Wi-Fiより10倍速いWiGigとは
皆さんはWiGigという言葉をご存知でしょうか。WiGigとはWi-Fiにとって代わる次世代無線LANと言われ、2GB、120分の動画を10秒でダウンロードできると言われています。では、どのようにそのような重いデータを瞬時に飛ばすことができるのでしょうか。今回は、そんな次世代無線LAN・WiGigをご紹介します。
Wi-Fiにとって変わるかもしれない
WiGigとは、IEEE802.11ad規格をベースとした60GHz帯を用いる無線LAN規格の1つです。Wi-Fiで用いられる2.4/5GHz帯の無線LANに比べますと、通信距離は最大で10mと短いのですが、Wi-Fiの10倍以上である最大7Gビット/秒(bps)の高速なデータ転送が可能と言われています。すでにインテルやマイクロソフト、NECやノキアなどが協力して「WirelessGigabit(WiGig)Alliance」を立ち上げており、仕様を統一するための組織づくりも行われています。
アクセスポイントを設置して課題をクリア
60GHz帯のWiGigは、2.4GHz帯や5GHz帯のWi-Fiと比較して高い周波数の帯域で活躍します。しかし、高周波帯域で電波を飛ばすと、減衰しやすい上に直進性も強く、通信エリアが狭いという課題がありました。そこで取り入れられた技術が“ビームフォーミング”です。ビームフォーミングとは、電波の方向を特定の方向に集中的に照射する技術で、アクセスポイントを介して対象エリア内にWiGigを飛ばすことに成功しました。
成田空港でWiGigによるおもてなし
アクセスポイントを用いたWiGigの実証実験は成田空港で行われました。2016年2月に期間限定で設置され、WiGigスポットとしては世界初です。設置したのはパナソニックで、スポット内では和食や日本の風景を映した動画を、設置された端末にダウンロードして楽しむことができました。成田空港にアクセスポイントを設置した理由として、2020年の東京オリンピックに向けて、日本の先端技術で日本の食や文化を体験してもらえるようにPRをするのが目的です。
世界で注目を集める無線LAN規格
ご紹介したように、日本ではパナソニックがリードして関連技術の開発を進めています。ただ、中国ではWiGig専用のルーターが開発されていて、2016年初頭には北米から発売が予定されていて注目を集めています。世界中で今後が期待されている規格と言えるでしょう。