ChatGPTとは何がすごいのか?使い方・できることや始め方をわかりやすく解説
2022年11月にリリースされて以降、破竹の勢いでユーザー数を伸ばしているAIチャットボット「ChatGPT」。「インターネット以来の大発明」との声も聞かれ、国内外の話題を独占しているChatGPTですが、実際のところ何ができるのか、そして何がすごいのでしょうか?
本記事では、ChatGPTの概要や、具体的にできることを紹介します。実際の画像を用いた使い方の手順も参考に、話題のChatGPTに実際に触れてください。
Contents
ChatGPTとは
ChatGPTは、アメリカの著名な起業家兼投資家であるサム・アルトマン氏や、テスラの最高責任者であるイーロン・マスク氏などの協力により、2015年に設立されたAI(人工知能)研究所であるOpenAIが開発した自然言語処理モデルです。
ChatGPTとは、簡単にいうと「AI技術を活用した対話型のサービス」です。会話形式で質問に答えてくれたり、歌詞や小説の執筆、企画書や小論文の執筆をしてくれたり、さらにはプログラミングやコードレビューなどにも対応します。
その処理能力の高さは、「学生の学習に対する悪影響と、コンテンツの安全性や正確性に関する懸念」として、アメリカの一部の学校では利用が制限されるほど。また、これまでにない革新性から、MicrosoftやIBMといった名だたるビッグテックからの巨額な出資も受けています。
2022年11月に一般公開されると瞬く間に話題となり、たった5日間で100万人ユーザーを突破。主要なSNSにおける100万人突破にかかった期間から見ても、その注目度の高さは段違いであることが分かります。
主要サービス名称 | 100万ユーザー獲得までの日数 |
---|---|
310日 | |
YouTube | 260日 |
75日 | |
ChatGPT | 5日 |
さらにChatGPTはリリースからわずか2ヶ月で1億ユーザーを突破したといわれています。Instagramが1億ユーザーを獲得するのに2年半かかったことを顧みても、ChatGPTはまさに異次元のスピードで普及していることがわかります。
ChatGPTでできること
これほどまでに注目を集めているChatGPTは一体何がすごいのか? ここではChatGPTでできることを紹介します。
- 精巧な文章作成
- 企画や脚本の作成
- プログラミング・コーディング
- エクセル・スプレッドシートの関数入力
特徴的なのが、これまでのキーワード検索とは異なり、文章での検索ができるようになった点です。ChatGPTはWeb上の膨大なデータを取り込み、参照してユーザーの質問やリクエストに応答します。さらに、会話をするごとに学習が深まっていくことから、高精度にパーソナライズされた検索行動を体験できることもポイントです。
精巧な文章作成
ChatGPTが驚きをもって迎えられた最大ともいえる理由が、精巧な文章作成能力です。たとえば「ChatGPTとは?」という質問に対して、下記の回答を得られました。その文脈に不自然な点はまったく見られません。
また、ChatGPTはチャット内での会話を記憶するため、下記のように「ChatGTPとは」と冒頭に入力しなくても、前の会話の内容から推測して最適な回答を返してくれます。
ジャンルによっては情報の精度に難があるケースもみられますが、文章力の高さを踏まえ、アメリカのバズフィードでは編集コンテンツにおいて活用していくことを発表。人気コンテンツのパーソナライズ化を図るためにOpenAIの技術を使用するとしています。
この報道を受けて同社の株価は200%以上急騰。ChatGPTおよびOpenAIの革新性・話題性の高さが窺えます。
企画や脚本の作成
ChatGPTは、企画や脚本の作成といった高度なクリエイティブにも対応します。「ChatGPTを活用した商品開発の企画書」をリクエストしてみると、次のような回答が生成されました。
このままでも使用できそうですが、さらに業種や商品特性を加味した内容にアレンジしていくと、そのまま企画書としてアウトプットできるレベルにありそうです。
プログラミング・コーディング
ChatGPTはプログラミング・コーディングにも対応しています。下記では「画像スライダーのソースコード」を書いてもらいました。
