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iPaaSとは?代表的なツールを比較|種類・市場規模・メリットを解説

IT/Web派遣コラム この記事は約 11 分で読めます。

テレワークの浸透や多様な働き方の推進を背景に、企業におけるクラウドサービスの利用が活発化しています。

あらゆる種類のクラウドサービスが続々とリリースされる現在は、まさにSaaS群雄割拠の情勢です。実際に導入・活用するにあたっては、クラウドサービスそれぞれの機能や特徴についての理解が欠かせません。

そこで重要性が高まっているのが、複数の業務用システムを統合・連携するクラウドサービス「iPaaS」です。iPaaSの種類や注目される背景を考察し、具体的なツールの特徴を比較していきます。

iPaaSとは

IPaaS (Integration Platform as a Service/読み方:アイパース)とは、複数の業務用システムを統合するためのクラウドサービスです。iPaaSを利用することで、点在するクラウドサービスやオンプレミスのシステムを連携し、データを共有できるようになります。

点在するサービス群は、異なるフォーマットをベースに運用されているのが一般的です。異なるフォーマットのデータを連係するために仮想的なプラットフォームを用意し、それぞれのデータをつなぐハブのようにiPaaSは動作しています。

有名なiPaaSには、Amazonが提供するAWS(Amazon Web Service)やMicrosoft社のMicrosoft Power Automateがあります。

iPaaSとIaaS、PaaS、SaaSの違い

iPaaSと混同されがちなものに、「IaaS」「PaaS」「SaaS」があります。iPaaSは、これらのサービスを統合するプラットフォームとして機能する関係性です。

IPaaS 複数の業務用システムを統合するためのクラウドサービス
Iaas クラウド上で提供されるCPUやメモリ、ストレージなどのインフラを利用できる仕組み
PaaS 仮想化されたサーバーを自社サーバーのように利用できるクラウド上のプラットフォーム
SaaS Webブラウザやアプリで利用できるソフトウェアやサービス全般

iPaaSとIaaSの違い

Iaas(Infrastructure as a Service/読み方:イアース)は、クラウド上で提供されているCPUやメモリ、ストレージなどのインフラを利用できる仕組みです。

従来、企業における自社サーバーやネットワークなどのインフラ構築では、データセンターを活用することが一般的でした。近年では、このIaaSによって、クラウド上でもデータセンターと同様のインフラを用意できるようになっています。

iPaaSとPaaSの違い

PaaS(Platform as a Service/読み方:パース)は、自社サーバーのように利用できるクラウド上のプラットフォームです。

従来のように、一台のサーバー機を用意しシステムを構築するのではなく、クラウド上に仮想化されたサーバーによって、運用負荷を軽減します。

iPaaSとSaaSの違い

SaaS(Software as a Service/読み方:サース)は、Webブラウザやアプリで利用できるソフトウェアやサービス全般を指す言葉です。

これまでのソフトウェアは、PCにインストールして利用する「パッケージ型」の製品が中心でした。しかし近年ではMicrosoft 365をはじめ、さまざまなソフトウェアがSaaSとして提供されています。

iPaaSとRPAの違い

RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)は、元来ヒトが行っていたルーチンワークを自動化するシステムです。

RPAはITの知識が浅い人でも操作できるほか、APIを利用せずにアプリケーションと連携することも可能です。オンプレミス・クラウドに関係なく連携を実現できる点では、iPaaSと同様といえるでしょう。

iPaaSとの違いにおいては、RPAは画面操作をコピーするのに対し、iPaaSはクラウド上でのデータやアプリケーション、APIの連携、およびそれらの統合を行う点にあります。また、iPaaSでは主にAPIを通してアプリケーションを連携するという違いも見られます。

RPAとiPaaSはアプリケーションの連携を実現するなど類似点もあるものの、このように仕組みは大きく異なります。

iPaaSの種類

一口にiPaaSといっても、その種類は複数存在します。

  • レシピ型
  • ETL/ELT型
  • EAI型
  • ESB型

レシピ型:定型業務と好相性

レシピ型とは、非エンジニアでもわかりやすく利用できる一連の処理がまとめられた種類のiPaaSです。データ連携に関する専門的な知識は求められず、「トリガー」と呼ばれるワークフローを動かすイベントを契機にシステムが稼働します。

レシピ型は、一定の日時の経過やメールの受信など、トリガーとなるイベントが発生するとワークフローが稼働する仕組みです。メールやタスクの管理、カレンダーなど、定型業務に使うアプリケーションとの相性がよいタイプのiPaaSです。

