「ゆるドラシル」開発過程から読み解く!「エンジニア」という働き方の魅力とは?

2014年のリリースから今年で2周年を迎えたアプリゲーム「ゆるドラシル」。
「コマンドをタップするだけ」という、簡単操作で楽しめる本格RPGとして人気を博したこのタイトル。

開発・運営は、アプリゲーム関西の雄。
クローバーラボ株式会社

“ゆるくて可愛い800体のキャラクター”
“北欧神話をモチーフにした本格的なストーリー”
“片手でも遊べる操作性”

さまざまな魅力を持つ「ゆるドラシル」は、どのようにして生まれたのか?
「ゆるドラシル」に関わる3名のエンジニアに、開発の裏側を伺いました!


遊びゴコロ満載!オフィスから感じるクローバーラボ!

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クローバーラボ株式会社は、スマホ向けゲームの企画、開発・運営を行うベンチャー企業。
2009年の設立以来、WEBシステムの受託開発業務、ブラウザゲーム開発を経て、アプリゲームをメインに事業を展開しています。

「ゆるドラシル」の他、「ワンダークラウン」「~無限にRPG~どこまでもクエスト~」など、「長く楽しんでもらえるコンテンツ」を軸に、これまでにさまざまなアプリゲームを開発してきました。

他にはない切り口、斬新なキャラ設定など、発想力が重要になるゲーム開発の現場は、遊び心に溢れたバリエーション豊かな空間。

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▲イベントやコミケで利用したという大型の「ゆるドラシル」パネルがエントランスに

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▲社内にバー「クローbar(クローバー)」完備。社長・社員のオリジナルカクテルが楽しめる。定期的に食事会なども開催される

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▲和室風のMTGルーム

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▲気分転換にダーツも完備

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フロアでは、ディスプレイごしに相談したり、談笑したり、コミュニケーションが活発な和気あいあいとした雰囲気。
エンジニア、デザイナー、プロデューサー、プランナーなどなど、総勢65名が、ゲームの企画・開発・運用に励んでいます。

今回取材させていただくのは「ゆるドラシル」の企画立ち上げたプロデューサーのきゃんさん(本日はゆるドラの名物キャラ「大聖獣スレイプニル」に扮して登場)。

技術部の主任で「ゆるドラシル」に、メインエンジニアとして関わる前田悠希さん、技術部の若手筆頭株でサーバーサイドを任される、松本亮太さんの3名。

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▲左からきゃんさん、松本亮太さん、前田悠希さん

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▲こちらがスレイプニル。馬の被り物をした変態紳士。

「ゆるドラシル」の最大の特長は、画面に表示されるコマンドをタップしていくだけでストーリーやバトルが進行する操作のしやすさ。

このようなゲームの特長は、どのようにして生まれたのでしょう?
まずは、企画当初のエピソードを伺います。


より手軽に楽しめるRPGゲームを

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「ゆるドラシル」を最初に企画したのは、現在プロデューサーのきゃんさん。
当初は企画、設計、サーバー側のエンジニアを一人で担当したといいます。

続いて、アプリプログラマ-としては前田さん、さらにデザイナーとシナリオライター1名ずつを加えた4名で開発がスタートしました。

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▲業務に集中する、プロデューサーのきゃんさん。

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▲前田さんの業務風景

そして、松本さんがプロジェクトに参加したのは、開発がスタートしてから3ヶ月程度が経過してから。
エンジニアとして、サーバーサイドのプログラミングを担当したといいます。

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▲談笑する松本さん。3名とも同じテーブルで業務に励む。

それまで、ブラウザゲームをメインにしていたクローバーラボ。
開発にあたり「片手でもプレイできる操作性とプレイしていなくてもバトル・ストーリーが進むオート機能」を持つゲーム開発を目指したとのこと。

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アプリでゲームをするタイミングを考えると、通勤中などの暇つぶしにやることが多い。なので、電車で立っていても操作しやすいように『片手で操作できて、オートで進行するゲーム』というコンセプトを掲げて開発を進めました」。

そこできゃんさんが考えたのは、利用する武器の名前や技の名前が画面に表示され、それをタップするだけでストーリーやバトルが進むコマンド選択。
現在でも非常にめずらしいインターフェースで、リリースまでに何度も作り変えながら今の形にたどり着いたといいます。

