1. パーソルクロステクノロジーのエンジニア派遣
  2. 【はたラボ】派遣のニュース・仕事情報
  3. IT/Web派遣コラム
  4. ジェネレーティブAI(生成系AI)とは?できることとリスク・企業の活用事例

ジェネレーティブAI(生成系AI)とは?できることとリスク・企業の活用事例

IT/Web派遣コラム この記事は約 12 分で読めます。

ジェネレーティブAI(生成系AI)は、これまでのAIのあり方を一変させるほどのインパクトをもたらすイノベーションとして、世界規模でバズを巻き起こしている機械学習手法です。

従来の認識型AIと異なる最大の特徴は、データ学習を通じて創造的なアウトプットを生み出せることにあります。一部の業界では既に実用化されており、プロダクト開発期間の大幅な短縮や、劇的なコスト削減の実現につながっています。

本記事では、ジェネレーティブAIの概要や具体的なツール、活用範囲などに迫るとともに、メリットと表裏一体となるリスクについても考察していきます。

ジェネレーティブAIとは

英国Gartner社が発表した「戦略的テクノロジのトップ・トレンド」2022年版で取り上げられ、一気に注目度が高まったトレンドキーワード「ジェネレーティブAI」は、創造的なアウトプットを生み出す新しい機械学習手法です。

既存のAIとの大きな違いは、アウトプットを「生成」「創造」できる点にあります。

従来型のAIは、データを大量に読み込んで特徴や傾向を抽出し、予測や認識を行うプロセスが主流でした。一方、ジェネレーティブAIは、学んだデータから新しいクリエイティブの生成までに対応します。予測や認識を超えて、「自ら」創造できるのです。

ジェネレーティブAIは、すでに研究段階から実用段階のフェーズへと移行しています。一般人でも利用できるようにオープンソースで提供されているプロダクトも複数登場し、アーリーアダプターのみならずマジョリティ層も巻き込む一大トレンドになっているのです。

ジェネレーティブAIが活用された代表的なツールには、テキストを生成できる「ChatGPT」、画像を生成できる「Stable Diffusion」「Midjourney」などがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

ジェネレーティブAIが活用されたツール

2022年7月、テキストから画像を生成するAIプロダクト「Midjourney」のオープンベータ版が公開され、大きな衝撃をもって迎えられました。続いて2022年8月には画像生成AIを活用したツール「Stable Diffusion」が公開され、AIによる画像生成は、もはや当たり前のものとして急速に浸透しつつあります。

そしてジェネレーティブAIを活用したチャットボット「ChatGPT」は、2022年の11月末のリリース後わずか2か月でユーザーが1億人に到達するなど、世界的なバズを巻き起こしています。

ChatGPT

ChatGPTは、2015年に設立されたAI研究所「OpenAI」が開発した自然言語処理モデルで、簡単にいうなら「AI技術を活用した対話型のサービス」と解釈できます。

ジェネレーティブAIが活用されたプロダクトであり、テキストの要約や翻訳はもちろん、表計算ソフトの関数やプログラミング言語の記述、小説や脚本の制作など、すでに多様な用途に活躍の場を広げています。

なかでも特徴的なのは、チャットを介して対話型にて自然なコミュニケーションを交わせる点です。相手や場面に即した表現を用い、文脈を読み取って先回りした受け答えなどにも対応します。

一方、正確性に欠ける回答が返されることもあり、業務レベルでの活用においてはファクトチェックの工程は不可欠にはなりますが、広範囲にわたる初期段階の情報収集や、アイデアのブレインストーミングなどにはすでに運用できそうです。

既存のAIでは、あらかじめプログラムされたルールに基づいてデータが生成されていたため、成果物も予測可能で単調なものになりがちでした。しかし、規則性に縛られないChatGPTでは、小説や脚本といったクリエイティブなアウトプットが可能。ジェネレーティブAIの活用で、新しい多様なデータを作成できることを証明する事例です。

Stable Diffusion

Stable Diffusionは、AIスタートアップであるStability AI社が開発した画像生成ツールです。ジェネレーティブAIを用いて、入力されたテキストに沿った画像の生成に対応します。

オープンソースで提供されており、自分で画像を作成するスキルがない人でもテキストベースでさまざまな画像を生み出せることから、デザイン業界を中心に大きな衝撃を与えました。

リアルで写実的な画像生成ができるほか、インフォグラフィックにも対応。ジェネレーティブAIは、人の創造性を補完しつつ、あらゆる画像表現を可能にする技術になりつつあります。

Midjourney

Midjourneyもすでに世界的に認知された画像生成ツールです。Stable Diffusionと同様に、ジェネレーティブAIを活用してテキストから画像を生成できるクリエイティビティによって、AIによる画像生成ブームの火付け役となりました。

Stable Diffusionとの違いは、より芸術的な加工が施される傾向です。ジェネレーティブAIは、人の特権と思われてきた芸術性の領域にまで踏み込んでいます。

