夢を叶え続けてきた半導体の歴史と、新たなる挑戦を続ける今後
2017年の世界の半導体売上高は3000億米ドルを超える見込みです。現代の電気製品の中で、欠かすことのできない存在となった半導体。いつ世の中に登場して、いつから生活の中に溶け込んできたのでしょうか? そして輝かしい発展はこれからも続いていくのでしょうか? ドラマチックな半導体の歴史と、注目の技術をご紹介します。
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半導体は70歳、誕生が電気機器の歴史を変える
半導体が発明される以前は、大きくてかさばる上に消費電力も大きく壊れやすい真空管が使われていました。半導体は今から70年ほど前、アメリカのベル研究所で発明されています。1947年にバーディーンとブラッデンが、点接触型トランジスタで音声信号を増幅する実験に成功。翌年の1948年にはショックレーが、接合型トランジスタの原型となるサンドイッチ型トランジスタを発明しています。これらの発明により、次々と半導体ビジネスが開始されます。クラシカルな真空管ラジオは小型・軽量なトランジスタラジオに代わり、一部屋を占領するほど巨大で壊れやすかったコンピュータも、トランジスタが使われることで画期的な進化を遂げていきます。
ICが発明されたのは夏休みがとれなかったから!?
半導体の発明から10年経った1958年、テキサス・インスツルメンツ社のキルビーは集積回路(IC)を開発しました。ICは1枚の半導体基板上に全ての素子を集積することで小型化し、大量生産も可能になりました。新入社員だった彼は、年次休暇が足りなくて夏休みを取れず、ラボに残って一人で作業をしていて発案したという話は有名です。その半年後、フェアチャイルド・セミコンダクタ社のノイスは、シリコン・プレーナーICを開発します。キルビーには遅れたものの、実用化の価値が非常に高く、現代のICに大きな影響を与えることになります。1960年代後半になると、ラジオ、計算機、コンピュータにもICが使われるようになっていきます。さらに、TTLの登場、電卓用MOSICの発展と、デジタル化は急速に進んでいったのです。
半導体は生活に欠かせないものになっていった
ICの開発以降、集積度は指数関数的に増加していきます。大規模で高集積化されたLSIのワンチップ化も進みます。1971年には4ビットのマイコンが開発されました。これは元々日本のビジコンという会社が電卓用のICとしてインテル社に発注したものがきっかけとなって作られたものだったのです。マイコンと共に開発されていったのが、DRAMやSRAMなどのメモリです。1980年代に入ると、パソコン、ワープロ、ビデオゲーム、ファクシミリなど、新しい半導体応用機器が続々と登場しました。1990年代にはフラッシュメモリが登場、システムLSIが実用化されています。
半導体の更なる進化を求めて!ナノレベルの挑戦
半導体の微細化は進み、ナノレベルにまで達しています。そしてさらなる開発も進められています。現在注目されている技術を少しご紹介しましょう。EUVリソグラフィーは、半導体の製造工程において、極端紫外線(EUV)を使って製造する技術です。多くの大手の半導体メーカーで開発が行われていて、実用化が期待されています。ナノワイヤは、ナノレベルの細さの帯状の材料で、素材や生成方法など研究が進められています。半導体の集積化が進む中で、ナノワイヤの応用技術に注目が集まっています。チャネル形成部の全てをゲート電極で囲んだ形の GAA(Gate AllAround)型のトランジスタは、究極のMOS構造と言われています。
無表情なパーツの壮大な歴史は、今も作られ続けている
日常生活の中では手に取ってみることも、単体で購入することもない半導体。しかし、半導体が生活の変化に大きな影響を与えてきたことは事実です。多くの人の夢をかけた開発やビジネスは、70年の歴史を持っています。そして今も発展を続けて歴史を作ろうとしているのです。