電気・電子系エンジニアとは?仕事内容や役立つ資格、やりがいを解説

電気・電子系エンジニアは、電子機器の開発や修理を担うエンジニアです。最先端の技術を搭載したデジタル家電をはじめ、スマートフォンやタブレットの普及に伴い、その需要はかつてないほど高まっており、今後も求人数が増加することが予想されています。
本記事では、電気・電子系エンジニアを目指す人や興味のある人に向けて、仕事内容や役立つ資格のほか、やりがいなどについて解説します。

電気・電子系エンジニアは電子技術を用いて製品を手掛けるエンジニアのこと

電気・電子系エンジニアは、電子技術を用いた製品の設計・開発・製作・修理などを担うエンジニアです。対象となる製品は、家電製品からモバイル端末、電気自動車、医療用機器まで多岐にわたります。
電気・電子系エンジニアと同じ技術系の専門家には、ITエンジニアや機械系エンジニアがありますが、それぞれの違いは下記のとおりです。

ITエンジニアとの違い

ITエンジニアと電気・電子系エンジニアの違いについて、モバイル端末を例にとって考えてみましょう。
モバイル端末には、コンピューターを動かすためのプログラムがインストールされています。これをソフトウェアといい、開発を担当するのはITエンジニアです。対して、本体部分にあたるハードウェアのうち、コイルやトランジスタ、モーターなどで構成される回路を主に担当するのが電気・電子系エンジニアになります。

回路には、アナログ回路とデジタル回路があり、1990年後半からのデジタル化とともに、デジタル回路設計がメインになりました。そのため、アナログ回路設計ができるエンジニアが減少した時期も…。しかし、アナログ回路は自動運転システムや、IoT化する電子機器などには欠かせない技術であることから、アナログ回路を得意とする電気・電子系エンジニアの需要も高まっています。

機械系エンジニアとの違い

電気・電子系エンジニアと混同されやすい職種に、機械系エンジニアがあります。機械系エンジニアは、いわゆる機械の本体部分を作る仕事です。
主に、産業用ロボットのボディ、航空機、ロケット、プラント設備などの設計・開発・製作・設置・運用・保守を行います。

▼「機械系エンジニア」についてはこちら
機械系エンジニアとは?仕事内容やおすすめの資格、将来性を解説

電気・電子系エンジニアの需要と将来性

電気・電子系エンジニアは、IT製品の普及とともに企業からの需要の高い職種のひとつです。その理由には大きく下記の3つがあります。

電子回路がさまざまな製品に応用されているから

電気・電子系エンジニアが設計・開発する電子回路は、高機能化・高付加価値が進んだ結果、多様な業界のさまざまな製品に応用されるようになり、その用途も増えています。電気製品というと家電やPCが思い浮かびますが、医療系の精密機器や人工知能を搭載した産業用ロボットなども電気製品に含まれます。電子回路が組み込まれている電子機器を扱うことのできる電気・電子系エンジニアは、幅広い業界で求められている職種であることがわかります。

モバイル端末が急速に普及したから

スマートフォンやタブレットといったモバイル端末が急速に普及したことも大きな理由のひとつです。IoTの発達により、多くの家電製品がインターネットを介してモバイル端末で制御されるようになりました。電気や電子の回路・仕組みについて専門的な知識を持つ電気・電子系エンジニアは、こうした家電製品やモバイル端末の設計・開発にも欠かせない存在です。

開発競争が激化しているから

現在、国内外を問わず、最先端技術の開発競争は激化しています。ライバル企業に先駆けて最新の機器を世に送り出すべく、盛んに研究・開発が行われていることから最新技術に詳しく、精密機器の高度な設計・開発技術を持つ電気・電子系エンジニアは、特に重宝される傾向があります。

電気・電子系エンジニアの仕事内容

電気・電子系エンジニアは、多くの電気製品や電子機器、機械の電気系統などの設計、システム制御開発、修理、実験、評価を行うのが仕事です。主な仕事の流れを見ていきましょう。

