自動運転のレベル分けとは|レベル0~5までの定義と車種一覧

自動運転レベルとは「自動化がどこまで成されているのか」を数値化した指標で、0から5までの6段階で設定されています。ここでは、自動運転レベルの概要とレベルごとの定義、国内の自動運転レベルの現況について解説します。
Contents
自動運転レベルとは

自動運転レベルとは、0から5の6段階で定義される、「自動運転の度合い」を示す数値のことです。なお2021年7月現在、自動運転車として市販されている車種の多くは、レベル2の「部分的に自動運転が可能」にまで達しています。
なお「自動運転」という言葉には人間が介せずとも自動車が完全に自走するイメージがありますが、現段階では主に運転するのはあくまでも人間であり、自動運転機能は人間の運転を補助する機能に過ぎません。
国土交通省による自動運転レベルの定義
自動運転レベルは、米国自動車技術者協会(SAE:Society of Automotive Engineers)が定義づけたもので示されるのが一般的です。ただし日本では、国土交通省がそれとは別に基準を設け、日本独自の定義を作成しています。
この自動運転レベルがあることで、自動運転技術の実用化によって必要になる法整備等に役立つほか、開発側とユーザーの認識を一致させることができます。
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自動運転のレベル分け【表と図解】
自動運転レベル0~5の定義を図表化したものがこちらです。

レベル | 名称 | 安全運転に係る監視、対応主体 |
---|---|---|
レベル0 | 運転自動化なし | 運転者 |
レベル1 | 運転支援 | 運転者 |
レベル2 | 部分運転自動化 | 運転者 |
レベル3 | 条件付運転自動化 | システム (作動継続が困難な場合は運転者) |
レベル4 | 高度運転自動化 | システム |
レベル5 | 完全運転自動化 | システム |
自動運転レベル0はまったく自動運転技術が利用されていない状態を意味します。レベル1では運転の支援を、レベル2では部分的に自動運転を利用できます。レベル0から2は人間が主に運転する状態になるため、事故等の責任は運転者にあるとされます。
レベル3は特定の場所であれば自動運転可能な「条件付運転自動化」、レベル4は特定の条件下で自動運転システムが運転のすべてを制御する「高度運転自動化」、レベル5は場所や条件に関わらず、いつ・どこでも自動運転機能が働く「完全運転自動化」を指しています。
レベル3から5まではシステムが主に運転を行うことから、事故等の責任はシステムにあるとされるのが一般的ですが、実用にあたっては責任の所在を定義する法整備が不可欠となるでしょう。
このように、自動運転レベルはレベル2以前/レベル3以降で分類され、自動運転レベル0から2を「運転支援(ADAS)」、レベル3から5は「自動運転(AD)」と2つの領域に大別されています。
- ●ADASとは
- ADAS(エーダス:Advanced Driving Assistant System)は先進運転支援システムのことで、自動車運転中の事故を未然に防いだり、運転にかかる不可を軽減したりするシステムの総称。自動ブレーキ機能やレーンキープアシスト機能などがこれに該当する。
自動運転化レベル0:運転自動化なし
自動運転レベル0は、自動運転技術がまったく使われていない車です。ドライバーが運転にかかる作業をすべてこなす必要があり、運転を支援するシステム(ADAS)も搭載されていません。ひと昔前の自動車を想像するとわかりやすいでしょう。
自動運転化レベル1:運転支援
自動運転レベル1の自動車には、運転を支援するシステムが搭載されています。
- アダプティブクルーズコントロール機能:前方を走る車に追従する
- レーンキープコントロール機能:車線内走行の維持を支援する
これらの機能を有する自動車がレベル1に該当します。
自動運転化レベル2:部分運転自動化/ハンズオフ