記述されたコードは赤丸部分の「コードをコピー」でコピーが可能。そのまま貼り付ければ、記述の一切の手間が省けてしまいます。
また下記のようにソースコードへの日本語でのコメントアウトも可能です。プログラミングに明るくない人でも有効活用できるでしょう。
ただし注意点として、コードの正確性は保証できません。そのまま使用するとエラーになるケースも実際に見られました。現時点ではデバックを前提として、コード生成時間の短縮を目的に活用するのがおすすめです。
エクセル・スプレッドシートの関数入力
Excel・スプレッドシートでの関数についても対応します。下記では「ExcelでC列が5以上、D列が1000以上の場合は○、それ以外は×」を返す関数を記述してもらいました。
赤線部分が関数です。実際にExcelに貼り付けて試してみましょう。
ChatGPTが提示した関数のままだと、タイトルを指定することになるため、該当箇所を変更。変更後に関数を入力・実行すると、次のように期待どおりの結果を返してくれました。
関数においても状況に応じたチューニングが必要となりますが、そのベースは間違っていないレベルと評価できます。イチから関数を書くよりも、手間は大幅に省けるでしょう。
Googleスプレッドシートにおいても同様の使い方ができます。スプレッドシートではさらに、Chromeの拡張機能であるChatGPT for Googleを追加して「GPT-3」を使用できるように設定すれば、GPT関数(GPTを関数として利用できるもの)の活用も可能です。
ChatGPTの使い方
ChatGPTの使い方の手順は次のとおりで、活用に至るまでのハードルはまったく高くありません。
- OpenAIにアクセスし、「TRY CHATGPT」を選択
- 「Sign up」を選択
- メールアドレスと電話番号を登録
- 認証コードを入力
- 質問したいことを入力
PC版もスマホ版も使用方法は同じ手順です。次の画像付きの解説を追いながら登録してみましょう。
①OpenAIにアクセスし、「TRY CHATGPT」を選択
Googleなどの検索エンジンで「Open AI」を検索したのち、「ChatGPT→TRY CHATGPT」をクリックします。
②「Sign up」を選択
次に「Sign up」をクリックします。
③メールアドレスとパスワードを登録
まずはメールアドレスを登録します。GoogleもしくはMicrosoftのアカウントを持っている場合は、ログインの度にメールアドレスとパスワードを入力する手間が省けるので、そちらとの連携でアカウントを作成する方が便利でしょう。
「Continue」をクリックすると、登録したメールアドレスに確認メールが届くので、「Verify email address」をクリックします。
このあとは、名前や電話番号を聞かれるので、ナビゲーションに従って入力していきます。
④認証コードを入力
登録した電話番号に届いた認証コードを入力します。
認証コードを入力した後は画面が自動的に切り替わり、ChatGPTの簡単なチュートリアルがはじまるので読み進めていきましょう。
⑤質問したいことを入力
チュートリアルを読み終えたら質問画面に移るので、赤枠部分に聞きたいことやリクエストを入力していきます。
なお、チャット履歴は左端の黒い部分に残るので、過去のチャットを振り返ることも可能です。
ChatGPTは実務で運用できるのか
顧客サポートやFAQの答え合わせなど多様な用途において、ChatGPTの実務での運用はすでに始まっています。
ただし、ChatGPTは人間による確認と修正が必要な場合があります。単独では完全な代替とはなりません。また、適切なトレーニングデータを与えることが重要となるのは、AIチャットボットの宿命でもあります。
上記は「ChatGPTは実務で運用できる?」と質問した際に得られた回答です。本見出しのような質問文を入力すれば、精巧な文章で返答してくれること自体は間違いありません。
現時点では、「実務運用は可能だが、情報の精度はまだ完璧ではなく、実務運用においてはファクトチェックが不可欠」という結論になるでしょう。
ChatGPTの今後とBardによる対抗
