【キニレポ!】 これからの解決策“RPA”。導入の落とし穴とは?

※この「キニレポ!」は、“気になるテック系イベント”に参加して、ざっくり概要をまとめてレポートしていく企画です。


こんにちは、レポーターのマサです。

皆さんは、RPAってご存知でしょうか? 今回、2019年6月7日に東京国際フォーラムで開催された「RPA DIGITAL WORLD TOKYO 2019」に参加してまいりましたのでレポートさせていただきます。


このイベントはRPA総合プラットフォームメディアを運営する「RPA BANK」が運営しているもので、RPAをテーマにしたイベントとしては国内最大規模。全セッション満席となり、総来場者数として6,829人が訪れたのだとか。

確かに、どのブースに立ち寄っても人だかりが多く、セッションに参加してみても立ち見の人までたくさんいて、関心の高さが伺えました。


RPA は「これからの解決策」

多くの人が訪れ関心の高まりが感じられるRPAですが、そもそもRPAのことをよく分かっていないという方もいるかも知れません。

RPAは「Robotic Process Automation(ロボティック プロセス オートメーション」の略で、ロボットによる業務自動化を指します。とくにホワイトカラーのバックオフィス業務を人に代わって作業するソフトウェアロボットのことですね。

テクノロジーの世界では10年おきに新たなテクノロジーが爆発的にヒットする、と言われていて、これまでに以下のものがヒットしてきています。

・30年前……PC
・20年前……インターネット
・10年前……スマートフォン

これらは現在では当たり前の存在になりましたよね。
そして「これからの10年はRPAではないか」と言われているのです。

テクノロジーの世界のことをもう少し掘り下げてみましょう。

皆さんは「ハイプ・サイクル」ってご存知でしょうか? 特定のテクノロジーがどれだけ成熟しているか、どれだけ世の中に浸透しているか、などを示した図で、ガートナー社が造りだした用語です。

2018年11月にガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区)が発表した、「日本におけるテクノロジーのハイプ・サイクル:2018年」を実際に見てみましょう。ここでは2018年の段階での日本のICT市場における代表的な40のキーワードが取り上げられています。


日本におけるテクノロジーのハイプ・サイクル:2018年(出典:ガートナージャパン)


この図を見ると、RPAは既に“幻滅期”に差し掛かっています。幻滅期というのは名前だけ見ると悪い状態に思われがちですが、違うんです。幻滅期は“確固たる市場形成への登竜門”ともいえるフェーズで、ここを超えるといよいよ定番化していくというわけです。

RPAは2016年1月に日本に到来したと言われますが、たった2年で幻滅期に突入していることになります。実はIoTやAIなどの人気の最新デジタルテクノロジーと比較しても、スピードがものすごく速いと言えるのです。


ソフトバンクの創業者である孫正義さんも、別のイベントでRPAの重要性を次のように語っていたようです。

「日本の大きな問題は、労働人口が毎年減っているということ。急に改善できるものではない。その解決策のひとつがRPAだ」

「RPAとAI、ロボットとAI、両面で日本の生産性をあげる。もっと生産性を上げていくことが日本の復活のシナリオだと考える」

これからの時代の解決策としてRPAへの期待を示している様子がうかがえますよね。

<参考>ソフトバンク孫会長 RPA+AIの「RPAI」がもたらす25倍の競争力に期待。オートメーション・エニウェアへ出資の理由も明かす


RPAを導入する際の5つの落とし穴

「そんなに注目を集めているのか!では、ウチでもすぐに」と導入を急ごうとする方がいたら、ちょっと待ってもらいたいです。システムでも設備でも、何も考えずに導入しようとすると上手くいかないことってよくありますよね。

ということで、今回のイベント「「RPA DIGITAL WORLD TOKYO 2019」の中でも、失敗しないための考えかたについて解説されていたセッションがありましたので、そのセッションのレポートをしたいと思います。

