アプリケーションエンジニアとは|仕事内容や必要なスキル・資格について
人材市場にて、アプリケーションエンジニアの需要は右肩上がりに伸びています。スマートフォンの爆発的な普及やアプリ市場の急拡大、そして将来性の高さから注目を集めている職種ですが、実際の職務内容ならびに求められるスキルには、どのようなものがあるのでしょうか?
こちらでは、アプリケーションエンジニアとは何か、概要に加え、その幅広い職務領域や開発に必要なスキルについて紹介していきます。
Contents
アプリケーションエンジニアとは
アプリケーションエンジニアとは、その名の通り、ITシステムのアプリケーション部分の開発・運用を担当するエンジニアです。その業務領域は幅広く、メイン業務となるプログラム開発はもちろん、プロジェクトのシステム設計からシステムテストまで、アプリケーション開発にまつわる一連の業務に携わります。
扱う案件の分野も広範におよび、スマートフォンアプリや企業内の業務システムの開発にとどまらず、大型の金融システムや鉄道の自動改札機のシステム構築など、社会的インフラに携わることもあります。
そのため、ソフトウェアやハードウェアについてはもちろんのこと、ネットワークやデータベースなど、システム開発・運用において求められる知識を網羅的に獲得する必要があります。
アプリケーションエンジニアの仕事内容
幅広い業務領域を担うアプリケーションエンジニアですが、実際にどのような仕事をしているのか? 以下の4つのジャンルに分類して見ていきましょう。
- ITエンジニア:業務系アプリケーションの開発エンジニア
- Webエンジニア:Web系アプリケーションの開発エンジニア
- スマホアプリエンジニア:スマートフォンアプリケーションの開発エンジニア
- 開発後アプリケーションの保守・運用
ITエンジニア:業務系アプリケーションの開発エンジニア
ITエンジニアは、主にクライアントが抱えている悩みや課題を解決するためのアプリケーション、具体的にはクライアントの社内アプリや業務の基幹となるシステム開発を通じて、企業の問題を解決していきます。SIerに勤務するITエンジニアも多く、システムエンジニアとプログラマーに分けられる場合もあります。
開発以外にも、社内システムの動作テストやセキュリティ対応など、幅広い業務に携わる点が特徴です。
Webエンジニア:Web系アプリケーションの開発エンジニア
Webエンジニアは、主にブラウザ上で利用するWebアプリケーションの開発に携わります。
アプリケーションと聞くと、「スマートフォンやパソコンにインストールして利用するもの」というイメージがありますが、それだけではありません。例えば、TwitterやInstagramなどのSNSや、GmailやYahoo!メールなどのメールソフトです。これらのアプリケーションのように、Webブラウザ上でも利用できるアプリケーションの開発が、Webエンジニアの仕事になります。
Webエンジニアの多くは、Webメディアやゲームなどの運営企業やWebの受託開発企業に在籍し、Web系のバックエンドやサーバーサイド開発に携わっています。また、ECサイトの開発などもWebエンジニアが受託する業務です。
スマホアプリエンジニア:スマートフォンアプリケーションの開発エンジニア
iOSやAndroidなど、スマートフォン用のアプリケーションを開発するのが、スマホアプリエンジニアです。
「パソコン離れ」の言葉も聞かれるように、いまではスマートフォンの利用時間は、パソコンを圧倒しています。「インターネット利用」に限定しても、全年代においてスマートフォンの利用時間が上回っていることは、総務省の「令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」でも報告されています。
さらに、スマートフォンの利用時間シェアはブラウザが8%、一方アプリケーションは92%に達するとの報告(2019年12月)もあり、ここでもスマートフォンアプリの圧倒的な優勢がうかがえます。
しかし、ユーザーの需要が伸びている一方で、スマホアプリエンジニアはITエンジニアやWebエンジニアと比較して技術者の数が少ないため、求人需要は非常に高まっています。今後も需要は伸びていくと考えると、スマートフォン向けアプリケーションの設計・開発ができる人材はますます重宝されていくでしょう。
開発後のアプリケーションの保守・運用
エンジニアの主な仕事は開発ですが、その後の保守・運用もエンジニアの重要な職務です。システムやアプリケーションのエラーや障害トラブルを解消するだけでなく、システムアップデートなどのインフラ運用業務、データベースやサーバーなどの環境構築、システムログの監視なども担います。
アプリケーションエンジニアとシステムエンジニアの違い
アプリケーションエンジニアとシステムエンジニアでは、主に担当する工程に違いがあります。
- アプリケーションエンジニア:主にコーディングなどの開発工程
- システムエンジニア:主にクライアント対応やシステム設計などの工程
アプリケーションエンジニアも設計工程に携わることはありますが、一般的にシステムエンジニアはプロジェクトにおいて、より上流の工程を担当します。
言葉の明確な定義はないため一概にはいえませんが、「実際に開発やコーディングをするかしないか」が、アプリケーションエンジニアとシステムエンジニアの大きな違いです。
