図面を描くだけが仕事じゃない!機械設計における仕事内容とは?
建築物は、いきなり施工・工事をはじめるわけではありません。
自動車やロボットなども同様で機械設計の人がいないと「モノづくり」はできません。
航路を書き記した航海図が無いと船が出せないように、図面を描き起こす人がいないと物が作れないからです。
では、設計をする人は図面を書き起こすだけが仕事なのでしょうか。
その他、多くの能力が求められる実際の設計の仕事内容を見ていきたいと思います。
そもそも、モノのベースを作る設計の仕事とは
設計とひとことに言ってもその分野は多岐に渡ります。
たとえば、
- プラントなどのより強くより大きな物を求められる“重電系”
- パソコン・携帯電話の部品といったより小さくより軽い物を求められる“精密機械系”
- 自動車や飛行機、工作機械といった“一般機械系”
に大別されます。
では、機械設計の仕事の流れを説明しましょう。
まず、“概念設計”を行います。
これは、その機械のコンセプトをクライアントとともに明確化し、スペックを決めていく作業です。
そしてアイデアをまとめた上で要求仕様を確定させます。
次に“基本設計”。
ここでは概念設計をもとに機械の強度を試行錯誤したり、部品を調達しコストも決めていきます。
部品メーカーと調整したりもします。
次に“詳細設計”です。
ここでCADというツールを使い、仕様に基づいた寸法や素材、構造を図面化し、組立方法を明確化する工程です。
この工程を行う製図技術士はCADエンジニア、CADオペレーターとも呼ばれています。
重要性の高い業務のひとつで、CAD利用技術者試験やCADトレース技能審査という資格も存在しています。
難易度が高くなると、実務経験が問われる場合もある資格です。
後の工程が“試作”です。
実際に製品化する前のプロトタイプを作り評価していきます。
こんな事もやらなければならない、設計の仕事
機械設計の仕事は図面を描くだけではないことをご理解いただけたかと思いますが、各設計工程において変わった仕事もしています。
たとえば「いじわる試験」。
ユーザーは時にメーカーの考えの及ばないことをすることがあります。
そんな時でも機械本来の性能を維持できるのかを試すのが「いじわる試験」です。
どんな試験かというと、分析機器の場合は、電波干渉の試験を行います。
これは低周波から高周波まで、どの周波数でも稼働するのかを確認するためで、もちろん本来の性能が出なければ部品を変えたりします。
そして、いかに性能を出すのか部品メーカーとの折衝も機械設計の仕事です。
設計はコミュニケーション能力が命
機械の知識や設計経験並みに、機械設計士に必要なのがコミュニケーション能力です。
先ほど申し上げたメーカーとの折衝もそうですが、企業内での折衝も必要になることがあります。
営業が持ち帰ってきた内容を100%受けることは難しいでしょうから、代案を出したり直接クライアントに技術的説明に赴いたりもします。
また、新しいアイデアを提案したり逆に提案を受けたり、他の部署との連携を図るのも設計の重要な仕事なのです。
どれだけプロジェクト関係者と上手く連携を取れるかがカギになります。
他にも、万が一トラブルが起こった際もコミュニケーションスキルが高ければ、迅速な解決に導くケースが多くなるでしょう。
まとめ
どちらかと言うと閉じこもりがちだと思われることの多い設計の仕事ですが、実際には営業職並みに最前線に立つことも少なくありません。
しかし、アイデアを出し合い仲間と開発していく、やりがいのある仕事と言えるでしょう。
機械設計技術者試験での資格取得を目指す場合は、級によって実務経験の問われる経験者であることが必須になることもありますが、3級であれば実務による受験制限はありません。
気になる方は、ぜひ調べてみてください。