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フィンテックとはどういう意味?金融業界で起きている大変革を解説

昨今では、「〇〇Pay」という名称のスマホ決済サービスを使って、さまざまな店舗で気軽に買い物ができるようになりました。

こうしたスマホ決済は、ITと金融を融合させて生まれた新しい金融サービスである「FinTechフィンテック)」と呼ばれるものの一種です。

フィンテックは、保守的業種の代表例だった金融業界に革命的な変化を起こし、海外送金、融資、投資、資産運用などのお金に関わるあらゆるサービスへと広がっています。

 

お金のやり取りには膨大な手間とコストがかかっている

お金のやり取りは、人々が社会活動を行う上でなくてはならない基本的な営みです。

もし、間違いや不正があれば、経済活動は混乱し、場合によっては、国同士の争いにも発展しかねません。

このため、お金のやり取りは、国や地域ごとの法規制や商習慣に沿って、厳格に行う必要があります

 

特に、銀行・証券・保険といった金融業では、取り引きの仕組み作りと運用に多額のコストをかけています。

私たちが何気なく自分の口座からお金を引き出すことができているのも、多くの人が送金システムの構築に関わり公正性・厳密性・信用を担保できているおかげです。

お金のやり取りは厳格な仕組みと人手作業によるコストがつきものだった

出典:Panumas- stock.adobe.com

 

フィンテックの目的はコストの圧縮

フィンテックは、デジタル技術を駆使することで、これまでの金融業につきものだったお金のやり取りに際するコストや時間を最小化していくことが狙いです。

 

お金の価値は、通貨単位という数字で表すことができるため、デジタル技術との相性がよい分野です。

例えば、集計や手続きなどの手間と時間がかかる業務は、ITシステムの活用で大幅にコストの圧縮が可能です。

近年では、人工知能(AI)やブロックチェーンなどの最先端テクノロジーを使うことで、どうしてもスキルや知識の豊富な人材に頼るしかなかった審査や与信契約などの作業も自動化も可能となってきました。

 

今では、国や地域をまたいだ取り引きや、商習慣の違う業種の違いを超えるお金のやり取りを、より低コスト、迅速、簡単にした利便性の高い金融サービスが提供できるようになっています。

その結果、これまでならば手数料の方が高くなってしまうような少額取引や、一部の人にしか利用できなかった専門性の高い資産運用サービスも広く利用できるようになりました。

 

フィンテックの利用拡大を後押しする2つの要因

フィンテックに関連したサービスが急激に広がり、世界経済を一変させる大きな潮流になっている背景には2つの要因があります。

 

ひとつは、ITが急速に進化していることです。

私たちが持つスマホは、誕生当時のスーパーコンピュータよりもはるかに高性能だと言われています。

現金自動預け払い機(ATM)が登場し始めた1970年代後半、それを後ろで動かしていたコンピュータの性能は、現在のスマホよりも劣っていました。

今のスマホには当時のATMの性能以上のポテンシャルが秘められています

つまり、新たな金融サービスの提供が技術的に可能となり、新規参入を目論むベンチャー企業にとって千載一遇のチャンスなのです。

現在のスマートフォンの性能はかつてのスーパーコンピュータを超えている

出典:tsuneomp/Maria_Savenko ? stock.adobe.com

 

もうひとつは、利用者の価値観が変わってきたことです。

資産運用や住宅ローンなどの金融サービスのコアユーザーは、1980年代~1990年代に生まれた世代に移行しています。

この世代は、いわゆる「デジタルネイティブ世代」と呼ばれ、物心がついたときからインターネットがあったため、ITの利用に支障や躊躇がありません。

便利であれば、ITを使った新しいサービスも積極的に活用します。

スマートペイメントの利用が急激に広がった背景には、こうしたユーザー側の価値観の変化が大きく影響しているのです。

デジタルネイティブ世代は新たなキャッシュレス決済にためらいがない

出典: kinako- stock.adobe.com

 

フィンテックのさまざまな活用事例

フィンテックの発達が世界に残る貧富の差を縮める

どちらかといえば変化に乏しい業界だった金融業界に、5000年前に起きた貨幣経済の成立以来の大変革を起こしているフィンテック。

関連サービスは、金融にかかわるさまざまなビジネスに拡大し続けていますが、その中でもこれまでできなかったことを実現したインパクトのあるサービスを紹介します。

 

