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スクリプト言語とは|コンパイラ言語との違い・初心者におすすめ言語の種類

「習得が難しい」という印象もあるプログラミング言語ですが、比較的簡単とされているものに「スクリプト言語」があります。スクリプト言語は、長く難解なコードであっても簡単に記述でき、人間でも理解できるシンプルな構文が採用されているため、初心者にもおすすめといわれている言語です。

いまや開発現場でも主体となって活用されているスクリプト言語とはどのようなものなのか、その特徴について解説していきます。

スクリプト言語とは

スクリプト言語は、開発で使用されるコードのうち、可読性に優れ、簡易的に記述できるプログラミング言語の汎称を指すものです。

これまでのプログラミングは「コンパイラ言語」と呼ばれる、いわゆる機械が理解できる言葉を使用することがほとんどでした。そのため学習や開発の難易度が高かったのです。そこで、人間がコードを読んでもプログラムをある程度理解できるレベルにまで可読性を高め、処理できるようにしたものがスクリプト言語です。

スクリプト言語の特徴

スクリプト言語の特徴として挙げられる、3つのポイントを見ていきましょう。

  • 開発や学習の難易度が低い
  • すぐに実行できる
  • ライブラリが豊富

スクリプト言語は、C言語やJavaなどのコンパイラ言語よりも比較的簡単に記述されたコードを実行できるため、フロントエンド開発に限らず、幅広い開発現場で活用されています。

また、コードを簡単に記述できることから、プログラムの実行工程にも素早く移行できます。結果、コードエラーやバグの修正にも迅速に対応できるようになるため、スピード感のある開発現場に適しているといえるでしょう。

さらに、よく使われる便利なプログラミングコードを集めたファイルであるライブラリが、スクリプト言語内で続々と登場しています。このライブラリの活用により、コードの記述をさらに省略した開発が可能になります。

スクリプト言語が向いてること

上述の通り、スクリプト言語は比較的簡単なコードであることに加えライブラリも充実しているため、少数のエンジニアでもスピード感をもってプログラミングの組み上げを行えます。そのため、小規模な現場であっても十分な開発が可能です。

ただし、コンパイラ言語と比べるとコードを処理する速度は遅く、言語によっては開発用途も限定されてしまうため、大規模開発には不向きといわれることもあります。

とはいえ、有名なスクリプト言語のひとつであるRubyでは、JITコンパイラと呼ばれる処理速度をアップさせる技術が採用されています。また、こちらも代表的なスクリプト言語であるJavaScriptでは、Node.jsと呼ばれるライブラリによってバックエンド開発を可能としています。

スクリプト言語に多種多様なライブラリが登場したことで、大規模開発であってもスクリプト言語をベースに行う現場も増えてきているのです。

スクリプト言語の種類一覧

各プログラミング言語によって、それぞれ得意とする開発分野は異なります。そのため、同じスクリプト言語でも開発用途はまちまちです。

スクリプト言語の種類と主な用途、目的を一覧にまとめました。

プログラミング言語 主な用途 目的
JavaScript Web制作やWebアプリケーション開発 主にフロントエンド開発による、Webページにアニメーションや動きを付ける際に活用される
PHP Web制作やWebアプリケーション開発 サーバー側でWebページに動きを付ける役割や、データベースと連携する目的で活用される
Python 機械学習やスクレイピング 主に複雑なデータベースの管理やデータ収集、機械学習によるAI開発が目的
Ruby Webアプリケーション開発やWeb制作 フロントエンド開発でのWebサイトやアプリケーション開発のほか、スクレイピングなどサーバー側の開発でも使われる
Lua ゲーム開発やネットワーク制御 サーバーやネットワーク処理を目的とし、C言語での開発に組み込まれる場合がほとんど。コードの動作確認などでも活用される
Perl ソフトウェア開発やWebアプリケーション開発 Webサーバー上のプログラムを動かす仕組みを起動させる。テキスト処理やデータベースとの連携など、サーバー側の処理に使われる

スクリプト言語とコンパイラ言語の違い

プログラミングで使われる言語のなかには、スクリプト言語のほかに「コンパイラ言語」と呼ばれるものがあります。

そもそも、機械は人の言語を理解できないため、機械でも理解できるように言語を翻訳しなければいけません。この翻訳が「コンパイル」と呼ばれるものです。つまりコンパイル言語は、人が理解できる言語を翻訳し、機械に指示できるようにするための言語となります。

代表的なコンパイラ言語には以下のようなものがあります。

C言語 1972年から現在にかけて多くのシステムで使われている。処理速度の速さが特徴
C++
(シープラ)
C言語の拡張として開発され、オブジェクト指向が追加。C言語とも互換性がある
※オブジェクト指向:プログラムの全体構造を把握するための考え方。プログラミングを「モノの集まり」として捉える発想
C#
(シーシャープ)
OSに依存しない動作を実現できる。Unityというゲームエンジンでも利用される
Java C#同様にOSに依存しない動作が可能で、大規模開発のベースとして使われている

スクリプト言語は人が理解しやすい言語であり、コンパイラ言語は機械が理解できる言語であるという違いがありますが、そのほかにも細かな違いが見られます。

スクリプト言語 コンパイラ言語
動作速度 低速で動作 高速で動作
言語習得 比較的容易 比較的難解
言語の理解 人間がコードのままでも理解可能 機械が理解できるよう翻訳
動作確認 簡単に確認可能 確認に時間が必要
開発規模 小規模開発にも向く 大規模開発向き