【レシピ型のiPaaSの事例】

ETL/ELT型:データをつなぐパイプライン

ETL/ELT型とは、DWH(データウェアハウス)に点在するSaaSや、オンプレミスのデータベースを読み込み集約する種類のiPaaSです。

ETL/ELT型は「データパイプライン」とも呼ばれ、さまざまな場所にあるデータをパイプラインのようにつなぎます。

【ETL/ELT型のiPaaSの事例】

EAI型:アプリケーションをリアルタイムに高速連携

EAI型は、「データ連携ツール」とも呼ばれ、業務に利用するさまざまなアプリケーションをリアルタイムかつ高速に連携できる種類のiPaaSです。

在庫管理や受発注データ、マスタデータのように、整合性の保持が重要とされるデータの連携処理に相性がよいタイプのiPaaSです。

【EAI型のiPaaSの事例】

ESB型:サービス指向アーキテクチャの実現

ESB型とは、さまざまな情報システムやソフトウェアを連携させるために、OSとアプリケーションの橋渡し的役割を担う種類のiPaaSです。

オンプレミス・クラウドにかかわらずアプリケーションを連携させるほか、それぞれのサービスから発展するAPIの設計や運用管理など、サービス指向アーキテクチャの実現にも寄与します。

【ESB型のiPaaSの事例】

iPaaSの市場規模

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画像引用元:iPaaS市場規模推移および予測(2020~2026年度予測)|株式会社アイ・ティ・アール

株式会社アイ・ティ・アールのiPaaS市場規模に関する調査によると、2020年におけるiPaaSの市場規模が約21億円だったのに対し、2021年には約28億円に到達。さらに2026年にかけて右肩上がりに成長するとみられています。

iPaaS市場の成長が予想されている背景には、企業におけるSaaSサービスの活用拡大があります。オンプレミス・クラウドにかかわらず統合的に連携できるiPaaSは、従来型のシステムとSaaSのハイブリッド環境を構築する企業に適したシステムであるためです。

iPaaS市場への新規参入ベンダーも増加していることからも、今後はさらに導入が進んでいくと見られます。

iPaaSが注目される背景

iPaaSが注目される背景には、企業が利用するシステムやサービスの数の増加があります。

データセンターやサーバーをはじめ、業務に利用するクラウドサービスの導入が続々と進んでいる昨今では、サービス間をまたいだ情報共有が複雑化・困難化を極めています。情報が散在する状況では、部門を超えた情報共有や業務連携が難しくなるだけでなく、情報の管理も煩雑化するでしょう。

企業が活用するアプリケーションやサービスを連携させ、データ管理を容易にするiPaaSは、業務効率化や生産性の向上に加え、刻々と変化する経営環境やニーズに対応する体制構築にも寄与するシステムとして注目を集めているのです。

また、iPaaSは経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」の解消にも必要なものです。2025年の崖とは、日本企業がDXを推進しないことで生じる膨大な経済損失を指しています。

DXの推進には、データ活用が欠かせません。さまざまな場所に点在するデータを集め、管理できるiPaaSは、DXの推進にも有効であることから、今後も活用が広まっていくと考えられます。

iPaaSのメリット

iPaaS活用の代表的なメリットには、業務効率化や生産性の向上があります。

例えばECサイトを運用している企業では、Webからの問い合わせに加え電話やメール、FAX、チャットなどさまざまなチャネルを介して注文が入ります。iPaaSを利用しない場合、各チャネルで発生した注文を個別に取りまとめ、各システムに入力する業務が生じるでしょう。

一方、iPaaSを利用すると、すべての注文は自動的に受注システムに入力され、さらには在庫管理システム、会計システム、配送システムなど、さまざまなシステム間でデータを速やかに共有できるようになります。

また、過去に蓄積されたデータの利活用を実現できることもiPaaSの利点です。業務効率化やDX推進に着手したい企業、各システムにある膨大なデータを活用したい企業には大きなメリットをもたらしてくれるでしょう。

iPaaSのデメリット

一方、iPaaSにはいくつかの課題も指摘されています。

まず、iPaaSではAPIが公開されていないシステムの連携は基本的にできません。また、利用する製品のタイプによっては、ある程度の専門知識も求められるでしょう。

そのため、iPaaSの導入を検討している企業は、自社が現在使用しているアプリケーションのAPI公開状況を確認する必要があります。加えて、レシピ型以外のiPaaSではエンジニアの存在も必要不可欠になりそうです。