まず、スマホを使った国際送金サービスの応用例として「World Remit」を挙げましょう。

これは2010年に英国で誕生し、今では世界で最も多くの人が利用している送金サービスのひとつです。

World Remitは、送金手数料が低額であることが特徴で、英国で銀行口座を開けない途上国の移民や出稼ぎの人が手軽に低コストで母国に送金できるようにするために生み出されました。

 

通常、金融機関を通じて海外に送金する場合、約5%の送金手数料が必要で、生活を切り詰めて暮らしている人にとっては、決して安い額とは言えません。

また、母国の産業が未熟で銀行の機能自体が整っておらず、銀行口座を開けない人が世界にたくさんいます。

しかし、途上国の中には、スマホを利用することを前提に金融システムを整備しようとするところがあるほど、スマホは当たり前に普及しています。

World Remitのようなサービスは、貧困から脱するきっかけを作り出す社会的インパクトの大きなフィンテックの応用例だと言えるでしょう。

貧しくて銀行口座が開けない人もフィンテックで海外送金が可能に

出典:weyo ? stock.adobe.com

 

融資における課題を解決するトランザクションレンディング

起業や事業拡大には、少なからず資金が必要です。

企業の資金調達の手段のひとつに、銀行などの金融機関からの融資が挙げられます。

しかし、個人や中小・零細企業にとって融資のハードルは高く、金融機関の厳しい審査を通るために手間と時間がかかっていました。

こうした課題を解決するためのサービスとして、「トランザクションレンディング」と呼ばれるものがあります。

これは、融資対象となる企業の商取引のデータを活用して与信の手間を軽減し、審査期間を短縮するサービスです。

例えば、Amazonが提供しているAmazonレンディングでは、Amazonマーケットプレイスに出店している法人の取引履歴を審査に活用します。

融資申請以前の実績を基にして与信を行うため、信頼性が高く、しかも決算報告書などの書類も改めて提出する必要がありません。

日本ではAmazonの他に2020年2月現在、GMOイプシロン楽天などがトランザクションレンディングのサービスを提供しています。

 

資産運用に対する不安をAIが解消

続いて、個人の資産運用に向けた応用例です。

昨今、老後の社会保障の軸である年金への不安から資産運用に関心を持つ人が増加しています。

ただし、資産運用を行うには、どの金融商品であっても相応の知識とスキルが必要です。

 

そうした資産運用に対する不安を解消するサービスがロボアドバイザーです。

ロボアドバイザーは2つのタイプがあり、年齢や資産の保有状況に応じた最適な投資プランをアドバイスしてくれるものと、金融市場の状況に応じて、自動的に売買や運用をしてくれるものがあります。

ロボアドバイザーは、AIやITの技術革新に応じて進化し続けており、高精度な資産運用を安価に利用できる点が最大のメリットだと言えるでしょう。

日本では、ウェルスナビが提供する「WealthNavi」とお金とデザイン社が提供する「THEO」が有名です。

 

お金のやりくりをサポートする家計簿システム

最後に、高度に進化した家計簿への応用例です。

家計簿は、家庭の預貯金を管理するためにとても有用です。

しかし、給与明細や買い物のレシート、銀行預金通帳、クレジットカードの利用明細などを見ながらノートや表計算ソフトに入力するのは面倒です。

そこで注目されているのは、多様なお金のやり取りを一括管理する「PFMPersonal Finance Management)」と呼ばれるサービスです。

パソコンで家計簿を作成できるソフトは昔から存在していましたが、現在ではデータの自動化やスマホとの連動でさらに利便性が向上しています。

中には、金融機関の口座の残高やクレジットカードの情報なども一括で管理する機能を持ったアプリも存在し、ルーズな人でもやりくりが簡単にできるでしょう。

PFMの代表的なサービスとして、マネーフォワードの「マネーフォワード ME」やマネーツリーの「Moneytree」などがあります。

 

フィンテックの市場は拡大しており、そこに投入されるテクノロジーも進化し続けていきます。

中国では、自国通貨の人民元をデジタル化するため、習近平主席の指示の下、ブロックチェーン技術の高度化と応用開発が進められています。

また、実用的なマシンが登場した量子コンピュータを、最適な資産運用法を導き出すために利用する取り組みも様々な金融機関によって行われています。

これら金融業界のイノベーションによって、今後基幹システムを構築するエンジニアやAI設計の技術者の需要はますます高まることでしょう。

フィンテックはまだまだ新興の技術であるため、最先端のITの知識が求められます。

テクノロジーの最前線で、自己成長したいエンジニアにとって、今がまさにチャンスだと言えるでしょう。

 

 

 

 

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