グローバル化された時代で工業系やIT系に英語力は要るのか?
ものづくりの業界でも他業界と同じくグローバル化の波が押し寄せてきています。
海外拠点を持つ日本企業・日経企業メーカーであれば、営業担当だと英語は不可欠です。
では果たして、ものづくりの現場に英語は必要なのでしょうか。
また、実際にどのように勉強していけば良いのでしょうか。
今回はものづくりの現場における英語についてご紹介して参ります。
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そもそもものづくりの現場に英語が必要な理由とは
こちらをご覧の方々で、ものづくりの現場で英語を使う機会が少ないと考えていらっしゃる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
システム開発・設計開発や3DCADを扱うなどの通常業務の時に英語は必要ないと思っている方が結構いらっしゃるかもしれません。
確かに、ルーティンの中で英語を使う機会は、営業や経営者と比べてみても圧倒的に少ないでしょう。
グローバル化が進むITをはじめとするものづくり
多くのIT企業をはじめとするものづくり企業が、事業の海外展開をすすめグローバル化は企業の成長に必須なものとなっています。
企業内のIT予算は増え、IT活用のものづくりも一般化してきています。
工業をはじめとするものづくり現場にもIoTが訪れ、IT戦略は必要不可欠です。
そんななかで、大切になってくるのが「ITガバナンス」と「ITマネジメント」。情報システム部門が担う分野です。
企業内のITに関する監視・監督をして規律を持たせつつも、生産性の低下を防ぐなどのバランスをとる役目を果たします。
現場で英語は必要ないのか
では、ものづくりの現場に英語は必要ないのでしょうか。決してそんなことはありません。
ものづくりのエンジニアはメーカーとの折衝や、クライアントとのコミュニケーションが必要な場合があります。
部品メーカーに素材の耐候性を尋ねたり、クライアントに納期遅延の説明をする場面に出くわすことは多々あります。
そして、部品メーカーにしろクライアントにしろ、海外の方との接触も可能性として否めません。
また、営業を介さず直接エンジニアに技術的な質問を投げかけてくるクライアントも少なくありません。
むしろ、セットメーカーの多くは海外の取引先が多く、企業によっては売り上げの8割を海外輸出に頼っていると言うところもございます。
最近では東南アジアでのIT技術者・ITエンジニアなどのIT人材や工業技術者のレベルが急速に上がっています。日本の技術者に引けをとらないスキルを格安で提供してくれるのです。
同じようなレベルならコストを抑えたいと考えるのが通常でしょう。英語のスキルをもつなどのプラスアルファを示さなくてはなりません。
そういった背景から、他の技術者との差別化や取引先とのコミュニケーションを図る上で英語はものづくり現場の課題
と言えるでしょう。
まずは中学校レベルの復習をしよう
英語の必要性についてはご理解いただけたかと思いますが、実際にどのように勉強すれば良いのでしょうか。
週に1回の英会話スクールに通って英語を学ぶのもいいですし、時間とお金に余裕があれば短期の語学留学なんてこともできるかもしれません。
しかし、今回お勧めしたいのは中学英語の復習をするということです。
実は中学で習う範囲の英語と専門用語の英単語を押さえておけば、基本的に会話は成り立つのです。
取引先と英語のやり取りをする時に特別難しい表現は必要ありません。それよりも正確に伝えることが重要なのです。
英語に関して、ソフトバンクの孫正義氏の話があります。
孫氏はビジネスで英語を使う際、中学校レベルの英語を使うといいます。単語も文法も中学校レベルを使っていても、世界のトップランナーと普通に会話できるのです。
また、メジャーリーグで活躍していた川﨑宗則選手も中学英語を使っていますが、身振り手振りを交えながら英語を話し、現地で人気がありました。
また、中学校レベルの単語や文法は相手にとっても聞きやすいそうで、かえって難しい表現を使うと齟齬が生まれる可能性もあります。
そういった背景から、中学の英語を徹底しておけば問題はないと言えるでしょう。
英文メールに不可欠なフレーズを覚える
では実際にどのように英語を使っていくか見てみましょう。
もし海外のクライアントとの折衝となると、ほとんどの場合メールでのやりとりとなります。目的ごとの例文をいくつかご紹介しましょう。
- 納期の調整をする場合…
注文番号◯◯の納期につきまして、7月△日から7月□日へ変更させていただきく、何卒お願い申し上げます。 → We are sorry to inform you that we have to move due date for PO No.◯◯ from July △to July □th.
- 見積もりの依頼をする場合…
◯◯のお見積りをいただきたく。 → Kindly send us the quotation for ◯◯.
- 原産地証明の依頼をする場合…
○△□の原産地証明書を発行ください。 → Kindly issue Certificate of Origin for product ○△□.
- 早急にお願いする場合…
なるべく早くお願いいたします。→ Please respond at your earliest convenience.
- 結びの挨拶…
よろしくお願いいたします。→Best regards,
今回は特に頻繁に使われるフレーズをご紹介しましたが、それほど難しい単語を使う必要はありません。
ロジカルに対話できるようにしましょう。
必要最低限、この専門用語は押さえておく
製造業のエンジニアとして海外の取引先と渡り合うのであれば、最低限おさえておくべき単語があります。
今からご紹介する専門用語は海外のクライアントから特に求められるケースが多い単語ですので、覚えておくと良いでしょう。その一部をご紹介します。
品質管理工程表 → QC process chart
日本国内でも「QC工程表」と言われています。どのような工程で製品を作るか示した表です。
仕様書 → specification
カタログ品とは異なる特別仕様の製品に添付されます。交差が厳しい場合などに用いられます。
使用環境条件 → operating ambient conditions
その製品の耐候性や耐熱性などを示すものです。仕様書などに併記されている場合もありますが、単独で依頼する事も多々あります。
品質管理覚書 → quality management memorandum
製品の品質を保証するための書類です。基本取引契約書とセットで用いられるケースが多いです。
原産国証明書 → certificate of origin
輸出入の際、厳しくチェックされるのがこの原産国証明書です。海外に送る際に必ず必要となります。万が一、虚偽の記載があった場合は取引停止となる可能性もあるので注意が必要です。
送り状 → invoice
原産国証明書と同じく、輸出の際税関を通るために必ず必要となる書類です。
自信がついたら資格を取ってみよう
中学英語を中心に勉強を重ねて、実務で使えるようになってきたら、英語の資格を取ってみてはいかがでしょうか。
ビジネスマンが使う英語の資格としてTOEICを考える方も多いと思います。TOEICももちろん指標として有益ですが、特にお勧めしたいのが工業英検です。
公益社団法人日本工業英語協会が行う文部科学省後援の英語検定で、協会の発足以来約一万人の方が合格認定を受けている検定です。
ものづくりの現場に即した英語検定なので、実用的な資格と言えるでしょう。
また、工業英検は技術的な英語を覚えておけばいいということではなく、いかに聞き手に対してわかりやすく説明できるかという点も評価されます。
実際に契約書の書き方などが参考になるため、ものづくり以外の業種の方も多数受けているそうです。
工業英検は4級から1級まで用意されていて、自分の能力にあったレベルで受験が可能です。
受験対策として、各地で工業英検のセミナーが随時開催されています。
積極的に参加して受講仲間を見つけ、情報交換しながら勉強していくといいでしょう。
英語の勉強では興味と持続が大事
英語の勉強は持続することが大事です。
英語を使わなくなる期間が長くなると、すぐ忘れてしまうのが英語の特徴でもあります。
勉強を続けていないとすぐに忘れますので、日々の習慣として英語学習を取り入れてみてはいかがでしょうか。