変わったものを作りたいあなたには、伝統工芸職人への就職がおすすめ
焼き物、漆器、木工細工、織物、日本文化を彩るさまざまな伝統工芸品は、世界に誇る職人の技術をもって生み出されています。
もちろん作り手がいなければ、新しい伝統工芸品が増えることはなく、利用されることはありません。
製造業の中でも特殊な伝統工芸品を作る仕事には、ものづくりの魅力がたっぷりと隠れています。
今回はそんな伝統工芸品づくりの魅力をご紹介します。
伝統工芸職人に託された使命とは?
古くから伝わる日本伝統の工芸品。
それを後世に伝えていくためには伝統工芸職人が必要です。
つまり文化の継承が大きな使命の一つではないでしょうか。
そんな使命の下に働く伝統工芸職人は、社会の役に立っているという満足感を得られます。
自分のやっていることが、日本という国の文化を下支えしているんだという充足感も感じられるでしょう。
他の職業では習得できない特別な技術を手に入れられるという点でも、大きな意味をもつ仕事です。
東京都荒川区は江戸時代から受け継がれてきた伝統技術を持つ職人が多く住む地区です。
技術を持つ職人を区では無形文化財保持者として登録し、また、高い技術を持ち、後進の育成にも注力している職人を「荒川マイスター」と呼び表彰しています。
こういった制度を設けて伝統工芸を盛り上げていくのも、後生に技術を残すために有効な施策のひとつでしょう。
荒川区で製造される伝統工芸品には「江戸手描提灯」などがあります。
他にも中野区では「東京無地染」、江戸川区では「江戸衣裳着人形」と都内だけでみてもさまざまな伝統工芸品が製造されています。
全国でみると、三重県鈴鹿市の伊勢型紙、岡山県備前市の備前焼、石川県輪島市の輪島塗など有名なものから、あまり知られていないものまで多々あります。
その土地ならではの伝統工芸品を残していくこと。
その魅力に気づいてもらえる取り組みを当事者だけではなく、その土地に住む多くの人がサポーターとなれるかどうかが、伝統工芸品を守れるかどうかの大切なキーであることは確かなことでしょう。
伝統工芸を守るには大変なこともたくさん
伝統工芸職人というと、やはり定着したイメージは「手作業」「職人技」ですよね。
つまり効率面で考えると、伝統工芸品づくりは非効率なのです。
そのため全てを利益重視の考え方で捉えられません。
今は効率が重視される社会です。
そんな中で非効率でこそ価値のある伝統工芸を扱う企業では、なかなか伝統工芸職人の新規継承者が見つからなかったり、採算が取れずに潰れてしまったりするところもあります。
職人にとっては、なかなか見合った給料がもらえず、せっかく後継者育成をしようとしても経済的な理由から後継者候補が挫折してしまうことが多いのも事実です。
こういった背景が後継者不足を生み出しています。
オンリーワンの仕事なら伝統工芸職人
伝統工芸品の職人は、技能を求められ、経済的にも恵まれているとはいえません。
しかし伝統工芸品は勿論、伝統工芸品職人というその人自体がとても希少で、価値をもちます。
「オンリーワン」をキーワードに仕事を探しているなら、伝統工芸職人の道を目指すのもひとつの手です。
伝統工芸職人になるためには、まずは弟子入り修業というイメージがありますが、後継者育成支援として都道府県が運営する養成施設で技術を学ぶこともできます。
また、職人というと「作る」イメージがありますが、伝統工芸品を「修復する」のも職人の大切な仕事です。
例えば掛け軸の裏に補強として貼られていた「裏紙」を剥がし、本紙と呼ばれる絵が描かれている紙を洗浄するのも職人としての技術が必要とされます。
同じ伝統工芸品でもさまざまあるように、刷師、塗師、鍛冶師、彫金師、人形師などさまざまな職人がいます。
現在はそれぞれの職人の詳しい仕事情報が書かれている記事をインターネットで見つけることができます。
さらに、求人情報や募集要項、就活情報を探すこともそれほど難しいことではありません。
伝統工芸というとハードルが高いイメージがありますが、現在は良い意味で下がっているともいえるでしょう。
「自分だからこそできる」という仕事をしたいという方は、まずは職人技を間近で見てみてはいかがでしょうか。