ジェネレーティブAIにできること

ジェネレーティブAIの対応領域は極めて広範であり、そのポテンシャルの全体像は現時点では計り知れません。ここでは以下の点について取り上げていきますが、明日にでも革新的なイノベーションが新たに勃興する期待感を有しています。

  • データがない世界で予測をたてる
  • 人には出せないデザイン・設計案を生成する
  • 高精度なパーソナライゼーションを実現する
  • 設計やアウトプットに割かれるコストの大幅削減

データがない世界で予測をたてる

従来のAIは、大量に読み込んだ学習データから特徴を抽出して傾向を導き出すものでした。

しかし、人が経験したことのない領域や珍しい事象については、十分なデータを集めること自体が困難です。また、データを集めることは不可能でなくとも、実証実験そのものに莫大なコストがかかる事象もあるでしょう。

ジェネレーティブAIは、新規の膨大な学習データを前提とせずに、既存のデータを応用しながら予測を立て、アウトプットを導き出します。過去の類似した経験から予測を立て、新しい事象に対応する方策を見つけられるAIは、人にとっても心強いパートナーになりえるでしょう。

人には生み出せないデザイン・設計案を生成する

卓越したクリエイティビティはジェネレーティブAIの大きな特徴です。特にデザインや設計案においてはその強みを大いに発揮する傾向が顕著に表れています。

人がデザインや設計案を制作するときには、気づかないうちに過去の経験則から大きな影響が介入しているケースは少なくありません。経験則は安定的なアウトプットの土台ともなる有効な方策ではありますが、それが先入観となって固定化されると、独創的な発想を阻害する要因となってしまうこともありえます。

一方、ジェネレーティブAIは、設定された条件下で考えられうる全てのデザインや設計案を制作できます。常に新しい発想を生み出すジェネレーティブAIは、人の創造性を刺激する存在となるでしょう。

高精度なパーソナライゼーションを実現する

商品やサービスを通じた顧客体験を個人に最適化するパーソナライゼーションも、ジェネレーティブAIによってそのレベル感が大幅に引き上げられることが期待されています。

現在でも、個人に最適化されたWEB広告を表示する技術は広く運用されていますが、その広告の「中身」まではパーソナライズされていません。ターゲット層として認定された人々には、同一内容の広告が表示される仕様です。

しかし、ジェネレーティブAIを活用すれば、WEBサイトや商品、説明文などを個人に合わせて自動的にカスタマイズしたクリエイティブの表示も可能と見られています。顧客体験や消費者体験の満足度が向上し、商品やサービスの購買意欲を強力に推進するでしょう。

設計やアウトプットに割かれるコストの大幅削減

ジェネレーティブAIを活用すれば、設計に割かれる時間や労力といったコストも劇的に軽減できます。

これまでは、プロダクトを開発するにあたってはあらゆる条件を満たす設計を考え、検証を進める過程に大きな時間と労力が割かれていました。ひとつの条件が変更になるだけで、すべての設計をやり直すというケースも珍しくありません。

一方、ジェネレーティブAIは、指定の条件を満たす設計を迅速に提示できるだけでなく、条件の変更があった際にも代替案を即座に用意できます。リソースや時間といったコストをかけない効率的な設計により、リソースの配分や商品ライフサイクル改修などにイノベーティブな変化がもたらされるでしょう。

ジェネレーティブAIが抱えるリスク

ジェネレーティブAIは極大のポテンシャルを有する魅力的な技術であることは間違いありません。その一方で、以下のようなリスクがあることも念頭におかなければならないでしょう。

  • 事実と異なるフェイクコンテンツが生成・拡散される
  • AIを活用する側のリテラシー向上が求められる

フェイクコンテンツの生成は、大量のデータ学習を基盤にクリエイティブを創作する能力と表裏一体です。ジェネレーティブAIを使う側のリテラシー向上が求められます。

事実と異なるフェイクコンテンツが生成・拡散される

学習データからクリエイティブなコンテンツを生成できることは、ジェネレーティブAIの最大の特徴です。

一方で、ジェネレーティブAIが生成するコンテンツの真偽は保証されず、大量のフェイクコンテンツが生成されてしまう可能性は否定できません。それは個人レベルでの認識誤認にとどまらず、詐欺や不正、なりすまし、フェイクニュースの拡散等にまで発展するリスクをはらみます。

なかでも懸念されているのが、ディープフェイクへの悪用です。ディープフェイクとは、ディープラーニングを活用して画像や動画を部分的に入れ替える技術のこと。この技術を使用すれば、影響力が高い人物の発言や言動を意図的に捏造して発信することも可能となり、大きな混乱を招きかねません。

ジェネレーティブAIが生成するコンテンツの真偽は、人によるファクトチェック体制を整えることが現時点では必須です。ただし、AIの技術は年々高度化しており、コンテンツのチェックを人の目で担うこと自体が難しくなってくるかもしれません。

