ダッシュボードとは?使いやすい分析ツールを作成する際のポイント
「ダッシュボード」という言葉をご存知でしょうか。
この言葉には多くの意味があります。
特にIT業界において使用される場合は、“必要な情報・データをひと目で理解することのできる”画面やソフトウェアのことです。
ダッシュボードはグラフや表を用いて、項目ごとにわかりやすくレイアウトします。
必要な情報・データがすぐに理解できるように配置することが肝心です。
どのように作成するかは非常に頭を悩ませるところですが、ダッシュボードは問題解決を左右する大事な要素ですので、手を抜くわけにはいきません。
この記事では、分析ツール「ダッシュボード」を作成するポイントをご紹介します。
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車とは違う、もうひとつの「ダッシュボード」
一般的に「ダッシュボード」という言葉を聞くと、自動車の運転席や助手席の正面にあるボード部分のことを想像する人は少なくありません。
グローブボックスという小物入れがあるだけでなく、ガソリンの残量や走っている速度がわかるダッシュボードは、必要な情報・データをひと目で理解することができます。
車には欠かせない機能のひとつです。
分析ツールにも、車のダッシュボードという言葉が指す意味合いと似たダッシュボードという言葉が存在します。
では、分析ツールにおけるダッシュボードはどのような情報・データが記してあって、どのような際に必要なのでしょうか。
まず「BI」とは?
「BI」とは、「Business Inteligence」の略であり、ビジネスにおけるさまざまな情報を分析し、経営に役立てることを意味する言葉です。
精度の高い分析を行うことはビジネスを有利に進めるには必須となります。
その際に使われる分析ツールを、BIツールと呼びます。
BIの4つのポイント
それでは、BIに肝心な4つのポイントを見ていきます。
BIを段階的に行うことにより、詳細な分析を行うことが可能です。
レポーティング
「レポーティング」とは、収集したデータを必要なだけ抽出し分析することを指します。
販売業の場合、売上を把握するだけではなく、顧客別売上や商品別売上といった情報収集が必要です。
レポーティングを行うためには、日々どのようなデータを収集するかが肝になります。
販売管理システムなどをうまく利用する必要があるでしょう。
ダッシュボード
「ダッシュボード」はレポーティングで分析したデータをグラフィカルに表示し、さらなる詳細データを追求するための機能です。
ダッシュボードを利用することで各種数値を視覚的に把握することができ、よりプロジェクトや組織、広告効果などの問題点を見つけやすくなるでしょう。
OLAP
「OLAP」とは、OnLine Analytical Processingの略。
データをさまざまな角度から分析して問題の要点を探ることを指します。
問題が発生しているところには、必ずと言っていいほど原因が存在するもの。
その原因を追究し、問題解決につなげる作業になります。
シミュレーション
「シミュレーション」は上述したフェーズで得られた結果から将来予測を行い、それにそって仮説を立て検証することです。
正しい仮説が得られれば問題の解決は容易になりますが、そうでない場合は再度問題を分析する必要があるでしょう。
問題解決には欠かせないツール「ダッシュボード」
あまり知られていませんが、「ダッシュボード」は国の行政機関や大手企業などでも利用されている問題解決のためのツールです。
ここではダッシュボードの歴史と、どのように利用されているかについてをご紹介します。
ダッシュボードのはじまり
「ダッシュボード」という言葉は、もともとソリやボートに取り付けられている泥除けからはじまりました。
泥や波をよけ、搭乗者の身を守るためのものをダッシュボードと呼ぶため、自動車などの計器類をまとめた領域をダッシュボードと呼ぶようになったのです。
総務省統計局が提供する「統計ダッシュボード」
総務省統計局は、2017年5月に「統計ダッシュボード」をリリースしました。
これは各府省が保有する数多くのデータが、17の分野に整理されて記録されているものです。
統計ダッシュボードを利用することで、一般ユーザーでもさまざまなデータを活用することができます。
たとえば、現在の人口のボリュームゾーンを知ることができたり、その推移を見ることも可能です。
日本の統計を知ることができる「e-Stat」
「e-Stat」とは、同じく統計局によって提供されている政府統計ポータルサイトの名称です。
e-Statを利用することでさまざまな政府統計データにアクセスすることができ、利用者は必要に応じてダウンロードして見やすく加工することができます。
「e-Stat」のページには多くのデータが存在しますが、一例としては、性別や地域、年齢による人口や世帯の家計状況、お金の使い方などが挙げられます。
これらはマーケティングを行う時や、プレゼン資料を作成する際などに活用することができるでしょう。
ダッシュボード作成のメリット
では、分析ツールダッシュボードを作成すると具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、ダッシュボードの作成におけるメリットを見ていきたいと思います。
