行動から算出されるYahoo!ユーザー信用度「Yahoo!スコア」の利用方法
2019年7月1日より外部企業への提供を開始した、「Yahoo!スコア」をご存知でしょうか。
この「Yahoo!スコア」をきっかけに、今後、様々な日本企業がスコアリングを実施する可能性があります。
その場合、インターネットを介した個人の行動が大きな意味を持つようになるかもしれません。
この記事では今後大きな影響力を持つと予測される「Yahoo!スコア」の特徴と、信用スコアを用いた未来について解説します。
Contents [hide]
そもそも信用スコアとは
信用スコアとは、ユーザーの様々な個人データや情報などを収集し、独自のアルゴリズムとAI分析を用いてスコアリングを実施。
これまで抽象的だった個人の信用力を数値化したものとされています。
わかりやすく言えば、「この人はどれくらい信用できるか」という抽象的な部分をAIが点数をつけて可視化するというイメージです。
中国が2014年に社会信用システム構築計画綱要を発表したことが信用スコアのはじまりです。
中国企業であるアリババグループが2015年にサービスインした「芝麻信用」が信用スコアの先駆けだといわれています。
「芝麻信用」はサービスインから数年で中国国内に普及し、今や国境を越え、世界展開をするまでに成長しています。
導き出されたユーザーのスコアは
- 進学
- 就職
- 結婚
などにも影響を与えるといわれています。
2017年から日本にも信用スコアの波が
実はYahoo!スコア以前に、日本企業の間に信用スコアの波は訪れていました。
2017年にはすでに、みずほ銀行とソフトバンクが「J.Score」という信用スコアを開始しています。
今では、LINEも「LINE Score(ラインスコア)」を実施しています。
アプリ内で質問に答えるだけでスコアが算出でき、スコアに応じてLINE Pay(ラインペイ)の還元率が上がるといったサービスです。
LINE ScoreはLINEユーザーに評価され、利用者が増えているようです。
名乗りを上げていたYahoo! JAPANが2019年に信用スコアを開始
「お客様にお得で便利な体験を提供するサービス」というコンセプトのもと、Yahoo! JAPANが開始したのが「Yahoo!スコア(ヤフースコア)」です。
日本ではまだ馴染みの薄い信用スコアでしたが、Yahoo! JAPANが採用したことにより、SNS上などで話題になりました。
それでは、Yahoo!スコアのサービス概要を解説していきます。
Yahoo!ユーザーの信用度を算出する
Yahoo!スコアとは、Yahoo! JAPAN IDユーザーの信用度をビッグデータをもとに算出、スコア化したものです。
算出方法は?
前述したアリババグループの「芝麻信用」に関しては
- 個人特性
- 支払い能力
- 返済履歴
- 人脈
- 素行
といった5つの分野を総合的に数値化して算出しているようです。
対してYahoo!スコアは、Yahoo! JAPAN IDを持つユーザーの登録情報やサービスの利用度合い、利用時の行動など以下4カテゴリーに基づいて算出されます。
【1】本人確認
まずは本人確認情報です。
Yahoo!スコアの算出に影響するのは以下の要素です。
- Yahoo! JAPAN IDに紐づく登録情報(氏名・住所・メールアドレス・電話番号等の入力率)
- 有効なメールアドレス・電話番号か
- Yahoo! JAPANのサービス利用時に、本人確認・住所確認をおこなっているか
※ 本人確認・住所確認には運転免許証やパスポート等の本人確認資料の提示が必須
本人確認情報の正確性と具体性が重視され、多くの項目をカバーしているほど、スコアが高くなると考えてよいでしょう。
【2】信用行動
下記のような行動もスコアの判断材料となります。
- Yahoo! JAPANへの支払い滞納の有無(回数)
- 利用規約やガイドライン違反の有無(回数)
- 宿泊施設・飲食店予約のキャンセル率・キャンセル連絡の有無
- ショッピングでのレビュー回数
- ヤフオク!での取引実績と評価
- Yahoo!知恵袋での活躍度合い
ルール・マナー違反をしていないか、他ユーザーに貢献する行動をとっているかが精査されているようです。
信用行動は、行動をもとに信用度が算出されるというYahoo!スコアの特徴をもっとも表したカテゴリーといえるでしょう。
【3】消費行動
下記サービスの利用金額等もスコアに関与します。
- Eコマースサービス
- Yahooウォレット
- Yahoo! JAPANカード 他
上記における利用状況などがスコアの加算に関わると予想されます。
【4】Yahoo! JAPANサービス利用
Yahoo! JAPANが提供するサービスの利用頻度等もスコアに関わります。
プライバシー保護対策は?
Yahoo!スコアの算出には個人データ保護の観点で「通信の秘密」に該当するメール内容等の情報や、性別・職業等の不当な差別になりかねない情報は使用されません。
Yahoo! JAPAN利用規約(プライバシーポリシーを含む)に基づき、その範囲内でおこなわれます。
また、スコアは利用者の同意なくパートナー企業に提供されることはありません。
同意後にスコアの提供を停止することも可能です。
このようにプライバシー保護・個人情報保護の対策もおこなわれています。
Yahoo!スコアの利用で得られるメリット
次にYahoo!スコアの利用で得られるメリットについて解説します。
どんなメリットがある?
