世界的に有名なハッカー集団4組を徹底解説
ハッカーとは、コンピュータや電気回路に関して深い技術的知識を持ち、その内部を覗いたり操作したりする人を指します。ハッカーとはどういう人間で、何を目指しているのでしょうか? 過去にはどのような攻撃を行ってきたのでしょうか? 大きく報じられる攻撃の大半は、少数の有名ハッカー集団の仕業であることが多いのです。これらの有名な集団のいくつかと、その攻撃の動機を詳しく見てみましょう。
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リーダー不在だが牽引者が現れる:Anonymous
「anonymous」とは「匿名の、作者不明の、特徴のない」を意味する形容詞です。ハッカー集団としてのAnonymousは、無政府主義的な「ハクティビスト」らによる国際的反体制ネットワークで、「海外の2ちゃんねる」として知られる画像掲示板「4Chan」から生まれました。「命令というよりもアイデアに基づいて運用されており、非常に緩やかで、分散化された指揮系統を持ったインターネット上の集まり」と評されています。2010年2月のオーストラリアサイバー攻撃、2010年から2011年にかけて起こったアラブ世界での反政府デモや騒乱(アラブの春)、2013年の朝鮮民主主義人民共和国当局に対する人工衛星「光明星3号2号機」打ち上げへの対抗など、必ずしも悪意を持ってハッキング活動をしている集団でないことが特徴です。
アサド大統領を支援する:SEA(シリア電信軍)
Syrian Electronic Army(シリア電子軍:SEA)は、2011年以降、シリアのバッシャール・アル=アサド大統領政権を支援するために活動しています。愛国主義であるSEAは、必然的に反シリアの姿勢を貫く報道各社を攻撃していると目されています。2013年、AP通信の公式Twitterアカウントを乗っ取って偽のテロ情報を流したり、ニューヨーク・タイムズに攻撃を仕掛けたりと、アメリカをメインターゲットとしたハッキングを行うハッカー集団です。「ホワイトハウスで2回の爆発があり、オバマ大統領が負傷した」という偽のテロ情報を流したことにより、アメリカの株式市場を混乱させたこともあります。自由主義思想のもとで活動しているAnonymousとSEAは、対立関係にあるといわれています。
欧州最大のハッカー集団:CCC
Chaos Computer Club(CCC)は、欧州最大のハッカー集団で、現在3000人を優に上回るメンバーを抱えています。このグループの攻撃の大半は、他のハッカー集団とは違って合法的なもので、セキュリティの欠陥を暴き、人々のためにあらゆるコンピュータや技術的なインフラへの自由なアクセスを守ることを目標としています。「攻撃」というよりは「功績」と呼ばれるハッキングが多いことも特徴です。公式サイトを持っているのも異例といえるでしょう。
イラン政府が生んだ:Tarh Andishan
Tarh Andishanは、自動伝播システム、バックドア、SQLインジェクションなどの高度な技術を使って、世界中の著名機関、政府や軍のシステム、私企業などに多数の攻撃を仕掛けました。航空会社のゲートやセキュリティシステムに完全にアクセスすることが可能で、乗客やゲートの認証情報を自由にコントロールできるともいわれています。政府機関だけでなく、私たちの日常をも脅かす危険性を持つハッカー集団なのです。
ハッカーによる攻撃は潰えることがない
ハッカーの目的は「政治的メリットのため」から「単なる楽しみのため」までさまざまです。「ハッカー文化」は消えてなくなろうとしているわけではありません。私たちにできることは、これらの活動がもたらす負の結果が、どうにか最小限で済むように対策を練るだけです。