AIを活用する側のリテラシー向上が求められる

ジェネレーティブAIがフェイクコンテンツの生成などによって悪用されるリスクがあること、人がコンテンツの真偽を把握できなくなる可能性があることを鑑みると、活用には使用者の倫理観やリテラシーの向上が求められます。

ぞれぞれの企業や個人が、潜在的なリスクへの対策を進め、自ら信用を高めていく必要があるでしょう。

ジェネレーティブAIの活用事例

メリットとリスクはコインの裏表であるジェネレーティブAIですが、すでに事業レベルで有効に活用されている例も見られます。ここでは、実際の活用事例を紹介していきます。

医薬品設計のAI活用事例

医薬品の創薬から市場投入までにかかるコストのうち、約3分の1を創薬コストが占めているというデータがあります。安全性や毒性のパラメータを考慮した化合物の最適化には、膨大な実験が必要です。さらに臨床試験や承認申請などを繰り返す必要があるため、創薬プロセスに要する期間は長期間におよんでいました。

しかしジェネレーティブAIの活用で、医薬品の設計を数ヶ月で完了させ、創薬にかかる期間とコストを大幅に削減できた事例があります。研究段階からあらゆるパラメータを検討できるようになり、その後臨床試験での成功率も上がったことが背景となっています。

材料科学のAI活用事例

従来、材料の発見は研究室内での偶然の産物であることがほとんどでした。しかし、ジェネレーティブAIを活用すれば、特定の有用な特性に照準を合わせて新たな材料を生み出すことが可能になります。

「逆設計」と呼ばれるこのプロセスは、目標とする特性を定義し、その特性を持つ可能性が高い材料を見つけるという流れで、従来よりも正確に材料を発見できます。

温度変化や錆に強い材料や、導電性や磁力が高い材料、腐食しにくい材料などを発見できれば、モビリティやエネルギー、宇宙開発にまで大きな革新をもたらすことが期待されます。

チップ設計のAI活用事例

ジェネレーティブAIは、半導体チップの設計コストの削減にも活用されています。

半導体チップの設計においては、論理設計をチップ上の部品配置に反映させるフロアプランの作成が重要ですが、ジェネレーティブAIの活用でそのプロセスは最適化されます。人が数週間かけて行う作業を数時間にまで短縮でき、時間と費用を抑えた製品開発が可能となりました。

部品製造のAI活用事例

ジェネレーティブAIを用いて、部品製造も効率化されつつあります。

従来の部品製造は、要件定義と設計の繰り返しで時間がかかっていましたが、ジェネレーティブAIを使えば、性能や材料、製造方法などの制約の指定に合わせた設計が可能になります。要件を全て満たした部品設計を、正確かつ高速に行えるのです。

製造やモビリティ、航空宇宙などの業界は、部品製造のスピードを質が向上することにより、今後さらに発展する可能性が高まっています。

まとめ
  • ジェネレーティブAIは,データ学習を通じて創造的なアウトプットを生み出せるイノベーティブな機械学習手法
  • 英国Gartner社の「戦略的テクノロジのトップ・トレンド」2022年版で取り上げられ一気に注目度が高まり、、世界規模でバズを巻き起こしている
  • すでに研究段階から実用段階のフェーズへと移行している
  • テキストを生成できる「ChatGPT」、画像を生成できる「Midjourney」など、一般人も巻き込んだトレンドとなるプロダクトも登場している
  • 独創的なデザイン生成やクリエイティブレベルでのパーソナライゼーションの実現、大幅なコスト削減など、対応領域は極めて広範
  • 一方、事実ではないコンテンツの生成やディープフェイクへの悪用などのリスクも懸念されており、AIを活用する側のリテラシー向上が求められる

 

 

\ SNSでシェアしよう! /

【はたラボ】派遣のニュース・仕事情報・業界イロハ|派遣会社・人材派遣求人ならパーソルクロステクノロジー |IT・Web・機電の派遣求人ならパーソルクロステクノロジーのエンジニア派遣の 注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

【はたラボ】派遣のニュース・仕事情報・業界イロハ|派遣会社・人材派遣求人ならパーソルクロステクノロジー |IT・Web・機電の派遣求人ならパーソルクロステクノロジーのエンジニア派遣の人気記事をお届けします。

関連記事

  • ChatGPTとは何がすごいのか?使い方・できることや始め方をわかりやすく解説

  • 「Cookieとは?」わかりやすく解説|仕組みや無効化・削除する方法

  • AI倫理とトロッコ問題とは?直面する課題と事例・企業や政府の取り組み

  • IT人材不足は嘘?本当に不足する真の理由|需要が高まるスキルや能力とは

  • WebAssemblyとは?できること・できないこと・使い方をわかりやすく解説

  • 【入門】Kotlinとは|Androidアプリ開発公式認定言語の高い将来性

PAGE TOP