Yahoo!スコアは、スコアに応じてお得で便利な体験を提供するサービスといわれています。
お得で便利な体験には、
- レストランやコンサートの先行予約
- 面倒な手続きが簡単になる
- 並ばずに入場できる
- お得な情報が手に入る
- お買い物でさまざまな特典がもらえる
などが含まれるようですが、まだ具体的なサービス内容は言及されてません。
また、Yahoo! JAPANだけではなく、ユーザーがスコアの提供に同意したパートナー企業からもメリットを受けられることにも言及しています。
Yahoo!スコアの利用状況確認・提供方法
ここからはYahoo!スコアの利用状況の確認方法とスコアの提供方法について具体的に解説します。
Yahoo!スコアの利用状況の確認方法
自身のYahoo!スコアの利用状況を確認する際は、こちらのページ(https://info-score.yahoo.co.jp/promotion/user/)に記載されている「Yahoo!スコアの作成・利用」のテキストリンクから以下のページに遷移します。
※ 「Yahoo!スコアの作成・利用」PCページのキャプチャ
画像赤枠内と同じ状態なら「Yahoo!スコアの作成・利用」がオンになっています。
スコアが自動的に作成され、Yahoo! JAPANのサービスに利用されている状況です。
デフォルトはオンです。
Yahoo!スコアを作成・利用しない場合は
Yahoo!スコアの作成・利用を止める場合は、赤枠内の白丸を左に移動させましょう。
これでYahoo!スコアは算出されなくなり、Yahoo! JAPANのサービスでのスコア利用も数日以内で停止します。
パートナー企業へのYahoo!スコアの提供方法
ユーザーの同意なしにパートナー企業にYahoo!スコアが提供されることはありません。
Yahoo! JAPAN ID連携をパートナー企業のサービスとおこなう際に表示される同意画面で、ユーザーが同意した場合のみスコアが提供されます。
※ HELLO CYCLINGの同意画面のキャプチャ(PC)
と記載があります。
このYahoo!スコアの利用目的は他パートナー企業も共通で、目的外利用は禁止されているので安心です。
「同意してはじめる」をクリックすると、パートナー企業へYahoo!スコアが提供されるようになります。
パートナー企業のYahoo!スコア利用状況確認
※ 「Yahoo!スコアの作成・利用」PCページのキャプチャ(2)
パートナー企業ごとのYahoo!スコアの利用状況確認も可能です。
「Yahoo!スコアの作成・利用」ページの画像赤枠内「各アプリケーションでのデータ利用」をクリックします。
すると、Yahoo! JAPAN IDに紐づく外部アプリケーションの一覧ページに飛びます。
※ 「各アプリケーションでのデータ利用」PCページのキャプチャ
Yahoo!スコアの提供に同意している場合は、画像赤枠内のようにサービス名の横に「Yahoo!スコア提供」のアイコンが表示されています。
パートナー企業のYahoo!スコア利用をオフにする
Yahoo!スコアの利用設定はパートナー企業別でオフにできます。
たとえば、「A社のサービスは今もよく利用するけれど、B社はしばらく利用予定がないからスコアの提供を停止したい」というケースです。
その場合は先ほどの設定画面より、該当サービス横の「無効にする」を押し、「決定」すれば完了です。
一度提供に同意しても後で利用停止にすることも可能なので、必要外での情報提供に抵抗がある人も安心でしょう。
パートナー企業に共有されていた利用データは停止から1か月以内に企業側で削除することが義務付けられています。
Yahoo!スコアの開示手続き方法
Yahoo!スコアの確認は開示手続きをおこなうことで可能になります。
https://about.yahoo.co.jp/docs/info/terms/scoredisclosure.html
上記ページ内の「お問い合わせフォーム」から開示希望の旨を連絡しましょう。
開示可と判定されると、手続き方法がメール配信されます。
その方法に沿って、個人情報保護法のもと下記を郵送します。
- 本人確認書類(運転免許証・パスポート・健康保険証のいずれかのコピーもしくは住民票の写し)
- Yahoo!スコア開示請求申請書
するとYahoo!スコアを書面で受け取れます。
将来的にはWebサイト上で簡単にスコアが確認できる機能が実装される予定です。
Yahoo!スコアの利用で受けられるメリットは増える見通し
Yahoo!スコアは開始して間もないサービスです。
今後、パートナー企業の幅が広がればユーザーが得られるメリットも現状よりもさらに増えるでしょう。
Yahoo!スコアはただ単に企業へ情報提供するものではありません。
企業向けのメリットのみではなく、情報を提供するユーザー向けのメリットも用意されたスコアサービスは今後も増えることが予測されます。
インターネットサービスを上手に利用していつものライフスタイルをより良いものにしましょう。
信用スコアにおける世界および国内の今後
海外では
- 中国
- アメリカ
- ヨーロッパ
- インド
- アフリカ
といった国々が信用スコアを利用した様々なサービスを企画・開始しています。
たとえば、ある一定以上のスコアを持つ人のみが商品やサービスを1週間お試しで使用。
その商品やサービスをどうするのか決定できるといった特典を付与しています。
世界は信用スコアが高いほど優遇されやすい社会に近づこうとしています。
信用スコアはユーザー、事業者、社会にメリットがあるように展開され、世界に対して大きな影響を与えようとしています。
個人情報などは慎重に扱わざるを得ませんが、日本国内でもそう遠くない未来に国民ひとりひとりがスコアを持つ社会が訪れるかもしれません。
日本国内でも、Yahoo!スコアのような信用スコアを利用したプラットフォームが次々と生まれることが予測されます。
Yahoo!スコアをはじめとする信用スコアサービスに、引き続き注目していきましょう。
- Yahoo!スコアはユーザーの信用度を行動等に基づき算出したもの
- ユーザーの同意なくパートナー企業にスコアは提供されない
- スコアによって企業から特典やサービスが受けられる
- スコアはパートナー企業ごとに利用設定をオフにできる
- パートナー企業は今後増える予定