバの処理時間がかかりレイテンシ(遅延)が生じてしまうんです。その遅れやズレをプレイヤーに感じさせないために、最新技術を使って通信速度や処理速度を上げるのはもちろん、キャラクターが他の動作をしている間に通信処理を終わらせる工夫など、各方面からゲームの進行がスムーズになるように努力しています」。
リアルタイム性が必要なe-Sportsのサーバーサイドは、0コンマ数秒のズレや遅延を微調整していく、シビアな現場。
サーバーサイドエンジニアの業務の中でも、特に難易度が高いとのことですが、そんな難しい仕事に挑戦できていることに喜びを感じていると樺山さん。
e-Sportsを日本に定着させることを目標に、日々の業務にあたっています。
続いて「ダークホーススタジオ」に所属する井上さんの業務をご紹介。
こちらのスタジオでは、ポノスさんの次の柱となるゲームの研究・開発を行っているとのこと。
井上さんの役割は、リードエンジニア。
エンジニアとしての技術や知識に加えて、クライアントや他部署とのコミュニケーションやマネジメントなど、さまざまな能力が求められる職種です。
▲井上さんの業務風景。リードエンジニアとして「ダークホーススタジオ」を率いる
井上さんは、エンジニアとして実際に手を動かすだけでなく、ソースコードの品質管理、デザイナーやプランナーとの打ち合わせ、新しい技術を開発など、多岐に渡る業務をこなしています。
「ダークホーススタジオは、これからのポノスを代表するようなゲームを作ることをミッションに、さまざまな取り組みを進めています。その中でもゲームのプロトタイプの作成が多く、プランナーやデザイナーから上がってきた企画を、一緒に方向性を定めながら作っていく業務が中心になります」。
ゲームの世界では、プランナーやデザイナーの企画をエンジニアやプログラマーが形にしていくのが基本的な流れ。
しかし、井上さんは、新しい技術をリサーチしてゲーム開発に応用するなど、技術の開拓に取り組んでおり、最先端の技術を伝えることで、プランナーやデザイナーの表現の幅を広げる提案も行なっているそう。
「私たちのスタジオは、最高のモノを作るためならなんでもやる!という、自分たちのクリエイティビティを存分に発揮できる環境なんです。パズルゲーム、RPG、バトルゲームなど、さまざまな企画書が届くので、それぞれのゲームをどのような切り口で作成するのか、常に悩ましい状態が続きます。作ったプロトタイプがボツになることもありますが、デザイナーやプランナーと連携しながら、新しいゲームをイチから作っていく環境はとてもエキサイティングです。考案、出来ていく過程、完成したとき、ゲーム作りのすべての過程を楽しんでいます」。
「おもしろいゲームを作る」というゴールに向けて、多様な業務をこなす井上さん。
話せば話すほどに熱を帯びる語り口から、仕事に夢中な様子が伝わってきます。
e-Sportsを開発する「いろはスタジオ」、新しいゲーム開発を行う「ダークホーススタジオ」。
異なるプロジェクト、業務を進めるお二人ですが、共通しているのは、現在のポノスさんでの仕事に熱中しているということ。
エンジニアが、ワクワクしながら働ける。
そんな江戸オフィス、ポノスさんの魅力とは何なのでしょう?
エンジニアの好奇心を最大限に活かせる環境!
▲飼われているCDO(チーフドッグオフィサー)のポノくん。業務中の癒しの一時
江戸オフィス、ポノスさんについて「この環境で頑張れなければエンジニアではない!」とお二人は断言します。
「自身が本気で楽しみながら作り、心から楽しいと思えるゲームでなければ、お客さんの心には届きません。だからこそ、興味のあることや好奇心をありのままに受けとめてくれるこの環境は本当に魅力的です。まだまだ未完成ですが、ダークホーススタジオから、世間をあっといわせるようなゲームを生み出したいですね」。
やりたいと思ったことにすぐにチャレンジできる環境。
それこそが、エンジニアの向上心や好奇心を満たし、ゲーム開発への原動力を生み出しています。
ポノスさんのクリエイティビティを抑制しない姿勢は、お二人のような作り手にとって魅力的だといいます。
「エンジニアの世界では、新しい技術がどんどん生まれてきます。その技術をすぐに応用することで、不可能だった表現ができたり、不具合を解消したり、ゲーム開発をスピードアップさせることができるんです。ほとんどストレスなく新しい技術に挑戦できる今の環境は、エンジニアにとって最高の環境だと思いますね」。
▲仕事に疲れたときはサクッとゲーム。リラックスできる仕掛けがオフィスの随所に。
チームを率いる二人から溢れる、ポジティブなエネルギー。
他のメンバーも、心から楽しんでゲーム開発に熱中しているといいます。
そんなメンバーが集まったポノスさんから、今後ゲーム業界を一変させるような、新しいゲームがリリースされるのではないでしょうか。
エンジニアにとっての楽園のような環境、ポノス株式会社。
江戸オフィスで開発中のタイトルがリリースされるのは、来年以降とのこと。
常識と非常識の狭間、「ななめ上」を攻め続ける彼らから、どのようなタイトルが生まれるのか?
今後の活躍が、楽しみでなりません!