そのセッションとはこちらです。

『RPA 進め方再考と失敗しないデジタルトランスフォーメーション』

登壇されていたのは、株式会社エル・ティー・エスのシニアマネージャー、関野まり氏でした。


株式会社エル・ティー・エスの関野まり氏


セッションの中で「RPA導入の落とし穴」「その背景」「打開策」についてお話しをされているパートがありましたので、その部分を抜粋してレポートしていきましょう。


●RPA導入の落とし穴①

まず一つ目の落とし穴は、「タスクの見積もりを間違ってしまう」こと。そして、「RPAを使うべき場所ではないところに導入しようとしてしまう」ということを挙げていました。

この落とし穴の背景としては、「RPAへの理解が不足している」ことがあるそうです。

確かに、RPAというものをよく分かっておらず、「期待していたほどタスクが楽になっていない」とか「そもそもそのタスクにはRPAを適用できない」といったことが発生してしまうのだとか。

★打開策

この落とし穴にハマらないためには、「RPAで何ができるのか」をしっかり調べて“RPAリテラシー”を高める必要があるということです。


●RPA導入の落とし穴②

次の落とし穴は、よく耳にする「属人化」です。業務が属人化されていて、誰が何をやっているかが不透明。RPAでのロボ化を行うことが困難になってしまうケースが散見されるようです。加えて、業務がかなり個別最適になってしまっており、RPAを適用しようとすると大量のロボが必要になってしまっている場合も。

これは背景としては、そもそも業務が属人化されてきてしまったことが問題です。RPAを適用するしないにかかわらず、組織での業務において属人化というのはボトルネックになってしまうものですよね。

★打開策

この落とし穴にハマらないためには、RPAを導入する前に「標準化」など業務整理を進めておく必要がありますね。


●RPA導入の落とし穴③

続いての落とし穴は、導入中の段階。社内の各部署で似たようなロボを作ってしまい、導入活動自体が非効率になってしまっているケースも散見されるようです。背景としては社内での情報共有が少なく、部門横断の活動も無いということが挙げられるそう。

★打開策

社内に俯瞰的視点を持つべく、部門横断活動を行うことが重要。これはRPA導入に限った話しではないかも知れませんね。


●RPA導入の落とし穴④

続いての落とし穴は、導入後です。導入したはいいけれど、現場から「使いづらい」という声があがってきたり、ロボがすぐ止まって動かなくなってしまうケースもあるようです。せっかく導入しても改悪になっていたりトラブルが起きてしまっては意味がないですよね。

この背景としては、やはりRPAへの理解が不足していてロボの設計に問題があったり、そもそもの要件が漏れていたりすることのようです。

★打開策

関係者全体のリテラシーを向上させ、しっかりと業務を整理したうえで最適なツール選択し、ロボの設計を行っていくことが重要だといいます。


●RPA導入の落とし穴⑤

そして最後の落とし穴は、運用・保守です。RPAの運用が非常に面倒であったり、時間が経つと使い方が分からなくなってしまうケースもあるのだとか。背景としてはメンテナンス等の仕組みを設けていないことが原因です。

★打開策

ガイドラインを用意することや、運用体制を整えておくことが重要になるようです。


“RPAを導入すること”が目的になってはいけない

さて、導入前から導入後の運用にいたるまで、注意すべきポイントがいくつもありましたね。

どうしても新しいテクノロジーになると「導入すること」が目的になってしまいますが、やみくもに導入しても失敗するのは目に見えています。名ばかりの効率化名ばかりのRPAが逆に重荷になってしまうケースもあるでしょう。

RPAのことをちゃんと知って、ロボが活躍できるように環境を整えて、組織を俯瞰で見ながらしっかりと評価をすることが大事だということですね。

今回のお話しを聞いて、RPAの導入には「リテラシー向上」「業務整理」「横断視点」などが特に重要になってきそうだなあと感じました。

これからの時代、労働人口は確実に減少していくわけですから、ロボと協働しながらスイスイと仕事をこなしていきたいものですね。


今回参加した「RPA DIGITAL WORLD」ですが、2019年度中に全国5都市(福岡/大阪/東京/広島/名古屋)で開催を予定しているのだとか。

ぜひ興味のある方は足を運んでみてもらいたいです。開催スケジュールや会場などの詳細はRPA BANKのページ上などで発表されると思いますので、情報収集とあわせてこまめにサイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。

それではまた!



取材協力:RPA BANK
取材+文:プラスドライブ

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