スクリプト言語とインタプリタ言語の違い

インタプリンタ言語とは、プログラムを実行する際にコードを一行ずつ機械語に翻訳しながら動作する言語です。機械語に翻訳するコンパイラ言語は、動作確認の際にはすべてのコードを翻訳して初めて確認できるものですが、インタプリンタ言語は一行ずつ実行できるためバグなどの修正がしやすいメリットがあります。

このインタプリンタ言語とスクリプト言語は、混同して考えられがちです。確かにRuby・PHP・Pythonなどのスクリプト言語の多くはインタプリンタ言語に含まれますが、両者は定義が異なります

  • インタプリンタ言語:コードの実行動作を一行ずつ機械語に翻訳する方式のプログラミング言語
  • スクリプト言語:簡単にプログラミングコードを記述できるプログラミング言語の総称

インタプリンタ言語はプログラムの実行について定義付けされており、スクリプト言語は簡単にコードを記述できるプログラミング言語の総称を指しています。

多くのスクリプト言語はインタプリンタ言語に含まれますが、本質的な違いがあるので注意しましょう。

スクリプト言語とLL(Lightweight Language)言語の違い

スクリプト言語と混同されやすい言語に、「LL言語」と呼ばれるプログラミング言語があります。

LL言語とは「Lightweight Language」の略で、プログラミング言語のなかでも比較的覚えるのが簡単で気軽に扱える言語です。代表的な言語には、スクリプト言語と同じくJavaScriptやPHP、Pythonなどが含まれるため、スクリプト言語とLL言語が混同されるケースも見られます。

スクリプト言語もLL言語も、比較的簡単な記述で実行が可能で、言語の習得も容易とされているため明確な違いはなく、また画一的な定義も存在しません。そのため、スクリプト言語とLL言語はほぼ同じ意味で使われることも多いです。

初心者にもおすすめのスクリプト言語

初心者でも扱いやすく、学習コストも低いことが特徴のスクリプト言語。なかでも、難易度や市場のニーズを勘案すると、下記の4言語は特に習得をおすすめできる言語です。

  • Python
  • Ruby
  • JavaScript
  • PHP

Python

Pythonは2018年、そして2020年にもっとも評価の高かったプログラミング言語で、今なお市場ニーズの高い言語です。

参考:TIOBE Index

Pythonは、主に機械学習によるAI開発やWeb上の情報を自動収集するスクレイピング機能の開発などに活用されています。数あるプログラミング言語のなかでもコードの記述がシンプルで、誰が書いても同じ記述になることが特徴です。また、ライブラリも豊富なため、幅広い現場で採用されています。

たとえば、「こんにちは」と表示させたい場合、C言語であれば以下の記述が必要です。

int main(void)
{
    printf("こんにちは");
    return 0;
}

しかしPythonであれば、以下の二行で表示できます。

# -*- coding: utf-8
print("こんにちは")

このように簡単でシンプルなコード記述が、おすすめの大きな理由になります。

Ruby

日本人技術者の「まつもと ゆきひろ」氏によって開発されたRubyは、世界でも人気のスクリプト言語です。ストレスなくプログラミングを楽しむことを重視して開発されており、少ないコードでシンプルに記述できます。

日本で開発されたため日本語の情報も多くそろっていることもおすすめの理由です。さらに、Rubyのフレームワークである「Ruby on Rails」を活用すれば、Rubyで記述が必要なコードも省略できるなど、さらに効率的な開発が可能になります。

JavaScript

JavaScriptはフロントエンド開発では欠かせないスクリプト言語です。主にWebページに動きを付けるために使用されますが、サーバーとの連携をスムーズにする役割も担っています。さらに多種多様なライブラリがあり、なかでも「Node.js」はJavaScriptでもバックエンド開発が可能になる画期的なライブラリです。

Webページの動作付けからWebアプリ開発、ゲーム開発にサーバー側の処理までなんでもこなせる万能なスクリプト言語といえるでしょう。

PHP

PHPはバックエンド開発に用いられるスクリプト言語で、サーバー側を扱うプログラミング言語のなかでも比較的習得しやすいといわれています。

PHPは、プログラムの裏側であるサーバーやデータ情報を蓄積するデータベースで使用されます。サイトの大小を問わず広く導入されているWordPressもPHPで作成されており、世界中で人気のある言語です。

おすすめの理由は、HTMLファイルに直接書き込んで実行できるという点です。また、記述がコンパイラ言語と比べると比較的シンプルなため、理解も進みやすい言語です。

プログラミングはスクリプト言語の習得から始めるのがおすすめ

スクリプト言語は比較的簡単にコードを記述できる、取り回しの良いプログラミング言語です。ライブラリの多様化により開発用途も広がり、スクリプト言語主体の開発現場も増えてきています。

また、スクリプト言語は学習コストが低いため、深刻なエンジニア不足を解消する手段としても大きな役割を担うと予想されています。特にPythonやRuby、JavaScript、PHPは市場のニーズも高く、エンジニアとしてのキャリアアップにも大きく寄与してくれるでしょう。

まとめ
  • スクリプト言語は、開発で使われるコードを簡易的に記述できるプログラミング言語
  • 開発用途が限られているとされていたが、豊富なライブラリによりスクリプト言語主体で開発が進められる現場も増えている
  • 機械語に翻訳するコンパイラ言語に比べて処理速度は劣るが、動作確認に素早く移行できる
  • プログラムの実行を定義するインタプリンタ言語と混同されがちだが、定義が明確に違う
  • LL言語とスクリプト言語は定義もほぼ同じなため同一の意味として扱われやすい
  • JavaScriptやPythonなどのスクリプト言語から習得するのがおすすめ

 

 

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