2015年度のグッドデザイン大賞を受賞したパーソナルモビリティ「WHILL」。
IoTの分野で大きなアドバンテージを持っていることを発信するのに成功したのは事実ですが、ではそこに使用されているIoTデバイス「SORACOM Air」はご存知ですか?
いま、家電製品や車、家までもインターネットに接続され、生活はより便利で、より快適な姿に形を変えてきていますが、その中でIoTデバイスが注目されています。
エンジニアの皆さんとしても、IoTに関する動向は無視できない存在となっているため、情報を集めているという人も少なくないでしょう。
既存のモノにインターネットを接続することで新たな価値観を生み出すため、アイデア次第では世の中を大きく変えてしまう製品が生まれるという可能性もあります。
ただ、現在主流になっているIoTデバイスは、スマートフォンと接続することで使えるという製品が多く、手元にスマートフォンがなかったり、ネットに接続できる端末がない状態だと、せっかくのIoTデバイスもネットに接続することができません。
どこにいてもIoTデバイスがネットに接続できて、かつコストも掛からないような通信をする必要があります。
Index
スマートフォンと連携せずに、手軽にIoTデバイスを接続する2社の新たな取り組み
IoTデバイスの通信方法については、いまメジャーとなっているのはスマートフォンをBluetoothで接続するという方式です。
スマートフォンとの連携をメインにしているため、IoTデバイス単体だけでネット環境のないところでは使いづらいのが現状です。
IoTデバイスをインターネットに接続するには、当たり前ですがインターネット回線が必要です。家電製品やスマートハウスなどで使われるIoTデバイスは、Wi-Fi環境の整った場所で使用するため、通信手段の確保は容易といえます。
ですが、屋外で使用するようなデバイスだと現状のインフラでは通信が難しくなるため、そんなときに安定した通信を確保するために活用したいのがSIMカードを使った通信です。
デバイスにSIMカードスロットを設けて、格安SIMなどで通信をするという方式をとっているデバイスも数多くあります。
中でも、ソラコムが提供しているSIMカードと、SIMカードの入っていないデバイスでも通信を可能にするdocomoが発表した外部モジュールは様々な用途に使えるのではないかと注目されている製品なので、エンジニアの皆さんにとってはこれから特に注目です。
従来の携帯電話回線を使用する格安SIMソラコム「Air SIM」
株式会社ソラコムが提供しているSORACOM Airというサービスは、IoTデバイス向けに、Air SIMというSIMカードを用意しています。
SIMカードの形状は、ナノ・マイクロ・標準の3種類が用意されているので、あらゆるIoTデバイスに使えます。
SORACOM Airは、Air SIMの通信をコントロールできるAPIも提供されているので、通信の開始や複数のデバイスを一括で操作したり、設定することで様々な使用方法があるといえるでしょう。
スマートフォンの通信用としてではなく、IoT向けに提供されていることから人気の高いSIMカードです。特に、SORACOMのAir SIMはすでに多くの企業導入しており、i:Engineerで以前紹介した福祉モビリティの「WHILL」にも搭載されています。
車いすなんてもう言わない!?最新技術を駆使した超福祉機器モビリティはここまで進化していた!【福祉×テクノロジー】
パーソナルモビリティ「WHILL」の今後展開していく新サービスにおいて、位置情報、機体&センサ情報を自社サーバーに送信するときに、小さい通信量でセキュリティを確保することが難しいという課題がありました。
ここでいう小さい通信量というのは、コストだけでなく、消費電力という観点でも重要です。
私達が通信したいデータは1回数十バイトの小さな情報量ですが、高セキュリティのプロトコルを実装しようとすれば、それだけで数キロバイトの通信が必要になってしまい、コストだけでなく消費電力の観点からも無視できない問題になってきます。
出典:SORACOM 導入事例
安価で気軽に購入することができるので、個人でも導入へのハードルを低くすることが可能なため、IoTデバイスに関するアイデアがあるエンジニアは1枚購入してみるといいかもしれません。
SORACOM Air SIMカード(Amazon購入ページが開きます)
SIMカードのないデバイスでも、ワンタッチで回線が使用可能になるdocomo「ポータブルSIM」
IoTデバイス自体にSIMカードを挿入することが可能であれば、Air SIMなどの格安SIMを使っての通信ができます。
ですが、技術的デバイスの内部にSIMカードスロットを設置するのが難しいという場合は、docomoが発表した外部モジュールのポータブルSIMがあります。
docomo ポータブルSIMは、世界で初めてSIMカードを挿入することで、BluetoothとNFCで通信し、SIMカードの入っていないスマートフォンやタブレットにかざすだけで回線認証をすることができるというデバイス。
残念ながら、現状はスマホやタブレットにしか使えませんが今後はテレビや音楽プレイヤー、車などで活用できるようにしていくよう検討すると公式でも発表されていることから、IoTデバイスへの応用などにも使えるかもしれません。
実際、このデバイスを活用したアイデアソンも過去に開催され、多くのエンジニアが参加し「入れ歯型のポータブルSIMで、ダイエット中に食べ過ぎるとアラートが鳴る」や「公衆トイレでポータブルSIMを使った健康管理」などユニークなアイデアが集まりました。
ポスト・スマートフォンを考えるアイデアソン ~ドコモの新技術、ポータブルSIMを使って~
docomoは、IoT分野で活躍している会社と業務提携などを進めているので、日本のIoTデバイスやIoTの通信方法などを牽引していく存在になるかもしれません。
これから目が離せないIoTの世界は、エンジニアのアイデアをさらに活かせる場所!
2015年は「IoT元年」と呼ばれ、様々な製品が発表されました。
そして、2016年の今年は発表された商品が世の中に出始めて、手軽にIoTデバイスを購入することができるようになります。
すでに、リリースされている製品の中には、SIMカードが入っていて通信をしているというモノも存在しています。
IoTデバイスは、エンジニアの発想次第であらゆるモノができると言っても過言ではありません!
それらの製品は人々の生活を豊かなものにしたり、根本的に大きく変わる可能性も秘めています。
今後、エンジニアにとってIoTは無視のできないジャンルとなっていくはずです。
通信方式としても、安価で利用できるSIMカードを使ったり、ゆくゆくは外部モジュールも活用できるようになったりするなど、IoTの進歩は目が離せません。