現状ではお試し感覚で利用されている傾向もみられるChatGPTですが、今後さらに技術革新が進み、世界中に大きな変化をもたらす可能性が見込まれます。IT業界を中心に大きな注目を集めている段階にありますが、今後は業界を問わず、FAQの作成やWebコンテンツの作成などが期待されるでしょう。
また、これまで多額の出資を行ってきたMicrosoft社はOpenAIと提携し、ChatGPTを 検索エンジン「Bing」とWebブラウザ「Edge」に搭載したことを発表。Bing.comではすでにプレビュー版の提供が開始されています。
これにより、世界の9割以上を独占してきた検索エンジンであるGoogle検索のシェア率が揺らぐ可能性も指摘されています。Googleも危機感をあらわにし、「Code:red(緊急事態)」を発動。ただし、Googleもこの脅威に指を咥えて見ているだけではなく、自社開発の「Bard」を投入し対抗を試みています。
BardはGoogleが開発した言語モデル「LaMDA」が搭載されています。このLaMDAは「魂が宿っている」と言及されるほど高度な会話が可能な大規模言語モデルです。
現時点ではテスター向けに限定公開されていますが、ChatGPTと同様に一般向けに公開されたあかつきには、私たちが日常的に行う検索行動にも大きな変化がもたらされるようになるでしょう。
ChatGPTのよくある疑問
最後に、ChatGPTに関連したよくある疑問をまとめていきます。
- ChatGPTの料金は?
- ChatGPTは日本語に対応してる?
- ChatGPTの精度は?
- ChatGPTの仕組みは?
ChatGPTの料金は?
無料のフリープランと月額約2,600円のアップグレードプランがあります。両者の違いは「混雑時の対応可否」「応答速度」「新機能のリリース速度」です。
フリープランでは、回線の混雑時において返答に時間がかかる現象もすでにみられるため、今後さらに需要が高まった場合には、思うように利用できなくなる可能性があります。
ChatGPTは日本語に対応してる?
日本語にも対応しています。ChatGPTで学習するデータのなかには大量の日本語文献も含まれているため、流ちょうな日本語での回答が可能になっています。
ChatGPTの精度は?
ChatGPTは機械学習によりWeb上のさまざまな情報を読み込み、その膨大な情報をベースに質問に返答しています。そのため一定の精度は担保されており、従来のAIではなし得なかった「会話の成立」を実現しています。
ただし、その精度は完璧には程遠いといわざるを得ません。使用する際には、提示された情報を鵜呑みにするのではなく、事実確認が欠かせません。
ChatGPTの仕組みは?
簡単にいうと、ChatGPTは世界に点在する膨大な数のWebサイトから情報を取り込み、その学習情報から質問に対する最適な回答を生成しています。ただし、情報元は2021年9月末時点のものなので、2021年9月以降に起きた出来事について質問しても明確な回答は得られません。
- ChatGPTはサム・アルトマン氏やイーロン・マスク氏など著名な起業家の協力を受け設立されたAI研究所「OpenAI」が開発した自然言語処理モデル
- 「AI技術を活用した対話型のサービス」とも解釈でき、会話形式で質問に答えてくれたり、企画書や小論文の執筆をしてくれたり、さらにはプログラミングやコードレビューなどにも対応する
- Microsoft社など名だたるビッグテックからの巨額な出資も受けている
- 「精巧な文章作成」「プログラミング・コーディング」「エクセル・スプレッドシートの関数入力」などにも対応し、実務レベルでの運用が期待されている
- ただし、生成される情報やコードの正確性は担保されておらず、実務運用においてはファクトチェックやデバックが不可欠
- ChatGPTが参照するデータは2021年9月末時点のものであり、以降に起きた出来事について質問しても明確な回答は得られない
- 無料のフリープランと月額約2,600円のアップグレードプランがある
- 提携するMicrosoft社の検索エンジン「Bing」およびWebブラウザ「Edge」に搭載され、Google検索のシェア率が揺らぐ可能性も指摘されている
- Googleも自社開発の大規模言語モデル「Bard」を投入し対抗を試みている