現役理系女子大生が語る 女子エンジニアのイマドキ事情【第二回】

イマドキの理系女子事情を探っていく本コラム。

今回登場の西野さんは、もともとやりたかった生物系ではなく物理系の研究室へとたどり着きます。

特定の分野に絞って深く勉強していくのでなく、少しずつ、でも幅広く学び、最終的にはプログラミング系から物理系、生物系など、様々な領域に広がっていく電気生命学の魅力を語ってくれました。

太陽電池の変換効率について学ぶ 西野沙瑛さん 電気・情報生命工学科4年

数学や生物が得意で理系に進学

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---電気生命学というちょっと聞き慣れない領域を専攻されていますが、どうやってその学問にたどり着いたのですか?

西野:小学校の頃から動物や植物が好きだったので、高校の時に、理系か文系かで別れるときに、理系を選択しました。その当時は、生物学をやりたかったんです。理系を選択する場合、女性は数学に抵抗があることが多いですよね。でも私は中学の時から数学や生物に抵抗がなくて、結構得意でした。それで生物を中心にして、理系に決めました。

---大学進学の時、学科はどうやって選んだのですか?

西野:ちょっと結果論的ですけど、私の場合は大学進学が指定校推薦で、選択する中で生物が入っている分野だったのが決め手になりました。生物だけを学ぶのではなくて、電気や情報分野と掛け合わせて学ぶことが出来る。将来的にもプラスになると思って、今の学科を選びました。

---実際に勉強してみて、電気生命学はいかがでしたか?

西野:特定の分野に絞って深く勉強していくのでなく、少しずつ、でも幅広く学ぶ感じの学問です。生物でも神経は電気を使っているので、電気を学ばないと本当のところが分からない。生物を電気の側面からも見ているという感じです。

実際には動物学や生物学とは違って、動物相手のフィールドワークはありません。むしろ工学科なので、プログラミングなんかを授業でやります。そういう部分も含めて、浅く広く学んでいくのです。

太陽電池の効率を上げる半導体を研究

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---研究室で専攻されているのはなんですか?

西野:私は半導体の研究室にいます。学問的には物理系ですね。半導体っていうと日本では撤退産業ぎみに捉えられることもありますが、私は太陽電池の領域で、変換効率を課題にしてきました。

例えば、高い変換効率を得るためには高価な材料を使うしかない。あるいは有害な材料を使うしかないなど、現実的には色々と乗り越えられない課題があると思います。そこで材質を含めて試験をしたり、実際に研究室で装置を使って太陽電池の基板を作って、その測定をして、変換効率を測ったりしました。太陽電池は生活に近い分野で、学びやすい分野ではあります。

就職も幅広い方面に広がって、メーカーの研究職や営業職、あるいはマスコミや官庁系の技官とか、色々なところに行きますね。

---太陽電池ときくと、社会ニーズが高い感じがしますね。

西野:そうですね。太陽電池の効率を上げるニーズは高い。もちろん難しいんですけど(笑)。

---理系というと男女を問わず、バック・パックを背負っている感じがしますけど(笑)、実際のキャンパス・ライフはどうですか?

西野:そのイメージは間違っていないです(笑)。みんなパソコンを持ち歩いていて、教科書も分厚いし、荷物も多いので、普段はリュックが多いですね。男女を問わずリュック率は高くて(笑)、動きやすい服装をしています。

しかも文系に比べると授業も大変で、数も2倍はあると思います。テストも厳しいし、私も勉強は大変でした。

学部や学科によって多少違いがありますが、うちの場合だと、だいたい8割は大学院に進みます。学部から就職する人は理系とか関係なく就職しますけど、理系職に就く人は大学院に進んで、最低でも修士は取りますね。

---因みに学科での女子率はどのくらいですか?

西野:うちの学科では、女子は30%くらいで、多いほうだと思います。150人中、約50名は女子ですね。

---理系女子として4年間過ごしてきて、女性ならではのメリットやデメリットを感じたことはありましたか?

西野:うーん、分かりやすいメリットとしては、女の子が少ないので大切にされます(笑)。逆にデメリットはあまりないですね。人数が少ない分、女性同士の仲も深まります。男女は関係ないですけど、遊ぶ時間は少ないですね。なので、遊びと勉強のメリハリはつきますね。勉強と遊びの区切りがしっかりとあって、遊ぶときはしっかり遊び、学ぶ時もしっかり学ぶという4年間でした。

うちの学科は国語とか暗記物が苦手で、数学が好きならお薦めです。特にまだこれを学びたいという決まったものがない人は、電気生命学はいいですよ。最初に色々な分野を学べて、その後に研究室配属の時にプログラミング系もあれば、物理系もあるし、生物系もあるし、そういうのがうちのいいところです。

再生医療などにかかわる技術に注目しています

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---では最後に現役で活躍しているエンジニアの皆さんに一言お願いします。

西野:私は個人的に、再生医療などにかかわる技術に注目しています。皮膚を作るとか、ES細胞とか、研究も面白そうですよね。やっぱり根っこの部分で、生物というか生き物が好きなんですね。あと、生活に近いものから興味を持ちます。ですから、そういった領域で活躍されているエンジニアの研究を、固唾を呑んで見守っています。

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