1. 調査・計画

調査・計画段階では、クライアントがどのような機器・設備を求めているか、直接話を聞いて仕様を検討します。

2. 設計

設計は、クライアントのニーズを反映した仕様をもとに、図面を引いて設計書を作成するものです。

3. 調達

調達とは、必要な資材、機材を決定し、手配することです。

4. 製作

製作段階では、設計書に沿って、開発作業を行います。

5. 検査

検査では、出荷前に、品質をチェックします。

6. テスト

テストでは、設計書どおりに設備が稼働するか、実際に動かして確認します。

7. 保守

納品後、設備や機器が品質を維持できるよう定期的なメンテナンスを行うのも仕事です。

電気・電子系エンジニアに必要な知識・スキル

電気・電子系エンジニアが身につけておきたいスキルには、どのようなものがあるでしょうか。未経験から電気・電子系エンジニアを目指す場合に、役立つスキルについてご紹介します。

専門的な知識と知見

電気・電子系エンジニアになるには、電子工学・電気工学の基礎知識が必須です。「電荷と静電気」「電圧と電流」「抵抗」「直列回路と並列回路」「交流と直流」「周波数」といった基礎知識はしっかり押さえておきましょう。「コンデンサ」「コイル」「半導体」といった部品に関する知識もあることが望ましいです。

最新技術を学ぶ姿勢

電気・電子系エンジニアが担当する領域の技術は、めざましい進歩を遂げています。積極的に最新知識にふれる努力をみずからしなければ、手持ちのスキルはすぐに古くなってしまう可能性も。日常業務の合間に専門誌を読む、セミナーに参加するなど、学ぶ努力を惜しまない姿勢があると望ましいでしょう。

忍耐力

電気・電子系エンジニアの仕事は、わずかな誤差も許されない繊細な業務が大半です。綿密な設計図をもとに、小さくて精密な部品で確実に回路を仕上げなくてはなりません。細かな仕事を粘り強くやり遂げられる忍耐力が求められます。

論理的思考力

わずかなミスが大きなトラブルの原因になる電気・電子系エンジニアの業務においては、「クライアントのニーズを体現するにはどのような機器であるべきか」「仕様書どおりに動作させるには回路をどう組むべきか」など、常に正しいロジックにもとづいて作業を進めていくことが肝心です。原因と結果の因果関係を見極められる論理的思考力は欠かせません。

コミュニケーション力

電気・電子系エンジニアは、一般的に他職種とともにチームを組んで仕事をします。チームで1つのものを作り上げる上で、周りの意見を尊重し、スムーズに対話できるコミュニケーション力は必須です。

電気・電子系エンジニアのやりがい

電気・電子系エンジニアにとって最大のやりがいは、ものづくりをする楽しさやこだわりを存分に発揮できることです。AIやIoTなど、最先端の技術にふれながら学べることも魅力でしょう。
また、手掛けた製品やサービスが世の中で実際に使われている場面を見る機会が多いことも、電気・電子系エンジニアならではの醍醐味です。製品について「人気でなかなか手に入らない」といった評判や、「使いやすくてとても便利」といった口コミを耳にすることで、大きな達成感や充足感を得ることができるはずです。

電気・電子系エンジニアが取得したい資格

電気・電子系エンジニアとして活躍を目指すなら、技術力を客観的に証明できる下記の資格を取得しておくことをおすすめします。

電気主任技術者

電気主任技術者は、発電所や変電所、ビル、病院、工場などの電気設備の保安業務を担える国家資格です。取り扱うことができる電圧によって、第一種から第三種までの3種類があります。

電気工事士

電気工事士は、電気設備の取り扱いや工事ができる国家資格です。第二種は一般住宅、小規模な店舗・事業所といった600V以下の設備を扱うことができ、第一種になると最大電力500kW未満の設備まで扱えます。

E検定 ~電気・電子系技術検定試験~

E検定は、若手から中堅技術者までを対象とし、電気・電子系エンジニア育成のために幅広い知識・スキルの理解度を測定する検定試験です。必要な知識の短期間での習得・応用を目指して作られました。

ディジタル技術検定

ディジタル技術検定は、情報処理から制御まで「ディジタル技術」に該当するものを広く学び、知識を身につけるための検定です。4級から1級までの4つのレベルがあり、1、2級はさらに情報部門と制御部門に分かれています。

電気・電子系エンジニアは将来にわたって活躍が見込めるエンジニアのひとつ

電気・電子系エンジニアは、今後も長く需要の増加が見込まれる職種のひとつです。未経験者を歓迎する企業もありますので、チャレンジするのもおすすめです。
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※記事に記載の内容は、2023年1月時点の情報です

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