iPaaSの製品・ツールの特徴比較

ここからは、代表的なiPaaS製品を7つ紹介します。

製品 種類 特徴
Anyflow レシピ型 非エンジニアでも利用しやすいノーコード対応
Zapier レシピ型 5,000種類以上のアプリと連携し、無料版も用意されている
MuleSoft ESB型 APIの設計や開発、管理まで行える
Workato レシピ型 堅牢なセキュリティのもと、定型化されたワークフローを実行
DataSpider Servista EAI型 大量のデータを高速処理し、抽出から変換、書き込みまで実行
Informatica EAI型 大量のデータを連携・変換できるAIを搭載
AWS Glue ETL型 Amazonが提供するデータ統合サービス

Anyflow

Anyflowは、ノーコードで使えるレシピ型のiPaaSです。Gmailやスプレッドシート、SlackなどさまざまなSaaSサービスを連携させて、業務の効率化を実現します。

たとえば、会計システムで請求書が作成されると自動でメールを送信したり、商談メモを記録すると自動でビジネスチャットにメッセージ送信したりすることも可能です。

月額基本料金は3万円から。コストを抑えながらiPaaSを利用できます。

Zapier

Zapierは、5,000種類以上のWebアプリケーションを組み合わせて業務を自動化するレシピ型のiPaaSです。Webブラウザ上でワークフローを作成できるため、ソフトウェアのインストールやシステム開発の必要はありません。

Zapierでは、ビジネスチャットだけでなく、SalesforceやShopify、各種SNSなど多彩なツールを連携できます。海外製でありながら、国内で開発・提供しているサービスとの連携も含まれます。

無料版も用意されているため、コストをかけずにiPaaSの使用感を試してみたい企業にもおすすめです。

MuleSoft

MuleSoftは、さまざまなアプリケーションとデータを、APIを用いて接続・連携するESB型のiPaaSです。国内外の大手企業が採用しており、膨大な数のアプリケーションを円滑に連携させ、業務効率化や利益向上に寄与しています。

Mulesoftにはいくつかの製品がラインアップされ、そのひとつであるMuleSoft Anypoint Platformでは、API連携だけでなく、APIの設計や開発、管理まで行えます。これにより、MuleSoftでAPIを作り、外部APIと連携させることも可能です。

Workato

Workatoは、高いセキュリティ性を有するレシピ型のiPaaSです。前述したレシピ型iPaaSをよりエンタープライズ向けの仕様にした製品で、堅牢なセキュリティのもと、定型化された一連のワークフローを実行します。

多くのアプリケーションを用いて、自社の業務にマッチするワークフローを作成し実行させることが可能です。

DataSpider Servista

DataSpider Servistaは、大量のデータを高速に処理する、EAI型のiPaaSです。オンプレミス・クラウドどちらにも対応し、あらゆるデータソースを連携させ、データ抽出から変換、書き込みなどを実行します。

DataSpider Servistaの活用により、部門ごとに点在する顧客データやフォーマットデータを連携するなど、社内にあるさまざまなデータを、容易かつ円滑に活用できるようになります。

Informatica

Informaticaは、大量のデータを連携・変換できるAI搭載のEAI型iPaaSです。データのタイプやパターン、保存場所を問わず、あらゆるデータを管理できることから、国内の大手企業も活用しています。

複雑化した既存システムと新たに導入したSaaSにあるデータの連携から、陳腐化したデータを活用するための補正や加工なども可能です。

AWS Glue

AWS Glueは、Amazonが提供するETL型のデータ統合サービスです。データ分析や機械学習、アプリケーション開発などの目的に対応し、複数のソースからデータを検出し、移動や統合をスムーズに実行します。

AWS Glueの活用により、データを効率的に検出できるようになるほか、データ変換によりさまざまなデータ処理システムで活用できるデータを作成できます。

まとめ
  • IPaaSは、複数の業務用システムを統合するためのクラウドサービス
  • 点在するクラウドサービスやオンプレミスのシステムを連携し、データを共有できるようになる
  • iPaaSと「IaaS」「PaaS」「SaaS」は別のものであり、これらのサービスを統合するプラットフォームとしてiPaaSが機能する関係性
  • IPaaSは定型業務と好相性の「レシピ型」や、アプリケーションをリアルタイムに高速連携する「EAI型」などさまざまな種類に分類される
  • iPaaSが注目される背景には、企業が利用するシステムやサービスの数の増加がある
  • 「2025年の崖」の解消にも有効であり、市場規模は右肩上がりに成長するとみられている

 

 

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