自動運転レベル2では、ハンドルから手を離す「ハンズオフ」状態での走行が可能になります。システムが縦方向と横方向両方の運動を制御できるようになり、システムによる加速と減速、操舵が実現されます。
国内では日産の「Pro PILOT 2.0」が代表的な該当例です。高速道路走行時など一定の条件を満たせば、ドライバーはハンドルから手を離すことが可能です。
メーカー | ADASシステム | 搭載車種例 |
---|---|---|
トヨタ自動車 | Toyota Safety Sense |
|
ホンダ | Honda SENSING |
|
日産自動車 | Pro PILOT 2.0 |
|
スバル | アイサイト アイサイトX |
|
マツダ | i-ACTIVSENSE |
|
自動運転レベル2の技術革新でしのぎを削る、日本国内メーカー各社のシステム開発への取り組みを紹介していきます。
トヨタ自動車「Toyota Safety Sense」
トヨタ自動車では国内トップの自動車メーカーとして、自動運転を含むさまざまな最新システムの開発に努めています。
TOYOTA Safety Senseは、カメラとレーダーによって情報を取得し、そのデータをもとにドライバーの運転における負荷を軽減するシステムです。
レーダークルーズコントロールによって、前方の車と適度な車間距離を保つよう自動で運転を行います。また、カーブ速度抑制機能も有しており、システムが必要と判断した場合には速度を抑制してくれます。ただしこの機能では、カーブに入りはじめは自動運転のままですが、途中からドライバーによる手動操作が必要になります。
ホンダ「Honda SENSING」
Honda SENSINGにもさまざまな機能が搭載されています。
- アダプティブクルーズコントロール
- 車線維持機能
- 道路標識認識機能
- 自動ブレーキシステム
これらの機能にて、高速道路下での自動運転や、一般道を含むすべての道路での運転を支援してもらえます。
なお、Hondaは国内の自動車メーカーの中で初となる、自動運転レベル3の自動車を発表しています。自動運転システムに関しては国内メーカートップクラスの技術力を有するといっても過言ではないでしょう。
日産自動車「ProPilot 2.0」
日産のPro PILOT2.0では、自動車に搭載したナビゲーションのルートに連動した走行や車線追い越し支援が可能です。
さらに、ハンズオフドライブも高速道路であれば利用できます。自動運転では、加減速だけでなく、カーブでのハンドリングアシスト、標識・道路形状に合わせた走行を可能にしています。
日産の自動運転は機能が豊かで、ドライバーの負担を大きく軽減できるシステムになっているといえるでしょう。
SUBARU「アイサイト」「アイサイトX」
SUBARUのアイサイト、アイサイトXでは、下記のような機能によって自動運転システムを実現しています。
- カーブ前の速度抑制機能
- 渋滞時ハンズオフアシスト
- 自動路線変更機能
また、SUBARUアイサイトの特徴として、ドライバー異常時対応システムを搭載していることが挙げられます。ドライバーが突然意識を失うなどしてハンドル制御が困難になったときでも、ドライバーの状態を検知して周囲に注意を促しながら停車をアシストするものです。
マツダ「i-ACTIVSENSE」
マツダのi?ACTIVSENSEは、前方・後方の衝突被害軽減ブレーキや前方走行車との車間距離を認識して自動で速度をコントロールする機能などで運転時のリスクを低減します。このように、マツダの自動運転機能は、自動車のコントロール機能を強化して安全性を高めることに主に用いられています。
さらに2022年からは「マツダ・コ・パイロット」を順次導入の予定です。これにより、ドライバーの異常を検知して自動走行に切り替えるシステムが搭載され、これまでよりも多くのリスクに備えられるようになるでしょう。
自動運転化レベル3:条件付運転自動化/アイズオフ

自動運転レベル3になると、ハンドルだけでなく視線も運転に集中しなくてよい「アイズオフ」が可能となります。ただしアイズオフは一定の条件下のみで、すべての状況でできるわけではありません。
2021年3月発売の新型レジェンドに搭載された「Honda SENSING Elite」は、日本初の自動運転レベル3を実現しました。この技術では、ウインカーを操作するだけで車線変更が可能となるほか、高速道路の渋滞時にはシステムが周囲の監視や運転操作を行うことが可能です。ナビ画面での動画視聴や目的地設定も行えます。
自動運転化レベル4:高度運転自動化/ブレインオフ

自動運転レベル4ではほぼ完全な自動運転が可能です。限定領域下においてシステムがすべての運転タスクを自動で行い、ドライバー不在でも自動車が走行するようになります。
ハンズオフ、アイズオフに加えて、レベル4以降では運転者が何も考えなくとも走行できることから、レベル4以降の自動走行の状態は「ブレインオフ」と呼ばれています。
自動運転化レベル5:完全運転自動化
自動運転レベル5では、完全な自動運転が可能です。高速道路や一般道路など道路の種類に関係なく、どのような状況でもブレインオフな自動運転を実現します。
現在の技術では実現は困難とされていますが、今後のセンサーやAI技術の進歩によって実現できるのではと期待されています。
現在の日本の自動運転レベル
2021年7月現在、日本での自動運転レベルは3がもっとも高く、近い将来多くの自動車がレベル3に達すると見られています。前述したHondaのレジェンドが示す通り、自動運転レベル3の自動車は量産化が可能な状態となりました。
政府は2025年を目処に自動運転レベル4を実現する目標を掲げています。ただし、これを実現するために法律やルールの整備・策定が必要不可欠であるため、レベル4の実用化にはもう少し時間がかかりそうです。
自動運転技術の進歩は今後も目が離せないイノベーション
自動運転は、一般ドライバーだけでなく、公共交通機関や配送業界においても大きな期待が寄せられている最新技術です。レベル5に達するまで、長期間にわたりシステムの開発が進められて行くとみられます。
画期的なシステムが開発されれば、自動車を取り巻く環境は大きく変化するはずです。社会変革のきっかになりうる自動運転技術は、今後も目が離せないイノベーションとなるでしょう。
- 自動運転レベルとは、0から5の6段階で定義される、「自動運転の度合い」を示す数値のこと
- 自動運転レベルは、米国自動車技術者協会が定義づけたもので示されるのが一般的だが、国土交通省でも日本独自の定義を作成している
- レベル0から2は人間が主に運転する状態になるため、事故等の責任は運転者にあるとされている
- レベル3から5まではシステムが主に運転を行うことから、事故等の責任はシステムにあるとされるのが一般的
- 自動運転レベル0から2を「運転支援(ADAS)」、レベル3から5は「自動運転(AD)」と2つの領域に大別される
- 自動運転レベル2の自動車は国内メーカー各社から市販されており、レベル3の自動車も量産化が可能な状態となってきている
- 政府は2025年を目処に自動運転レベル4を実現する目標を掲げているが、実現にあたっては法律やルールの整備・策定が必要不可欠