データを集約し状況を把握できる
ダッシュボードを制作することにより、データを集約して状況を把握することができます。
ひとつのウィンドウに自分が必要とする情報を見やすく加工して置いておくことにより、ツールにアクセスしたらひと目で必要な情報を取得することができるのです。
より細かいデータがわかる
ダッシュボードを作成することにより、さらに細かいデータがわかるようになります。
大まかなデータはダッシュボードのトップ画面に置いておくのが通常ですが、そこからさらにドリルダウンする機能をつけることにより、少ないクリックで詳細情報に飛ぶことができるのです。
レポートにしやすい
ダッシュボードはグラフィカルな表示を行うのが基本です。
つまり、そのままレポートとして提出しやすいのも特徴のひとつ。
数値のみを羅列するのではないダッシュボードは、見やすくレポートにも応用可能です。
ダッシュボード作成のポイント
それでは、ダッシュボードを作成する際には、いったいどのような点に気をつければいいのでしょうか。
ここでは、作成のポイントをご紹介します。
目的の決定
ダッシュボードに限らず、なにらかのツールを開発する際には必ず目的を明確にしておかなければなりません。
「誰が」「どのような目的で」ツールを使うかを事前にしっかりと決めておかないと、ツールの仕様が曖昧になってしまいます。
必要項目の決定
目的を明確にすることができたら、次は必要項目を決定します。
ツールにはいったいどのような機能や指標が必要か、そしてそれらをどのように分類するかを決定しなければならなりません。
場合によっては、更新情報などのデータを表示する必要もあります。
必要なデータ有無
必要項目を決定したら、それをどのデータから引っ張ってくるかを考えます。
すでに収集しているデータを活用できればいいのですが、そうでない場合は新たにデータを収集しなければならないケースもあるかもしれません。
目的に適したグラフの使用
目的に応じたグラフの使用もダッシュボードには欠かせません。
ダッシュボードの利点は、ひと目で必要な情報が把握できるところです。
目的に適したグラフィカルな表示を行うことで、より性能の高いダッシュボードにつながります。
おすすめの分析ツール
それでは、次におすすめの分析ツールを紹介します。
いずれも使い勝手のいいツールになりますので、うまく利用すれば大きな効果を上げることができるはずです。
「Google Data Studio」
「Google Data Studio」は、Googleによって提供されている各種分析ツールです。
利用は無料で、Googleが提供しているさまざまなサービスと連携することができ、簡単に見やすくグラフィカルなダッシュボードを作成することができます。
「Power BI」
「Power BIサービス」は、ピン留めをするだけで簡単にダッシュボードを作成することのできるツールです。
マイクロソフト社によって開発されており、機能制限付きであれば無料で使用することができます。
注意として、パッケージ版ではなくオンライン版でないとダッシュボード機能が使えないという点が挙げられます。
「QlickView」
「QlickView」を使うことで、さまざまなデータが意味する隠れた価値を見出すことができるでしょう。
「QlickView」はオプションが豊富で自社に合ったカスタマイズを行えるのが、その特徴のひとつです。
データとアプリがセットでなっているので、各々でデータに誤差があるようなことはなく一貫性があります。
疑問「Excelは分析ツールとして機能するのか?」
Excelをまったく利用していない企業は少ないかと思います。
では、Excelを分析ツールとして使うことは可能なのでしょうか。
Excelの使い方によっては、データ分析を行うことも可能です。
しかし、その性質上あまり大量のデータを扱うことには長けていません。
少量のデータを簡易的に見やすく表示するにとどまるでしょう。
今回紹介したようなBIツールであれば、大きなデータも難なく扱えますし、容易に見やすく加工することも可能です。
また、Excelと連携可能なBIツールもありますので、そういったものを使えばExcelで収集したデータも無駄にはならないでしょう。
データの可視化はビジネスにおいて重要
データを可視化することによるメリットは、必要な情報を瞬時に把握するという点が挙げられます。
しかし、データを把握するだけではビジネスは動きません。
本当の目的はそのデータを活かして経営判断を行うということです。
そのためのBIツールであり、そのためのダッシュボードです。
各種データを見やすく表示することにより、今まで気づかなかった問題点が浮き彫りになり、その対処法を検討することができます。
データを視覚化することは、ビジネスにおいて大きな意味を持ちます。
ダッシュボードはある種、経営管理システムの一種であるともいえるのではないでしょうか。
- BIとはビジネスにおけるさまざま情報を収集、分析し、経営に役立てること
- 「ダッシュボード」とは各種数値を視覚的に把握しやすくするもの
- 分析ツールとは、大量のデータを見やすく加工してくれるツール
- データを可視化することにより、ビジネス上の判断をスピーディーに行える