画面をタップすればオートでストーリーやバトルが進行する手軽さやキャラクターのド派手な演出など、「ゆるドラシル」の仕組みはどのように作られていったのでしょうか?
開発過程について、具体的に伺いました。


ゼロからスタートしたアプリゲーム開発

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▲「ゆるドラシル」のインターフェース。下半分がコマンドで構成されている

キャラクターのアニメーションを担当したのがメインプログラマーの前田さん。
未経験の業務であったため、使用する開発エンジンの使い方など、自身で研究しながら開発を進めていったといいます。

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ゆるドラシルの開発は、ココス2d-xという開発フレームワークを利用しました。キャラクターのアニメーションはSpine(スパイン)というツールで作っています。どちらも、開発を進めながら使い方を覚えていきましたね」。

開発過程のすべてが難しかったと前田さん。特に難しかったのは、バトル周り演出だったとのこと。
何度も何度もプログラムを書き直しながら、理想の動きを追求。
「ゆるドラシル」の魅力のひとつであるキャラクターの演出は、前田さんの試行錯誤によって少しずつ作り上げられていきました。

その仕上がりを判断したのは、統括であるきゃんさん。
開発中は、きゃんさんの表情に一喜一憂したこともあったといいます。

リリースできるものかどうかの最終判断はきゃんさんなので、仕上がりを見せにいって良い表情だったら、やった!って感じでした(笑)」。

また、松本さんが担当したサーバーサイドでも、さまざまな試行錯誤が行われていたといいます。
「ゆるドラシル」はアプリとウェブブラウザ2つの環境で動くゲーム。
当初はブラウザでの処理が多く、開発過程でさまざまなトラブルが発生したとのこと。

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新しいことを学ぶというよりは対応のスピード感を求められました。プロデューサー(きゃんさん)から理想も高かったので、スピードについていけなくなることも多々ありました」。

サーバー側での主な問題点は、ブラウザを経由することによって生まれる「読み込み時間」だったそうです。

読み込みでプレイが止まってしまうのは、ユーザーにとって一番のストレスになります。JavaScriptでプログラム間の遷移を減らすなど、情報処理の時間をできるかぎり少なくするようにしました」。

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アプリ側の前田さん、ブラウザ側の松本さん、そしてそのすべてをマネジメントするきゃんさん。
それぞれが能力をフルに発揮して「ゆるドラシル」が完成しました。

この3名を合わせて、開発段階では約14名、現在の運用チームには17名程度のメンバーが参加したとのこと。全世界で500万ダウンロード以上を記録する「ゆるドラシル」は、このように作り上げられていったのです。


学び、活かし、つながるエンジニアの仕事

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最後に「ゆるドラシル」の今後の展望を伺いました。

ブラウザとアプリを併用することで、バグ修正などに素早く対応できるというメリットがあったのですが、通信速度を上げたり、表現をリッチにするという部分ではアプリの方が優れています。少しずつ、ブラウザで行っていた処理をアプリでもできるように移行させているところです」と前田さん。

ほかにも、キャラクターを活かしたミニゲームの開発やキャンペーン開催など、ゲームの世界観を拡張するような企画も検討中とのこと。

ユーザーに長く愛されるコンテンツを」という会社のコンセプトに沿って、今後も「ゆるドラシル」を楽しんでもらうための企画を仕掛けていきます。

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アプリゲームの開発に関わることの魅力を3名に伺うと「ユーザーとの距離の近さ」との答え。

アプリの更新をすると、その日のうちにユーザーからのフィードバックがもらえる。ユーザーと共に、ひとつのアプリを開発しているような感覚は、コンシューマーゲーム(ゲーム機によるゲーム)やプロダクト開発にはない魅力だと思います」ときゃんさん。

技術や知識を学ぶ楽しさ、それを活かしてモノづくりをする楽しさ、そして、ユーザーとのつながり。
「ゆるドラシル」が生まれるまでの開発過程を伺うことで、「エンジニア」という仕事の魅力を、少しだけ体感することができたような気がします。

今後、どのようなアプリゲームが生まれるのか?
クローバーラボの今後の展開から目が離せません!

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