機械の故障率を図示する「バスタブ曲線」・パソコンや家電など具体例からわかりやすく解説
機械や自動車の故障に際し、「バスタブ曲線(故障率曲線)」という言葉を聞いたことはありませんか?
バスタブ曲線とは、時間の経過に伴って、機械や装置の故障率が変化していく様子を表した曲線図のことです。本記事では、バスタブ曲線の概要や分類される3つのフェーズについて、事例とともに解説していきます。
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バスタブ曲線とは
バスタブ曲線とは、わかりやすく定義すると「製品の寿命と不良発生率の関係を示したグラフ」です。これは家電やパソコン、自動車など、多くの製品の寿命が時間の経過とともに変化していく様子を、バスタブの形状になぞらえて表現したものです。
このバスタブ曲線は、製品の品質管理や保守管理において機能的な指標となります。
- 初期不良の削減や品質改善に取り組み、製品の有用寿命期間を最大化する
- 老朽化に伴う故障の予防や、予防的な保守管理を適宜講じ、利用者の満足度を高める
上記のような施策にバスタブ曲線の指標を反映することで、顧客満足度やブランド価値の向上が見込めます。また、顧客からのフィードバックや市場トレンドを把握し、製品改良やアップデートに反映させられる点においても、バスタブ曲線は重要な役割を担います。
バスタブ曲線の3つの故障期
製品のライフサイクルに応じた故障率をグラフ化すると、ちょうど上図のようにバスタブを模した形の曲線が描かれます。
このグラフこそがバスタブ曲線であり、故障率曲線と呼ばれることもあります。
バスタブ曲線は一般的に次の3つのフェーズから構成され、機械製品など整備時期の目安になっています。
- 初期故障期
- 偶発故障期
- 磨耗故障期
設計や製造の欠陥で故障が起こる「初期故障期」
製品の納入後、ほんの僅かに稼動しただけで故障が発生する時期を「初期故障期(DFR:Decreasing Failure Rate)」と呼びます。これは、初期段階で製品が故障や不具合を起こす頻度が高くなっていることに由来します。
なお、主な故障原因に関しては、設計の不備や製作過程の不手際によるものが大半を占めており、初期故障期は、一般的に約1年が目安となります。
初期故障は製品自体の信頼性に甚大な悪影響を与えかねません。品質管理や製造プロセスの改善により初期不良を減らすことが重要であり、設計や製造工程の問題などを洗い出すアプローチが求められます。
故障が起こり難く稼動が安定している「偶発故障期」
初期故障期を過ぎて、安定的な稼動した後に故障が起こる時期を「偶発的故障期(CFR:Constant Failure Rate)」と呼んでいます。
このフェーズではランダムな故障は発生するものの、故障率はほぼ一定の値を示し、目立った故障などは起こりにくく製品の信頼性は維持される傾向です。
しかし、保守やメンテナンスなどを怠れば相応の機能停止に陥る可能性は否めません。環境による変化や、人の扱いに対しても偶発故障は生じるため、製品寿命を延長するためには日ごろからの徹底した管理は必要となります。
故障率が増加する傾向にある「磨耗故障期」
機械は長時間稼動するにつれて、当然、内部部品の磨耗や疲労が起こり始めます。「磨耗故障期(IFR:Increasing Failure Rate)」は、製品の寿命が終わりに近づいている段階で故障が増加する時期に該当します。
磨耗故障は、製品の老朽化により頻繁に発生します。この期間が来る前に、消耗品の交換や機械の整備を行いましょう。その結果、稼動が安定している「偶発的故障期」の延長が可能です。
部品の劣化や磨耗による故障時期の到来タイミングは、機械の使用状況によって変動します。この故障期をいかに遅らせることができるかが、保守やメンテナンスする技術者の腕の見せ所。定期点検などは欠かせない作業となります。
バスタブ曲線~故障事例~
ここまで、バスタブ曲線の定義と、各フェーズの故障率の傾向をみてきました。ここからは、実際にそれぞれの故障期にはどのような傾向があるのか、日常に根差した以下の3つの製品から、故障事例を検証していきます。
- 家電の故障事例
- パソコンの故障事例
- 自動車の故障事例
バスタブ曲線に応じた家電の故障事例
家電製品の故障事例には、以下のような傾向があります。
初期故障期 | 新品のテレビや冷蔵庫が起動しない、画面に不良ピクセルが生じるなどの不具合が報告されています |
偶発故障期 | 一般的な使用状況で正常に機能し続けることが期待されるフェーズです |
磨耗故障期 | 老朽化が進み、電子部品やモーターが故障する可能性が高まっていきます |
バスタブ曲線に応じたパソコンの故障事例
パソコンの故障事例には、以下のような傾向があります。
初期故障期 | 新しいコンピューターが起動しない、ディスプレイに映像が表示されないなどの不具合が報告されています |
偶発故障期 | 一般的な使用状況で正常に機能し続けることが期待されるフェーズです |
磨耗故障期 | 経年劣化によりバッテリーの持ちが悪化したり、ハードウェアの故障が頻発したりする可能性が高まっていきます |
バスタブ曲線に応じた自動車の故障事例
自動車の故障事例には、以下のような傾向があります。
初期故障期 | 新車がエンジン不調や不安定な運転感を示すなどの不具合が報告されています |
偶発故障期 | 一般的な使用状況で正常に機能し続けることが期待されるフェーズです |
磨耗故障期 | 走行距離や年数の経過により、エンジンやサスペンションなどの部品の劣化や故障が増え、老朽化が進行します。車両の性能や安全性に問題が生じる場合もあります。 |
まとめ
個々の部品に使用されている消耗部品の寿命を知っておくことにより、機械全体の故障を避けることが可能となります。故障時期を事前に把握することも大切なので、過去のデータなどから整備時期を導き出すことが大切です。