アプリケーションエンジニアになるには
アプリケーションエンジニアになるには、開発に関連する幅広い知識が不可欠です。ネットワーク、データベース、プログラミング言語の最新情報などに加えて、マネジメント能力やコミュニケーション能力など、ビジネススキルも必要になるでしょう。
アプリケーションエンジニアを目指すには、プログラミング言語をある程度学習したあと、インフラ系のエンジニアやプログラマーとして経験を積むのがおすすめです。実際に、プログラマーとして1?2年の実績を積んだのちに、アプリケーションエンジニアに転身するケースも多く見られます。
アプリケーションエンジニアの資格
まず前提として、アプリケーションエンジニアになるために、資格は必要ではありません。しかし、資格は技術の証明にもなり、取得のための学習を通じたスキルアップも図れるため、取得自体が無駄になることはないでしょう。
以下、エンジニア関連の資格の中から、3つの資格を取り上げ紹介します。
- 基本情報技術者資格
- システムアーキテクト試験
- Android技術者認定試験
基本情報技術者資格
基本情報技術者資格は、IPA(情報処理推進機構)が実施しているITの国家資格です。2019年度にはおよそ17万人が受験している、IT系資格のなかでももっとも有名なもので、エンジニアの登竜門ともいわれています。資格の学習を通じてアプリケーションエンジニアの基礎となる知識を習得できるため、スキルアップのために取得するのもよいでしょう。
なお、2019年度の合格率は25.7%と難易度は中程度です。
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験は、基本情報技術者試験の上位にあたり、主に開発現場で必要な要件定義やシステム設計を担当する人材を認定する資格です。求められるレベルも高まり、主に以下のような知識を身に付けなければいけません。
- コンピュータに関する基礎知識
- システムの要件定義
- システム設計からの各工程の知識
- システム開発に必要な技術的な知識
- 開発マネジメントに関する知識 など
取得の難易度は高く、例年の合格率は10%ほど。そのぶん、システムアーキテクト試験の取得は確かな知識の証にもなります。
Android技術者認定試験
一般社団法人IT職業能力支援機構Android技術者認定試験制度委員会が実施する試験です。原則、試験は毎日受験でき、合否もその日のうちに判定されます。Javaの開発経験や知識を有する方におすすめの資格です。
試験は「アプリケーション技術者認定試験」と「プラットフォーム技術者認定試験」の2種類。それぞれにベーシックとプロフェッショナルの2つのレベルが用意されています。
Android開発は需要が右肩上がりに伸びており、将来性も高い職種です。アプリケーションエンジニアとして活躍していくためのベースと捉え、取得を目指すのもよいでしょう。
アプリケーションエンジニアに必要なスキル
アプリケーションエンジニアに必要なスキルは多岐に渡ります。以下3種のエンジニアに必要なスキルをそれぞれ見ていきましょう。
- 業務系アプリケーションの開発
- Web系アプリケーションの開発
- スマートフォンアプリケーションの開発
業務系アプリケーションの開発
業務の効率化やシステム化を図るアプリケーションや、企業内で利用される専用のアプリケーションの開発がメインの仕事です。開発現場では、Java、C、C#などの言語がよく使用されます。
これらの言語のスキルはもちろん、設計からシステム開発まで対応できるよう、ネットワーク、データベース、サーバーなどバックエンドの知識も身に付けておきましょう。
Web系アプリケーションの開発
Web系アプリケーション開発は、サーバーサイドをメインに開発するサーバーサイドエンジニアと、UI/UXを考慮したフロントエンドの構築を担当するフロントエンドエンジニアの2種に分類されます。
サーバーサイドエンジニア
PHP、SQL、Ruby、Pythonなどのプログラミング言語を身に付ける必要があります。
フロントエンドエンジニア
主にマークアップ言語であるHTML、CSSや、JavaScriptなどの使用が一般的です。プログラミング言語の幅広い知識が必要となります。
スマートフォンアプリケーションの開発
スマートフォンアプリケーションの開発には、主に、Swift、Java、Kotlinなどの言語が使用されます。また、OSによって使われる言語が変わるほか、開発環境によっても違いがあります。
iOSならSwift、AndroidならJavaやKotlinが使用されることが多いですが、開発環境がXamarinであればC#、CordovaならJavaScriptやHTML/CSSなどが使用されます。
- アプリケーションエンジニアは、ITシステムのアプリケーション部分の開発・運用を担当するエンジニア
- プログラム開発のほか、システム設計からテストまで、アプリケーション開発にまつわる一連の業務に携わる
- ネットワークやデータベースなども含めた幅広い知識が必要
- スマホアプリの開発のほか、ブラウザ上で利用するアプリや社内アプリの開発など、業務領域も広範
- 開発するアプリや業務環境に応じて、使用される言語は異なる
- 総じて需要・将来性の高い職種